ポケモントリオン兵導入によるボーダー隊員の反応 作:ジャサス
思いついた箇所から文章化しているので、時系列が話によって前後します。
(堤視点)
「そろそろ玉狛第二の奴ら来るから、机の上片付んぞ」
「はい!」
「もう挨拶の時間?りょーかい」
「ピチュ!」
来客用の湯呑みを引っ張り出している諏訪さんを手伝って、常備してあるお菓子を出す。ついでに机の上で遊んでいたピチューも降ろした。もうすぐ今期新設の部隊玉狛第二が、支給されたポケモンを連れて挨拶に来るからだ。
ポケモンは能力も姿も多様で混成部隊を組んだ時に戸惑う事も多いし、ネイバーのトリオン兵と間違えて攻撃してしまった事もあったらしい。そういった事態を防ぐために、ポケモンの能力説明を兼ねて各隊へ挨拶に行くのが、いつの間にか恒例となっていた。
更に言えばこの挨拶、「ポケモンの紹介」の名目で、古参隊員と新正規隊員との顔繋ぎを行うのも目的になっている。ボーダーはまだ小さな組織だし、お互い背中を預けて戦うから人間関係は非常に重要になる。会ってみて気が合わなかったとしても、それを把握できるだけでも大きい。それに気が合わなかったとしても仲間だ。それに短時間でも会って話せば、困った時に手を差し伸べる事もしやすくなる。
…実際、今回の玉狛第二については、先に隊長達で注意事項の確認があったそうだ。記者会見で吊し上げられた三雲君。莫大なトリオンの持ち主で第二次侵攻でメインターゲットにされてネイバーに追い回された雨取さん。育て親のレプリカ特別顧問を誘拐されてしまった空閑君。彼らが不用意に傷つけられる事が無いように、簡単な事情だけは各隊で既に共有してある。
「隊長は三雲君かぁ。どんなポケモン選んだんですかね」
「さぁな。レイジも教えやがらねーし」
「やっぱり犬型じゃない?玉狛第二って皆中学生でしょ。犬型は扱いやすいって言うし」
「それ本当なんですか?」
「んなわけねーだろ。基本的に同じプログラム組んでるって雷蔵も言ってたし。オレらが犬のが指示しやすいって思っちまってるからそうなってるだけなんだとよ」
ポケモンは開発室が作成したボーダー特製のトリオン兵だ。訓練や普段の関わり方で個性が形成されるとのことだが、ベースになっている人工知能のシステムは同じらしい。なのにボーダー内ではいつの間にか『初心者は犬型がオススメ』といった噂が出回っていた。
ふと見ると、おサノが広げたポケモン図鑑を日佐人が覗き込んでいた。
「えーとB級だと、ガーディ/ウインディが柿崎隊、ポチエナ/グラエナが漆間隊、オラチフ/マフティフが吉里隊、だっけ?」
「二宮隊と王子隊がポケモン変わったからな、犬型はこんだけのはずだ」
「やっぱり多いですね。そもそも犬型のポケモンの種類も多いですけど」
「エンジニアが犬好きだったのかもな」
玉狛の子たち、犬型だとしたら何にするんだろう。他の隊と同じポケモンを避けるならワンパチ/パルスワンとか?
「失礼します、14時から約束していました玉狛第二の三雲です」
「おう、入れ」
「失礼します」「オジャマシマス」「こんにちは」「こんにちはー」
時間ぴったりに、玉狛第二の子たちがやって来た。宇佐美さんはいつも通り。三雲くんと雨取さんはやっぱり緊張しているようだが、空閑くんは飄々としている。入隊試験での事といい、大物かもしれない。
「改めて、諏訪隊隊長の諏訪だ。今後ともよろしくな」
「同じく諏訪隊の堤。とりあえず座ってよ。甘い物大丈夫?」
できるだけ怖がらせないように優しく声をかける。諏訪さん、いい人なんだけど初見の印象が良くないことが多いから。宇佐美さんから手土産のどら焼きを受けとって、お互いに簡単な自己紹介をしてからようやく座った。…どうしよう、三雲君の冷や汗が全然引かない。雨取さんの表情も硬い。もしかして挨拶するの、うちの隊が初めてなんだろうか。
「そんなに緊張しなくて大丈夫!レイジさんが『諏訪なら大概のことは問題無いから、いくらでも練習台にしろ』って言ってたの覚えてるでしょ?」
「宇佐美、後でレイジがなんて言ってたか詳しく聞かせろ。…まぁとりあえず本題済ませちまうか。コイツがウチのポケモン。ピチューな。で、進化したらピカチュウ、もう一回進化したらライチュウ」
「チャー、ピカァ、ラーイライ!」
諏訪さんも同じように考えたのかもしれない。ポケモン紹介のやり方を見せて教えるつもりらしい。ピチューも慣れたもので、手早くライチュウまで進化した。
かわいいと呟いた雨取さんを見て、諏訪さんがニヤっと笑う。
「かわいいだろ?しかも結構強いぜ。技はアイアンテールってやつだ」
「アイアンテール…えーと、鉄の尻尾?」
「そうそう、硬くなった尻尾でバッチーンって叩くの。バムスターぐらいなら上手くやれば一撃」
目を輝かせる玉狛第二のメンバーを見て、おサノも嬉しそうだ。ポケモンもドンドン増えてるけど、やっぱり自分の隊の子が1番かわいい。挨拶に来た隊員に、紹介を兼ねて嫌味にならない程度にポケモン自慢してしまうのも、よくあることだった。
トリオン節約のために退化させたピチューを抱き上げて、説明を付け足す。
「ちなみにバランス型だね。ピカチュウでも充分足が速いから、回り込んで進化して後ろからドン!なんてのもできる」
「おぉ、オレ達のポケモンもバランス型…デス」
「そっか、お揃いなんだ」
オレの言葉に空閑君が反応した。釣られて固くなっていた日佐人もようやく会話に入って来たし、三雲君も肩の力がいくらか抜けて来たみたいだ。これなら何とかなりそうだ。
「おーっし三雲、お前隊長だろ。代表してポケモンの紹介やってみな」
「はい!えーと、僕たちのポケモンはビリリダマで、進化したらマルマインです。技は自爆です」
三雲君の声に応じるように飛び出して来たのは赤と白の球体。なかなか目付きが鋭い。…色んな意味で予想外の、来ちゃったな。
ビリリダマ/マルマイン
・必要トリオン7→12
・バランス型
・転がって移動する、機動力は高め
・技:自爆
→体内のトリオンを全て消費して大規模な爆発を発生させる
自爆用トリオンは運動用や身体維持用とは別で確保しているので、長時間の運用後でも自爆の威力は落ちない
・千佳がトリオンを供給する前提で、限界まで能力を盛った
・結果として移動速度が跳ね上がり、自爆の威力も千佳のメテオラ(分割無し)を越えてしまった
三雲「すぐに自爆させるんじゃなくて、マルマインに追いかけさせて相手を強制的に動かそう!」
雨取「…」
空閑「それいいな!必死で逃げてくれれば、おれもやりやすくなるし」