何やら神に喧嘩を売った雪国に転生したらしい 作:てきとーでいこう
あと限定星5配布熱すぎ!
駅から出てきた俺たちはひとまずパイモンを安静にさせるために宿泊施設がついているレストランにやってきていた。
「アリョーシャは医者を呼びに行ったがお前はどうするんだ?」
「俺はアリョーシャほどここに詳しくないし、売る予定の獲物が多くあるわけじゃないしな。トゥガリンみたいな同居人がいないから食費も少ない。基本自分で食べて終わりだ。まぁ強いていうなら銃弾を補充したいが……金が心許ないんだよなぁ」
「だったら早く売りにいけよ!」
パイモンが俺にそうつっこむ。
売りたいけどお前らどうせまた何かやらかしそうだし……後になって事情聞くより最初から巻き込まれてた方が気が楽なんだよ。
「数日後のバイトで稼ぐから問題ない。それに多少はここら辺を知ってる人間がいた方がいいだろ? あとは俺もここに泊まるからその分堪能しないと損。俺はスネージナヤ・グラードには長く滞在しないからアリョーシャみたく拠点はないしな」
最悪アリョーシャのとこにいって泊めてもらうしかないか。
もしくは全力でスレトモロスクまで帰るか。
時間はかかるけど……まぁ灯りを持っていけばなんとかなるだろう。
ゾルヌィ区にあるかつてのボロ宿という選択肢もあるけど……流石にあそこは行きたくないな。
最悪の場合は行くけど。
「部屋を取ったよ」
「おう、早速行こうぜ」
受付を済ませ、階段を上がり2階にある部屋に向かう。
中に入ると豪華な装飾のされた広い部屋があった。
豪華ホテルだなおい。
俺よりも多分部屋のグレード高いぞ。
さすがは各国を救ってきた英雄、金がある。
「今までなら今頃とっくに調査や冒険に向かってたはずなのに……ここでお医者さんを待つ羽目になるなんて」
「どうせ急ぎの用もないしゆっくり休んで」
「冒険者は体が資本だろ。体調は万全にしとけよ」
「そうだな!」
「さて、俺はしばらく外で待ってるぞ。部外者には話せないこともあるだろうしな。準備ができたから言ってくれ」
「ごめんね」
「いいよ別に。アンタも一般人が知っちゃまずいこととか知ってそうだしな、英雄」
そう言い俺は部屋の外に出た。
無論話の内容は気にはなるが俺は旅人じゃないからな。
あの2人だけが知ってるものもあるだろうし言えないこともあるだろう。
俺がいると話せないことも多いはずだ。
「何やってるんだ?」
「……アリョーシャか。2人だけでしか話せないこともあるだろうからな。外で待ってた」
「なるほど、俺も待ってたほうがいいか?」
「流石にまずは体調だろう。ノックすればいいんじゃないか? そちらの方は?」
「ああ、知り合いの医者だ」
俺にそう答えてからアリョーシャは扉をノックし声をかける。
それに旅人たちは返事をして俺たちを部屋に招き入れた。
「お二人ともこんにちは。医者のルネワよ。こっちにきてから具合が悪くなった人がいるって聞いたんだけど」
「お医者さん……!」
「そうよ、こちらが患者さんね。えっと……フェイかしら」
「わからない……オイラも自分がなんなのかはうまく言えないけど、たぶん……駅で見たあのフェイたちとは違うと思うぞ。何か問題でもあるのか?」
そういやパイモンってなんなんだろうな。
非常食なのは置いといて、種族とかそういうの的にはなんなんだろう。
空いたりしてるし見た目的にもフェイが近そうだったんだが違うのか。
「フェイはたいてい1番健康で長生きな人間よりもずっと丈夫だから診ないんだけど……大丈夫、私はフェイも見たことあるしどうぶつもあるわ。なんでもござれ、って感じ?」
「オイラは人間とは変わらないと思うし多分大丈夫だぞ! な、オイラはお前と何も違わないよな!」
「食欲はちょっと違うかも」
「それはお前の食べる量が少なすぎるんだろ! もっとおしゃべりすれば、お腹が空くようになるぜ」
まじで?
喋るだけであんな食べれるもんなのか?
いや、いい。
それよりも体調だな。
そう思いながら医者の診断結果を待つ。
「うん、検査結果はほとんど正常だから、特に問題はなさそうよ。たぶん、ちょっと体が冷えちゃったのね」
「まぁスネージナヤは寒いからな。体が慣れてなかったんだろう」
「お薬を処方して置くわ。体調が良くならなかったらまた連絡してちょうだい」
「心配なさそうだな」
「うん、しばらく様子をみよう」
「先生ありがとな」
パイモンも軽く会話をして医者のルネワは次の患者の元へと向かっていった。
さすがは医者、忙しいな。
「医者の言うことを聞いて、ここ二日間は安静にしてろ」
「俺だけ近くを見て回ってくる」
「んじゃ俺が残ってようか?」
どうせ暇だし。
売りに行くにしてもまだ早すぎる気もする。
ちょっとはゆっくりしたいし久しぶりにいたから見て回りたい気持ちもある。
「いやいやいいぞ。この前も残ってもらったしな! 今回は用事もあるんだし気を使わなくていいぞ」
「そうか?」
「そうだぞ」
「旅人的にはどうだ? やっぱ心配だろ?」
「ずっと迷惑をかけるわけにもいかないし……パイモンもこう言ってるから大丈夫だと思うよ」
そうなの?
「……ならいいか。久しぶりに来たから軽く見て回りたい気分だったしな。旅人についていくわ。何かわからないことがあったら聞いてくれ」
「ちょっと! ガイドはオイラの役目だぞ!」
「その旅人専属ガイドさんは体調を直して元気になってから頑張ってください」
「うぐぐ……」
「オレも戻る。何か用があればゾルヌィ区にある交易所までこい。店長を通じて連絡が取れるから」
「いろいろ助けてくれてありがとう」
「あんたは闇域で命を救ってくれただろ? こんなの大したことじゃない、じゃあまた」
そういってアリョーシャは部屋から出て行った。
「俺も忘れてたな。闇域では助かった。何か用があれば言ってくれ。命の恩人だからな」
「そんな、大げさだよ」
「死ぬってのは相当なもんだからな。そこから逃れさせてくれたんだから大げさなんてもんじゃないぞ? まぁいい。ともかく、もう行くのか?」
「うん、情報を集めたいし」
となるとまずは街への聞き込みとかからか?
いきなりファデュイに乗り込むなんて直接的なことをするわけにはいかないだろうし──
「恐れ入りますが、招待状または通行証をご提示ください」
「人を探しにきた」
マジかよ。
お前ファデュイの本拠地に直接行くの?
今まで散々ファデュイと敵対してきたのに?
心臓強すぎるだろ。
「グルポフでは予約のない展開要請を受け付けておりません。公示されている予約手順に従って申請していただき、招待状の発行をお待ちください」
「友達との面会なんだけど」
「……どなたをお尋ねでしょうか?」
「執行官【公子】、タルタリヤ」
「……」
うん、まぁだよね。
頭抱えるよね。
急に自分の格上の役職の人になんの手続きもなしに会いたいっていうんだもん。
「伝えますので、少々お待ちください。もし【公子】様のご予定がつかない場合は、正規の予約手続きをお願いいたします」
そういって門番の兵士はグルポフの中へと入っていった。
しばらく門前で待っていたが一向にタルタリヤの姿は表れない。
「【公子】様はご多忙につき、おそらく今はグルポフ内にいらっしゃらないのでしょう。これ以上お待ちいただいても徒労に終わるかと……」
「タイミングが合わなかったみたいだ」
「アンタが執行官といくら繋がりがあるからっても相手はお偉方だ。そう簡単に会えるものじゃない。予約手続きを踏んで正式に会いに来ればいい」
これ以上この兵士も大変だろうしな。
「ご友人といえどファデュイ執行官は公務で忙しく、ずっとグルポフ内に留まっているわけではありませんのでご理解ください。この地の規則を守ることはお互いのためにも……ん?」
兵士が旅人にそう言っている中、グルポフ内から見覚えのある人物が歩き出してきた。
それはつい最近、ナド・クライでも活躍した機械仕掛けの執行官。
「お疲れ様です! 【傀儡】様」
「サンドローネ」
「……!?」
出てくるのかよここで。
執行官とこうも近くで会うのは【隊長】以来だから緊張するな。
「こちらのお客さんの相手はワタシがするわ。彼女はスネージナヤにくるのは初めてだから規則を知らないの。無礼な口を叩いたり、揉め事を起こしたりしていないでしょうね?」
「はい、【傀儡】様。そのような事態は発生しておりません」
こっわ!
怖すぎる!
えっ、これ俺いてもいいやつ?
完全に部外者だよな。
……うん、帰ろう。
流石にこれ以上ついて回るのは印象が悪いだろう。
話が終わったら解散しよう。
「そう、それならいいわ。あら……パイモンは?」
「新しい環境が合わなくてセラーガーデン・レストランで休んでる」
「アイツが? いつでもどこでも元気なんだとばかり思っていたわ……」
旅人の説明にサンドローネは驚愕の表情を浮かべる。
「でも確かに、ここはナド・クライよりもちょっと寒いから慣れるまで時間がかかる人もいるのよね。医者は? 手配してあげてもいいわよ?」
「もう見てもらった。2、3日安静にすれば大丈夫だって」
「それならいいわ。もし後で何かあったら連絡しなさい」
「もしかきてわざわざ会いにきてくれたの?」
「それ以外に何があるっていうの。ちょうどお茶してたらタルタリヤの友達を名乗る人が面会予約もなしにアイツに会いたいと言っているって耳にしたのよ」
あー、そうなると確かに気になるから。
自分の同僚の友達となると。
あとは旅人って当てがあったか。
スネージナヤに来るって前から言ってたし。
「私だってわかったでしょ?」
「ふん……ナド・クライではしばらく協力もしてたわけだしアナタをずっと外で冷たい風に当たらせているわけにもいかないでしょう。でも中へ招待することはできないわ。執行官として規則を破るわけにはいかないのよ」
でも、と【傀儡】は旅人をお茶会に誘う。
そこで雑談をしよう、と。
ならば今、俺が離れるタイミングはここだ。
「邪魔になりそうだから俺は帰るぞ。あとは2人で仲良くしてくれ。それでは【傀儡】様。私はここにて……」
「そう、気がきくのね」
その返事を聞いて俺は帰ろうとしたのだが
「──待って」
「え?」
「アナタ、私たちについてきなさい」
「いや、しかし私にはお二人ほどの関係性はないのですが……それに一般市民ですし……」
なんで?
なぜ止められた?
俺何か失礼なことしたか?
クッソ、俺には礼儀とかはかけらもわからないから何をミスったのかわからねぇ……!
「……【隊長】」
「っ!」
「やっぱり彼が言っていたのはアナタだったのね。興味もあったしちょうど良いわ」
「……わかりました」
執行官という圧倒的権力の前にスネージナヤの一般市民である俺はあっさりと屈した。