何やら神に喧嘩を売った雪国に転生したらしい 作:てきとーでいこう
書くだけでだいぶ疲れる。
あと書くために魔神任務見返したらまたハマってしまった。
俺は今、パイモンと共にアリョーシャと旅人からことの顛末を聞いていた。
結論から言えば作戦は大成功。
無事証拠を見つけ出し、晶鉱の隠し場所をトゥガリンが発見。
そのままシシュキンと町長の関係を公然の前で暴露して無事に今回の事件は幕を下ろした。
「みんなに晶鉱が行き渡ったわけだし、駅もすぐに復旧するよな?」
「いや無理だろうな。駅が元に戻ったとしても苦しい原因である『厳冬計画』が続く限りそううまくは行かないはずだ」
「コイツの言うとおり、多少マシになるだろうが切り詰めた生活が変わることはないだろうな」
例えとしては少し違うかもしれないが凶作で飢餓が蔓延しているところにたくさんの食べ物ができたとしても元が治らなければまたすぐ食べ物が不足して飢餓が蔓延するだけだ。
「前から聞きたかったんだけど女皇って何しようとしてるの?」
「さあ……『厳冬計画』の目的は女皇陛下のためにエネルギーを集めることだがその行方は機密保持を理由に一度も公開されていない」
「多分相当上の身分のやつじゃなきゃ知らないだろうな」
【隊長】は知ってたのだろうか。
いや、知っているか。
『厳冬計画』が発表された時は字面でやばそうとは思ってたけどまさかここまで伸びるとはな。
「もともと半年で終わる予定だったのにそれが延長続きじゃたまんないな」
「延期? じゃあ女皇の計画はあんまりうまく行ってないのか?」
「恐らくそうなんだろうな。本来延期するにも議案提出とか議会での半数以上の賛成とかが必要だが反対が増え続けている今でも政治的影響力の大きい【雄鶏】プルチネッラに押さえつけられている」
「またファデュイか」
アリョーシャの言葉に旅人は鬱陶しそうに言葉をこぼした。
まぁ俺も元旅人としてそう思う気持ちもわかるがな。
どこにいっても大抵はファデュイがトラブルの種だったし。
あちこちで研究施設作ってるしな。
【博士】もナド・クライで実験設計局を作って何か実験してたし。
……いや、それは違うんだっけか?
長年経ってるから記憶も曖昧だな……
そんなことを考えているとパイモンがアリョーシャに質問する。
「なんで本拠地のスネージナヤでもファデュイは一般人と対立してるんだ?」
「そうとも言い切れない。ファデュイは常に女皇陛下のために動く。だが連中が一般人の政治を気にしていないわけじゃない。実際、各地へのファデュイの兵士の派遣や街への支援は【雄鶏】たちの提案によるものだ。とはいえお偉方と俺たちとで見る景色は違うから衝突は起こるがな」
「さっきのファデュイも〝ロコット〟の話をしていた」
ロコットね。
話だけでは聞いていたがその実態はよくわからないんだよな。
前みたいに新聞配達で毎日新鮮な情報が手に入るわけでもないし特段興味もなかったから。
「確か表立って意見を言えない人が立場を隠して政治意見を言ったり行動を起こりたりしている組織、だったか」
「まぁ、概ねその通り。当然グレーゾーンだ。やりすぎればいつでも取り締まられる可能性がある。現状では一般人を助けているだけだ」
「アリョーシャに似ているね」
「あんたもそうだろ。しかもこういうことに慣れてるな」
その言葉にパイモンが得意げに頷く。
「そいつを医者に見せる以外に何をしに行くんだ?」
「女皇に会いに行くんだ。複雑な事情があっていろんな執行官とも関わってきた。女皇が何をするつもりなのかを知りたいんだ」
そこまで聞いてアリョーシャは理解した。
目の前にいるのが噂の旅人である、と。
「なんだ、やっと気づいたのか」
「お前知ってたのか?」
「コイツから直接旅の話を聞いてるからな。いろんな話を」
「もちろん強行突破をする気はないよ」
「つっても今は無理だろ。吹雪を引き起こしてる魔物の討伐に女皇自ら出向いているからな。スネージナヤ・グラードにいっても会えないと思うぞ」
「魔物ってあの?」
「知ってたのか。コイツが言った通り吹雪を呼ぶ力を持っててなんでも飲み込む。おかげで体が膨張して進行速度は遅くなってる。しばらくは大丈夫だろう」
「女皇や冬契軍《ドルジーナ》がいれば大丈だろうな。後どれくらいかかるかは知らんがどっちにしろ待つことになるぞ。まぁこいつのためにも行ったほうがいいと思うが」
俺の言葉に旅人は頷く。
大事な仲間だから一刻も早く医者に診てもらいたいんだろう。
万が一の時のためにもその方が安心だ。
「駅はしばらくファデュイが管理する。駅が復旧したら奴らと交渉してあんたらの列車駅まで引いてもらおう」
「……でも、それってかなりの人数がいるんじゃないか?」
パイモンが不安そうに質問する。
が、問題ないだろう。
今回はファデュイがもっとちゃんとしておけば起きなかった問題だ。
そこを基本にやっていけば問題ないだろう。
アリョーシャも俺と同じ意見のようだしな。
意見がまとまり、数日が経った。
交渉も成功して現在駅には旅人たちの列車が止まっている。
列車の型式などは基本聞かれないとアリョーシャが言っていたが本当に言葉を濁しただけで誤魔化せてしまった。
おいおいついさっき問題があったばっかなのにそれで大丈夫なのか?
まぁこちらとしては得しかないから願ったり叶ったりだが。
内装はあってないようなものだった。
まぁ列車を個人所有している時点で豪華すぎるが。
因みにスネージナヤ・グラードには俺とアリョーシャもいく。
列車が止まっているおかげで売れなかった獲物が溜まっているのだ。
寒さのおかげですぐに腐ることはないがそれでも早めに売ってしまった方がいい。
あとアリョーシャ経由で劇団の手伝いに誘われたからだ。
前はなんでアリョーシャが雑用で採用されたのか不思議に思っていたがこの前直接話を聞いて納得した。
理由は邪心がないから、というものだ。
雑用というのは劇団の大スターであるヴォジャニーツァやオデットがいる楽屋に合法的に入れるわけだ。
無論会う機会も増えるだろう。
そういう人たちを採用したらどうなるかわからない。
だから採用できる人物は自ずと少なくなるらしい。
そこで特段スターになんの邪心も抱いていないアリョーシャが採用されて人手不足だからとアリョーシャが信用できる人物、ということで俺もお邪魔できることになったのだ。
そんなことを思い返していると旅人は目的地設定を終えたらしい。
なんでも自動でその駅まで行ってくれるのだという。
鉄道会社が見たら喉から手が出るほど欲しい代物だな。
「なんだ、それは」
ここまででも驚きだったのだがさらに驚くべきことがあった。
なんと喋ったのである。
なんだよそれ、AIかよ。
見てみろよ、アリョーシャもびっくりしてんじゃん。
しかもこれは洞窟で拾ったのだという。
明らかにオーパーツな代物に俺は内心絶対世界任務関係だろうな……と思いながら「出発だ」と高らかに声を上げているパイモンを眺める。
元気だなおい。
なんて思っていたのだがやはり体調は優れないのだろう。
寒いといって後ろの車両に戻って行った。
「やっぱ列車は快適だな」
パイモンと主に後ろに向かい、設置されている椅子に座りながら俺はふと呟く。
それに反応したのかパイモンが話しかけてきた。
「そういえばプリシェレは列車に乗らずにあちこち移動してたってアリョーシャか言ってたよな。それって本当なのか?」
「ん? ああ、事実だな。流石に吹雪が厳しい今じゃ遭難の可能性があるからやらないが」
「遭難を気にしなければできるってことかよ……」
そういうふうに雑談している時だった。
「っ!?」
「どうしたんだ?」
嫌な気配を察知して周囲を観察する。
同じく異変に気づいたパイモンが不安そうに声を上げる。
雰囲気が変わった。
何があった。
そう考え、周囲を見渡すと視界の端に紫色の泡のような物体が列車を侵食していた。
それを見た瞬間、俺は察する。
俺たちは最悪な出来事に遭遇したということに。
「まずい!」
アリョーシャがそう声を上げた時には俺たちは意識を手放していた。
◇
目が覚めるとそこは先ほどのような平坦な感覚はなかった。
列車は斜めになっていた。
レールを走っていればありえないことだ。
「う、うぅ。ここはどこだ? 旅人、大丈夫か?」
「うん、まぁ。パイモンは?」
2人の会話を聞きながら俺は思わず呟く。
「幸先が悪いってレベルじゃねぇぞ……」
「ついてない。なんでこんな場所に」
「おい、2人はスネージナヤ人だろ? ここがどこだか知ってるか?」
俺とアリョーシャの言葉を聞き何か知っていると思ったパイモンは俺らにそう質問する。
「知ってるっちゃ知ってるが知識のみだぞ」
「ここは〝闇域〟という特殊な空間だ。風も元素も、光も時間もない、全てが停止したような世界……オレもほとんど見たことがないし入るのも初めてだ。危険で、飲み込まれた後に戻ってきたやつは少ない」
「戻ってきたとしても正気を失っているというオマケ付きだ」
全くもって最悪だ。
なんでよりによって今なんだよ。
いや、最悪な考えだが俺1人よりはマシだ。
まだ人がいる、可能性はあるはずだ。
そう思わなきゃやってられない。
「えっ? じゃ、じゃあ、どうすればいいんだ? そうだ、グライアイなら何か知ってるんじゃないか?」
パイモンがグライアイに向けて声をかけるが返事はない。
「落ち着け。昔聞いた話によると、出口さえ見つかれば影の世界から脱出できるはずだ」
「それに幸いなことに今は4人だ、人手も多い。まだマシだろ?」
「まずは先に進もう」
旅人と共に前の車両に向かうと、闇域に侵食されたファデュイの兵士が闊歩していた。
「このファデュイの人たち、みんな正気を失っているみたいだな……」
「影を食われてる。もう……生きているとは言えない」
「やるしかないぞ」
そういいながら俺は銃を構える。
元素は使えなくともそれ以外なら使えるはずだ。
できれば弾数という限界がある銃じゃなくて剣で戦いたいが剣は氷元素で作ってるからな……
まさかこんなところでその影響が出てくるとは。
アリョーシャと俺は銃で、旅人は剣を構えてファデュイたちに対抗する。
今いる車両を制圧し、扉を開けるとスネージナヤの景色は欠片もなく、ただ闇とそこに浮いている車両たちがバラバラに広がっているだけだった。
「おい、あの青いのって……グライアイか?」
そんな中、パイモンがグライアイを見つけた。
これで次の目標ができた。
いきなり出口を探すんじゃなくて身近なところから一歩一歩だ。
「これが最後の一つ」
「俺もだ。もっと用意しときゃよかったな」
「えっ! じゃ、じゃあこれからどうするんだ?」
「臨機応変にいこう」
そんなやりとりをしながら列車を伝って行き、道中のファデュイを排除しながら歩くことでグライアイの元へ辿り着くことができた。
「皆さまご無事で何よりです」
「あまりいい状況とは言えないがな」
アリョーシャの皮肉にグライアイは闇域の解説をする。
正直難しいことはわからんが要するに時間制限が来るまでに脱出しろということだ。
「何かアテはあるのか?」
「はい。きっと、僕が造られた理由も、本来は……闇域から……関連データにアクセスできないようですね。しかし、そこに固執している場合ではありません。出口をマークしましたそして、闇域を乗り越えるための装備もご用意しました」
その言葉と主な旅人の服装が変わり、目にはモノクル、そして手には未来的な銃が現れた。
「わあっ!」
「マジか……」
「『行け、霊的な衣装と武器を身に纏い、あらゆる障壁を打ち破り、全ての悪しき者の炎の矢を消し去るのだ』」
「これは……銃か?」
銃を使う狩人だからかアリョーシャも俺と同じように銃に興味津々だ。
「かつてある者が数多くの試行と研究を重ね……「人」が元素力を自在に引き出せない闇域においては、これが最も有効な攻撃手段という結論を出しました」
「それでこんなの作っちまうのかよ」
「行きましょう、あまり時間がありません」
そこからは旅人の独壇場だった。
障害物は爆発物を撃って起爆させて壊し、出現した敵は銃で次々と倒して行った。
アンカーというもので列車間を移動して真氷創造物というもので氷を自在に生成、破壊し移動していった。
そんな様子を見て俺はふと思った。
「これ、俺いらなくね?」
「そう気を抜くなよ。アイツの横槍を排除するのが俺らの役目だ」
思わず声に出てしまっていたようでアリョーシャに注意されてしまった。
だがそう思うのも仕方ない気はする。
何せ元素力が使えないこの状況下で擬似元素という意味わからんのを利用して元素反応を起こせるのだ。
それはここ闇域において絶対的なアドバンテージ。
その上氷と自在に操れるとなればもう逆に何ができないんだという話である。
移動もアンカーと連結装置で楽々突破だ。
途中ファデュイが側面から攻撃を仕掛けてきたがそこは俺たちが押さえ込んだ。
流石に旅人に全てを押し付けるわけにもいかないしな。
そんなことを思いながらも順調に出口に向かって進軍していき、ついにたどり着くことができた。
「な、なんだか、すごく揺れてないか?」
「ここの闇域が……水の底に沈もうときているみたいだな」
「時間の限界ってことだろ」
周囲の状況を確認しながら出口を見てみる。
何やら紫色のシャボン玉のような不思議な物体がグライアイのいう出口だった。
「出口って、この変なシャボン玉がそうなのか? ……え、えっと、オイラたち、どうすれば……」
「迷ってる暇はないぞ!」
「こういう時は直接──……勘が当たったみたいだな」
無事に闇域から脱出した俺たちはザーリヤ駅に停車し、休んでいた。
「闇域が線路に現れるなんてな。かなり珍しいケースだ。あんたとあの不思議な銃のおかげで助かったよ」
「元素が使えない空間で元素みたいなものを使えるんだもんな。よく作ったなこんなすごいもん」
「ヒュペルボレイアって言ってた」
「〝黄金の都〟をご存じなのですね」
「ナド・クライでもけっこう聞いたぞ。その国のやつらが、お前みたいなすごいメガネを残したんだな」
何やら2人とグレイアイはその地名を知っているらしい。
正直俺は知らない。
いや聞いたことはあるけどその内容を全くと言っていいほど覚えていない。
魔神任務で出てきたっけ、それとも世界任務?
まぁいい。
どっちにしろわからん。
俺は考古学とかには興味ないからな。
「アリョーシャ様の言う通り、闇域は通常このような場所には出現しないのですが……同様の事態に警戒した方がいいと思います」
「うへぇ……また列車でなにかあったら、オイラ、トラウマになっちゃうぞ……」
「そんときは俺みたいに自力移動だな。お前は飛べるからな、俺よりも簡単だぞ?」
「こんな寒い中できるか!」
そんな会話をし、グライアイが列車の修理をしている間街を回ることになった。
結論から言ってしまえば何もなかった、というのが正しいが知らない。
廃墟だらけで活気もない。
列車が止まるためだけの街といった風貌だった。
あとはここからでも見えるスネージナヤ・グラードに行くだけ。
ザーリヤ駅から見えるスネージナヤ・グラードを見ながら列車に戻ると、そこには全く別の列車があった。
「本当に前と同じ列車なのか? どこからか豪華な車両をパクってきたんじゃないか?」
「失礼ですね。これは僕がちゃんと整備したものです」
「そりゃ悪かった。すまんな」
そんな会話をした後、列車に乗りスネージナヤ・グラードに向けて出発した。
その後は特段なにかあるわけでもなく、アリョーシャが旅人たちに豆知識を披露していた。
ちなみなその間、俺は何もやることがないので寝ていた。
改装した列車はとても快適だった。
おかげでぐっすり寝てしまった。
「見ろ、もうすぐスネージナヤ・グラードだぞ」
「……ん、着いたか」
そんな素晴らしい時間はすぐに過ぎ去り列車はスネージナヤ・グラードに到着した。