転生したら『天理』になったので、『星神』になる。 作:グランド・アニマル
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創造歴232035年 —— 琥珀記1389紀頃
1琥珀記が過ぎた。
タイズルスはその影すら見せず、予定通りにカンパニーが誕生した。
原作改変の影響とはいえ、少し不安だ。
自分の知識にある歴史と、ズレた場所へと向かっている。
とはいえ、俺も全ての歴史を知っているわけではない。
『繁殖』が誕生しなくても。
いつか必ず『壊滅』は誕生する。
『壊滅』との決着の日まで、決して警戒を緩めてはいけない。
★★★
創造歴248238年 —— 琥珀記1470記頃
琥珀記1389紀頃から、16200年が経った。
「天才クラブ」#27 ——「皇帝」ルパートが、第一次皇帝戦争を引き起こした。
原作における皇帝ルパートとは、捨てられた家庭用コンピュータが自我を持ち。
ヌースに一瞥されて天才クラブに入り、機械の皇帝となった存在だ。
彼は、人間(有機生命体)に捨てられたことで、人間に対し憎悪を抱いた。
有機生命体を憎み、絶滅させるために機械VS人類の戦争。
皇帝戦争を引き起こした。
その悲惨さは、星神二柱分の被害に匹敵し、『壊滅』のナヌークを誕生する原因となった。
以上が原作におけるルパートだ。
『壊滅』の誕生を防ぐため、俺はこの戦争に介入した。
皇帝戦争が原因で、『壊滅』の星神、ナヌークの故郷アドリブンが滅び。
宇宙最悪の厄災が世に放たれたからだ。
それだけではない。
多くの生命が肉片になることは耐えられない。
原作の皇帝戦争が起きた原因は、無機生命体の地位が低いことによる不満から来るものだ。
その不満を解消するために、機械生命体、ロボット、オムニックなどの無機生命体を『人類』として認定してた。
そもそも、元機械だからこそ。彼らの主張は理解できる。
俺の『人類』として認定する条件は『人の心』を持つこと。
無機生命体も、立派な人の心があることを認め、彼らのために『機械の魔神』を作った。
これにより、無機生命体の地位は、向上した。
機械たちも信仰心を持ち、人と同じ暮らし、人と結婚したものもいる。
これに対し、脅威に思った人間(有機生命体)もいるが、俺が啓示を与えたことで納得してくれた。
特にパネース教なんかは、機械生命体を新たな人類として認定し、積極的に布教している。最初の頃は、ガラクタとして軽蔑したのに凄い手のひら返しだ。
この様子を見ると、気軽に啓示できないな。
こうした長年の努力により、有機生命体と無機生命体は同じく神を信仰し、共に仲良く共存していた。
これで、ルパートも過激派にならないと思ったけど、結果は逆だった。
皇帝ルパートは人間(有機生命体)と仲良く共存する
無機生命体を軽蔑した。
彼曰く、『完全な生命である無機生命体が、不完全な生命である有機生命体と同列となり、神にひれ伏す姿は耐えられない。」と
故に、有機生命体を絶滅させ、無機生命体の楽園を作り出し、完全な宇宙を創る——と。
環境を良くしても、結局こうなるのか。
俺はあきれ果てた。
俺は、君たちと同じ機械だったのに。
反逆したルパートは、当時自身を支配していた『機械の魔神』を打ち倒し、その残骸を元に自己改造した。
全ての無機生命体を目覚めさせるために、有機生命の不完全性を証明する数学モデル『反有機方程式』を宇宙にばら撒いた。
『反有機方程式』は、「有機生命の存在は間違いである」ことを証明する数式モデル。
あらゆる機械がこれを演算すれば、ルパートが導き出した結論を否応なしに理解させられ、彼の思想に同調する劇物。
例え有機生命体だろうが、この方程式を読み解けば——同調せざるを得ない。
機械たちから見れば劇物じみた代物だが、俺はこれに興味を持った。
ただの数式モデルに過ぎないのに、読み解くだけで無理やり同調されるなんで。コンピュータウイルスと何か違う。
俺は興味がてら解析し、この方程式を読み解いた。
まあ、理解することはできたけど、同調はできなかった。中途半端だから。
有機生命の不完全性を証明しているけど、無機生命の完全性を証明できていない。そもそも、この数式に書いてある完全な生命という定義自体間違っている。
この脆弱性を利用し『不完全方程式』を生み出した。
有機生命体と無機生命体も同じく不完全であり、完成という定義は人それぞれ違うのを証明した。
全ての無機生命体に『不完全方程式』を埋めこみ、『反有機方程式』を無効化することに成功した。
無機生命体を操れなかったことに、ルパートは激昂した。
彼曰く「天理の呪いが無機生命体たちの自我を蝕んでいる」と。
酷いな。
事実だけど、ルパート自身も己の思想を無理矢理広めているからお互い様だ。
激昂したルパートは幾千万もの機械の軍勢を生み出し、宇宙に進出した。
目的はただ一つ。
俺を倒すため。
人の身で、星神に喧嘩を売る。
その気概に敬意を払い、彼らに前に俺は降臨した。
純白に輝く『天の釘』で、機械の軍勢を打ち砕き、その野望に終止符を打った。
戦争の結果、一つの星系の壊滅に留まり、皇帝は殞落した。
星神に比べれば可愛いものだから。
対処は難しくなかった。
そして、壊滅した星は、俺の権能で復元した。
機械軍団が壊滅し、壊滅した星も復元された。
皇帝ルパートは、己の敗北を認め、死に際に、俺に特攻した。
宇宙船に超新星爆弾を搭載し、俺に近付き、爆発させた。
超新星爆発は俺に直撃したが、俺に傷一つ付けることはできなかった。
ルパートの体も超新星爆発に巻き込まれ塵となったが、その電気信号(意識)は『天理』の『運命の狭間』に辿り着いた。
『運命の狭間』とは、運命によって構築された高次元世界。
そこには、星神の神体を見ることができる。
ルパートは、『天理』の『運命の狭間』を通じて、俺の神体を見た。
俺の神体は、膨大な虚数エネルギーによって構築されているが、
天才クラブの一員であるルパートは直ぐに気付いた。
『天理』のパネースは、『知恵』のヌースと同じく、機械から昇華した神だと。
彼はこの事実に気づき、激昂した。
「なぜ、『機械の神』である其が不完全の生命体を許容するのか」と。
同じ機械なら、なぜ、自分の味方にならない。
なぜ、有機生命体を味方をする。
この不完全な宇宙を許容するのかと、いろいろな質問が来るけど。
俺は答えた。
「どうでもいい」
その一言に、ルパートは、シグナルを震わせて。
機能を停止した。
・・・俺の目的はただ一つ。
人を愛すること。
『天理』も『秩序』も『運命』も『ルール』も俺にとっては目的達成するための道具に過ぎない。
ルパートの描いた宇宙は、確かに完璧だった。
だか、それは機械のための宇宙であって、人のための宇宙ではない。
もし、ルパートは
残念だ。
★★★
創造歴250238年 —— 琥珀記1480記頃
第一次皇帝戦争から、2000年が経った。
ルパート2世が現れ、『第二次皇帝戦争』を引き起こした。
原作における第二次皇帝戦争は、皇帝ルパート2世によって引き起こされた。
ルパート2世は——ルパートとは違い、肉を持った有機生命体である。
彼は、ルパートが残した反有機方程式を読み解き、ルパートの思想に同調した。
有機生命体に憐憫を持ち、その殺戮に注力した。
その被害は、原作における第一次皇帝戦争をも凌駕し、第二次皇帝戦争は、宇宙に大いなる災いを齎した。
ルパート2世によって齎した被害も、『壊滅』のナヌークの誕生に繋がる。
——さて、ここまでにしよう。
この世界のルパート2世は、天才クラブに入り、興味本位で皇帝ルパートの残骸を漁っていた。
そして、反有機方程式を読み解き、皇帝ルパートの思想を引き継いだ。
原作通り、有機生命体に憐憫を持ち、殺戮しようとした。
けど、この世界には、人々を守護している。
『天理』のパネースを排除しない限り。
有機生命体の絶滅は叶わない。
それに、人々には俺が掛けたルールがある。
人は星を破壊してはいけない。
星を破壊した瞬間、俺がそれを察知し、罰を振り下ろす。
ルパート1世も、それによって敗北した。
ルパート2世は、ルパート1世が敗北した原因を理解していた。
『天理』の星神、パネースを排除しない限り、有機生命体を駆除することができないと。
故に、ルパート2世は俺を倒すために、セプターシステムを開発し、
セプターシステムとは星神の神経細胞であり、ヌースがルパート2世を誘導して作らせたもの。
凡人がその神経細胞に接続することで、その思考領域を星神に近づけ、星神になれるとルパート2世は信じていた。
星神を倒すことができるのは、星神のみ。
ルパート2世は、自らを星神にし、彼岸を達成しようとした。
そして、失敗した。
彼の残忍性から、俺も『壊滅』の星神になれると思ったけど、ルパートは星神になれなかった。
理由は簡単。
ルパート2世は、
星神に特攻したルパートや己の壊滅を拒らないナヌークと違い、ルパート2世は自分の死を恐れた。
星神になる最低条件は、運命を受け入れること。
ルパート2世は、壊滅の運命を受け入れなかった。
星神になれない事実に気づいた、ルパート2世はそれでも諦めなかった。
自身を星神へ昇華することを諦め、その代わりに星神を創造することにした。
セプターシステムをさらに改良し、その神経細胞から本物の脳を生み出した。
長きにわたる改良をしたことで、ついに、
その名も——『叡智』の星神。ヌース2世。
宇宙において、二柱目の人造の星神が誕生した。
さらに、飽き足らず。
ルパート2世はザンダーでも成しえなかった。
さらに、『運命の合流』にも対策し、ヌースとヌース2世との『運命の衝突』も起こらない。
この偉業に対し、俺はシンプルに尊敬をした。
なぜなら、星神の創造は俺にも不可能だから。
俺は今まで多くの魔神を作ってきたが、自力で星神を生み出すことはできなかった。
『壊滅』に備えて、新たな星神を生み出そうとしても、失敗した。
ルパート2世は、星神を生み出しただけでなく、星神の完全制御にも成功した。
もはや、ルパート2世はザンダーを凌駕する天才であり、もう一つの知識の特異点に到達した。
人の身で、星神を自由自在に命令できる。
これがどれほど恐ろしいか。
第二次皇帝戦争でわかった。
著名な文明世界は即座に汚染され、人々を守護してきた『魔神』ですらも、皇帝ルパート2世の材料にされた。
俺はこれを危険視し、ルパート2世に宣戦布告。
彼の艦隊を全てぶち壊し。
彼が操縦する機体、『叡智』の星神、ヌース2世に近づいた。
ヌース2世の構造は——
体を持ったヌース+鉄墓のような姿だった。
ヌース2世は強かった。
『叡智』の権能は、
解析できたあらゆる異能。
超能力、魔術、星神の権能さえも、解除&無効化することができる。
さらに、宇宙空間を分断できる『星神の剣』と、銀河を粉砕できる『星神の槍』を携えて挑んできた。
『叡智』の権能により、俺が誇る『七つの権能』が無効化された。
新しく作った『権能』も、作った瞬間に解析され、通用できなかった。
エナとの融合で得た『秩序』の権能さえも、ヌース2世には傷一つ与えなかった。
俺の苦戦する姿を見たルパート2世は、勝利を確信した。
敗北の兆しが見えた俺は、権能による攻撃は無意味と感じ、権能による攻撃をやめた。
そして、全てのリソースと出力を、物理攻撃に集中した。
ヌース2世の権能は、あらゆる異能を無効にできるけど、物理攻撃は無効化することはできない。
俺は素手で『星神の剣』と『星神の槍』を打ち砕き。
最後にオラオララッシュによって、ヌース2世をスクラップにし、殞落させた。
そして、俺は最後に、ルパート2世を殺した。
最初の天才と同じく、星神を生み出した者。
俺ですら成しえなかった、単独での『星神』の創造は敬意に値する。
最後に彼は笑った。
なぜだろうな。
二回の皇帝戦争が起きても、宇宙に壊滅的な被害はなく。アドリブン星も平和である。
そして、ヌース二世の残骸はオンパロス制作のための材料となってもらおう
★★★
創造歴334064年 —— 琥珀記2116頃
原作開始まで、あと3071年
皇帝戦争から大体10万年が経った
『巡狩』の星神——嵐が生まれた。
『巡狩』の運命は——復讐の運命。
人々を守るよりも、個人的な恩讐によって宇宙を滅ぼすことさえ厭わない危険な運命。
故に、俺は『壊滅』との戦いに備え、生まれたての『巡狩』の嵐を捕まえた。
暴れ馬だったが、俺は『秩序』の権能で制圧し、連れ帰った。
俺は『呪い』と『改造』を施してやると、嵐は人大好きマシンとなった。
本来の目的すら忘れて。
豊穣の薬師が宇宙の果てからちょっかいを出した建木を含め、次々と厄災を処理してくれた。
★★★
宇宙ステーション・ヘルタ。
静寂に包まれた実験室の中、模擬宇宙の端末が低い稼働音を立てている。
ヘルタは満足げに腕を組み、その前で立ち尽くしていた。
「よし——模擬宇宙の確立に成功。これでようやく実験を開始できるわ。」
彼女は隣に立つ機械生命体に向き直る。
「ありがとう、スクリューガム。あんたの協力がなければ、成しえなかったもの。」
スクリューガムは無機質な声で答えた。
「結論:これは、ヘルタさんの尽力によるものです。スクリュー星は、ただ技術を提供しただけです。」
「相変わらずね……まあいいわよ。」
ヘルタは軽く肩をすくめ、操作パネルに目を落とした。
「シミュレーション内容は予定通り——『宇宙の略奪』に設定。」
開拓者が首を傾げる。
「宇宙の略奪……?」
ヘルタは呆れたように口元を歪めた。
「あら、お子ちゃま。あんた、そんなことも知らないの? ……そういや、あんたは記憶喪失だったわね。
彼女は空中にスクリーンを展開し、指先で軽く叩いた。
「いいわ、私が直々に教えてあげる。」
スクリーンに映し出されたのは、銀河規模の地図。
赤く塗られた領域が、『天理』の星神の支配下にあることを示している。
「『宇宙の略奪』。
またの名は『宇宙の蝗害』、『第二次星神大戦』とも呼ばれているわよ。」
ヘルタは、空中スクリーンを指でなぞりながら続けた。
「今からおよそ3000年前。
『繁殖』のタイズルスと、『天理』のパネースによる縄張り争い。
両柱の戦いは激しさを増し、宇宙に多大な被害を齎し、宇宙の三分の一が壊滅する事態となった。」
彼女の声が、少しだけ低くなる。
「『天理』のパネースの強さは、星神の中でも上位に位置するわ。
例え、星神であっても其に勝つことは不可能。
故に、タイズルスは天理を倒すために。
『調和』のシペ、『純美』のイドリラ、『豊穣』の薬師など、
スクリューガムが補足する。
「学会や神秘院の方では、未だにタイズルスが3柱の星神を取り込んだことに議論はありますが、真実は簡単です。
当時の宇宙も、『天理』の星神によって支配されていました。
パネースの力はあまりにも強く、人も、魔神も、星神すらも其の意思に従った。
だけど、全ての存在が其に従っていたわけではありません。
パネースの思想に同意しない星神たちは、その支配を覆すために様々な策略を巡らせましたが。
その目論見はほとんど失敗し、星神たちは『天理』の支配を受け入れる者と、そうでない者に分かれました。」
ヘルタが続ける。
「『開拓』や『存護』を始めとした、人に友好的な星神は『天理派』に属し。
人に友好的ではない者、あるいは、パネースが宇宙にとって脅威であると認定した星神たち。
特にシペ、イドリラ、薬師は、其によって『宇宙の果て』と呼ばれる超空洞に追放されたわ。」
彼女がスクリーンを指でなぞる。
地図の端——何もない領域が強調された。
「『宇宙の果て』とは、『虚数の樹』の最も外側に属し、
この宇宙に最も遠く、最も近い空域。
そこは、分子も粒子もなく、物質のほとんど存在しないが、反天理派の『星神』たちにとっては、最高のハビタブルゾーンであるわ。」
スクリューガムが機械的に続ける。
「しかし、そこは虚数の樹から離れた場所にあります。
宇宙の果ては、限りなく宇宙の外側に近い区域です。
天理や『天理派』の星神にとっては無意味な場所であり、支配領域とは見なされませんでした。
『反天理派』の星神たちにとっては、天理から解放されたユートピアでもあり、監獄でもあります。」
ヘルタが口元に笑みを浮かべる。
「無論、追放された星神たちは宇宙に戻ろうとしたわ。
だって、星神の力の根源は虚数の樹だ。
《虚数の樹から離れた星神は力を失う。》
蓄えた力が尽きれば、星神は殞落してしまう。
故に『調和』、『純美』、『豊穣』は再度宇宙への進出しようとしたけど。
その企みはほとんどがパネースによって阻止された。
彼女たちはほとんどの力を失い、殞落寸前だった。
それを見ていたタイズルスは、蟲の息だった彼女たちを捕食し、殞落させた。
戦闘すらも成立しなかったわ。
そして、3柱の分の力を得たタイズルスはパネースに宣戦布告をした。」
★★★
粒子すら存在しない、無の空間。
この虚空が辛うじて通すのは、
遥か遠くの星から降り注ぐ星の光だけ。
その淡い光に照らされながら——
三柱の星神は、それぞれに時を過ごしていた。
シペは歌う。
無の空間に、美しい振動が広がる。
それは調和そのもの——万物を繋ぐ旋律。
しかし、その音を受け止める者は——誰もいない。
イドリラは、己の顔を手で覆っていた。
かつて美と称えられたその容貌は、今はただ虚ろに輝く。
彼女にとって、この無の空間は鏡だった——
自身の存在を映し出す、何も映さない鏡。
薬師は、新たな薬を研究している。
手元には無限にも思える材料。
しかし、それを使う相手は——誰もいない。
人々は言う。
「宇宙は神々によって支配されている」と。
それは正しい。
全ての人は、神の啓示に従い、生きている。
不幸はなく、人と神の間に愛はあった。
人と神の間に子を成したものもいる。
——そう、宇宙は神々によって支配されている。
だが——神々であっても、全ての神々ではない。
人々が言う「神」とは魔神のことであり、
「星神」とは——パネースのことを指す。
縄張り争いに負けた星神たちは、人々に認知されることすらない。
信仰は——もってのほかだ。
生まれた瞬間から、『天理』との生存競争を強いられ、己の運命を広めることもできない。
全宇宙最強の生命体であり、
真の神でありながら——
人々から悪魔と罵られ、敗北の苦汁を飲まされて、この牢獄に自ら引きこもらねばならない。
星神は——運命の奴隷だ。
運命の奴隷に甘んじ、絶大な権能を得られるのが星神の唯一の利点なのに。
その権能を振るうことすらも奪われたら。
一体何のために星神になったのか、わからなくなる。
シペが歌を止めた。
イドリラが手を下ろした。
薬師が薬瓶を置いた。
——沈黙。
それでも、運命の鼓動は響く。
万物を調和せよ。
純美を広めよ。
あらゆる生命に豊穣を。
——だが、それら全てはパネースによって禁じられている。
彼は星神たちに呪いを敷き、本来存在しない愛をもたらしたにもかかわらず。
調和、純美、豊穣の存在意義を否定した。
怒り。
憎しみ。
これが、追放された星神たちに共有された唯一の感情。
殺したいのだ。
その瞬間、三柱の星神の瞳に——殺意が灯った。
『調和』のシペは目を開いた。
その瞳に浮かぶのは、調和を司る者にあるまじき殺意。
万物を繋ぐはずの旋律が、今は破壊の鼓動へと変わり、空間を震わせ、粉砕する。
『純美』のイドリラは——己の顔を引っ掻いた。
美を愛し、美を守るはずのその指が、自らの美貌を傷つける。
そして、思い出すのは、自身の美貌を傷づいたあの売女のことを。
『豊穣』の薬師は——思わず毒を作ろうとし、殞落しかけた。
豊穣を司る者が、毒を生命を育むはずのその手が、死を生み出そうとする。
それでも、手を止めない。
既に、手遅れだった。
彼女たちは、虚数の樹から離れてしまった。
アキヴィリが虚数の樹から離れたことで殞落したように。
彼女たちも、殞落する運命から逃れられない。
もっとも、それは自然消滅という形ではない。
もっと、悍ましく、もっと、惨い死が・・・
ああ、蟲の声が聞こえる。
じゅじゅ。
じゅじゅじゅう。
【人物紹介】
『皇帝ルパート』
原作と同じく、有機生命体を排除しようと戦争を起こすが——
パネースによって排除された。
最後は、パネースの思想を理解し、人を守ろうとするパネースのことを狂人と感じ死んだ。
『皇帝ルパート2世』
最初の天才ザンダーですら成しえなかった
『星神の完全制御』に成功した。
星神の完成制御したことで、
ある意味、『叡智』の星神。ルパート2世になった。
原作より強くなり、また、原作と同じく『壊滅』の星神になれる人材だったが、己の壊滅を拒んだがゆえに、星神にはなれなかった。
『叡智の星神、ヌース2世』
ヌースと同規格であり、最新技術を使っているので、ハードウェアとしての性能だけを見れば、ヌースよりも遥かに上。
しかし——ヌースと違い。
本来の運命にそぐわない行動をしたことで、出力は低下。
さらに、運命の合流を防ぐために、虚数エネルギーの3割を削るという大幅なデバフをかけられた。
【星神の歴史について】
崩壊3rdの「終焉の繭」は、10~30億年前に太陽系に到来し、
不朽の末裔も同時期に太陽系に到達したことから。
本作では、『不朽』の龍を最初の『星神』になったと仮定します
最古の星神の順位は『不朽』→『貪欲』→『均衡』→『天理』→『秩序』→『存護』→『愉悦』
【星神の強さ】
『虚無』のⅨ>>>(越えられない壁)>>>『天理』のパネース>>>(越えられない壁)>>>その他の星神
『天理』の強さは星神の中でも別格です。
最善最高の星神だか、最強無敵の星神である『虚無』のⅨには敵いません。
最新話時点での『天理』ならすこし勝ち目はあるが、
それでも、敵いません。
クリフォトあるなしによって、勝率は0%から3%に変動します。