ようこそ堀櫛観測至上主義の教室へ 作:堀櫛伊っていいよね!
──月──日
今日から日記をつけることにする。
目的は単純。転生前の記憶にある「高度育成高等学校の原作知識」という最強の攻略本を、時の経過で忘れてしまわないよう文字に残すためだ。
万が一にも誰かに見られたら社会的に死ぬどころの騒ぎではないので、学生証端末の鍵付きフォルダ内に記録する。パスワードは……自分の誕生日でいいか。
転生して十五年。俺は無事に高度育成高等学校のDクラスに配属された。
外見は幸薄げで儚げな銀髪ボブの小柄な美少女。だが中身は元・大学生……いや転生してからの期間も含めればアラサー越えのオタクおじさんだ。
この学校に入るための道のりは、想像を絶する厳しさだった。
何しろこの高校、表向きは通常の入試を行っているように見せて、実態は中学校の教職員や高校関係者による極秘推薦と内定で決まる完全な出来レースなのだから。
原作知識でその裏事情を知っていた俺は、中学の進路指導教諭や校長に徹底的に取り入った。
生徒会長並みの品行方正さを演じ、教師の雑務を完璧にこなし、気に入られるためにあらゆる気配りと追従を徹底した。一芸に秀でていたりあえて問題行動を起こしたりすれば、興味を引けるかもしれないが、あいにくそれで推薦される保証はどこにもない。
当然、教師からは不審がられた。面談室で進路指導の先生から、
「逢坂……お前が優秀なのは分かるが、なぜそこまでして高度育成高校にこだわるんだ?進学実績とお前の成績なら他にもあるだろう」
と怪訝な顔で追及されたこともある。俺は完璧な優等生の笑みを張り付け、
「あの学校の『完全実力主義』という理念に惹かれているんです。自分の力をどこまで引き出せるか、試してみたいんです」
などと熱弁を振るって誤魔化した。
(なお本音は、推しカプである堀北鈴音と櫛田桔梗のてぇてぇ関係を最前線で観測するためだ)
まさに泥をすするような立ち回りで、なんとか推薦を無事毟り取ったのだ。
すべては「堀北鈴音」と「櫛田桔梗」という二人の少女が、衝突を経ながらもかけがえのない絆を結んでいく──そんな最高の「堀櫛」の光景を最前線で観測するためである。
ついでに、原作を支える主人公である綾小路清隆とも、気軽に話せる友人ポジションを築ければ言うことはない。
名付けて「ネキカ」観測計画。
俺自身、逢坂ネキカという触媒を挟み、彼らの尊い青春を見届けさせてもらうとしよう。
──月──日
我ながら運が良い。
Dクラスでの自席は一番後ろの窓際、一個前。斜め後ろには堀北。真後ろには綾小路。完璧な配置と言っていい。
なお、クラスの人気者である櫛田の席は教室の廊下側前方なので座席自体は離れているが、観察するにはむしろ絶好の位置関係だ。
さっそく、クラスで孤立気味だった堀北に声をかけてみた。
「ねえ、堀北さん。もしよかったら、一緒にお弁当食べない?」
最初は警戒心全開の冷ややかな目で見られたが、彼女の不器用で真面目な性格を肯定しつつ、原作知識を活かして適度な距離感で接したところ、拍子抜けするほどあっさり隣を許してくれた。
警戒心が強いようでいて、一度懐に入ると素直なのが彼女の可愛らしいところだ。おじさんとしては少し心配になってしまう。
──月──日
席が離れている櫛田との接触にも成功した。
中学時代のトラウマと過去を隠し、誰からも好かれる天使のような仮面を被っている彼女。
だが原作通り、彼女は中学時代の同級生である堀北が存在するだけで「自分の過去がバラされるかもしれない」と激しい恐怖と害意を抱き、影で堀北を退学に追い込もうと冷酷に画策していた。
放課後、二人きりになる機会を見計らって、俺は彼女の暴走を止めるために「裏の顔」に勘づいていることを匂わせつつ、こう伝えておいた。
「どんな過去があっても、どんな桔梗ちゃんでも、私は嫌いにならないよ。一人で怯えて、誰かを排除しようとしなくて大丈夫なんだから」
彼女は目を見開いた後、恐ろしいほどの執着を込めた笑みを浮かべ、俺の手を強く握ってきた。
どうやら「自分を脅かさない唯一の理解者」として深く気に入られてしまったらしい。
ついでに綾小路とも、女子の輪から少し離れたところで「女子の人間関係って複雑だよな」と男子校ノリで世間話ができる間柄になった。
順調だ。順調すぎて怖いくらいである。
──月──日
……少しばかり、想定と異なる事態が生まれつつある。
櫛田は堀北への憎悪を引っ込めはしたものの、今度は「堀北がネキカに近づくこと」そのものに激しい嫉妬と嫌悪を燃やし始めた。
一方の堀北も、櫛田が俺に不気味なほどの執着を見せていることに警戒感を強め、二人はいがみ合うライバルとして不穏なバチバチ感を漂わせている。
関係を修復しようと「三人でケヤキモールに遊びに行かない?」と提案してみたのだが、二人の間に漂う空気が妙に重たい。
「逢坂さん、今日は私と夕飯の買い出しに行く約束だったはずよ。なぜこの女が一緒にいるの?」
「え〜?ネキカちゃん、私とカフェに行くって言ってたよね?ねえ、堀北さんなんかより私と行きたいよね?」
以前の「抹殺し合う敵対」から、「俺を奪い合う激しい排他対立」へとシフトしてしまった。
これぞライバル関係としての百合の醍醐味──と言いたいところなのだが、なぜか二人の引っ張り合いの中心に俺が置かれている。
そこは二人きりでウィンドウショッピングを楽しみ、部屋で仲良くご飯を作ってほしい。
あと、左右から腕を引かれるのは地味に痛いのでやめてほしい。
──月──日
この身体に備わっている原作知識を生かした「異常な先見性」を、夏休みの豪華客船で行われた干支特別試験で初めて本格的に行使した。
本来なら、裏切りを決意した櫛田が他クラスの暴君に『竜グループの優待者=自分』であることを暴露し、堀北とDクラスをハメるはずだった局面。
俺は二人が裏で接触するよりも早く手札を切った。
原作知識で「優待者が櫛田であること」を最初から知っていた俺は、同じ竜グループにいた他クラスの生徒へ秘密裏に猛烈なアプローチ。絶妙な誘導と偽情報を吹き込み、試験初期の段階で「絶対に別の人物が優待者だ」と誤信させてフライング解答を行わせたのだ。
結果、他クラスの誤答によって『結果4』が成立。
優待者である櫛田に50万プライベートポイント、Dクラスに50クラスポイントが入ると同時に、各クラスのリーダー格が集まる竜グループの試験は電撃的に即時終了した。
その後他クラスの優待者がいるグループをBクラスと分け合って、Dクラスに爆益をもたらした上、龍園の揺さぶりや櫛田の裏切り計画、真鍋たちによる軽井沢へのいじめなども、すべて実行される前に強制無効化してやった格好だ。
ただし……この能力を行使するたび、身体に重い倦怠感と、芯を刺すような鋭い痛みが走る。
どうやら「未来を捻じ曲げる代償」として、確実に私、いや俺の身体の負担──言い換えれば生命力が摩耗していく仕組みらしい。
まあ、いい。元より俺の人生など、彼女たちの輝かしい青春を支えるためのオマケのようなものだ。
中学時代の教師媚びから始まった俺の高校生活、俺の残機が少し削れるだけで推しカプの平穏とポイントが買えるなら、安い買い物である。
──月──日
夜、買い出しに行ったケヤキモールからの帰り道に綾小路と出くわし、一緒にベンチで缶コーヒーを飲んだ。
「ネキカ。お前はオレやクラスの誰も予測できない『何か』を知っているな。……いや、問い詰めたいわけじゃない」
彼はどこか普段と違う、深くて重い眼光で俺を見つめていた。
「オレはこれまで、人間という存在を観察し、計測し、データとして分類できると考えていた。だがお前だけは計算が合わない。自らの利益にもならない行動を取り、自分を擦り減らしてまで他人のために賽を投げる。……なぜだ?」
「ふふ、考えすぎだよ綾小路くん。私はただ、みんなの笑顔が見たいだけの普通の女子生徒だよ」
「……お前が普通でないことくらい、オレが一番よく知っている。オレは今まで何事にも強い関心を持たないよう生きてきた。だが──」
綾小路は静かに俺の手首を掴んだ。その力加減には、彼らしくないわずかな焦燥と強い固定力がこもっていた。
「お前という存在がどこに向かい、どう壊れていくのか。オレはそれを最後まで見届けたいと思っている。……お前を、オレの想定外のまま終わらせるつもりはない」
底知れない執着の言葉に、俺は一瞬背筋が寒くなった。
(……うおっ、なんか綾小路くんの『好奇心』スイッチを不用意に連打しちゃったっぽい……? 親友枠として仲良くしたかっただけなんだけどな……)
──月──日
放課後、誰もいない屋上に呼び出された。待っていたのは綾小路だった。
彼はどこか思索するような、冷ややかな瞳で俺を見つめていた。
「ネキカ。お前はなぜそこまで自分を後回しにして動く?船上試験の竜グループで、櫛田が動く前にあの大胆な電撃決着を仕組んで泥を被ったのもお前だろう」
「……何のことかな?私はただ、誰も損をしてほしくなかっただけだよ」
「嘘だな。お前の行動には『自分の利益』が一切含まれていない。あいつらのドロドロとした暗闘の矢面にお前自身が立ち、身を削っているだけだ」
さすがは綾小路。俺の異常性に気づいていたらしい。
俺は苦笑し、彼の肩をポンと叩いた。
「いいんだよ、綾小路くん。堀北さんや櫛田ちゃんが笑っていられるなら、私はそれで満足なんだから」
綾小路は一瞬、本当に理解不能といった様子で眉をひそめた。
「お前は鋭い観察眼を持っているが……自分自身に対する価値観だけは、決定的に壊れている」
静かな懸念を口にする彼に、俺はただ笑って誤魔化した。
すまない親友。お前が心配してくれるのは嬉しいが、俺のタイムリミットはそう長くはないらしいんだ。
──月──日
体調を崩して自室で休んでいたところ、堀北と櫛田がお見舞いにやってきた。
特別試験でのチート能力の乱用による代償で、最近は深刻な貧血と体力の低下が目立っていたからだ。
「ネキカ、顔色が悪いわ。お粥を作ってきたから、無理をせずに食べなさい」
「ちょっと堀北さん、強引すぎるよ!ネキカちゃん、私がりんごを剥いてあげるからね」
かつては殺し合いかねないほど険悪だったはずの二人が、今は俺のベッドの両脇に腰掛け、お世話を競い合っている。
目の前で繰り広げられる美少女二人の密着した光景。
(……かつて敵対していた二人が並んで私のお世話をしてくれている……『堀櫛』の尊い波動がすごすぎて胸が苦しい……)
尊さに胸を痛めた瞬間、代償の限界が重なり、俺は口元から少量の血を吐いてしまった。
「「ネキカ(ちゃん)!?!?」」
部屋の中がパニックに包まれた。
いや、違うんだ。尊さで胸がいっぱいになったのと、能力の反作用が重なっただけで……って、説得力ゼロだな。
二人とも、そんなに青ざめた顔で救急車を呼ばないでほしい。
ガシャンッ──!!
「!?!?」
突然、盛大な破砕音とともに自室のベランダの窓ガラスが叩き割られた。
何事かと振り返ると、隣のベランダから目測3メートル以上を素身で跳躍して「飛んで」きたであろう綾小路が、ガラスの破片を散らしながら豪快に部屋へ乱入してきたのだ。
「逢坂……血……!?なぜだ、なぜお前が吐血している……!?」
窓を突き破って着地した勢いのまま、普段の無表情さを完全に投げ捨てた綾小路がベッドへ突進してくる。
彼は血のついた俺の口元と青ざめた表情を見るや否や、見開いた瞳に不気味でドロリとした闇を宿し、俺の手首を怪力で掴んだ。
「オレの計算を超えて勝手に壊れることは許さないと言ったはずだ……!お前を救うのも壊すのもオレの権利だ……救急車ではない、オレがお前をどこか誰の目も届かない場所へ連れて行く……!」
「「ちょっと綾小路くん(あなた)、どこから入ってきて何言ってるの!?!?」」
吐血した俺、パニックで救急車を呼ぼうとする堀北と櫛田、そしてベランダから飛んできて本気で俺を連れ去ろうとする綾小路。
(ひ、ヒエッ……! 主人公が身体能力を無駄使いして窓破って飛んできた!? ルームのインサイドのキャパシティがフルにオーバーしてるんだけど誰かヘルプ……!)
──月──日
二年生に進級した。
学校や生徒会が仕掛ける特別試験の苛烈さは跳ね上がり、他クラスからの妨害も激しさを増している。
それ以上に深刻なのは、堀北と櫛田の間の緊張感だ。
かつて退学を賭けたり企てていたりしたほどの確執は、いつしか「どちらがネキカちゃんを守り、その隣に立つか」という歪んだ焦燥感へと変貌していた。
お互いをライバル視する眼光は日に日に険しくなり、執着のベクトルが完全に俺へと向けられている。
「私がしっかりして逢坂さんを守らなければ、また彼女が自分を犠牲にしてしまうわ」
「堀北さんなんかには任せておけない。私がネキカちゃんの唯一の理解者なんだから」
違う、そうじゃない。
二人は互いに手を取り合って、過去を乗り越えて支え合ってほしいのだ。俺を巡って争う必要なんてないのに。
そして、何よりも手が付けられないのは綾小路だ。
二人を制するような素振りを見せながら、背後から冷徹な眼光と威圧感で二人を牽制し、当然のように俺のすぐ隣の領域を占領してくる。
「堀北、櫛田。お前たちが不毛な争いをしている間にネキカが無理を重ねれば、どうなるか分かっているだろうな。……これ以上ネキカの身体に負担をかけるなら、オレはお前たち二人を容赦なく排除する」
「「なっ……綾小路くん(あなた)……!」」
二人を脅迫まがいの言葉で退けつつ、彼は俺の肩に手を置き、逃がさないように指先を食い込ませて囁いてくる。
「気にするなネキカ。あいつらに削らせるくらいなら、オレの管理下で守り抜いてやる」
違う、そうじゃない。
堀北と櫛田には互いに手を取り合って、過去を乗り越えて支え合ってほしいのだ。俺を巡って争う必要なんてないし、綾小路まで加わって三つ巴の重すぎる独占欲を俺にぶつけてこないでほしい。
俺の身体はいよいよ限界を迎えていた。
髪のツヤは失われ、朝起き上がるのすら激痛が走る。
だが、三人を無事に卒業させるためなら、残りの命くらい全て賭けてみせよう。
──月──日
放課後、杖(坂柳さんからの貰い物)を突きながら自室に戻ろうと廊下を歩いていたら、曲がり角の影で綾小路に腕を掴まれ、空き教室へ引きずり込まれた。
いつになく力が強い。振り払おうとしても微動だにしない。
「あ、綾小路くん?どうしたの……?」
「……お前はまた、自分を削るような真似をしたな」
彼の瞳に、普段の静寂な冷酷さではなく、いつにも増して不気味でドロリとした闇が揺らめいている。
彼は俺を壁際に追い詰めると、逃げ場をなくすように両手を壁についた。
「堀北や櫛田を陰から救うために、また身体に負担をかけたんだろう。……どうしてだ? なぜオレに頼らない?なぜオレの目の届かないところで、勝手に壊れようとする?」
「ち、違うよ綾小路くん、私はただ──」
「黙れ」
冷徹で、けれど切羽詰まった低い声が耳元で響いた。
綾小路は震える手で俺の頬を包み込み、まるで壊れものを確かめるように親指でなぞる。
「ホワイトルームの人間すらオレの予測を超えられなかった。……なのに、なぜお前だけがオレの計算を狂わせ、勝手に消えようとする?お前が壊れる瞬間を決めるのは絶対にオレだ。お前を救うのも、追い詰めるのも、すべての権利はオレだけにあるべきだ」
「綾小路くん……?」
「……やはりお前をどこか誰も来られない場所に閉じ込めれば、その生命の磨耗は止まるのだろうか。お前から自由を奪い、オレの視界の中だけに繋ぎ留めておけば……お前はこれ以上、自分を破壊せずに済むんじゃないか?」
瞳の奥に狂気じみた執着を宿し、本気で監禁のシミュレーションを始めている。
(ひ、ヒエッ……主人公のクールな観察者メンタリティが崩壊して、完全に重度のヤンデレ・メンヘラ化してる!?親友枠を目指していたはずなのに、なんで俺が彼の『唯一の特異点』として執着されてるんだ!?)
「お願いだから落ち着いて綾小路くん……私、どこにも行かないから……!」
なんとか宥めて解放してもらったものの、彼のあの暗い眼光を思い出すだけで背筋が凍る。
堀北と櫛田の重すぎる愛もヤバいが、綾小路の執着は次元が違いすぎて本気で危険だ……。
──月──日
二年生の締めくくり、運命の学年末特別試験。
Aクラス昇格を懸けた他クラスとの直接対決であり、敗北すれば致命的なペナルティと退学者が出てもおかしくない、苛烈を極める極限状態の特別試験だ。
かつての数々の因縁に加え、他クラスからの狡猾な罠と妨害工作によって、再び崩壊の危機に瀕するクラス。
おまけに堀北と櫛田は、お互いを庇い合いながらも「相手を出し抜いてネキカを守り、その隣に立つ」という歪んだ焦燥感から空回りし、完全に追い詰められてしまっていた。
このままではクラスも、二人も終わる──そう直感した俺は、持ちうる能力と原作知識の全てを解放した。
裏工作、相手クラスへの情報改変、過酷な駆け引き──自分の寿命と引き換えに、試験の敗北リスクとすべての不利益を俺一人に集約させる「絶対的な犠牲」の勝利シナリオを完成させた。
これでクラスの勝利は確定し、堀北も、櫛田も、そして綾小路も因果から救われる。
試験の決着が告げられた瞬間、脳裏を焼き切るような激痛とともに俺の視界は激しく揺れ、その場に倒れ込んだ。
「「ネキカ(ちゃん)!?」」
悲鳴のような叫び声とともに、泣き叫ぶ堀北と櫛田が駆け寄ってくる。
そしてその背後には──普段の底知れない無表情を完全に崩し、目を見開いて涙を流し、呆然と立ち尽くす綾小路の姿があった。
俺は霞む視界の中、最後に残った力を振り絞り、二人の震える手を引き寄せて重ね合わせた。
「ふふ……昔みたいに……争っちゃダメだよ。二人で……仲良く……手を繋いでね……」
みんなには、とりわけこの二人には幸せになってほしい。
最高の言葉を残せた満足感に包まれながら、俺の意識は深い闇へと落ちていった。
──月──日
ぼくは いま
びょういんの べっどに います
いしきふめいの じょうたいから めざめました
ひだりがわには ほりきた
みぎがわには くしだ
ふたりとも ひかりのない めをしていて
あおざめたかおで がっちりと わたしのてを にぎりしめています
「もう二度と、私と彼女のために自分を捨てたりさせないわ」
「そうよ。あなたの思い通りになんて、絶対にさせてあげない。ずっと私たちが縛り付けてあげる」
とおくのほうで あやのこうじが
「オレの制止を聞かず、二人を救うために己を破壊した結果だな。……だが、これで二度とお前がオレの目の前から消えることはなくなった」と くらいしゅうちゃくの こもっためで みつめています
なんで?????????
これほど語り部が信用できない主人公概念は中々ない気がする。
※表記ゆれや誤字脱字等ありましたら、感想欄や誤字報告機能で教えてもらえると嬉しいです。