「さて、これから第三種目……トーナメント形式でのガチバトル。その組み合わせをくじで決めていくわ。ただし!総勢16名が出場するには……人数が足りないのよ」
そう。轟チームは轟、飯田、上鳴、八百万。爆豪チームは爆豪、芦戸、瀬呂、切島。緑谷チームは緑谷、麗日、常闇、サポート科の発目。そひて耳郎、心操、俺。規定の16人には、あと1人足りない。
「というわけで、騎馬戦で5位だった拳藤チームから1人、トーナメントに1人を選んで頂戴!」
そう言われて、拳藤チームは考え始めた。あーでもないこーでもない、誰がいい私がいい俺がいい。出たいのは山々だろう。ただ、雄英生であることが少しばかり裏目に出ていた。
「やっぱり拳藤がいいよ」
「私?」
「うん。拳藤が一番、このチームで頑張ってくれたから」
「……ありがとう。行ってくるよ」
「それじゃあ、最後の1人は拳藤さんね!それじゃ早速、1位のチームからくじを引きなさい!」
そうしてくじを引いていく。埋まって、埋まって、相手の戦略を練って、一喜一憂して、観客はワクワクが止まらなくなる。
「……芦戸か」
「げ、曽我じゃん。終わった……」
「戦う前から負けに行くな。お前の酸なら、ある程度あの花を溶かせるぞ」
「でもぉ……曽我強いじゃん」
「俺の身体は公安仕込みだ、当たり前だろ」
「……え?」
……不味いことを言ったな、今。
「今なんて?」
「忘れろ。なかったことにしてくれ」
「……うん」
周りを見渡すと、耳郎と目が合った。耳郎はすぐにトーナメント表に視線を戻したが、俺の視線は耳郎に釘付けで。
(……聞こえてた、よな)
ほんの少し、不安になる。
(いや)
芦戸との戦いに集中しろ。意識の乱れは心の乱れだ。
「レク出るのか」
「いや、出ないよ」
体力温存したいし、曽我の対策も立てなきゃだし!と芦戸が言う。……そこまで俺を買ってくれているというのなら、俺もそれに答えなければいけない。
「じゃあ、次の試合は妖刀を使うことにする」
「え、ほんと!?」
「ああ」
「……頑張るからね」
「そこは嘘でも「負けない」と言って欲しかったな」
「それは無理」
「……そうか」
「緑谷少年」
「オールマイト?」
これからトーナメント、第一回戦最初の試合。僕の心は少し固まってて、心臓がどくどく言ってる。
「騎馬戦で、全身にワンフォーオールを流す感覚を身につけたと言っていたね」
「はい……オールマイトのマッスルフォームに比べたら、全然ですけど。それでも、かなり身体能力が上がるのを感じました」
「……私のマッスルフォームが100としたら、緑谷少年のは5くらいだな」
5。
「だがまあ憂うなよ!君の力は少しずつ前進してる!誇れよ少年、君はまだまだ強くなれる!」
「……はい」
「対戦相手……心操少年は、耳郎少女と共に曽我少年に鍛えられている。私も時折様子を覗いていたけど、あれは強い」
オールマイトが思わず感嘆する程の、曽我くんとの特訓。……勝てるだろうか。
(いや)
「勝ちますよ、オールマイト」
「……それでこそ、ヒーローだ」
手を振って別れて、頬をぱしんと叩く。少し痛みが来て、その後に思考が鮮明になっていく。視界も開けて、よく見える。
『一回戦!!その頭脳とパワー、次は何を起こす!ヒーロー科緑谷出久!バーサス!!曽我と耳郎の影に隠れて、情報今ひとつ!普通科心操人使!!』
……全身に、血を巡らせるような感覚。バリバリと、翠が迸る。
「……緑谷、だよな。曽我が言ってたぜ。お前のこと気にかけてるって」
「……え」
「あいつに「勝てよ」って言われてんだ。だからこの試合、勝たせてもらう」
「……僕も、負けないよ」
『スタートだァ!!』