クライは『アカシャの塔』帝国支部を担当していたノト・コクレアの一件について探教、遺物調査員、第三騎士団を交えて合議をした。
それによって、ノト・コクレア(シトリーもだが)の一派が違法実験で生み出し、【白狼の巣】での対決で脅威を発揮したキメラの『マリスイーター』の幼体を引き取った。
本当は『アカシャゴーレム』も引き取りたかったが、価値があり過ぎて他のところからも引き取る要望があって、無理であった。
とはいえ、こっちに関しては『アカシャの塔』が裏で繋がっている貴族や権力者に声をかけて『ゼブルディアオークション』に出品させるようにすると確信している。
なので、必要な事の一つはオークションで競り上がるゴーレムを買うために金を集める事だ。まあ、これはクライが認定レベルの高い『宝物殿』にソロで巡ったりすれば問題は無い。
もう一つは情報の攪乱だ。クライ達が『アカシャの塔』に『アカシャゴーレム』を狙っていると思わせない事である。
「それっぽい宝具があればもっと良いんだけどね」
「ですねぇ」
クライの作戦として『ゼブルディアオークション』に出品される宝具の一つを狙っているように思わせる事にした。
レベル8のクライが狙っていると情報が広まれば、その宝具は他の者達も狙うようになって通常よりもかなりの価値に競り上がるかもしれないが、只の攪乱なのでその点については問題無い。
そのための宝具は本当になんでもいいが、出来る事ならそれっぽい雰囲気を持っている物がクライにとっては好ましいのだ。
クランマスター室でクライはシトリーによって、自分の艶のある長髪を櫛で梳かされていた。彼女に髪を手入れされながら、会話をしており、更に……。
「良し良し、幼体だけあって中々可愛いな」
「ンナァ」
膝の上ではマリスイーターの幼体であり、マリと名づけたキメラの背中を優しく撫でており、マリはそれに心地良さそうに声を出す。
マリは中型犬くらいの大きさで全身は灰色、背中には大きな翼、剣のように尖った三本の短い尾、頭部には丸い耳がある。
「流石、クライさん……もうキメラを手懐けるなんて」
エヴァはクライに甘えまくっているマリを見て言った。
「元々、マリは僕とシトリーに危害を加えないようにインプットされているからね。後はクランの皆に手を出さないようにする事から始めていく。将来はこのクランの番犬にしていくからね」
「マリスイーターを番犬って……スライムと言い、なにかと戦うつもりなんですか?」
「戦力はあるだけあった方が良いから」
「十分、今でも過剰だと思うんですけど」
クライの言葉にエヴァは何ともいえない表情を浮かべて言うのであった。
そうして……。
「良し、新しい魔力回復薬も出来た。折角だし、皆にも使ってもらおう」
「そうですね」
クランハウスの研究室でクライはシトリーと共に新しい魔力回復薬を製薬し、その効果を自分だけでなく、皆にも体感してもらう事にしてクランハウス内にいる魔導士達を訓練場に来るように呼び出したのであった……。