転生したら初代護廷十三隊だった件   作:宇川ゆうたろう

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親衛隊というのは、輝いて見えるものだヨ

 

 

「やっほー、四楓院」

 

「! 王途川か、どうしたこんな夜中に」

 

 夜も更けた頃、私は四楓院のいる二番隊隊舎を訪れていた。

 こんな時間にわざわざ足を運んだのは他でもない。間近に迫った滅却師との戦いについて、四楓院と二人で話しておきたいことがあったからだ。

 

「ちょっと耳に入れて貰いたい事があってね」

 

「へぇ? まあ座れ」

 

 被っていた笠を外し、促されるまま向かいへ腰を下ろす。机の上には瀞霊廷の地図が広げられていた。あちこちに書き込みがあるところを見るに、四楓院も同じく戦争に向けて準備を進めていたらしい。

 

「それで、話はなんだ?」

 

「私の斬魄刀を貴族の守護に使おうかと」

 

「……ほう?」

 

 そう言いながら、私は机の地図をこちらへ引き寄せた。

瀞霊廷の中でも、貴族の屋敷が集中している一帯。その中から王途川家を始めとした五つの場所を指で順に示す。

 

「戦が始まったら、能力を少しこっちへ回すつもりなんだ」

 

「お前の斬魄刀……えーと、天魁星だっけ。確か兵士が出てくるんだったよな?」

 

「まぁ……部分的にそう」

 

 私は某アー〇ネーターの真似をしながら四楓院の質問に答える。

 始解によって現れる七十二の豪傑は、私が直接率いれば当然その真価を発揮するが、何も私の傍から一歩たりとも離れられない訳ではない。

 

「私は恐らく前線に出ることになる。だから戦闘中、貴族街まで面倒を見る余裕はない」

 

「それで自分の代わりに斬魄刀の兵を置いておくと」

 

「うん。でも流石に全屋敷を守れる程の数をそっちには回せないから、ある程度強い奴を何人か貸してくれないかなーって」

 

「えーっ、四楓院家の守護だけでも手一杯なのに」

 

「ほんの少しでいいから〜」

 

 流石に始解状態の72人の豪傑全員を貴族街守護に使う訳にもいかないのだ。私自身が戦うための戦力も、ある程度は手元に残しておきたい。

 

「……じゃあ、うちからも兵を何人か回してやるよ。それにしてもお前、何か企んでるだろ」

 

「ははっ、別にー?」

 

 ……さすが四楓院、よく分かったなぁ。

 

 彼の言う通り、私の目的は貴族達を守り抜いた後にある。この機会に恩を売れるだけ売って、より多くの四十六室の席を持つ家に取り入るのが真の目的だ。

 ウチも、もちろん席はあるものの、私の発言が及ぶ範囲にある席はたったの二席のみ。いずれは尸魂界を裏から支配することを目論む私にとってその数は少なすぎた。

 

「ただな王途川、貸し一つだからな。貴族の守護は全部お前の功績にしてやるからさ」

 

「ありがとな四楓院」

 

 私と四楓院が笑ったその瞬間、腹の底まで震わせるような轟音が、夜の瀞霊廷を貫いた。

 

 もしかして、いや、確実にこれは滅却師の侵略だ。

 

「カンカンカンカン!!!!」

 

 瀞霊廷全域へ異常を知らせる警鐘が鳴り響き、私と四楓院は視線を合わせる。

 

「瀞霊廷内に侵入者!! 北方より敵勢力多数、数は不明!! 総員配置に付け!! 繰り返す、瀞霊廷内に——」

 

 ——ゴォォォォン。

 

 二度目の爆発音が響き渡る。四楓院は立ち上がり、壁に掛けてあった斬魄刀を取った。私も笠を被り、無言で天魁星の柄を握る。

 

「じゃ、よろしくね」

 

「あぁ、死ぬなよ」

 

 私は四楓院に別れを告げ、隊長羽織を翻し屋根に登る。情報では北方からの侵略とあった、つまり十番隊のある場所とは真逆で、貴族が多く住んでいる六番隊地区、十番隊地区がある西と反対なのは幸いだ。

 

「さて、尽くせ——天魁星」

 

 解号と共に霊圧によって72の豪傑が形作られていく。いきなり卍解するのも有りっちゃ有りだが、この戦争がどれだけ長引くか分からない点を踏まえると始解状態の方が身が持つ。

 そのうち、取り敢えず45人には貴族街の守護を任せ、自らの配置へと移動する。北からの侵略の際、私は北東に就く手筈となっているので瞬歩で向かう。

 私が真正面担当ではないのは、斬魄刀が雑兵処理向けだからだ。主に一般隊士のサポートをやったり、チマチマ滅却師を潰していくのが役割なのである。まぁ強い奴に当たったら当たったで卍解して私も戦うけどね。

 

「よし、戦況は……」

 

 私が現場に到着すると既に乱戦は始まっており、あちこちで悲鳴や雄叫び、剣がぶつかる音が聞こえたので早速天魁星をあちこちに向かわせる。

 

「王途川隊長!!」

 

「あぁ、隠密機動の隊士か。何か情報が?」

 

「現在主に北方面で大規模交戦中、加えてこちらに敵の首領、ユーハバッハ直属の親衛隊なる滅却師が向かっているとの情報です」

 

「そうか、ありがとう」

 

 ユーハバッハ直属の親衛隊か。私の前世知識が正しければ確か4人いたはずだ。その時ハッシュヴァルトは星十字騎士団団長、バズビーは一般兵だったかな。

 

 この辺に来てるという事なので、霊圧を探る。ここは霊圧を解放して釣ってみようかな。

 

 私は結界術を解き、自身に霊圧を滾らせてみると早速轟音と共に銃弾が飛んできた。それを抜刀術で真っ二つに叩き切り、狙撃された方向に瞬歩で移動する。

 

「初めまして滅却師さん。私は十番隊隊長の王途川雨緒紀」

 

「……光の帝国神赦親衛隊(リヒトライヒシュッツシュタッフェル)、ニキータ・デスロック」

 

 ニキータは長銃を肩へ担ぐように構えたまま、こちらを静かに見据えていた。月光を弾く長い髪が夜風に靡く。髪の毛で半分目が隠れていて随分可愛らしい滅却師だが、細身の身体から放たれる霊圧は研ぎ澄まされた刃物のようで、周囲で戦っている滅却師達とは明らかに質が違う。

 

 直後、ニキータの姿が消えた。

 

「——!」

 

 飛廉脚だ、と思い至るよりも早くニキータは既に、背後にある数十間先の屋根へ移動していた。

 その手に握られた長銃の銃口はこちらに向けられており、銃声が聞こえた時には、既に弾丸は眼前まで迫っていた。

 

「っと」

 

 首を僅かに傾けると光の矢が髪を掠め、遥か後方の建物を貫いた。

 直後の二発目は刀で弾き、三発目は半歩横へ移動することで避ける。四発目、五発目、六発目と続いて放たれた銃弾は刀で真っ二つに叩き切る。

 

「……っ」

 

 それにしても速いな。

 

 私は瞬歩を使い、横へ大きく移動するが、すかさず移動先へ寸分違わず銃弾が降り注いだ。瓦が弾け、屋根が蜂の巣になる。

 

「……やるね」

 

「どうも」

 

 私が瞬歩で走るとそれに伴ってニキータも飛廉脚で走る。夜の瀞霊廷、その屋根から屋根へ二つの影が凄まじい速度で駆け抜けた。

 私が一度地面を蹴る間に、銃声が何度も響く。彼女は単純にこちらを狙っている訳ではない、私が次に何処へ動くかまで読んで撃っている。

 

「……そこ」

 

「おっと」

 

 眼前を光が横切った。私は空中で身体を捻り、着地したと同時に天魁星を振るう。

 

「行け」

 

 周囲に控えていた豪傑達が一斉にニキータへ向かう。槍兵が正面から突っ込み、剣士が左右から攻め、弓兵は屋根へ登り、ニキータへ向けて一斉に矢を放つ。

 

「……鬱陶しい……!」

 

 ニキータが銃口を向け、一射、二射と正確無比に豪傑の頭を吹き飛ばしていき、豪傑達が次々と霊子へ還っていく。

 

 普通の滅却師なら、この時点で数に呑まれて終わる筈なのだが……やはりと言うべきか。神赦親衛隊ともなると、私の十分の一以下の力しか持たない始解の豪傑では、肉壁程度にしかならない。

 しかし私の狙いは肉壁(そこ)にある。どれだけ射撃に長けていようと、複数方向から同時に詰められれば全てに銃口を向けることはできない。

 私を撃つなら豪傑が迫る。豪傑を撃つなら、私から銃口が逸れる。

 

 私は地面を蹴った。そう、たった一瞬私から銃口が逸れてくれればそれでいい。

 ニキータの表情が初めて動く。

 瞬歩で一息で距離を潰し、天魁星を振りかざす。

 

「——ッ!」

 

 ガァンッ!!!

 

 ニキータが長銃を横にして受け、鋼同士が衝突し、火花が散った。衝撃で彼女の身体が僅かに沈む。

 

「……!」

 

「へぇ」

 

 どうやら、狙撃手だから近接戦闘は不得手——なんて都合のいい相手ではなかったらしい。ニキータは銃身で刀を滑らせ、そのまま銃床を私の顎へ叩き込む。

 私は上体だけを逸らして躱し、その鼻先を銃床が通過する。

 

「射撃だけじゃないんだね」

 

「…………舐めるな」

 

 そういえば、前世で銃火器が誕生したのは13世紀頃ではなかっただろうか。それも現代的な銃ではなく、1発1発弾を込めるタイプで彼女が使用しているような最新式のものじゃあなかった気がする。

 今は原作開始から千年前なのだから大体11世紀ぐらいか?それなら銃火器はおろか火薬がやっと中国で誕生したくらいじゃあ……。まぁ、こんな野暮な考察は辞めておくか。

 

 と、そんな事をあれこれ考えていると銃口が零距離で私の腹へ向けられた。ニキータが人差し指を曲げトリガーを引こうとする前に私は銃身へ左手を添え、僅かに軌道を逸らした。

 

 ドンッ!!

 

 脇腹のすぐ横を光が抜けていき、微かな熱を感じる。

 

「ざんねん」

 

 私は刀を素早く横薙ぎに振るう。ニキータが飛廉脚で後退しようとするが既に遅く、切っ先が腹を一閃する。

 

「………ッ!」

 

 腹から真っ二つにするつもりだったのだが、血装を使われたようで傷が浅い。後退し十数間離れた先へ着地したニキータが自分の腹を見る。

 

「親衛隊って言っても所詮はこんな物か。ユーハバッハの力もたかが知れるね、私が卍解を使うまでもない」

 

「……! 貴様ッ、一撃与えられた程度でいい気になって……ッ!」

 

 その瞬間。

 ニキータから、今までとは比較にならない量の霊圧が噴き上がった。瓦が小刻みに跳ね、屋根の表面から霊子が剥ぎ取られていく。そのようにして周囲の霊子が一斉に彼女へ引き寄せられ、空気中に青白い光が無数に生まれ、それらが長銃へと集束していく。

 

「聖隷(スクラヴェライ)、かな」

 

「……お前が何故それを知っているか疑問だが……まぁいい、これからお前は死ぬ」

 

 ゴウッッという音と共に、視界が光で埋め尽くされた。もはや銃弾という規模ではなく、巨大な霊子の奔流が屋根を削り飛ばしながら、一直線に迫ってくる。

 天魁星を両手で握りしめ、右足を半歩引き腰を落とす。地面を踏み砕くほど強く右足を固定し、腰から肩、腕へと力を通す。天魁星の刀身に纏わせた霊圧が一気に膨れ上がり、青紫色の光となって刃の輪郭を覆った。

 

 タイミングを見ろ、一瞬でもズレれば身諸共焼かれてしまう。天魁星に渾身の霊圧を滾らせて——今。

 

「——はァッ!!」

 

 刃を振り下ろし霊子の奔流へ触れた瞬間、耳を劈くような甲高い音と共に巨大な銃弾が真っ二つに割れる。

 ニキータは即座に二発目の装填を開始し、再び霊子を集結させる。

 

 うーん、こいつとは初対面だし……ア(・)レ(・)試してみるか。

 

 私はニキータの視界が霊子の光に遮られた一瞬、豪傑の一人を自分の立っていた場所へ滑り込ませる。

 背格好は近いし髪も長い。ついでに私の隊長羽織と笠でも引っ掛けてやれば、遠目から見た輪郭だけならそれっぽく見えなくもない。

 

 ……いや、正直かなり無理があるな。知り合い相手なら三秒でバレる。

 

 だが、私の顔を今日初めて見たばかりの相手なら、一瞬くらいは騙せるだろう。

 

 先程の一撃で辺りの霊子は随分と薄くなったはずなのに、それでも集まる光は衰えるどころか更に強い。青白い粒子が夜空を流星のように横切り、一点へ吸い込まれていく。

 霊子の密度に耐え切れないのか、銃口の周囲では空気が陽炎のように歪み、ニキータの足元に残っていた瓦が一枚、また一枚と浮き上がっては霊子へ分解されていく。

 

「一度斬った程度で——」

 

 ニキータの腹から流れ落ちる血が白い衣を赤く染めているというのに、狙いは微塵も揺らいでいない。

 

「同じことが二度出来ると思わないでよねッ……!」

 

 銃口が、『私』を捉えた。先程よりも大きい。収束した光はもはや銃口に収まり切らず、球状に膨れ上がっている。青白い光がニキータ自身と、私に扮した豪傑の影を屋根の上へ長く伸ばしていた。

 すると一瞬ニキータが僅かに眉を顰めた。

 何かがおかしい。そう感じたのかもしれないが、その疑問はすぐに頭の隅に追いやったようで、再び真っ直ぐにこちらを見据える。

 

 眼前の『私』が刀を構え直す。

 それを見たニキータが、引き金を引いた。

 

「斬れる物なら……斬ってみろ、王途川雨緒紀!!」

 

——————ゴウッッッ!!!

 

 一発目を遥かに上回る光の奔流が放たれた。発射の反動だけでニキータの足元の屋根が崩れ、砕けた瓦が爆風に呑まれて宙を舞う。青白い閃光が夜を塗り潰し、一直線に『私』へ殺到する。構えていた刀もろともその身体を粉砕し、胴体に巨大な風穴を穿った。

 

「……ッ、やったか」

 

「——ざぁんねん、あれは囮だ」

 

 私は囮を見つめたニキータの背後に忍び寄り、首を一閃する。

 

「…………え」

 

 彼女の口から、呆けたような声が零れた次の瞬間。ザンッという音と共に、鮮血が横一文字に噴き出した。

 天魁星は、その防御ごと斬り裂いた。

 ニキータは反射的に首元を押さえるが、既に遅い。指の隙間から血が溢れ、白い軍服を瞬く間に赤く染めていく。

 

「……いつ、から……」

 

「一発目を斬った時点で、君の視線は完全に私へ固定されてた。だから二発目を撃つ直前に豪傑の一人と位置を入れ替えたんだ」

 

 ニキータの身体がぐらりと傾く。私はトドメを刺すべくニキータに馬乗りし、心臓目掛けて刀を刺す。

 

「頭を撃ち抜かれなくて良かったよ、お陰で笠は傷1つ付いていない。これ結構お気に入りなんだよね」

 

「……ぅッ……がばっ……ユーハ、バッハ様…申し訳、ありません……!」

 

 ニキータはそう最後に言い残し、数秒もしないうちに息絶えた。もしこれで誰かに蘇生なりされてしまえば厄介なので、死体を細かく切り刻んでいく。

 

「悪いな。一応この世界(BLEACHの世界)だし、念には念を入れさせて貰うよ」

 

 そうして死体がもはや跡形もなくなった頃、破道の三十一、赤火砲を放ち鬼道の炎を以て死体を更に焼き切る。

 

「ここまでしたら大丈夫だろ。さて、一般兵を天魁星で蹴散らしながら総隊長の元へと向かいますか」

 

 私は笠を被り直した後、天魁星の1人に予備の隊長羽織を持ってくるよう指示を出す。囮に使った羽織はもうボロボロだ。こんなのを着て総隊長の所へ行けば、あいつらにどれだけ馬鹿にされるか分かったものじゃない。

 

 

 






皆さんアンケート投票ありがとうございました。
前回のアンケートを見る限り、「リアタイではないが毎週見ている」が多かったので、今回からはサブスク配信日の火曜日投稿にしようかなと思っています。

ちなみにこれまで土曜日に投稿していたのは、リアタイ勢向けに、アニメ放送の23時までの暇つぶしにでもなればと思っていたからです。
リアタイ勢少ないの悲しい……。

漫画は読んでるけどアニメは見てない人は、早く見ましょう。
作画も10年前からとんでもなく進化してますし、音楽もめちゃくちゃカッコいいです。アニオリも最高ですし、ホント見てください。お願いします。

あと、アンケートの「そもそも漫画を読んでいない」にそこそこ票が入ってるのが面白いですね。
なんで原作未履修なのに「初代護廷十三隊」とかいうマイナージャンルに手を出してるんですか笑

いや本当に、どういう経緯でここに辿り着いたんだ……。



あとアンケート楽しいので、もう1回やらせてください。
今回は初代護廷十三隊メンバーで、好きな方に投票してください。
pixiv百科事典にそれぞれのイラストが載ってますので、そちらを参考にすると良いかもしれません。
また、今回のアンケート内容は小説内容への反映を予定しています。(しない可能性もありますので、その際はすいません……)
結果は次の後書きで公開予定です。皆さん投票よろしくお願いします。

初代護廷十三隊メンバーで、好きな方を選んでください。

  • 一番隊隊長・山本元柳斎重國
  • 一番隊副隊長・雀部長次郎
  • 二番隊隊長・四楓院千日
  • 三番隊隊長・厳原金勒
  • 四番隊隊長・志島知霧
  • 五番隊隊長・尾花弾児郎
  • 六番隊隊長・齋藤不老不死
  • 七番隊隊長・執行乃武綱
  • 八番隊隊長・鹿取抜雲斎
  • 九番隊隊長・久面井煙鉄
  • 十番隊隊長・王途川雨緒紀
  • 十一番隊隊長・卯ノ花八千流
  • 十二番隊隊長・善定寺有嬪
  • 十三番隊隊長・逆骨才蔵
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