なんだかんだで男女ですので   作:タリーズさん

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無題

 身近な人には素直でいたいと思う。

 嘘をつかず、誠実であれるように意識している。

 昔、ことあるごとに嘘つき呼ばわりされていたせいで、正直を意識するのが癖になってしまった。高校を卒業するあたりまでは過剰に気にしていて、そのせいで人間関係が上手くいかなかった経験がチラホラ。

 なんか歪(いびつ)に見えていたんだと思う。正直者を気取っていても実際は違うわけだし、過剰にいい子ぶってるのが周りに伝わっていたんだろう、多分(たぶん)。

 昔から友人関係に良い思い出はない。

 特にアメリカ時代はしんどかったな。クラスではぼっち生活一直線。まともに喋ることのできる相手は二人いたけど、どっちも年下だった。

 

──『ケイト! 復帰しなさいよあんた。親なんて脅迫すれば言うこと聞くのよ。人生なんてイージーモード! もっと強気でいきなさいよ私がかわりに脅そうか?』

──『この女を何とかしてくれ、ケイト!』

 

 シャロン・リーとミハイル・リーのスケート姉弟。

 どちらも有名なスケート選手で、当時から人気も実力も凄かった。弟は常識がある良い人。しかし、姉の方は極(・)め(・)て(・)アクの強い性格で、過激思想を植え付けてくるのがちょっとばかし怖かった。

 

 

***

 

 

 酔っ払いハグした日の昼前。

 いつの間にかピカるんは消えていた。朝、目覚ましが鳴ってたような気がするから帰ったんだろう。

 そんなわけでダリアちゃんと二人になり、しばらく一緒かぁと思ってたんだけど

 

「すみませんでした。申し訳ございませんでした。帰ります」

「なになになに。謝らなくていいし無理に帰る必要もないよ? 帰りたいならそれはそれでいいけど、気を使ってとかなら大丈夫だからね?」

 

 やっぱり帰ると謝罪されてしまい、困った。

 正座で言われて、凄い困った。

 詳しく聞いてみると、アルコール入った状態で宿泊宣言したことに罪悪感があるとのこと。そんなん別にどうでも良かったけど、気になるのなら仕方がない。

 俺は改めて宿泊許可を出すことに。酔ってる状態ってことは素直にそうしたかったってことだ。他の人は知らないけど、この人はそう。逆に、そういう時でもないとあんまり本音が出てこない。

 

「ていうか、年明けまでとは言わなくても何泊かするつもりだったでしょ。着替え持ってきてるし」

「それは……流れというものがあるので、念のために」

「練習計画は?」

「あなたの通っている大学のリンクをお借りできることになっているので。ほら、キャンパス違いですし」

 

 準備万端じゃないか。

 それならなんの心配もいらないな。

 調整はちゃんとしてもらって、食事はきちんとしたものを作ってあげよう。栄養バランスを考えるのは勿論だけど、普段よりも美味しいものを。

 

「そっか。俺はスターフォックスのリンクでやるほうが多いけど」

「それはわかっていますよ?」

「それならいいや。夜は外食でもいいけど、ここで食べるならなんか作るよ」

「ここで食べます」

「オッケー」

 

 よし、作るの決定。

 後は確認事項は……思いついたら聞けばいいか。

 とりあえず今日はオフだ。夕方は予定あるから、そこについてくるかは任せるとして……そこまではのんびりすることにしよう。

 

「ダリアちゃん、シャワーは? 朝シャンする?」

「します」

「なら入っておいで。朝っていうか昼だけど、ご飯作っとくから」

 

 烏羽ダリアを何日も部屋に泊める。

 熱狂的ファンに知られたら俺は殺されそうだ。ダリアちゃんファンはコアな方々が多い。独特な雰囲気が刺さる人には滅茶苦茶刺(さ)さるらしい。

 結束いのりちゃんは広く愛される明るい雰囲気で、ピカるんも万人受けするのは同じ。

 ダリアちゃんは暗いとか病んでそうとか書かれてたり、書かれてなかったり。

 スケートにのめり込んでる人って、多かれ少なかれ闇のある選手が多いと思う。その中でもダリアちゃんが重(・)い(・)のは事実だ。近くにいるとよくわかる。

 

 

***

 

 

「出かけるのは17時ね。あと3時間くらいあるけど、したいこととかある?」

「特にありませんね」

「即答かぁ……」

 

 外は凄くいい天気だから、今からどこか出かけてもいいけど、勿体ない気がするんだよな。

 室内にいればハグくらいはさせてくれるし、雰囲気によってはキスまでなら経験がある。

 してくれた時は全て、頭蕩けて死にそうになった。

 この人のキスはとにかく長いんだ、一旦始まってしまうとめちゃくちゃ長い。

 

「……? どうかしましたか? 私の顔になにかついていますか?」

「今朝はする前に寝ちゃったけど、消化不良なんでキスしませんか」

「あぁ……構いませんけど、面と向かって言わないでもらえますか。そう、ジロジロ見つめられると恥ずかしいので」

 

 ダリアちゃんは長ーいため息をついた。

 ウンザリしている、というわけではなく。困惑気味に視線を逸らしながらも、しっかり自分からしてくれた。動きはゆっくりだったけど、凄く献身的で優しい感じで。

 楽な体勢でってことで、馬乗りになってもらって上から。密着の幸福度ってやばいな。

 

「…………ふぅ、呼吸が苦しいですね」

「そんなにがっつかなくても、少しずつすればいいよ。逃げないから大丈夫だから」

「それはわかっているんですが、ついのめり込んでしまって……」

 

 そう言って顔を舐め回された。

 スイッチが入るとほんと凄まじい、この人。

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