「百合って聞くと間に挟みたくなるよねw」「分かる〜w」 作:超かぐや姫!沼から抜け出せない人
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多分西暦に入ったくらい? からは結構イベントが多くて、それまでのゆったりとした時の流れとは違い、記憶に残るような出来事が増えてきた。
「すみませーん、この辺に白い毛玉みたいな子来てませんかー?」
「余裕で解決だから!」
「あ、いた」
「
ちょっと目を離した隙にかぐやちゃんがどこかに行ってしまい、探してたら予言の巫女的な感じで祀り上げられていたりとか。
後から話を聞いてみると、海の中で迷ってたら釣り上げられたらしい。何それおもろ。しかも釣り上げた人が超お偉いさんだった。皇后様て。かぐやちゃん下手したら教科書に載っちゃうよ?
「
「えー? ウミウシが?」
「今はウミウシの姿ってだけだから!」
結局皇后様が亡くなるまではそこに居続けた。俺の数え間違いじゃなければ百年近く生きてたんじゃないかな…この頃の人間は寿命が短いはずなのだが、皇族だから? それともまだ神の血が濃いからとか? わかんね。
長い時間親交を深めたからか、おかげで別れる時はかぐやちゃんも大泣きだったよ。俺もちょっと泣いた。
「今回は助かったわ。世話になったし…今後もし何かあったら、手伝ってあげる」
「そんなん気にしないでいいのに!」
「機会があればねー。あ、お仕事頑張ってねー」
「夢魔は思い出させないでよ…地上で気晴らし出来たとはいえ、憂鬱ね…」
旅行に来ていた月の姫を月まで送り返したこともあった。なんか見覚えのある黒い触手の集団に追いかけられてる女の子を助けたら、かぐやちゃんの知り合いだったとは驚いたよね。
「あれ姫様じゃん!」じゃないんよ。てかかぐやちゃん、月の王族とも知り合いだったんすね。
向こうはかぐやちゃんのこと知らなかったみたいだけど、知り合うのが二千年くらい先らしいから当然とのこと。宇宙船の時間遡行プログラムの設計とか手伝ってもらったらしい。月の王族って技術者兼ねてるんか…。
「ごめんなさい、かぐやのことをそこから出してあげることはできないわ」
「あー…残念だね、かぐやちゃん」
「『もと光る竹』は、かぐやがいた時代でも月の最新技術を詰め合わせて作ったから。仕方ないよ」
月人ならかぐやちゃんをタケノコから出すこともできるんじゃないかと思ったのだが…そう上手くは行かなかった。かぐやちゃん自身があまり気にしていなかったことが救いか。まぁ、最悪現代に戻ったときにでも改めてコンタクトとって出して貰えばいいか。
「それじゃ、私はもう行くわ。またね、かぐや」
「うん、またね姫様!」
「夢魔も、暇ができたら月に来なさい。私の専属にしてあげる」
「あは、光栄だよー」
「ダメだよ!? 夢魔はかぐやのだから! 絶対あげないから!!」
「ふふ…」
最後に意味深な笑いを残して月の姫は去っていった。かぐやちゃん、そんなに怒らなくても、ああいうのは社交辞令ってやつだから本気にしないで大丈夫だよ。
それに月じゃ百合の間に挟まれそうにないし、俺としても月の姫の専属になりたくはないね。一回旅行で行くくらいならいいけど。
「……」
「お前らも挨拶くらいして帰れよなー」
月の姫が帰るときには灯籠頭や能面の月人もいたのだが、終始無言だったのでつい小言が出てしまった。未来の灯籠頭どもはちゃんとできてたってのに。この時代の月人は礼儀ってものがないのか? 全くけしからんね。
「
「え…っと、その、かぐやは好きなひといるから…」
「ちょっとー、かぐやちゃんのこと困らせないでよー」
「はは、これは手厳しい。しかし、自分の気持ちに嘘は付けぬのです」
ウミウシに恋する変態歌人もいた。
おい、かぐやちゃんは彩葉ちゃんとくっつくんだよ! 俺以外の男が割り込もうとしてんじゃねーよ。阻止、阻止です!!
まぁ別にかぐやちゃんを困らせたいわけじゃないっぽかったし、一回告ったら身を引いたから許してやったけど。
てか近くにこんな絶世の美少女がいるのに、ウミウシのほうを好きになるってやばない?
いや俺のほうを好きになられても困るんだが…かぐやちゃんの魅力は姿が変わったくらいじゃ少しも減らないってことがここでも証明されてしまった。
「かぐやの心はあげられないし、一緒にいてあげることもできないけど…代わりに、これを貸してあげるね」
「え、マジで言ってる?」
「うん。これをかぐやだと思って大切にしてね」
そう言ってかぐやちゃんは歌人に魂が入った宇宙船を渡してしまった。いいの? それ、かぐやちゃんの本体じゃ…かぐやちゃんが良いならそれで良いんだが…。
かぐやだと思って、というかかぐやちゃんそのものじゃん。
「お前、それをぞんざいな扱いしてみろ。地獄の果てまで追いかけてでもお前のことぶっ殺すからねー」
「…しませんよ、絶対に」
一応マーキングつけてまで歌人を監視していたのだが、結局死ぬまで家宝として大事にし続けていた。死ぬ寸前にはタケノコを正倉院に保管させていたしな。
…ま、最低限の扱いはできてたんじゃない? 認めてはやらんが、かぐやちゃんに恋したことは許してやるよ。
「会いたい者がいるのだろう?」
「でも…!!」
「ここは直に燃え落ちる。夢魔、かぐやを連れていけ」
「…了解だよー。いこ、かぐやちゃん」
大阪城が燃える最中にいたこともあった。何の運命の悪戯か、かぐやちゃんと俺は茶々ちゃん…今は淀ちゃんか。淀ちゃんとも仲良くなっちゃってな。
「かぐやを頼んだぞ、夢魔」
「任せてよー。…淀ちゃん」
「なんだ?」
「淀ちゃんのことは忘れないよー」
「…そうか」
「かぐやも!! 忘れないから!!」
「…早く行け!!」
最後に、燃える城の中でも淀ちゃんは笑って俺たちのことを送り出した。
幼い頃から知っていた子だった。家に、時代に翻弄されていた子だった。その自らの運命を覚悟して受け入れていた子だった。
それが、どこか彩葉ちゃんに似ていて。だからかぐやちゃんもすぐに懐いて、俺も色々と世話を焼いてしまった。
「いたぞ! 一人も逃がすな!!」
「ぐっ…?! 邪魔だっつーの…!!」
「んほおおおおおお!?!?!?」
「夢魔!?」
「へーき!」
燃える城から抜け出し、敵兵に包囲されたところから命からがら逃げたが、流石に無傷とは行かなかった。まぁ城の周りは数万人の兵士に囲まれてたしな…いくらこの体が人外のものとはいえ、サキュバスは直接戦闘に強いわけじゃない。
まぁ、かぐやちゃんのことは無傷で守れたしおっけーということにしよう。俺に関しては
「夢魔……目が…」
「ん? あー、これね」
「治るんだよね…?」
「いやー、流石に無理かなー」
「そんな!? かぐやのせいで…ごめんなさい…」
「かぐやちゃんが謝ることじゃないっしょー」
涙ながらに謝るかぐやちゃんが言っているのは、俺の怪我のこと。
逃げるときにに隠れていた敵兵から至近距離で銃撃されてしまい、左目を失ったのは俺が迂闊だったという他ない。一応手で庇ったのだが、貫通して目を撃ち抜かれてしまった。
幸いそこで止まってくれたので死ぬまではいかなかったが、失った左目が治ることはないだろう。精エネルギー自体はそれなりにあるから傷は治るけどね。部位欠損は消費エネルギーが段違いだから無理。
「気にしないでっつっても無理だろーし…」
「当たり前だよ……!!!」
「じゃ、今度からかぐやちゃんがウチの左目の代わりになってよー。不便っちゃ不便だしね」
「…! 分かった! やる! かぐや、夢魔の左目の代わりになる!! 絶対、一生不自由させないから…!」
「重い重い。そこは前向きに検討しますくらいで良いよー」
凄い決意をされてしまった。気にするなってのは無理だろうけど、怪我したのは別にかぐやちゃんのせいってわけじゃないんだしさ。この程度の怪我なら死ぬわけでもないし。
でも片目が無いと見た目が不気味だな…どっかに眼帯とか売ってねーかな。伊達政宗みたいなやつ。現代なら変人だが今は戦国、どうせならかっこよさ重視でいきたいよね。
「ムカつくからさ。辛くても笑うんだよ」
「わかるー。男どもの相手してるとまじムカつくよねー」
「夢魔、これまでに無いほど意気投合してるね…」
「「あっはっはっはっは!!!」」
吉原の妓楼で出会った花魁と太夫を目指したこともあった。いや俺は精エネルギーを集めるのに都合が良かったってのもあるけどね。竿役が多いこと多いこと。
篝火(花魁のことだ)を狙うやつも勿論多かったのだが、なぜかかぐやちゃんを狙うやつまで現れたのは本当にびっくりだったよ。
おい、だから隣にいる美少女サキュバスを放ってウミウシに欲情すんな異常者ども。流石は日本、変態性癖の博覧会だぜ…
男を悦ばせる技術でサキュバスに敵う人間なんていないと思ってたんだが…太夫ってそれだけじゃ成れないからね。色々と教養が必要なのだ。おかげで篝火のほうが先に太夫になってしまった。
いや別に悔しくは無いですけど? てか俺も左目ないのに篝火に続いて太夫になったし、結構良い線行ったでしょ。この時代、身体部位の欠損ってめちゃくちゃハンデだからね? 俺の美貌のおかげってもんよ。
花魁自体は、篝火がアル中で死んだときに一緒に辞めた。まぁ俺は老化しないからな。そろそろ不自然ってことで幕府に目をつけられそうだったから丁度よかった。エネルギーはものすごく溜まったから花魁やった意味はあったな。
全く、篝火は酒飲みすぎだっていつも言ってたのに…さっさと死にやがって。あほか。
「夢魔…大丈夫?」
「ん、大丈夫だよ。ウチは、いつもどーり」
大丈夫だって。
これは、雨だよ。
「君の活躍する時代を、俺も見てみたかったよ」
「三流作家がイキってなんか言ってるし」
「今に見ていろ…! 俺の作品が日の目をみることになる…!!」
明治時代には自称作家の無職と過ごしたこともあった。カッコつけたがりで、かぐやちゃんから未来の話を聞いたときはいつも意味深なセリフを言っていた。お前の小説が売れてたら少しは説得力のある言葉になったのになぁ。マジで全く売れてなかったから何の深みもなかった。
「かぐやは好きだよ? このお話」
「ありがとうかぐや…君だけが俺の友だ…」
「ウチは?」
「お前は黙っていろ」
かぐやちゃんや俺が話す未来のことや過去の出来事を信じて話をしてくれたのはよかったけどね。普通は頭がおかしい奴らだと思われるし。いや喋るウミウシってだけで怖がられることがほとんどだが。
それに免じて俺たちの話から小説のインスピレーションを得ていたことは許してやるよ。まぁ全然売れてなかったし意味なさそうではあったけど。
と、そんなことを思っていたら、あいつが死んだあとに世間で評価され始めた。本当にタイミングが悪いというか…あと五年生きていれば、あいつも自分の小説が評価されていることを見られただろうに。
いや、ドヤ顔で勝ち誇ってくるのが目に浮かぶしやっぱ死んでてよかったわ。
「お前の本、売れてるよー。よかったね」
「新聞にも紹介されてるよ!」
天国で悔しがってるであろう文豪の墓に重版された本や新聞を備えてやった。あっさり病気で逝った奴にはお似合いの結末だろうよ。
ま、遺作の刊行くらいはやってやるから、安心して成仏しとけ。
「夢魔!? 夢魔!! だめ、死なないで!? いやぁ!! 死んじゃやだよう!!」
「…あ、は。だいじょうぶ、大丈夫。こんくらいじゃ、死なない、って」
「喋っちゃだめ!!」
かぐやちゃんが大泣きしながら俺の体を登ってくる。
あーあー、汚いからやめなって。多分色んな体液が吹き出してるし。少しじっとしてれば大体は治ると思うから、それまで待ってなよ。
「…流石に、痛いねー」
「……っ!!」
油断したつもりはなかったのだが…爆撃機ってのは速いな。空襲警報が鳴ってから焼夷弾が降ってくるまでに全然間がなかったぞ。
おかげでかぐやちゃんを防空壕に投げ込むくらいしかできなかった。自分ごと入るのは…それやってたらかぐやちゃんも燃えてただろうな。
「ぐ…」
「夢魔、ゆまっ!誰か、ゆまをたすけてよ!!」
鏡を見てるわけじゃないから正確なところは分からんが…見える範囲でも、全身の皮膚が焼け爛れている。髪もチリチリどころかハゲだなこれは。遠くから見たら焼死体にしか見えないんじゃないか?
サキュバスの姿に変身して耐久力を上げてたってのにこれか。角は無事、羽と尻尾はギリ原型が残ってるから多分治るとして、ダメそうなのは…左腕だな。感覚がない。
意識を向けないようにしていたが、覚悟してそっちを見てみると…ちょうど、炭化した真っ黒な腕がボロボロと崩れ落ちるところだった。ああ、そりゃ感覚ないわけだわ。
周囲の建物も大体炭になって崩れている。まぁこんだけ燃えて、左腕だけで被害が済んだならまだマシなほうか。
「ごめんっ、ごめんなさい夢魔…!!」
「いやーこれはしょうがないっしょー。一緒に燃えるわけにもいかないしねー。気にしないでー」
「するに決まってんじゃん!! だって夢魔、腕が…!!」
「安いもんさ…なんちて」
「ばかぁ!!!」
本気で怒られてしまった。さーせん。気にするなってのは本心なんだけどね。流石に茶化しすぎた。
そんな話をしてる間にもじわじわと傷が治っていく。こういうときは人外で良かったって思うわ。人間だったら普通に死んでるだろうし。
精エネルギー自体はめっちゃあるので、傷の修復は問題ないな。流石に欠損を直すのは無理だが。
しかし…左目に続いて左腕も無くなったかぁ。何、俺の左半身は呪われてんの? 次は左足とか言わないよな?
「夢魔さん! かぐやちゃんも! 大丈夫ですか!?」
「お?」
だいぶ傷も治ったころ、かぐやちゃんの友達の花売りの子が瓦礫をかき分けて走ってきた。無事だったか、それは良かった。この規模の空襲じゃ誰が死んでても不思議じゃないし。俺とかな。
仲の良い子が生き残ったって、結局俺たちのほうが長く生きるのだろう。見送る側になるのだろう。
でも、結果が同じなら長生きしてもらったほうが当然気分がいい。というわけだから早く戦争終わってくれや。
で、戦争は良くないことだが…悪いことばかりではないようだ。終わった後だから言えることだけどね。科学技術が凄い勢いで発達していったのだ。
電話に冷蔵庫にラジオにテレビ。そして挙句に果てにはインターネットまで。ここまで八千年近く生きてきたわけだが…ようやく、現代まで近づいた実感が湧いてきた。
「見て、夢魔! Hello, world! って打ったらHello, you.って返ってくる! すげー!!」
「ついにここまで来たかーって感じだねー…」
かぐやちゃんがウミウシの体でたどたどしくチャットボックスに入力している。テンション爆上がりで可愛いね。ああいうかぐやちゃんを見ると、俺も頑張って良かったなと思う。
それは良いんだけど、絶対壊さないでね? その機械いくらしたと思う? 俺が今まで貯めてきた金の八割が吹き飛んだって言えば分かるか?? かぐやちゃんにはぜひ慎重に扱って欲しいところだ。
「んー、環境が整ってないとできることもやっぱ少ないなー。ま、良いけど!」
「それはもう少し技術が発展したらだねー」
「うん。そうだ! もっとネットが発達したら、『もと光る竹』をネットに直接つないで、たくさんの人と繋がれる!」
「おおー、夢が広がるねー」
「そんでそんで、いつか仮想世界とか大きな場所を作って、みんなが好きなことをして、殺し合うことのない、孤独にならない、いつでも返事が返ってくる空間を──」
まだまだ性能の低いコンピューターの前で夢を語っていたかぐやちゃんが急に動きを止める。え、もしかしてもう壊した? やめてくれよ(絶望)。俺が今働いてるバーの給料何年分だと思って…
と思ったが、壊したわけではないようだ。
「そっか…」
「かぐやちゃん?」
「私が、ヤチヨになるんだ。バカだなぁ、なんで気づかなかったんだろう…」
「え…?」
かぐやちゃんが、ヤチヨ…?
待て、ヤチヨって誰だっけ? えーっと…ああ、彩葉ちゃんが好きだったAIライバーのことか、思い出した。もう数千年前のことだしな。記憶が失われるわけじゃないが、思い出すのに少し時間がかかる。
いやどういうこと?? 思い出してもわからないんだが。詳しく説明おなしゃす!!
かぐやちゃん=月見ヤチヨだったという衝撃の話を聞いてからしばらく。俺たちは正倉院に納められた『もと光る竹』を回収しに向かった。
いやー驚きだったよね。まさか月見ヤチヨがかぐやちゃんの未来の姿だったとは…言われてみれば、月見ヤチヨから彩葉ちゃんにクソデカ感情が向けられていたっけ。
当時は彩葉ちゃんがAIを惚れさせたんじゃないかと戦慄していたが、正体がかぐやちゃんだったと知れば腑に落ちる。八千年も想いを募らせればそりゃ感情の矢印も大きくなるわな。
で、話を戻すが、正倉院にある宇宙船を俺たちだけで取り戻すのは…できなくはないけど、俺がとっ捕まってしまう可能性が結構高い。
守ってるのが人間の男だけならどうにでもなるが、流石に機械をどうにかするのは俺だけじゃ無理。
「今回の任務は今までで一番楽な仕事だったよ。機会があればまた一緒にどうだい? 夢魔、かぐや」
「なんかあればねー」
そこで手伝ってくれたのがこの金髪のキザ男。先日俺の経営しているバーでかぐやちゃんと駄弁りながら相談していたのだが、聞いていた常連客のこいつが唐突に協力を申し出たのだ。
話を聞いてみると、実はこの男はCIAの職員であり、日本で諜報活動をしていたとのこと。てっきり俺は、いつも水槽に入ってるかぐやちゃんと喋りに来てるだけの変人だと思ってたよ。やばいやつだと思ってた。
「今度メール送るから!」
「楽しみにしているよ」
しかしその肩書きに違わず有能な男だった。実際に正倉院に潜り込む役は俺とかぐやちゃんで、キザ男にはサポートを任せたのだが…どうやってか、警備に男しかいない状態にしてくれた。機械などのセンサーの類も全部無力化してくれたし、『もと光る竹』のレプリカも用意してくれた。
悔しいが、多分この男がいなければ『もと光る竹』を奪還することはできなかっただろう。
でも俺は認めない。なぜならこの男はかぐやちゃんに恋してる勢だから。かぐやちゃんには隠しているんだろうが、男である時点で俺のセンサーに全部引っかかってるんじゃい!!
てか俺を差し置いてウミウシに恋愛感情向けるやつ多すぎじゃない?? いくら俺が隻腕隻眼とはいえ、それ以外の見た目は超絶美少女のままだぞ。
何なら儚さが増して色気は高まってすらいる。実際吸精にも全く支障はないし。
「ところで。私のことからは彼女を守らなくて良いのかな?」
早速かぐやちゃんが『もと光る竹』をネットに接続して色々とやっているのを置いておき、俺たちはバーに戻って駄弁っていた。まぁここからは手伝えることないしな。
んで、かぐやちゃん狙いのこの男からかぐやちゃんを守らなくて良いのかって?
「んー、別に? カーターさんは
「ふむ。確かに害意はないね。しかし…」
確かにこの男はかぐやちゃんに恋しているが、害になるかと言えばそうではないだろう。無理やり連れていこうともしなかったしな。
「私が彼女を口説いて、彼女がそれに乗るとは思わなかったのかね?」
「へ? …ぷ、あはははは!!」
「…そこまで笑われるようなことを言ったつもりはないのだが」
やべ、久々にこんなに笑ったかもしれん。真面目そうな口調で面白いこと言うなよ…
キザ男は冗談を言ったつもりはないのかも知れないが、俺にとってはジョークとしか思えなかったよ。かぐやちゃんが、あんたに着いてくだって?
「かぐやちゃんが、あの子以外に靡くわけないじゃん!」
「…なるほど、完敗だ。夢魔、ブルームーンを頂けるかな?」
「あいよー」
ま、今日の酒は俺の奢りにしてやるよ。好きなだけ飲んでいきな、失恋ボーイ。片手ない状態でカクテル作るの練習したんだからな。
「件の子と…かぐやも気が多いね、全く」
「良く意味が分かんないんだが…?」
「え? …いや、何でもない。忘れてくれ」
「何なんだよー」
気が多い? かぐやちゃんは彩葉ちゃん一筋だが…まさか俺の知らないところで浮気? 待て、それは聞いてない。俺はかぐいろ派なんだよ、少なくとも男が入るのは許さんぞ。
おいカーター、何笑ってやがる。詳しく話せ!!
今度こそあと二話くらいで終わると思います(定かではない)
何がとは言いませんが、どこで「声」に気づきました?
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13話(前前々回)
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14話(前々回)
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15話(前回)
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気づかなかった