上手いエントリー芸って難しいですね。ソバ・エントリーを超えられる気がしません。
ライズ・オブ・アマクダリ 1/?
ラオモト=カン亡き後のトコロザワ・ピラーのとある階。廊下にはネオサイタマ市警のケンドー機動部隊の死体が十人分転がっている。死体に囲まれたフスマの先の部屋ではラオモト=カンの息子、ラオモト=チバとオイランを尻目にニンジャが二人、家探しをしていた。
「おい相棒、見つけたぜ、ソウカイヤ旗だ! イェー!」
邪悪な面構えのナックルダスターを両手に嵌めたニンジャがコケシ簞笥の中に丁寧に畳まれていた旗を掲げる。
「ワンドフォー!」
同じく邪悪な面構えの「死」と書かれた黒いハチマキを頭に巻き、左目をサイバネアイに置換したニンジャが下品なガッツポーズを作る。
旗には上等な紫布に金色の糸で刺繡されたクロスカタナの紋章と「キリステ」の文字。ソウカイヤの旗揚げ時に作られた由緒正しき旗の一本である。
「セプクものだぞ!」
チバは憤慨し、つかつかと歩いてゆく。しかしナックルダスターのニンジャが立ち塞がり、おどけた仕草で彼を突き飛ばした。
「イヤーッ!」
「アイエエエエ!」
チバはチャブにぶつかって床に転がる。 机の上のコケシやペーパータイガーの置物が頭の上に落下した。
「おい、手早くやれよ、相棒。またケンドー機動隊が来たら面倒だぜ」
ナックルダスターのニンジャはコケシ簞笥を漁り終わり、机の引き出しを調べ始めた。トロ粉末や万札など、金目のもの全てを懐に入れる。
「さあ、チバ=サン。ハンコはどこです?」
ハチマキのニンジャが問うが、返事が無い。ハチマキのニンジャは天井を見つめるラオモト少年のコケシヘアーを、強引に摑み上げた。
「痛い!」
「綺麗な髪ですなあ。毎日オーガニック・スシを食ってきたんでしょう? ガキの分際で」
「汚い手で触るな、クズカスめ!」
チバはハチマキのニンジャを睨みつけ、唾を吐きかける。だがハチマキのニンジャは首を傾げて唾を軽々と回避し、さらに平手打ちを入れた!
「イヤーッ!」
「ウワーッ!」
頬を打たれ、チバが再び床に転がる!
「イェー! イェー! こいつは最高に気分がいいぜ!」
「グワーッ!」
ハチマキのニンジャが無力な少年を踏みつけて笑う! 非道!
その時、胴体部に人が一人入るサイズのプロペラ飛行機がフスマを突き破ってエントリー!無理矢理侵入したせいか、翼は半ばで折れている!
「「「「エッ?」」」」
驚愕で反応が遅れたハチマキのニンジャとナックルダスターのニンジャを巻き込み、プロペラでバラバラに斬り刻みながら壁に衝突して飛行機が崩壊!壊れた飛行機から小柄な影が飛び出し、チバの前に着地!
「ドーモ、はじめまして。クチュリエールです」
「「サヨナラ!」」
常識を超えたアンブッシュによって二人のニンジャはクチュリエールのアイサツと共に爆発四散!その衝撃で残骸の中からペダルが一つ転がり落ちた。
「お、遅いぞ!」
チバはあまりにも現実離れした光景に一言だけなんとか返した。
少し遅れて、傷だらけのニンジャがフスマが壊れた入口から姿を現す。
「……ハァーッ! ハァーッ! ……ハァーッ!」
その男の呼吸は乱れ、肩で大きく息をしていた。口元を覆う黒いメンポには、ソウカイヤの紋。装束は黒いジュー・ウェアとハカマ。短く刈り込まれた黒髪の側面には、レッサーヤクザめいた稲妻剃り込みが走っている。拳には短いチェーンが即席武器めいて巻かれ、血を滴らせていた。
━━━
少し時間を遡る。とある高層アパートの屋上で
「ハイーッ!」
クチュリエールはマグロツェッペリンに向かって最後のツヨイ・タタミ・スリケンを投げると、ハリコ・ジツで椅子、ペダル、チェーン、プロペラ等のパーツを生成して手際良く組み立てていく。
「なあ、クチュリエール。何故ニンジャスレイヤーがこの日にトコロザワ・ピラーを襲撃するとわかったんだ?」
ソニックブームがクチュリエールに問いかけた。
「いつだったか、ラオモト=サンが〝壊す時はまず高く持ち上げる物〟とかそんな感じのコトワザを言ってたでヤンス。ニンジャスレイヤー=サンならあのチャンスを逃すとは思えないでヤンス。確証が無かったから、ほぼ勘で動いたでヤンス」
「それは確かにラオモト=サンが言ってたが、それはコトワザじゃねェぞ。……ずっと一緒にいたブロッサム=サンの目を盗んでニンジャスレイヤー=サンと共謀したのかと思ったぜ」
あんまりな事実にソニックブームの返しから気が抜ける。
そして、三人の注目がクチュリエールが組み立てている飛行機のような物に集まった。
「ところで、何を作っているの?」
「人力ならぬ忍力飛行機でヤンス。普通に向かったら間に合わないからこれで飛んで行くでヤンス。ブロッサムと会う前にやってた潜入工作ミッションでも使っている、実績がある乗り物だから心配しなくて良いでヤンス」
「そうなの!?」
三人からクチュリエールに胡乱な物を見る目が突き刺さる。何を考えてこんなトンチキな物を作ったのだろうか?
「クチュリエール=サン。その飛行機は一人乗りに見えるんだが、一人で先行するつもりなのか?」
「あっ……」
インターラプターからの問いを受けてクチュリエールは答えに詰まった。慌てていたせいで自分一人ではない事を完全に忘れていたらしい。
「……と、とりあえず、これ以外で間に合う気がしないから、一旦これで先行して来るでヤンス!」
「ちょっと待て!」
「クチュリエール=サン!?」
人が一人ギリギリ乗れる大きさの忍力飛行機を組み終えたクチュリエールは、それを抱えたまま屋上から飛び降りる。
落下により初速を得た飛行機にニンジャ身体能力に任せて乗り込むと、全力で漕いで機首を上げ、トコロザワ・ピラーへ飛び立って行った。
ソニックブームが決め忘れた集合地点を確認する為にIRC端末で連絡を取ろうとするが、繋がらない。ザイバツによってジャミングをかけられたようだ。三人の間に緊張が走る。
「急いで追いかけるぞ!集合出来なくなる!」
三人は慌ててクチュリエールを追いかけ、トコロザワ・ピラーに向かった。
**忍力飛行機**
ジツ生成したパーツを組み合わせて作る鳥人間コンテストに出て来そうな人力飛行機。
ニンジャ身体能力で動かすので翼がセスナより小さくても飛べたりする。飛行機としては音が静かで小さい事もあり、以外にもステルス性を実用レベルで備えていたりする。
自分の力で動かしているのでカラテを込める事ができる為、ニンジャにも通用する体当たり攻撃が可能。
**ツヨイ・タタミ・スリケン**
シャーテックのスナイパースリケン投擲用ガントレットからカラテチャージの概念を習得した事でパワーアップしたツヨイ・タタミ・スリケン。カラテチャージにより、威力の上限が上がっている。
スリケンを疑似的なカラテミサイルにする事で追尾しているので、ニンジャソウルを感知して誘導する。その為、誘導は基本的にニンジャ限定。