心が読めるスキルを持って貞操逆転世界に転生したので、エッチな妄想が可愛い聖女様を徹底的に堕として曇らせようと思う   作:ひきさん

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第12話 聖女様、絶対服従する

 わたしの名前はモモ・セイント。この国の偉大な聖女様だった少女。

 

 そう、わたしは聖女様「だった」だけの少女。

 

 いまは、ただのモモ。一人のモモとして、一から神への探求をやり直そうという気概で満ち溢れている。

 

 これは、わたしが昨晩体験した、ある神秘体験、超越体験とでもいうべき体験によって、わたしの根底にあったものが丸々作り変えられてしまったというのが大きい。

 

 いまのわたし、新しい「ただのモモ」にとって、神とは、一人の少年のことを指す。

 

 その少年は、今、わたしの目の前で、わたしの太ももと太ももの間に太ももを挟んだままの体勢で、すやすやと眠りについている。

 

 目覚めたてホヤホヤから、我が神はなんと鮮烈な瑞々しい恋の体験を与えてくれることだろう!

 

 わたしは静かに少年に祈り、それから、そーっとそーっと股間を少年の太ももに押し当て、最初はそーっと、次第にぐりぐりと、自らの敏感な所に刺激を与え始める。

 

 わたしにとって、古き神は死んだ。

 

 わたしが幼い頃からずっとずっと盲目的に依存し続け、信じ続けてきた、我が父、神。

 

 誤解しないでほしいのは、その偉大さについて、いまだにわたしは疑っているわけではないということだ。

 

 だが、わたしは知ってしまった。

 

 わたしのちっぽけな脳内にある神という像は、所詮はちっぽけな脳が生み出したフェイクに過ぎなかったことを。

 

 本物の神は、もっとリアルだった。

 

 もっと自然で、超自然的で、神秘的で、愛で、宇宙だった。

 

 わたしは昨晩、その真なる神の一端を啓示された。

 

 目の前の少年の中に、紛れもない神の愛、神の刃、神の裁き、神の全知全能、それら全て、いいやそれ以外も含めた神という概念が連れ歩く全てを、たしかにこの目で観たのだ――

 

 その存在は、どこよりも先に、わたしの女性にしか無い部分が本能的に感じ取っていた。

 

 それは、神々しくも生々しく、光り輝きながらも深き深淵を覗かせるように、わたしの中の女を、処女を、本能を、感覚を、すべてすべて同時に包みこんで飲み込んでしまう、計り知れないほど大きな、渦。

 

 その渦に比べれば、わたしの理性は、思考は、記憶は、人格は、すべてすべてあまりにちっぽけで、渦はあっと気づいた時には、それらすべてをその荒波で破壊して、洗い流してしまう。

 

 そうして後に残るもの、それこそがもっとも重要なこの世の真理だ。

 

 その真理とは、すなわち、恋であり――性欲である――

 

 わたしという器に残された、たった2つの衝動。

 それが恋と性欲。

 

 実際には、この2つの概念はわたしの中で高度に混ざり合い、影響し合って、もうどっちがどっちなのかわからなくなるほど、混沌とした渦模様を描いていた。

 

 わたしは、魂が欲するがままに、腰を動かし続ける。その混沌とした渦模様がぐるぐるぐるぐるうねりながら、わたしと少年の太ももが織りなす原初の創造力、すなわちエロスが、神の愛、すなわちアガペーと混ざり合って、ぎゅるんぎゅるんと、もうわけがわからない程の勢いで快楽の大波を生み出し、わたしというちっぽけな舟を丸ごと飲み込んで、深き深淵へと沈没させていく。

 

「あひぃ……はぁ……はぁ……こひゅう……うはぇあぁ……」

 

 わたしは必死だった。

 

 まるで誰も登ったことがない神聖なる未踏の高山に自分だけの足跡を刻みつけていくように、人生で初めて味わう未知の感覚に自分自身を駆動させていく。

 

 その動きは、まるで神そのものがわたしを操っているように自動的で、わたしは神の人形となって、その手のひらで踊り狂うことしかできない。

 

 そしてその神の、天使のような寝顔を一目焼き付けたくて、ふと上を見ると――

 

 ――なぜか、その目が開いていた。

 

「……はっ!」

 

 わたしは自分の愚かさに、震え上がる思いだった。

 

 そうだ――

 

 どうして、わたしは神がお眠りになられているなどと、浅はかな勘違いをしていた――?

 

 神はいつもわたしのことを見ておられる。

 

 そのことは、あまりにも自明な、神学における基礎中の基礎。

 

 わたしは快楽に飲み込まれるあまり、その大切にして根幹となる基礎すら、忘れていたっ……!

 

「お、お、お、おはようございます、タカフミ、しゃま……」

 

 わたしは消え入りそうな声で神に朝の挨拶を述べ立てる。

 

 だが、なぜわたしがこんなに恥ずかしい思いをしているのか。

 

 だが、なぜわたしがこんなに消え去りたい思いをしているのか。

 

 わたしは神の前ですべてを捨て去り、純粋なる真理(せいよく)の化身となったつもりだった。

 

 だが、まだ足りなかったというのか――

 

 あれだけの地獄を味わっても、まだわたしの魂に残る穢れは、取り去りきれなかったというのか――

 

「……聖女様。ふとももがびしょびしょなのですが」

 

「ひぐっ……!」

 

 恥ずかしい。

 

 あまりにも恥ずかしすぎる。

 

 わたしの恥と穢れを煮詰めたような液体が、神の太ももを穢している。

 

 その事実に、わたしは耐え難い罪悪感を感じた。

 

「聖女様。いえ、いまはあえて、あなたのただの愚かなモモとして呼びます。あなたが本当に聖女様なら、このようなはしたない愚行はしないはずですからね」

 

「ひゃ、ひゃいっ……! 嬉しいでしゅ……! わたしは愚かな、ただのモモでしゅぅ……!!」

 

「愚かなモモ。いますぐそのいまだに止まらず動いている腰を止めなさい」

 

「……はっ!」

 

 わたしは、はっとして自分の下半身へと視線をやった。

 

 わたしの腰は、何年も飢え続けてきたけだものがやっとありついた餌を決して手放さないかのように、貪欲に少年の太ももをびしょびしょにし続けている。

 

 なんということだ……

 

 わたしは神の前で、神があれほど強く禁じた、けっして犯してはならぬ罪、自らを慰める、という罪を、平然と行ってしまっている。

 

 わたしは今更ながら、そのことの計り知れない罪深さに胸を打たれ、「ううっ……!」と魂に鞭打たれたような痛みを感じた。

 

「た、タカフミしゃま……! い、いえ、かみしゃま……! わたしを……おろかなわたしを、ばっしてくだしゃい……! ダメなんです……わたしは、あなたがみていてくれないと、どこまでもおろかなこういにひきこまれてしまうんです……! もっとかれつに、もっとはげしく、もっとざんこくに、わたしをばっしてくだしゃい……!」

 

 わたしは、神に赦しを乞うた。

 

 罪を赦せるもの、それは神しかいない。

 

 神が罰し、赦すことによってのみ、人は自らの魂の罪を浄化できるのだから――

 

「どうしてぼくが、愚かなモモに、そんなご褒美をあげないといけないんですか?」

 

 神は、きょとんと、ああ、不思議だ、と言わんばかりに、首をかしげてみせる。

 

「ぼくがここにいるのは、この国の偉大な聖女様の、誉れある召使をするためなんです。決して、愚かなモモをこれ以上悦ばせるようなご褒美をあげるためじゃないんですよ?」

 

 ああ……ああ……あああああっ……!

 

 やはり、神。

 

 わたしの天啓に、間違いはなかった。

 

 神は、わたしの魂(せいへき)の全てを見通して、わたしがもっとも悦ぶ言葉を、これ以上無く的確に、小麦の種があるべき場所に蒔かれるように与えてくださる。

 

 神の、一言一言が、わたしの歓び。

 

 神の、一言一言が、わたしの生きる理由になる。

 

 だから――

 

「聖女様、つづけましゅ! いだいなせいじょさま、がんばりましゅ! だからごほうびくだしゃい! がんばるからごほうびくだしゃい! ごほうびほしいんでしゅううっ!!」

 

 そんなわたしのけなげな言葉を聞いて――

 

 神は、にこっと、微笑まれた。

 

 微笑んで、くれた。

 

「……きゅん」

 

 その微笑みが、可憐すぎて、神の美しさ過ぎて、わたしは、目の前の美少年が持つ美そのもの、可憐さそのものに、胸が打ち震える、人生でいまだ味わったことのないほどの鮮烈な恋心を、感じてしまったっ……! どうしようもなく、感じてしまったっ……!

 

「かみしゃま! しゅきですっ! わたし、かみしゃまのこと、しゅきなんです! こいしちゃってます! かみしゃまにこいしちゃってます! かみしゃまのえがおをみるだけで、むねがくるしいんでしゅ! もっともっと、えいえんにみつめていたいだけになっちゃうんでしゅ! だから、このおろかなももに、かみしゃまのごじひを……! ごじひをくだしゃいぃいいいいいいいいっ……!」

 

 言ったぁあああああ!

 

 言ってしまった!

 

 わたしの中の、秘められし恋心!

 

 そのすべてを、包み隠さず、神に打ち明けてしまったっ!

 

 果たして、神はなにかを思索するように瞑目する。

 

 ……ドキドキドキドキ。

 

 そして、その美しい瞳をゆっくりと開いて、こう言った。

 

「それじゃあ、モモは、ぼくにぜったいふくじゅうってことでいいですか?」

 

「……はえ?」

 

 ぜったい、ふくじゅう……?

 

 いったいどういういみだろう……?

 

 どうして、かみさまにこいしたら、ぜったいふくじゅうって、なっちゃうんだろう……?

 

「ぼくの理解ではですね。恋っていうのは、した方が、された方に、絶対服従しないといけないんです」

 

 神様は、そういって、にこりと、天使のように笑った。

 

 わたしは、思い出していた。

 

 昨晩、あの地獄のような恋の煉獄、すなわち恋獄の中で、少年に対して感じたこと。

 

 その少年の本質が――

 

 天使でもなく――

 

 悪魔でもなく――

 

 ……一柱の邪神であるという、その霊感のような稲妻を――!

 

「それで、いいですよね?」

 

 神は、わたしにそう問いかける。

 

 わたしの答えは、決まっていた。

 

 そのことは、だれよりもこの少年が、理解しているだろう。

 

 だって、この少年こそ、わたしの神なのだから……

 

「ひゃ、ひゃいぃいいいいいい! タカフミしゃまに、ぜったいふくじゅう、しましゅううううううう!」

 

 わたしの胸は、期待と、恐怖に、震えていた。

 

 この少年の計算不能な神性が、果たしてこの愚かなモモにいかなるものをもたらすのか――

 

 その未来が孕む、計り知れないほどの危険性と可能性に、わたしは、愚かにも、胸をときめかせていたのだった――

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