記憶のない僕と、みんなが知ってる俺   作:からあげマヨネーズ

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今回はストーリー回っぽくなってます


3話

新エリー都 ヤヌス区

六分街『Random Play』

 

「そういえば二人って、このビデオ屋以外にも副業してるって言ってたけど、何をやってるの?」

 

「あっ……それはっ……! あのーっ! そう! あれだよ、あれ!」

 

「そうだな……。言ってしまえば、ガイドみたいなものだよ」

 

「そうなの! ガイド! いろんな人を、いろんなところに案内してるんだー!」

 

そう説明する二人は、すごく慌てていて、明らかに何かを誤魔化そうとしていた。

 

「――ふーん? そうなんだ」

 

僕は、そんな二人の必死な姿を見て、心の内に生まれた疑問を飲み込むしかなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「危なかった……。でも、どうしようお兄ちゃん。○○、絶対納得してない顔してたよ」

 

「あんな苦し紛れの言い訳じゃ、納得しろっていう方が難しいさ」

 

「やっぱり、ちゃんと私たちのこと話した方がいいのかな……?」

 

「もちろん、ずっと内緒になんてしていられないさ。でも、もう少し落ち着いてからの方が僕はいいと思うんだ」

 

「そうだね、お兄ちゃん! ○○には、もう少しだけ待っててもらっちゃお!」

 

「そうだね。おっと、そろそろ集合時間だ。リン、準備をしよう」

 

「うん! 私、集合場所に行ってくるよ!」

 

「僕もすぐ向かうよ」

 

二人はそれぞれ準備を始めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「あの二人、なんか隠してる気がするんだよな……」

 

僕はそう考えながら、町中を歩いていた。

 

「でも、無理に聞くのも気が引けるしなぁ……」

 

そんなとき、近くから悲鳴が聞こえてきた。

 

「誰か助けて! うちの子が!!」

 

声の聞こえた方向へ向かうと、取り乱している女性と、その近くにホロウの裂け目があった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「うちの子がホロウに入ってしまって……!」

 

周囲からは、

 

『早く治安局に連絡を!』

 

などの声が聞こえてくる。

 

確かにホロウ内部にはエーテリアスのような危険が多く、一般人が入るのは死にに行くようなものだ。

 

(それに、リンやアキラからも『絶対にホロウには一人で入らないで!』って、口酸っぱく言われてる……)

 

○○はしばらく考えた後、覚悟を決めて女性に声を掛けた。

 

「僕が、中に入ってお子さんを連れ戻してきます!」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「写真とかありますか? それと、お子さんの特徴を教えてください」

 

女性から子供の特徴を聞き、写真を見せてもらった後、リンとアキラにメッセージを送る。

 

そして、○○はホロウの裂け目へと入っていった。

 

(あとで、絶対二人に怒られるな……)

 

そんなことを考えながらモヤを抜けると、そこには工場地帯のような場所が広がっていた。

 

「ほんとにホロウって、いろんなところに繋がってるんだ……。とりあえず、子供を探さないと」

 

僕は広いホロウの中を歩き回り、子供を捜索した。

 

それからしばらく経った頃、ふと物陰に人影が見えた。

 

僕はその物陰に近づく。

 

そこにいたのは、ホロウに入る前に写真を見せてもらった子供だった。

 

「大丈夫かい?」

 

そう声を掛けると、子供はビクッと身体を震わせて僕の顔を見た。

 

そして、

 

「ごめんなさい……」

 

そう言いながら、泣き出してしまった。

 

「ほら、もう泣かないで。ここから――」

 

――出よう。

 

そう言おうとしたとき、近くから物音が聞こえた。

 

「エーテリアス……!」

 

子供の泣き声を聞きつけたのか、エーテリアスが数体集まってくる。

 

「どうしよう……」

 

○○は子供と一緒に物陰へ隠れながら、どうするべきか考える。

 

すると、近くに一本の鉄パイプが転がっているのが目に入った。

 

「何もしないくらいなら……!」

 

そう言って、○○は鉄パイプを手に取る。

 

そして、エーテリアスの前に立ちはだかった。

 

僕は鉄パイプを大きく振りかぶり――

 

「なんとか……なれ!」

 

力いっぱい振り下ろす。

 

フルスイングした渾身の一撃がエーテリアスの一体を捉え、その身体を吹き飛ばした。

 

「よしっ!」

 

仲間が吹き飛ばされたのを見て、残りのエーテリアスもこちらへ襲い掛かってくる。

 

僕は振り下ろされる腕を、なんとか躱していく。

 

まるで――

 

「体が覚えている……?」

 

自分でも、なぜこんな動きができるのか分からなかった。

 

それでも、身体は勝手に動いていた。

 

「走って!!」

 

攻撃をかわしながら、確実に一体ずつエーテリアスを倒していく。

 

そして、子供に向かって叫んだ。

 

(幸い、こいつらは足が遅い。一度距離を離せれば……!)

 

そう考えて子供の方へ向き直り、走り出そうとした、そのとき――

 

ゾクッ……。

 

背中から、嫌な気配を感じた。

 

僕は咄嗟に鉄パイプを前へ突き出す。

 

その瞬間――

 

「グッ……!」

 

強烈な衝撃を受け、僕の身体は後方へ吹き飛ばされた。

 

「痛っ……!」

 

なんとか身体を起こす。

 

すると、そこには緑色と赤色――二体のエーテリアスが、こちらを見つめていた。

 

「勘弁して――」

 

悪態をつこうとした、その瞬間。

 

片割れが、目の前にワープしてきた。

 

「っ!」

 

僕はそれを何とか躱し、子供の手を取って走り出す。

 

(やばい、やばい、やばい!! なんとか、この子だけでも助けないと……!)

 

(そもそも、プロキシやボンプもなしで、どうやってホロウから出るんだ!?)

 

必死に考えながら走っていると――

 

「まずい……!」

 

ついに行き止まりへとたどり着いてしまった。

 

後ろを振り返る。

 

先ほどよりも数を増やしたエーテリアスが、こちらへ迫ってきていた。

 

(もう……ダメだ……)

 

そう思った僕は、子供を強く抱きしめた。

 

その瞬間――

 

目の前に無数の光の柱が降り注ぎ、同時に白い羽が舞い落ちてきた。

 

先ほどまでそこにいたエーテリアスは――

 

文字通り、消えていた。

 

突然の出来事に、僕が呆然としていると。

 

頭上から声が聞こえてきた。

 

「ほんっと、君は昔から無鉄砲で、後先考えずに行動するよね。まあ、それが君の良いところなのかもしれないけど」

 

そう言いながら、頭上から一人の女性が目の前へ降りてくる。

 

ピンク色の髪。

 

そして、腰には白い翼が生えていた。

 

「た、助けてもらってありがとうございます。僕は○○っていいます。あなたは?」

 

僕は相手に感謝を伝えながら、自己紹介をする。

 

……やっぱり、覚えてないんだ……

 

「えっ……?」

 

「ううん、何でもないよ。そうだな~……まだ内緒♪ そのほうが面白いでしょ?」

 

目の前のピンク髪の女性は、笑いながらおどけてみせる。

 

僕が困惑していると、彼女は胸元から白い羽のネックレスを取り出し、僕に渡してきた。

 

「また私に会いたかったら、それを大切に持っていてね」

 

「あなたは――」

 

「○○!!」

 

僕が声を掛けようとしたとき、遠くからリンの声が聞こえてきた。

 

「リン?」

 

「もう来ちゃったんだ! それじゃあ、今日はここでお別れ! またね、忘れん坊さん♪」

 

そう言いながら、彼女は空へ飛び立っていった。

 

「○○!!」

 

「あっ、リン。どうし――」

 

パシッ!!

 

僕が言い切る前に、頬に鋭い衝撃が走った。

 

じんじんとした熱が頬に広がる。

 

そして、リンが泣きながら僕に抱きついてきた。

 

「○○っ……! 私っ……! 言ったよね! 一人でホロウに入らないでって!」

 

「……ごめん。でも、放っておけなくて……!」

 

「○○は昔からそう! あのときだって! 今回も……! 間に合わなかったらどうしようって……!」

 

「ごめんなさい……」

 

そんなやり取りをしていると、リンの後ろからボンプと、傘を持った紫色の髪の女性が走ってくる。

 

「あれは……イアス?」

 

「リン! 思うことはあるだろうけど、まずはホロウから出よう!」

 

「パエトーン様! ビビアンもその意見に賛成なのです!」

 

「でも、どうやって?」

 

僕が疑問に思っていると、イアスが僕の方を見て口を開いた。

 

「言ったろう、○○。僕たちはガイドみたいなものさ。ついてきてほしい」

 

イアスに導かれ、僕たちはあっという間にホロウの外へと出ることができた。

 

外で待っていた母親に子供を預ける。

 

そして僕たちは、治安局の目を避けながら帰路についた。

 

紫色の髪の女性は、途中で予定があるということで、何度も謝りながら僕たちと別れていった。

 

しばらくして、僕たちは『Random Play』へ戻ってきた。

 

「リン、そろそろ話してくれても……」

 

「嫌だ!」

 

ホロウから戻ってきてから、リンはずっと僕の腕に抱きついたままだ。

 

「アキラ~」

 

「今回は君が悪いよ、○○。それに、僕も少し怒っているんだ」

 

「うっ……ごめんなさい」

 

そんなやり取りの後、おもむろにアキラが口を開いた。

 

「○○。朝話していた僕たちの副業の件なんだけど……聞いてくれるかい?」

 

「大丈夫なの? 朝は言いたくなさそうだったけど」

 

「もう今回の件でばれてしまったからね。もう隠してもしょうがないだろう」

 

そう言って、アキラが改めて僕の目を見る。

 

「○○。僕たちは『プロキシ』なんだ」

 

「『プロキシ』って、あのホロウ内部をホロウレイダーとかにナビゲートするやつだよね?」

 

「そう。私たちは、その繋がりで○○と知り合ったの」

 

「そういえば、あの紫の人に『パエトーン』って言われてたけど、あれは?」

 

「あれは『プロキシ』業での名義のことだね」

 

「そうだったんだ……」

 

「……ごめんね、○○。黙ってて」

 

「職業柄、いろいろ巻き込まれることが多くてね。すまない、○○。君を巻き込みたくなかったんだ」

 

「謝らないでよ、二人とも。僕のためを思って黙ってたんでしょ? それなら、怒ることなんてないよ!」

 

「「○○……!」」

 

「でも、今度から隠し事はなしだから!」

 

「ああ……! 約束さ!」

 

「うん! 約束する!」

 

そう言って、三人で笑い合った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

とあるホロウ内。

 

「あ~あ、あんなに私たちのことを待たせたのに、とうの本人は忘れちゃってるなんて……ひどい話だよね」

 

「でも、忘れちゃってても○○が生きてる……! それだけで、どうでもよくなる」

 

「ねぇ、ベリ……。私が抜け駆けしても、君は許してくれるかな……」

 

その言葉は、誰にも聞かれることなく消えていった。

 

 




中々書きたいことがまとまらなくて大変ですが頑張ります。
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