「ねえねえ、そよりんはどう思う?」
「どう思うって、何が?」
「りっきーのこと」
ストローをくるくる回しながら、カウンターの向こうを見る。
りっきーと凪くんは今日も何かを言い合ってる。
「どうって、別にどうってことないんじゃない?」
「そういうんじゃなくって、可愛いと思う?」
そう言うと、そよりんは紅茶を飲んでいた手を止めて、カップを置きながら難しい顔をする。
「可愛いかどうかは分からないけど綺麗なんじゃない?見た目は」
「うっ、見た目がいいのは私も認めるけどさ、凪くんってフィルター通してりっきーのこと見てない?」
「最近、ずっと可愛い可愛い言ってるもんね」
ライブには最初の方からずっと来てくれてたけど、元々はそんな様子なかったのに。
「絶対におかしいって。そよりんだってそう思うよね」
「見えてないものってあるか――」
言いかけたところで、カウンターの方から立希ちゃんの声が聞こえてくる。
「お前さ、いい加減にしてくんない?今仕事中なんだけど」
……トゲトゲしいところは一緒に働いてるから知ってるもんね。
「ほら見てよそよりん。りっきーめっちゃ凪くんのこと睨んでるよ」
「あれは凪くんの自業自得かな〜」
からかってるって訳じゃないんだろうけど。
「前にも言ったんだよ?すぐ睨むし、言い方きついし、ともりん絡むとめんどくさいし、説明なしに怒るって、それでもそういう所も可愛いっておかしくない?」
「いいんじゃない別に」
紅茶を口に運びながらカウンターの方を眺める。
なんだかんだ言って、立希ちゃんは機嫌悪くなくて、二人とも仲良しみたいだし
「でさ、りっきーのどこがいいのって言ったら凪くんなんて答えたと思う!?」
「可愛いところ、とか?」
「顔とスタイルがいいからだよ!?」
ふーん……凪くんってそういうこと言うんだ。
「ライブも見てて、仕事も一緒なんだから、なにか惹かれるものがあったんじゃない?」
「それでも、あそこまでべた褒めするかなぁ」
凪くんってりっきーのいいところしか見てないというか、悪いところもいいところに自動変換してるというか。
「立希さんは可愛いんだよ」
私たちが話してる横の席に急に凪くんが座った。
「あれ?凪くん?仕事は――」
「休憩中。それにしても、俺のことをどう言おうが勝手だけど立希さんを悪く言うのはこの口か!」
「いひゃい!いひゃい!」
私の頬をつかんでぐいぐいと上下左右に引っ張ってくる。
「でも、愛音ちゃんのいうことも正しいと思うけど」
「そより~ん」
腕を組んで少し、ほんの少しだけ悩んでる様子を見せたと思ったら、凪くんはすぐに口を開いた。
「いや、そよさんの言いたいことはわかるよ。でもなんだろう、トゲトゲしい態度にも悪意はないし、むしろ不器用でも気遣ってくれてる感じがかわいいというか」
「分かった、分かったから落ち着いて凪くん」
愛音ちゃんはちょっと引き気味に凪くんの話を遮った。
「お付き合いとかしたいとかは考えないの?」
ずっと可愛い可愛い言ってるんだし、やっぱり立希ちゃんのことそういうふうに見ているのかな。
「……?」
凪くんは腕を組むと難しそうな顔をして首を傾げる。
「うーん……うーーーん。考えたこともなかった」
「やっぱり重症じゃん……」
あそこまでベタ惚れして、考えたこともなかったんだ。
でも、私たちはmygoを一生やるんだし、バンドメンバーのパートナーになるかもしれない人のことは気になる。
「ずっと一緒にいたいって思わない?」
「そりゃいられるものなら」
「立希ちゃんと一緒にいるのは楽しい?」
「もちろん。楽しいし幸せって感じ」
うんうん。凪くんは立希ちゃんにゾッコンみたい。
ずっとライブも見に来てくれてて、立希ちゃんとも上手くやってるみたいだし。
「それって、す――」
好きって言いかけたところで、立希ちゃんが伝票で凪くんの頭をチョップした。
「ちょっと凪。休憩時間終わってるんだけど。早く仕事戻って」
「あっ!ごめんなさい!」
すぐさまカウンターに戻って作業に戻る凪くんを横目に、立希ちゃんに耳打ちする。
「二人ともお似合いだね」
「っ!はぁ!?何馬鹿なこといってんの!私も仕事に戻るからそれ飲んだらとっとと帰って!」
早口で怒る立希ちゃんは顔だけじゃなくって耳まで真っ赤になってた。
……凪くんの言う通り立希ちゃんは可愛いのかもしれない。
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もし良ければ皆さんが思う立希ちゃんの可愛いところ教えてください。