初めて死んだのは彼女と無理心中した日だった。
そして目が覚めると高校の図書室でただ一冊の恋愛本を開き座っていた。
夢ではない、小説でよく見る「死に戻り」だった
僕は死に戻りができます。
それに気づいたのは高校にある図書室で起きた出来事でした。
僕の名前は「天野 ソラ」、高校一年生である。
自分でいうのもなんだが小説によくいそうな名前である。
理由は両親のせいだ。まぁ別にこの名前が嫌いというわけではない。
昼休み。両親の影響もあってか日々図書室で本を読んでいる。
異世界転生から恋愛、ミステリーまで幅広い分野を。
この日読んでいたのは愛する人のために何度も自殺をし死に戻りをする主人公のお話。
死に戻り。死ぬときは痛いだろうけれども人生をやり直せるんだ、憧れる。
そのとき図書室のドアが開き一人の美女がやってくる。
秋津 レイラ、高校三年生。彼女の趣味は科学、校内では科学系のコンテストに受賞していたりと有名である。
日々実験室に籠っては実験をしているのだそう、日系人なのか珍しい白髪に赤の瞳でなにより高身長。
僕よりは身長が高い、190はいっているのではないだろうか。
白衣と保護ゴーグルを身につけたまま緊急なのか何か本を探している。
気になって読んでいた本を閉じて本棚の隙間から彼女をじっと見つめる。
すると偶然目があってしまう。
「ちょっと手伝てくれないかなソラ君。」
「いいですけど…」
「よかった、人体冷凍保存に関する本を探しているんだ」
「あぁその本なら」
窓際に近い本棚へ向かい一番高い棚に置かれている人体冷凍保存に関する本を取ろうとする。
そのとき、空いていた窓から吹き込む風によりなびいたカーテンが視界を覆った。カーテンをどかそうとしたら突如背中に暖かい感触がした。彼女が僕に抱き着いてきたのである。
「え?ちょっとレイラ先輩?」
その勢いで空いた窓から飛び降りた。頭から。
それと同時に背中に何かを注射された。
体中に冷たい液体が広がる感じがした。
そして地面に頭がつく瞬間、骨が粉砕する音を最後に意識は途切れた。
◇◇◇
図書室で一人の男子高校生が昼寝をしている。
そして目が覚めると激しい頭痛がし始めた。
「あっくっぁ…」
痛みが心臓の鼓動のように強くなったり弱くなったりしている。
大きく深呼吸をしゆっくりと痛みを和らげようとする。
その時、教室のドアが開き一人の美女がやってくる。
秋津 レイラ、高校三年生。ソラは彼女に無理心中をさせられた。
「あれ…これってもしかして…」
彼女に気づかれぬよう机の下に身を隠す。
本などもしっかりと回収して誰もいなかったかのように。
レイラは数分間本を探しては窓際の本棚の一番高いところに置かれている一冊の本を取っては窓を閉める。
そして彼女は図書室から出ていった。それを確認したソラは机の下から出てはため息をつく。
なぜ彼女は無理心中をしてきたのだろうか、ソラとレイラは接点がない。他人である。
しかし彼女は彼の名前を覚えていた、彼は有名でも何でもないのに。
ソラがいる図書室は四階、どこかで聞いた話ではそこから飛び降りても生きる確率は少しあるらしい。
さっきのが夢の可能性。それはないはず、なぜなら目覚めたときに起きるような頭痛の数百倍は痛かった。
まるで頭の骨が粉砕して脳がぐちゃぐちゃになったかのような。
「寝ぼけてるだけだ、うん。」
昼休みがそろそろ終わる、本を元あった場所へと戻し教室を出ては階段を降りる。
そして午後の授業が始まった。
教室の入り口すぐ近くの席、青春主人公のように青空を眺めることなどできない。
ただきちんと言われたことをノートにまとめるだけ。
そんなことをやっていたら時間なんかとっくに過ぎる…そんなこと出来たらいいなと頭をパンクさせながら授業を受けている。
地獄の時間が過ぎ去って放課後
荷物をまとめて教室から出ようとしたとき出入口にレイラが待ち構えていた。
「天野 ソラさんに用があってきました。」
諦めて後ろの出入口から出ようとしたとき。
襟をガシッと捕まれては風船を運ぶかのように実験室へと運搬された。
前回彼女に殺されたことを思い出しては心臓の鼓動が早まり汗がにじみ出てくる。
それでも彼女は気にせずに実験室へと彼を連行している。
実験室は図書室と同じ四階。
三つの実験室がありそのうちの一つは完全に彼女が独占している。
不思議な化学式と様々な英語で書かれた理論の本で散らかっている。
その教室のど真ん中にある椅子へと座らされては拘束される、逃げ道はない。
「レ、レイラ先輩?僕たち初対面ですよね…?」
レイラは何も言わずに試験管に液体を入れては調合のようなことをし始める。
その後ろ姿を彼は魔女のように思った。
「ねぇ」
ようやく彼女が口を開いたかと思うと試験管に入ったうすい黄色の液体をレイラは飲み干し、ソラへと口移しをする、それはほぼキスだった。それ故にうすい黄色の液体を吐き出すことはできなかった。ついに限界でゴクリとその液体が喉を通ると彼女はうれしい表情をしながら両手をソラの首へと持っていく。そして耳元で囁く
「好きだよ」
その瞬間に彼女はソラの首を絞める。なぜだろう、相手は女の子のはずなのに抗えない。
呼吸ができず意識が朦朧となっていく…ということはなくただ苦しく苦しい。
強引に呼吸をしようとし口を開き全力で空気を体内へ送ろうとする。
唾液を飲み込んでいる暇などない、そのせいで唾液が彼女の手の甲へと落ちる。そしてそれと同時に「ポキッ」と首の骨が折れ太い血管が破れたのか首が膨れ上がる。下半身の感覚が全くない、こんな苦しみ早く死んで忘れてしまいたい。けれども人間の生命力は厄介だ、救えない状況でも体内へ酸素をめぐらせようと呼吸しようとする。取り込むことはできるわけではない、ただ苦しさが増すだけ。
「大好き」
学校の下校時に流れる曲と共に夕日がカーテンの隙間から実験室を照らす。
きれいなピアノの音が意識を失う直前に脳へと鳴り響いた。
◇◇◇
昼休み、一人の男子高校生が図書室で昼寝をしていた。
読んでいた小説の大事なシーンを前に彼は眠っていたのである。
目が覚めると首へ激しい痛みを感じた。
折れていてもおかしくはないのではないかというほどの痛み。
ソラは自身の頬へ強くビンタしては寝ぼけを消し去る。
すると首の痛みは消え去った。
「大好き…かぁ」
どこで彼女を惚れさせるような行動をしたのか。少なくとも小中学生の頃はないな。
そのとき図書室のドアが開く音が聞こえたため机の下に身をひそめた。
落ち着こうとゆっくり深呼吸をする。鼻から空気を吸い口からはく。
そのとき妙にアーモンドのような匂いがした、口臭だろう。
(毎日うがいと歯磨きはしっかりとやっているのにどうしてだろう…)
彼女が出ていったら軽くうがいをしようと彼女が行ったほうを向く。
すると目の前にレイラがいた、鼻息がかかるほど近くに
驚いたソラは頭をぶつけふらっと彼女のほうへと倒れる。
彼女は彼の頭を軽くなでると立ち上がり図書室から出ていった、死から逃れることができた。
ソラは彼女が出ていったことをしっかり確認すると大きくため息をつきなんども水道でうがいをした。
(アーモンドも杏仁豆腐も食べてないぞ?ここ最近)
そのまま一階にある購買へと向かいミントの香りのするガムを買ってはかむ。
これですこしでも口臭をやわらげられればと。
そして午後の授業が過ぎ去り放課後、猛ダッシュで男子トイレへと逃げ込む。レイラとの遭遇をこれで避けられる。幸いなことにトイレから出口までは近い、そっと周りの様子を確認し影を薄めては下駄箱へと向かう。しかし自身の靴が入っているはずの下駄箱を開けた時、そこは空っぽだった。
「天野君」
ぞわっと背筋が伸びては後ろを振り向くとクラスの女性の担任だった。
レイラじゃなかったことに安心する。
「今日個人面談だよね」
「あぁ忘れてました」
下駄箱の扉を閉めては教師へとついていく。
面談室は二階。階段を上がる途中、レイラとすれ違ったが生憎目の前には先生がいるため連行はされない。ただじっと見つめられていた。
面談室に入ると先生は資料を机の上においてはソラへ見せる。
「最近困ったことある?」
「はい、えっと…三年生のレイラ先輩にずっと見られてるような気がして」
「自意識過剰だね」
「そうですよね…」
そしてあっという間に終わる面談。
先生へお辞儀をして面談室を出ると目の前にはきれいな夕焼けが見えた。
きれいなピアノの音が校内をめぐる。
あとは靴を彼女から返してもらえれば今日はおしまい。
ただ一人で実験室へ行っても殺されるだけ、靴に関しては死に戻ったとしてもどうにもならない。
そう考えている時、後ろから気配を感じた、しかし振り向いたところでもう遅い、ソラはレイラに持ち上げられてはまた実験室へと向かった。
二回目と同じように椅子に拘束されてはうすい黄色の液体を飲まされ首を絞めつけられる。
と思った、椅子に拘束されたのは変わりなかったがうすい黄色の液体を飲まされることはなく、ただじっと見つめられる。
「昨夜、君が食べたのは野菜炒めだけだよね」
当然のように昨夜のご飯を当ててくる。
「まぁ」
そう返事を返すとレイラはにっこりと微笑み今度は無色澄明な液体を取り出した、甘い刺激臭がする。
そして二回目と同じように口移しでその液体を彼に飲ませた。しかし今度は舌の交えが長い。
すると実験室の外から足音が聞こえてくる。
「レイラ先輩!ちょっとよろしいでしょうか」
その声がしたときには拘束は解かれていた。
「いいよ」
そう一言。
ソラはその生徒とすれ違いに実験室から逃げるように出ていった。
再び下駄箱、しかしその下駄箱は半開きになっており中にはソラの靴があった。
誰かが見つけて戻してくれたのか、感謝しながら上履きをしまい学校から出ようとしたとき。意識が朦朧となり倒れてしまった、激しい頭痛とめまいがする。呼吸ができない。
ただ苦しみながらしばらくは誰も通らないであろう昇降口で倒れる。
足音が聞こえる、レイラだ。意識がもうろうとなるソラを持ち上げては実験室へと運ぶ。
彼女の口は濡れていた。きっとすすいだのだろう。ソラが飲まされたものは危険な薬品だった…
◇◇◇
昼休みの図書室。
「ん…」
本を読んでいた途中に寝落ちてしまった一人の男子生徒が目覚める。
口から独特で甘い匂いを感じた、刺激的で今すぐ口をゆすぎたい。
すると図書室のドアが開き、レイラが入ってくる。
いつも通り机の下に身を、と思ったが今回はおかしい。
本棚のほうへといかずまっすぐと彼のほうへ向かった。
顔を寄せ付けては匂いを嗅ぐ。
「人体冷凍保存に関する本がある場所、教えて?」
「ま、窓際の本棚の一番上に…」
彼女はしばらく彼を見つめた後いわれた場所へと行き、本棚から本をとり図書室から出ていった。
殺されるのではないかと思っていたため全身の力が入っていた。
その力を抜いては勢いのあまり椅子から落ちてしまう。
もう三回死んだ。
無理心中をし、首を絞められ、毒に侵されて。
ソラは本をもとあった場所へと戻し図書室を出ていく。
昼休みはまだ終わっていない。
向かった先は下駄箱、そこにはレイラがいた。
「何やってるんですか先輩、僕の下駄箱に何か用?」
「ラブレターを入れに来たんだ」
当たりが静まり返る。
なんせレイラは美人だ、そんな彼女がラブレターなど大事件になってしまう。
「ちょ、ちょっと!?」
慌てて人気のない場所へレイラを引っ張る。
そうレイラが独占している実験室、無意識にここまで逃げてしまった。
体が勝手に罠へと逃げ込んだのである、我に返った時その行動に後悔することしかできなかった。
「いい機会、答え合わせをさせてくれない?」
「え?」
学校のチャイムがなる。昼休みが終わった。
しかしレイラは一枚の紙を彼へと見せた、実験への協力許可だ。もちろん無断で
「答え合わせってなんですか?先輩」
「貴方はこの昼休みを繰り返している。」
「…え?」
「ソラ君、君は図書室をスタート地点にこの日を繰り返している…死に戻りしている。間違いないかな?」
レイラは彼をじっと見つめる。
「嘘は通用しない」そう視線が語っている。
「僕は死に戻りができる…けどなんで」
「独特な甘いにおい、ジエチルエーテルの匂いがした。それも朝はしなかったのに。しかもそのジエチルエーテルは人間にとって有害物質。つまりソラ君はあの時の意識喪失しているはずだった。麻酔作用があるんだよ。」
ソラは一歩一歩さがる。
薄々彼は気づいていた、死に戻りをしたときその死因となる部位に激痛ということ。
「図書室にあるカメラでソラ君の呼吸リズムを測ってるんだけど、ある時刻だけまるで映像を繋げたかのように呼吸のテンポがきれいに変わったんだよね。えへへ」
後ずさりするソラはテーブルの上に置かれていたカッターナイフを手に取り首筋へとあてる。
そして呼吸が荒くなりながらも覚悟を決める
「残念だったね先輩、例えそれがわかっても僕が死んじゃったらゼロからだよ」
彼女はじっと見つめている。今回はジエチルエーテルのおかげで彼女は死に戻りに気づけた。
だが何かされる前に自分で死んでしまえばいいだけの話。
ソラは思いっきり自身の首を切る。プチプチと一気に筋肉や血管を切る。
その切口から血が噴き出してはレイラにかかる。
そしてソラは死んだ。
「…」
レイラは死体を持ち上げてはそれへキスをし、一本の電話をかける。
「回収できた、私の夫。すぐに実験開始ね」
駄文を最後までお読みくださりありがとうございました!
最近死に戻り系のアニメを三つほど見まして。
書きたくなったのでその勢いで書きました。
最後は主人公死に戻りせずのBADっというわけです。