エルフィンド連邦国史〜清廉なエルフの国は、如何にして平和なドワーフの国を焼き払うに至ったか〜   作:サクラモッチー

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【前回のあらすじ】
ネニング平原にて、陸軍と空軍が集まるってよ。
何だったら、名だたる重鎮も集まってきたらしい。

ちなみに、この世界線では大鷲族と巨狼族はエルフ達と仲が良いのだとか。


ネニング演習②

大鷲族は、古くからベレリアンド半島に生息している魔種族である。

そのため、そのベレリアンド半島の二度に渡る危機.....ロザリンド会戦とデュートネ戦争の際、彼らはエルフィンド側の兵士として参戦していた。

 

エルフィンド連邦の前首相と当時の国防総省長官、それから現長官のサエルウェンが必死になって頼み込んだ結果、彼らはエルフィンド軍の偵察及び通信兵として大いに活躍した。

 

例えば、オルクセン軍の兵士の動きや野営地の捕捉。

あるいは、デュートネ軍の将校や司令官の居場所の割り出し。

そして今現在は、昨年設立された三つ目の軍........空軍の兵士達の相棒として、多くの大鷲族が合同対抗演習に参加していた。

 

そもそも、彼らがエルフィンド空軍の兵士として入隊した理由としては、エルフィンド軍への一種の恩返しのようなモノであった。

それはロザリンド会戦が起こる数十年前、国防総省長官であるサエルウェンがただの兵士であり、何だったら現大統領のドウラグエルが一般人だった頃の話であった。

 

その当時、エルフ達と大鷲族は種族の違い故にあまり交流はしておらず、遭遇したとしてもお互いに立ち去るのが定石であり、そのために二つの種族の間には独自の距離が生まれていた。

しかしながら、その当時のドワルシュタインでは権力の証として大鷲の羽を手に入れるため、大鷲を傷つくのも厭わない乱暴なやり方で捕獲することがしばしばあった。

 

そんな時、一羽の大鷲が新兵時代のサエルウェンに助けられたことにより、それを機にエルフ族と大鷲族の間に絆が芽生え、今に至るまで郵便配達や移動などを手伝うという形で交流が続いていた。

そして、シュニーヴァイス会議でのドウラグエルの発言によって、エルフィンドで空軍が誕生したのである。

 

それにより、星歴七八六年の春に行われていたネニング平原の合同対抗演習では、赤軍・青軍に分かれていた陸軍の青軍側として大鷲族は参加していた。

 

そのため、ネニング平原に建てられた市街地を模した演習会場では、今まさに演習としての戦いが激化しており、飛行師団の兵士達は上空からの水風船を落とす形で攻撃していた。

マッティーアもまたエルフィンド空軍の第七飛行師団のメンバーとして参加しており、相棒である雌の大鷲ことテオドーラに騎乗した上で空を飛んでいたのだった。

 

『敵軍発見!!それも複数!!』

「行くぞ!!テオドーラ!!」

 

そう言葉を交わした後、そのまま急降下するテオドーラに羽を掴む形で耐えるマッティーア。

そして、それと同時に彼は赤軍に向けて水風船を投下したため、地上ではその水爆弾が近くで炸裂したがために、それが原因で水浸しになった兵士達の姿があった。

 

そのためか、兵士達は反撃とばかりにテオドーラに対してペイント弾を放つが、大鷲であるテオドーラ自身が急上昇したがために当たらず、彼女達は悔しい思いを抱いていた。

また、マッティーア自身にも大鷲と心を通じ合う才能があったようで

 

「お見事!!流石はテオドーラだな!!」

『ヘヘッ、同じ雌だからって容赦はしないわよ!!』

 

タッグを組んで数ヶ月が経つにも関わらず、彼と彼女の連携は他の騎兵達や大鷲達を唸らせる腕前となっていた。

 

一方、第七飛行師団を含めた空軍の大鷲乗り(アドラー・カヴァレリー)のエルフ、そしてコボルト達もまたマッティーアに負けないぐらい奮闘していた。

その際たる例が上空からの偵察による敵である赤軍の捕捉と、魔術通信による情報の共有であった。

 

これにより、赤軍側の動きが丸裸となったがために青軍は優勢の一途を辿っていたものの、それでも赤軍の抵抗が非常に激しかったため、中々決着が付かなかったのである。

 

「クソッ.....模擬戦とは言え、空の上から見られるのはキツいな」

「しかもアイツらの居る場所だと、通信が届きにくいしな」

 

そうボヤきつつ、とある兵器の準備をする赤軍の面々。

その兵器とは、グラックストン環状機関銃と呼ばれる物.....つまりはガトリングガンだったのだが、厳密には空中に居る敵に対応した()()()の方のグラックストン環状機関銃だったため、それを発見した大鷲達はギョッとした顔になっていた。

 

そして、そのことを相棒である大鷲達から告げられた大鷲乗り(アドラー・カヴァレリー)は、急いでその攻撃を回避するために各部隊に分かれて散ったものの

 

「....流石は改良型なだけはあるな」

 

その姿を見た赤軍が好機と捉えたため、一斉に改良型グラックストン環状機関銃を放った結果、大鷲達は次々とペイント弾の餌食になっていった。

 

それもあってか、運良く攻撃から免れたマッティーアは地上に居る赤軍の姿を見つめつつ、テオドーラに向けてそんなことを呟いていた。

ただ、それは相棒として空を飛んでいるテオドーラも同じだったようで、気を引き締めつつ彼と共に攻撃を行っていた。

 

一方その頃、そのマッティーアと同じ第七飛行師団に属している大鷲乗り(アドラー・カヴァレリー)のハーゼルは、別のことに対して危機感を抱いていた。

と言うのも.....エルフィンド軍が演習を始めて時間が経つのと同時に、ネニング平原に雨が降り出したかと思えば、その雨がすぐに激しくなってきたので、この雨が演習に支障を出すのでは?と思い始めていた。

 

そんな彼女の読みは当たったようで、ネニング平原のとある川の上空を飛んでいた彼女の下に、突然こんな言葉が脳内に入り込んでいた。

 

〈た、けて......た、すけ.....て!!〉

 

その声を魔術通信越しに聞いたハーゼルは、すぐさま何かを察するかのようにこう思った。

もしかすると、誰かが川に流されたのではないか?と。

 

彼女の考察を立説するように、そんな声が連続で彼女とその相棒であるフレスベルグの下に何度も何度も響いたため、ハーゼルはやはりと思いながら友人に向けて....マッティーアに向けてこう通信した。

 

『オイ!!聞こえるかマッティーア!!』

『どうした?何かあったのか?』

『何かあったも何も....さっき、川に流されたと思われる兵士からの通信が入った!!』

 

ハーゼルがそう通信を行った瞬間、目を見開くマッティーア。

それは、同じく通信を聞いていたテオドーラも同じだったのか、まさかと言う顔になっていた。

 

最初こそマッティーアは信じられないとばかりにそう思ったものの、そんな彼の下にもその声が聞こえたため、彼はテオドーラと共に急遽その兵士が流されている川を探していた。

 

『ハーゼル!!その川はここからどのぐらいの距離だ!!』

『多分、一〇分は掛かるが.....どうせ、お前のことだから飛ばして行くつもりだろ!!』

『あぁ、もちろん.....そのつもりだ!!』

 

そんな会話を通信越しにした後、その言葉に合わせるように速度を上げるテオドーラ。

彼のその胸の中には仲間を死なせないと言う強い思いがあったため、マッティーアの思いに共鳴するかのように、テオドーラもまた川に落ちた兵士を探していた。

 

『居た!!あそこの木のところよ!!』

「了解!!」

 

そう言葉を交わした後、マッティーアは急降下し始めたテオドーラにしがみ付く形で救助を始めたのだった。




みんな大好き!!グラックストン!!
そして、みんな大好きギザ歯白エルフちゃん!!

あと、本作ではタウベルトくん枠の子が居ます。
ちなみに、そのタウベルトくん枠の子はエルフです←この重要!!
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