フィクサーの憂鬱 作:とくめい
平日の夕暮れ時。
高度育成高等学校の生徒たちで賑わうケヤキモールの一角、カラオケ店の廊下には、放課後の歌声と笑い声が絶え間なく漏れ出していた。
だが、突き当たりにある個室だけは、分厚い防音扉によって外の喧騒から完全に切り離されている。
モニターの電源は落とされ、照明は手元がかろうじて見える程度まで絞られていた。
安っぽい芳香剤の匂いがこもる中、Aクラスの男子生徒・
廊下を誰かが通り過ぎるたびに肩を跳ねさせ、氷の溶けかけたグラスには一度も手をつけていない。
やがて扉を開けて入ってきた男は、真田に軽く顎を引いてみせただけで、向かいの席に深く腰を沈めた。
襟足を短く刈り込み、伸びた前髪を手櫛で後ろへ流しただけの黒髪。
重たげに下りた瞼のせいで、どこか眠そうにも見える目。
それ以外にこれといった特徴のない男は、備え付けの端末を手に取ると、メニューをしばらく眺めてからコーヒーを一つだけ注文した。
「何か頼むか? 奢るぞ」
「……何の用だ」
「ここのコーヒーは美味いんだ、まぁ飲めればどれも美味いんだがな」
乾は端末をテーブルに戻すと、ジャケットのポケットに両手を突っ込み、ゆっくりと首を鳴らした。
仕事帰りの勤め人が一息つくような、どこにでもある仕草だった。
それがかえって、真田の神経を逆撫でする。
「用件を言えって言ってるんだ」
「理由は二つある。一つは……最近、お前がAクラスで上手くやれてないって噂を聞いた」
「なんだと?」
「坂柳のことが気に食わない。違うか?」
「ふざけるな。俺が坂柳を裏切るとでも思ってるのか? たかがCクラスの、龍園の犬ごときが俺を煽りに来たなら、どうかしてるぞ」
真田の声がわずかに上擦った。
テーブルの下で握り込んだ拳が、膝の上で小刻みに震えている。
乾はその震えに気づいているのかいないのか、天井の換気口へ視線を投げたまま、
「そうか」
とだけ返した。
否定も、追及もない。
ただ相槌を打たれただけなのに、真田は自分の放った言葉が誰にも拾われないまま、足元へ転がり落ちていくような心地がした。
「落ち着けよ。これが二つ目の理由だ」
乾はポケットから片手を抜き、一台の携帯端末をテーブルの上に放った。
ころりと転がって止まったそれを見て、真田の喉が小さく鳴る。
「お前の端末だ。つい最近、失くしたよな?」
「なんで、お前が……!」
「超難解なパスワードにはひどく手こずった。たしか、1・2・3・4・5・6……ほら、開いた」
心底呆れたような口調で数字を読み上げながら、乾は慣れた手つきで画面をスワイプし、一枚の写真を表示させて真田の方へ向けた。
写っていたのは、自撮りをする真田自身の顔。
その背後、乱れたベッドの上で、シーツから素肌の肩を覗かせて眠っている女子生徒の姿だった。
Aクラスの
つい最近、坂柳派の側近の一人と付き合い始めたばかりの女だ。
乾は写真から顔を上げると、そこで初めてにっこりと笑った。
眠たげだった目元がふっと緩む。
人好きのする、穏やかな笑みだった。
「いけない子だな。お前も、西川も」
真田は何か言い返そうと口を開いたが、漏れ出たのは浅く乱れた呼吸だけだった。
扉がノックされ、店員がコーヒーを運んでくる。
乾は軽く会釈してそれを受け取り、テーブルの端に置いた。
カップから立ちのぼる湯気が、絞られた照明の中でゆらゆらと揺れている。
乾はそれに口をつけようともしなかった。
「女を口説き落とした手際には感心したんだぞ。こんなマヌケな写真を後生大事に残してると知った時は、さすがに呆れたが。おかげで助かった」
「ふざけるなッ——!」
真田が血相を変えて身を乗り出した。
だが、その腕が伸びきるより早く、乾は端末をテーブルの上で滑らせ、真田の手元へ押し返していた。
「もう用済みだ。返す」
伸ばしかけた腕が、宙で止まる。何を言われたのか理解できない、という顔だった。
「声が大きいな。誰かに聞かれたらどうする」
乾はコーヒーに視線を落としたまま、世間話の続きのような調子で言った。
「あの女は、誰が誰と恋仲になろうが寝ようが気にしないだろうさ。気にするのは、自分の駒が他人に弱みを握られてることだ。……今のお前みたいにな。側近の女に手を出した上に、Cクラスに首根っこを掴まれてる駒を、あの女がいつまで手元に置いておくと思う?」
真田の顔から、ゆっくりと血の気が引いていった。
端末が手元に戻ってきたところで、何の意味もない。
データがどこへ、どれだけ抜き取られたのか、真田には確かめようがないのだ。
目の前の男が平然と「用済みだ」と言ってのけた時点で、勝負はとうについていた。
「……何が望みだ」
「保険が欲しい」
「保険……?」
「来週の水曜、
「……ああ」
乾はテーブルの下から、黒い布に包まれた掌ほどの大きさの箱を取り出し、真田の前に置いた。
「これを会場に持ち込んで、目につかない場所に置け。雑務を任されてるお前なら、前日に会場へ出入りしても誰も気にしない」
「無理に決まってるだろ! そもそも、この中身はなんだ……!?」
「お前は置くだけでいい」
箱に触れようとした真田の指先を、乾は視線だけで制した。
「中身も、目的も、知らなくていい。平和協定なんてものを本気で信じてるのは、発案者の葛城と
「…………」
「それに、無理だなんて選択肢は、お前にはないんだ。すまんな」
真田は箱を見つめたまま、唇を噛み締めて押し黙った。
乾はソファから背中を離し、テーブル越しにわずかに身を乗り出す。
声は相変わらず静かで、むしろ優しくすら聞こえた。
「一つ、確かめておきたい。プライドの高いお前に、俺の言うことを聞く気があるかどうか」
「……何をしろってんだ」
「言ってみろ。『俺はAクラスの弱点だ』と」
個室に、長い沈黙が落ちた。
隣の部屋から、くぐもった流行歌のサビが漏れ聞こえてくる。真田は何度か口を開きかけては閉じ、やがて、掠れた声を絞り出した。
「…………俺が、Aクラスの弱点だ」
「隠し場所が決まったら連絡しろ」
「…………くそっ」
乾は立ち上がり、制服の裾を軽く払うと、項垂れる真田を見下ろした。
その顔に浮かんでいたのは勝ち誇った色ではなく、本当に心の底から相手を気の毒がっているような表情だった。
「お前も辛い立場だよな」
結局一口も飲まれなかったコーヒーを残し、乾は扉の向こうへ消えていった。
◆
翌日の放課後。
人の出払ったCクラスの教室には西日が深く差し込み、舞い上がった埃が光の筋の中をゆっくりと漂っていた。
窓枠に腰掛けて薄笑いを浮かべる
「例の件、仕掛けは済んだ。Aクラスの雑兵が一人、しばらくはこっちの言う通りに動く」
「ククッ……相変わらず手回しが早ぇな。報酬はすぐに振り込んでやる」
「助かる。……それと、その報酬を前借りしたい」
龍園がわずかに目を細めた。
乾が自分からポイントの支出を求めてくることは滅多にない。
報酬ですら、龍園の方から言い出さなければ受け取ろうとしない男だ。
「構わねぇが、何に使う」
「調べたい相手がいる」
「ほう? お前がわざわざ自腹を切ってまで調べる相手か」
「Dクラスの男子だ。この間、特別棟のカメラの死角を下見していた時に見かけた」
龍園の口元が愉しげに吊り上がる。
特別棟の下見は、龍園自身が乾に命じたことだった。
近いうちに使うことになる"舞台"として。
「そいつがどうした」
「カメラの位置を、一台ずつ確かめてた。……妙な違和感がある」
「違和感、か」
「まだ確証はない。だから俺の金で調べる。外れだったとしても、クラスには迷惑をかけない」
「ククッ……そうか。いいぜ、好きにやれ」
龍園は窓の外へ視線を戻し、喉の奥で短く笑った。
◆
週末の夜。特別棟の裏手。
外灯の明かりも届かない監視カメラの死角を、
入学以来、敷地内のどこにカメラがあり、どこにないのかを頭に入れておくのは、綾小路にとって半ば習慣のようなものだった。
だが、ここ数日この場所へ足を運んでいるのには、別の理由もある。
(入学してまだ数ヶ月。各クラスが手探りで牽制し合っている中で、Cクラスの動きだけが異質だ)
表向きの龍園は、腕力で不良たちをねじ伏せ、好き放題に暴れ回っているように見える。
だがその水面下では、AクラスやBクラスの弱みを探るような動きがいくつも見え隠れしていた。
しかもそのやり口が、妙に緻密なのだ。
(これまで見てきた龍園の手口とは、どこか毛色が違う)
もしCクラスが他のクラスに何かを仕掛けるなら、カメラの目が届かないこの特別棟は、格好の舞台になる。
その思考を、前方で弾けた白い閃光が断ち切った。
「ッ……」
激しい明滅が、真正面から眼球を叩いた。
暗闇に慣れきっていた視界が、一瞬にして白く塗り潰される。
光は不規則な間隔で点滅を繰り返し、そのたびに目の前の空間が歪んで、地面と壁の境目すら曖昧になっていく。
上下の感覚が、足元から剥がれ落ちていくようだった。
目は白く焼けついているのに、頭の中だけは妙に冷えていた。
(退学のリスクを負ってまで、一般生徒を闇討ちする理由はない。なら、目的は暴行そのものじゃない。死角からの奇襲に、俺がどう反応するか——それを見たいのか?)
ならば、答えは一つだった。いつも通り、平凡な生徒を演じればいい。
殴られて、倒れて、それで終わりだ。
だが、迫ってくる気配は拳のそれではなかった。
もっと重く、硬いものが空気を裂いてくる音がする。
マスクで顔を覆った襲撃者の手に握られていたのは、たった今まで閃光を放っていた硬質なジュラルミン製のライトだ。
襲撃者はそれを警棒のように振り抜き、正確に綾小路のこめかみを狙っていた。
(……そういうことか)
さすがにこれは受けられない。
良くて病院送り、悪ければ後遺症が残る。
素人のふりをして受けるという選択肢そのものを、襲撃者は最初から潰しているのだ。
演技の余地を与えないための、武器選び。
(よく考えてある)
綾小路は半歩だけ身を沈めた。
ライトの先端がこめかみの髪を掠め、風圧が頬を撫でていく。同時に、がら空きになった相手の懐へ滑り込むように踏み込み、脇腹へ掌底を突き入れた。
手応えは浅かった。
襲撃者は打たれる寸前に体を捻って衝撃を逃がし、即座にライトの柄を反転させて盾にしていた。続けて放った綾小路の手刀が、ライトの硬い胴に阻まれて、鈍い音を立てる。
受け止めた反動を利用して、相手は軸足を刈りにくる低い回し蹴りを放ってきた。
綾小路は重心を揺らさないまま、その足首をすくい上げるように掴む。体勢を崩そうと引き込んだが、襲撃者は掴まれた脚を支点に自ら体を回転させ、拘束を振りほどいて間合いの外へ転がり出た。
カチリ、と小さな音がして、光が消えた。
わずか数秒の攻防。
綾小路が見せたのは、ある程度の心得がある人間なら持っていてもおかしくない反射までだった。
それ以上の底は、何一つ見せていない。
◆
闇の中を下がりながら、乾は呼吸を静かに整えていた。
脇腹には鈍い熱が残り、手刀を受け止めた右の手首には、骨の芯まで響くような痺れがこびりついている。
指先でなぞると、ライトの縁がはっきりわかるほどへこんでいた。
(強い。……恐ろしく)
数千ルーメンのストロボを至近距離で浴びせたのだ。屋外用の市販品に手を加え、最大光量で不規則に点滅するよう改造した代物だった。
まともに食らえば、人間の脳は視覚の処理が追いつかず、空間の把握も方向感覚も失う。暗闇に目が慣れきった相手なら、なおさらだ。
その状態から、あの男はこちらの軌道を読み切り、最小限の動きで躱し、反撃まで入れてきた。打撃を捌き、蹴りを掴み、迷いなく崩しにかかってくる。
考えてから動いている様子が、まるでなかった。
(スポーツの延長で身につくものじゃない。ぎりぎりの場面で一番いい動きを、考えるより先に体が選んでいる)
前借りしたポイントで買ったのは、Dクラスの口の軽い男子から聞き出した綾小路の放課後の過ごし方と、週末の夜に一人で特別棟の方へ歩いていくのを見たという目撃談だった。
そこから先を誰にも頼まず、自分の手で確かめると決めたのは、駒を使えば、それだけ口が増えるからだ。
何も出なければ、それで終わる。
何か出たとしても、知っているのは自分一人で済む。
最少の人数で、最小の痕跡しか残さない。
そのはずの安全策が、完全に裏目に出た。
藪をつついて出てきたのは、蛇どころではない何かだった。
(このミスは、早く取り返さなければ――――)
乾は気配を断ち、特別棟の裏口から闇の中へ抜けていった。
◆
残された綾小路は、わずかに痺れの残る腕を軽く振りながら、襲撃者が消えた闇を見つめていた。
(改造した市販のライト。持ち歩いていても怪しまれず、武器としてはこれ以上ないほど合理的だ)
それに、と綾小路は分析を続ける。
(あの体捌きは、一般の生徒のものじゃない。掌底を受けた瞬間に衝撃を逃がし、足首を取られても慌てずに抜け、勝ち目が薄いと見るや即座に退いた。退き際に、一切の未練がなかった)
――強い。いや、厄介だ。
だが、何より引っかかるのは別のことだった。
入学以来、綾小路は徹底して目立たない生徒を演じてきた。
成績も行動も平均値に揃え、誰の記憶にも残らないよう振る舞ってきたつもりだ。
疑われる要素など、どこにもなかったはずだった。
(なぜ、俺を狙った?)
◆
週が明けた月曜日の昼休み。屋上へ続く階段の踊り場は、昼間でも薄暗く、湿ったコンクリートの匂いがこもっていた。
壁に背を預けた乾の前で、龍園が手すりに肘を乗せる。
「で、Dクラスはどうだった」
「……今のところ、障害にはならない」
乾は右手をジャケットのポケットに入れたまま答えた。手首の痺れは、まだ完全には引いていない。
「今のところ、か」
「
大げさに言っているわけでも、甘く見ているわけでもない分析だった。
入学からひと月でポイントを使い果たし、互いに足を引っ張り合っているDクラスは、今のところ欠陥品の寄せ集めでしかない。
「ただ……それを完璧にまとめ上げる奴が現れたら、手がつけられなくなる可能性はある」
「ククッ、あのポンコツどもがまとまるってか。見ものだな」
「楽観はしない方がいい、龍園」
乾の声は低く、そこに冗談の色は欠片もなかった。
龍園の口元から、薄笑いがすっと消える。踊り場に沈黙が落ち、龍園は言葉の裏を探るように乾の顔をじっと見据えた。
「……それで? お前が金を前借りしてまで探ってた奴は誰だ」
「綾小路清隆」
「アヤノコウジ? ……聞かねぇ名前だな」
龍園は記憶をたどるように首を傾げたが、すぐに興味を失ったように鼻を鳴らした。
「まあいい。お前がそこまで言うなら、何かあるんだろう。わかったことがあれば、すぐに俺に回せ」
「ああ」
「……そいつは、そこまで危険なのか?」
「間違いなく」
短く、迷いのない答えだった。
龍園はしばらく黙り込んだあと、喉の奥で低く笑い、短く息を吐いた。
乾は壁から背を離し、階段を下り始めた。
週末の夜のことは、最後まで口にしなかった。
今の龍園に話せば、明日にでも自分から綾小路の前に立ちに行くだろう。
それが一番まずい。
「おい」
背後から声がかかり、乾は足を止めた。
「なんだ」
「期待してるぜ、乾」
振り返らなくても、龍園がどんな顔をしているかはわかった。
未知の獲物を前にした時の、隠しきれない愉悦を滲ませた顔だ。
軽く手を振って、乾はその場を離れた。
◆
その日の夜。寮へ続く道に、規則正しい革靴の音だけが響いていた。
ふと、ポケットの中で端末が短く震える。
画面に表示されたのは、登録のない番号だった。
短いやり取りを終えると、乾は寮への道を外れた。
向かった先は、学生寮の裏手にある自動販売機の陰だった。
そこでは、ミルクティーの缶を指先でぶら下げたAクラスの女子生徒——
「最悪。あのサディスト、平気で人をパシリに使うんだから」
「人使いの荒いトップを持つと苦労するな」
乾が自販機のボタンを押すと、ガコン、と缶コーヒーの落ちる音がした。
取り出し口からそれを拾い上げる乾に、神室は同情と呆れの入り混じった視線を向ける。
「……あんたのところの龍園も大概でしょ。よくあんなのの相手が務まるわね」
「ああ見えて、身内には意外と甘いぞ」
「驚いた。乾って冗談言えるんだ?」
「俺を何だと思ってるんだ」
「血も涙もない猟犬?」
「…………」
乾が呆れたように肩をすくめると、神室は小さく鼻を鳴らした。
クラスは違う。仕える相手も違う。
それでも、気まぐれな暴君に振り回される裏方同士の苦労だけは、言葉にしなくても通じ合ってしまう。
湿った夏の夜の空気の中で、二人の深い溜息がぴたりと重なった。
「……で、坂柳からどんな無茶振りだ?」
「『この番号に連絡しろ』だってさ」
神室は一枚のメモ書きを乾の胸元に押しつけると、飲み終えた空き缶をゴミ箱へ放り込み、じろりと乾を睨んだ。
「あんた、あの女に何したの? ここのところあんたの話ばっかりで、何考えてるのかわかんなくて気味が悪いんだけど」
「何もしてない。向こうが勝手に執着してるだけだ」
乾はプルタブに指をかけることもなく、缶コーヒーを手にしたまま夜空を見上げた。
「……これ、どうしても電話しないとダメか?」
「私なら心底嫌だけど。するしかないでしょ」
神室は吐き捨てるように言い、気怠げな足取りで寮の方へ歩き出した。
「じゃ、伝言は伝えたから」
背中越しにひらひらと手を振って去っていく神室を、乾は黙って見送った。
誰もいなくなった自販機の横で、乾はもう一度、深く重い溜息を吐き出した。
端末を取り出し、メモの番号を一桁ずつ打ち込んでいく。
発信ボタンに親指をかけたところで、暗い画面に自分の顔が映り込んだ。
これから始まる面倒事を予感して、ひどく歪んだ顔をしていた。
「……嫌な仕事だ」
親指を押し込むと、呼び出し音が静まり返った夜の中へ吸い込まれていった。