こんちくわ。今とっても死にたい気持ちになっているユイだよ!
いやほんと、勘弁してくれない?あれから腕折られたり指切られたり……知性巨人の持つ再生能力がきちんと入ってるのか確かめるために傷つけられてます。痛いっ言ってるじゃん。人の心とかないんか?
頭のなかは明るくても心のなかは真っ黒だよ。ずっと地下みたいなとこに拘束されてさぁ。いつ巨人化しても大丈夫なようにとはいえ、精神やられそう。あ、元からやられてるかもしれないね、『狂気の子』って呼ばれてるくらいだし。
いやでもほんとに助けて?みんなに会いたいよぉ…
たまに来るマガト隊長は強気に振る舞ってるけどなんか俺のボロボロな心身を見て辛そうな顔してるし、なんだかんだ子供思いなんだよねあの人。話してくれるの結構嬉しい。顔怖いけど。
そういえば再生の能力はちゃんとあったよ。最初の頃はめっちゃ痛かったけどなんか慣れてきた気がする。痛いけど。
俺の再生能力は結構高いらしい。再生させる度に回復速度が早くなってて、今では骨折なら10秒、切断されたなら30秒で治るようになった。こりゃあ化け物だわ。
□
幽閉されてから一年ぐらい経ったかな。実験以外の時は一応、名誉マーレ人扱いなのでご飯は美味しいし不自由は少ない。でもまぁ暇なので、自分の血で壁にお絵描きしたりして遊んでる。画力はとんでもなく低いけどね。
見張りの軍人さんたちともなんか仲良くなってきた!と俺は思ってる。最初は血で遊んでるの見てめっちゃ引かれたなぁ…。でも最近は心配してくれるし、見慣れたってさ!
「クライン」
「あ、マガト隊長」
いつも通り見張りの方々と遊んでいたらマガト隊長が入ってきた。牢の格子越しに、マガト隊長が話し出す。
「お前の釈放が決まったぞ。…まぁ無罪なんだが、今日で戻っていいとのことだ」
「ほんとですか!?やっとか~!」
一年越しにみんなに会える!やったね!この人体実験地獄からはおさらばってわけよ!!
皆、ワンチャン俺のこと忘れてたり…な、ないよな?そんなこと……あったら高いとこから落ちてみようと思う!
久しぶりに壁に繋がった手錠を外してもらい、血まみれだった服も新しくしてもらって、マガト隊長に連れ出してもらう。暗い階段を上がり切った時の空気は、とても美味しかった。
「んー!外だぁ…」
「よかったなクライン、やっと出られて」
「ほんとですよ。子供に酷いことしますよね」
「お前は子供らしくないが…」
怖い顔したやさしいおっさんの突っ込みは無視してね。
はぁ、太陽が眩しい…。
ご機嫌で鼻歌を歌いながらスキップする。マガト隊長に案内されてついた場所は、一年前まで皆で過ごしていた部屋とは違った。中から複数人の声が聞こえる。ん?なんだ、揉め事か?
マガト隊長に行ってこいと言われたので入る。マガト隊長は上に報告してくるとのこと。
ガラリとドアを開けると皆がいた。いたんだけどさ、
「~、ドベはお前だった。それだけだろ?ポッコ」
「てめぇッ!!!」
「ポルコ!お前、軍の決定に逆らうのか!?」
「え…」
「え?」
おっと、場違いにも声を出してしまった。だって何の話してるかさっぱりわからんかったんだもん。慌てて手で口を覆うも遅かったみたいだ。
みんなの視線が俺に集まっちゃった。いやはや、人気者で困っちゃうね。
皆なんか…成長してない?背が…あれ、俺ここ一年で全然伸びなかったんだけど…もしかして俺一番チビ?えぇ~…チョットショックカモシレナイ………
ポルコなんか膝ついて The 絶望☆ みたいになってたけどどうしたの?
「ユイ…?」
「あ、覚えててくれた!そうそう、俺はユイ__」
「っ、」
ライナーに名前を呼ばれて、覚えててくれたんだ!って喜んで自己紹介しようと思ったらおもいっきし押し倒された。ドンッっていったよね今。
いてて……誰に?
__アニに。
「アニ…!?」
「……馬鹿、遅いんだよ」
「えぇ…?」
「お帰り、アルス」
「元気だった?怖いこととかされてない!?」
アニに何故か怒られて、皆から心配された。酷いことはいっぱいされたけど怖いことはされてないので「元気だよ!」と答える。皆からハグされて、ちょっとスターになった気分だ。
おちゃらけてる俺と反対に、皆は涙を浮かべていた。そうだよな。ずっと一緒にいた仲間がある日突然巨人にされて、一年越しに会うんだもんな。
「それで、揉めてたみたいだけどなにがあったの?」
気になってしまうから俺の質問にポルコがうつむき、他の皆も気まずそうにした。この中では一番年上のマルセルが立ち上がった俺に耳打ちする。どうやら皆は無事巨人の力を継承したが、ポルコだけが選ばれなかった、と。
だからさっきライナーが「ドベはお前だった」って言ってたのかぁ。気の強いポルコのことだ。相当悔しいだろうな。俺だったらトベのこと殴ってるね。
「ドンマイポルコ。あと久しぶり!」
「……ッおい、離れろ!」
気休め程度に慰めてからハグしたら、ひっぺがされた。顔が真っ赤だけど、熱でもあるのか?
ちなみに、ここ一年であったことを聞かれたから馬鹿正直に全部話したら皆の顔が曇った。えぇ……そんな顔させるために話したんじゃないやい…。
□
戦士になって暫くして、俺達は始祖奪還作戦を成し遂げるためパラディー島に向かう。交代で巨人化して海を渡り、壁を壊してうまく潜伏し、始祖を探しだしてマーレに連れ帰る。
果たして、こんなガキ5人で成し遂げられるのだろうか?
エルディア人は死ぬべきとか言いながら友達は友達だと思えてしまってる主人公くん、既に兵士か戦士か分かラなイナーよりもやばくなってる気がする…。