探偵「これでもバリツの心得があってね。いざとなればコレで犯人に自供させる」
警察「それやったらお前捕まえるからな?」

いわゆる探偵もの様式美をギャグに据えた4コマ的パロディギャグSS

能力は超一流の名探偵、だけどいつも現実につまずく迷探偵と、それに振り回される警察官のショートギャグ集。



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警察「我々を集めたという事は事件を解決したという事だな?」
探偵「その通り、だが今は語るべき時ではないと言っておこう」
警察「はよ言えよ、こっちは仕事なんだぞ」
探偵「はい……」


探偵「犯人はこの中にいる!」警察「目の前で犯罪起きたんだから当たり前だろ!」

探偵「犯人はこの中にいる!」

警察「たった今目の前で事件が起きたんだから当たり前だろ! どいてろ! 現行犯逮捕だ!」

 

探偵「こんな事件が起きて、殺された被害者と同姓同名の人物がいる。こんなのただの偶然とは思えない。なにか裏があるはず……」

警察「本当に偶然で、ここに来たのも同姓同名がきっかけで知り合ったからだって」

探偵「あ、そう……」

 

探偵「なに。初歩的な事だよ、諸君。この絶海の孤島にいるのは我々だけ。その前提が間違っていたのだ。ほら、小さな鳥さんがいただろう?」

警察「……??」

探偵「つまりここには、人だけがいたわけではないという事だ」

警察「さてはまだ何にも分かってないな。コイツ」

 

探偵「これでもバリツの心得があってね。いざとなればコレで犯人に自供させる。関節技を決めれば一発だよ」

警察「それやったらお前捕まえるからな?」

 

探偵「この宝石窃盗事件の犯人、それは宝石が盗まれたマダムが飼っているアヒル。このアヒルが飲み込んでしまったんだ!」

マダム「それガチョウよ?」

警官「しまらねえなあ」

 

探偵「つまり、この犯行の動機は……ゴホゴホ!」

助手「だから話す時はパイプ吸うなって言ってるのに……ほら、床にパイプ落としたよ? 危ないから早く拾って」

探偵「あ、落とした拍子にパイプにヒビが……」

警察「コントする前に話し続けてくれない?」

 

探偵「そう。つまり犯人はあな、いったっ! 机に指をぶつけた……」

犯人「えぇ……」

警察「そこちゃんとしないから犯人も困ってるじゃん……」

 

探偵「いや、犯人は彼女ではない。手口からして被害者は、明確に強い性的志向を持っていた事は明らかだ。故に彼女が犯人である事は……」

容疑者「は? 女性が女性好きで悪いって言いたいの? 犯人は私なんですけど」

探偵「…………すみませんでした」

警察「こんな事件解決があって良いのかよ」

 

探偵「魔法なんて存在しない。何事にもトリックが存在する。神の奇跡だって必ず仕掛けがあるようにね」

神父「は? 聖書で殴るぞおめえ」

警察「教会で堂々と言っていい事じゃない」

 

警察「おい! なんだこの騒ぎは!」

探偵「私があえて騒ぎを起こしたのさ。この異常事態で露骨にうろたえる者、それこそが犯人だ」

警察「いや、ホテル中のスプリンクラー作動させたら誰だって騒ぐだろ!」

 

探偵「つまりこの事件は、二つの偶然が重なってしまった不幸な事故。それが真相なのだよ」

警察「じゃあそれをどう証明するんだ?」

探偵「再現したいが、金がかかるので誰か貸していただきたい」

警察「そこは人集める前に事前に言ってよぉ、こっちで用意するからさぁ」

 

探偵「みなさんにお集まりいただいたのはこの事件を解くためです。私は捜査の末に犯人がこの屋敷にしかけた爆弾を見つけて、ここに用意した。犯人、ここで爆弾を解除しなければみんな死ぬ事になるぞ! 確か爆破予告時間はあと十秒だったな。10、9……」

犯人「う、うわああ!! 爆弾のコード切ったぞ! 正気かおめえ!!」

探偵「爆弾魔に言われたくないな」

警察「本当に正気じゃねえよおめえ」

 

探偵「この怪盗の予告状には暗号が記されている。フィボナッチ数列が使われていて、この1123……」

警察「一番左は1じゃなくて7じゃない?」

探偵「本当だぁ」

警察「いや癖がある手書きだからさ、わかるけどさあ」

 

探偵「つまり、これは密室殺人! そのトリックは……そ、そうか! そうだったのか!! えっ? いくらバレないようにするからって普通こんなに手間暇かけて人殺す? なんで? 密室殺人するくらい賢いのに、なんでこんな泥臭い地味な事を……」

警察「ブツブツ言ってないで、いいから早く説明しろよ!!!」

 

犯人「確かに理屈ではそうかもしれないが、俺には動機がないぞ!」

探偵「動機? それはこの証拠品が証明している!!」

警察「な、なんだ! その懐から取り出した封筒は!?」

探偵「これは犯行現場に落ちていたものだ。この封筒には被害者と犯人の関係が……」

警察「おい。勝手に現場に落ちてるものを拾うな」

探偵「すみません」

 

探偵「みなさんの前でこの複雑な事件の謎を解き明かしてみせましょう。しかしちょっと長くなるかもしれないので、トイレとか今のうちに行っておいてください。というか私が行きたいので行ってきていいですか?」

警察「ダメダメ! 犯人逃げちゃうかもしれないでしょ! 我慢して! というかお前こそ事前に行っとけ!!」

 

探偵「これは模倣犯の仕業だ。しっかし雑な模倣だなあ。きっと模倣犯はオリジナルの犯罪者をたいして知らないにわかなんだろうなあ」

犯人「はぁ!? にわかじゃねえし!」

警察「多分、アイツ犯人だな」

 

 

探偵「これは……隠し金庫! 犯人はきっとこれが目当てだったに違いない。だが見つけられなかったんだ」

警察「もしかしたらこの事件に関係あるかもしれない! すぐに開けられるものを手配しよう!」

探偵「安心したまえ、ピッキングには心得があってね……これをこうして………よし開いた」

警察「……いや、なんか安心できなくなったぞ……こっちは」

 

探偵「フッその船乗りと浮浪者、どちらも変装した私だったのさ」

警察「何!? まさか正体を隠して犯人を監視していたのか!」

探偵「その通り、変装は得意でね」

警察「ピッキングできたり、変装が得意だったりお前、どっかの回し者じゃねえだろうな?」

 

警察「何!? 事件の凶器が見つかった!? どうやって!?」

探偵「この名犬がやってくれたのさ。さあ、その凶器を私に……あの、離してくれないか? くそ! 取ろうとするほど強く食いしばりやがる!」

警察「本当に名犬か?」

 

警察「おい、そんな子供の浮浪者たちを信用して良いのか?」

探偵「警官1ダースよりも彼らの一人の方が優秀だよ」

警察「あ? 俺らが無能だってか?」

探偵「すみません」

 

探偵「なるほど、この屋敷にあった金の像が盗まれたと。では、まずは現場に……いった! ドアが開かない」

依頼主「そこ引き戸ですよ」

探偵「ああ……新調したばかりのルーペが割れた……」

警察「もう初手からぐだぐだ」

 

探偵「この事件の犯人は、密輸されたあのオランウータンだったという事か! ……すっご、こんな事が現実で起きるんだ」

警察「そ、そうだけどさぁ、同感だけどさぁ……なんかこう……お前がびっくりする側で良いの?」

 

女性「何故、そこまでして私を助けて下さったのですか?」

探偵「謎を解きたい。ただそういうフェチズムの持ち主と言っておこう」

女性「うわぁ……」

警察「そこはもっと良い言い方があったろ。フラグバキバキに折るじゃん」

 

探偵「この犯行の手口! 私は知っているぞ! あの犯罪界のナポレオンの七光りと呼ばれたあの男に違いない!」

警察「あだ名がださすぎる」

 

探偵「つまり……これは完全犯罪だ! 時効になってしまってる時点で我々はもう何もできない……」

警察「くっそぉ!」

探偵「まあ、せっかくトリックを解いたんだから、今から犯人のところに行ってトリックを聞かせて答え合わせでもしよう。今後の事件解決の参考になるに違いない」

警察「……そ、そうだけど、なんかおかしい」

 

探偵「主人、先ほどからチラチラと本棚を見ていますが、どうしたのです?」

主人「い、いや! そんな事は……!」

探偵「失礼ですが、あの本棚を調べさせていただく」

主人「やめろ! そこは事件とは関係ない!」

探偵「ん? 本をどけてみたら、本棚の奥にもう一つの本棚が!?」

警察「何!? そこには何があるんだ!?」

探偵「これは……大量のエロ本だ!」

主人「隠してる場所で犯罪が起きるなんて思わなくて……」

警察「なんて無駄で気まずいやりとりなんだ」

 

探偵「あなたの話を聞いていて、犯人が分かりました。現場に行かずともね。女中が犯人だ」

警察「いや、それだけで捕まえられんのよ」

探偵「それはそう」

 

警察「この飛行船に爆弾!? もうこの飛行船は飛び立っているんだぞ!? このままじゃここにいるみんなが!」

探偵「ご安心を、どうやら爆弾魔はご丁寧に暗号を解けば爆弾を解除できるようにしたようだ。ふむ……ん? なんだこれは……? まさか、私でも解けない暗号を作ったというのか!?」

警察「何!? 常識がなくてポンコツだけど、無駄に知識や知能はすごいお前でも駄目だと!?」

探偵「あ、違う。これは爆弾魔が初歩的な計算を間違ってるだけだ。ああ、こういう風に数字入れ替えればいいんだな。ふぅ、解除完了」

警察「もう! こんなんばっか!」

 

探偵「この店の評判が落ちたのは味が単に落ちたわけじゃない! 何者かがこの店を貶めようとしている! 長年この店で料理人を務めたこの老婦人が、こんな味付けミスをするなんておかしい! きっとあなたを陥れようとしている人がいるに違いない!」

老婦人「あの……そのミスは、歳で味の違いが分からなくなってきたからでして……はぁ……やっぱりお店をたたんだ方がよいのかしら」

警察「事態がややこしい事に……!」

 

探偵「この犯罪予告……あの犯罪界のナポレオンの七光りから私への挑戦状か!」

警察「何度聞いてもカリスマゼロだなあ。何するって?」

探偵「どうやら奴は私と決着をつけたいらしい。受けた立とうではないか、終生のライバル!」

警察「……七光りが終生のライバルで良いの?」

探偵「暗号は解いた。では、彼と決着をつけてくる!」

警察「いや、普通にこっち任せろよ。勝手に犯罪者と立ち向かおうとするな。お前ただの市民だろ」

探偵「はい……」

 

警察「ああ! 犯罪界のナポレオンの七光りと探偵が滝に落ちたぞ!」

探偵「だ、大丈夫だ! なんとか二人とも落ちずに済んだ! 滝に落ちて終わりなんてありえないからな!」

警察「おお!」

探偵「いや、一度死んだことにした方が良かったかな?」

警察「俺達に迷惑かけるだけだからやめろや」

 

探偵「そう、犯人は……私だ。私が君の大切なものを奪ったのだ」

探偵「間違えて人のお菓子食べたんなら、素直に謝れや」

探偵「すみません」

 

探偵「この事件は必ず解決してみせる! ……えっと、私の名に懸けて!」

警察「そこって自分以外の人あげるところじゃないの?」

探偵「実を言うと、私は出自不明なんだ」

警察「ごめんって」

 

探偵「この事件の犯人はあなただ! いや、違う! あなただけじゃない! あなたはもう一人いる! つまりあなたたちは双子だ!」

双子「くっ……そうよ! ここには双子は不吉という理由だけで、ずっと監禁されている私の大切な姉がいるのよ!」

探偵「あ、妹さんだったんだ。あなた」

警察「犯人が自供してるところだから、ちょっと黙ってな」

 

犯人「そうだ! 俺は親父の復讐の為にあんなクソ野郎の下で十年以上も執事を務めて、信頼を勝ち取り、ようやく復讐の機会を手にして復讐を遂げたんだ!」

探偵「お前の生涯をかけた復讐なんて間違いでしかない。その証拠に、お前の計画には不備があまりに多すぎる」

警察「そうだそうだ……ん? 待て、なんか間違いとして指摘してる部分おかしくないか?」

 

探偵「私の推理を披露する前に、まずはみなさんにコレを見てほしい。これは、昨晩廊下に落ちていたイヤリングでしてね」

マダム「あら、そのイヤリングはあたしのじゃない」

探偵「ああ、あなたのだったのですね、お返しします。すみませんねみなさん、推理で落とし物の事を忘れるかもしれないと思いまして」

警察「…………なんか納得いかねえ」

 

男「またお前か。もう俺は話す事を話したぞ。もう放っておいてくれ」

探偵「では、最後に一つだけ。私とあなたがあの日事件が起きる前の深夜に出会ったとき、深く泥酔していたあなたは何故頭に女ものの下着をつけて踊っていたんですか?」

警察「酔いすぎるとそうなってよく分からねえ事する人いるんだって! 理屈じゃ分からねえだろうけど、そうなるんだって!」

 

犯人「フン! あんたは俺に勝ったつもりかもしれねえがよう、探偵さんよ。あんたは犯行をとめられなかった。本当に勝ったのは俺かあんたのどっちなんだろうねえ」

探偵「勝ち負けなどナンセンスだ。私はただこの謎を解き明かし、死者にお供え物を……なんか違うな。……そう、手向けの花を添えようとしてるだけだ」

警察「もう連れて行っていいか?」

 

知能犯「ふふふふふ!! 探偵と警官を捕まえて迷宮に閉じ込めたぞ。この迷宮を解かねば私の元にはたどり着けない。さて、高みの見物をさせてもらおうか」

探偵「この迷宮には攻略法がある。壁の上によじのぼって迷宮から脱出すればいい」

警官「それはそうだけど、この高さを足場なしでよじのぼるのはきつ……うわ、アイツよじのぼりやがった。なんでそんなに運動神経良いんだよ」

知能犯「おい、それ探偵がしちゃダメだろ」

 

探偵「つまり犯人はあなただ。凶器と動機を説明し、証拠も示した。まだ自分が犯人だと認めないなら話すがいい。私の推理で打ち負かしてみよう」

犯人「くっ……認める。俺が犯人だ」

警察「おお、今日はすごい気迫があるし、素行も完璧だ! 普段のポンコツぶりが嘘のよう、どうしたんだ今日のお前は」

探偵「コイツのせいで楽しみにしていた演劇にいけなかった……あの女優の美声を聴く事をどれだけ楽しみしていたと思っている!!」

警察「……」

 

探偵「そう、あなたがこの殺人を起こす際に思いもよらない事が起きた。まず、寝たと思っていた被害者が起きていてもみ合いになった。そして、用意していたナイフは奪われ、逆に刺されそうになったが、何とか窓から抜け出して一旦逃げようとしたが、被害者が追いかけようとした拍子に転んで持っていたナイフが胸に突き刺さってしまい、とどめをあなたがさしたんだ」

犯人「そ、そこまで完璧に推理するなんて!」

警察「すげえけど、ぐだぐだな犯行をドヤ顔で説明するのシュールすぎる」

 

警察「まさか、事件を未然に防ぐとは見直したぞ!」

探偵「探偵が最初の被害者になるなどあってはならないからね。いやぁ、いきなり背後からナイフを振り上げて襲ってきたときはさすがに肝が冷えた」

警察「おまえ、肉体使ってる時は全然ポンコツじゃねえよな」

 

探偵「この部屋、実は隣の部屋と繋がっているに違いない。この大きな絵画はそれを隠すための…あっ」

画家「私の絵画が! 床に落ちてキズが!!」

探偵「…………しかし、私の見立て通り、やはり部屋は繋がっていた。これであの人のアリバイは崩れた」

警察「お前の信用も崩れたぞ」

 

探偵「今日も事件を無事解決できた。また次の事件が私を待っているに違いない」

警察「おい、事件を解決した事は認めるけど帰っちゃダメだろ。普通に事件関係者なんだからさ、調書とるに決まってるだろ」

探偵「はい……」

 

終わり

 




お楽しみいただけたなら幸いです。

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