OVERLORD︰ReVerse Seraphim 作:reel
オバロ世界にあったらヤバい作者の妄想アイテムです。
ミラはとあるワールドアイテムを常に装備しており、その効果にアイテム収納があります。キーノはカルマ値反転のワールドアイテムをネックレスに変化させて装備しています。
神官長たちを狂信の渦に叩き込み、言いたいことだけを一方的に告げたミラは、これ以上この場に留まるのは精神衛生上よろしくないと判断。
ひれ伏す権力者たちを尻目に、呆然と立ち尽くすクレマンティーヌの手首をひったくるように掴んだ。
「ついて来るのじゃ!、クレマンティーヌ!」
「は、ちょっ、どこに!?」
有無を言わさず、彼女を引っ張って評議会を飛び出し、そのままクレマンティーヌに割り当てられているであろう修道女の私室へと転がり込むように逃げ込んだ。背後で
「おお、神が聖女をお導きに…!」
などという声が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにする。扉を閉め、鍵をかけた瞬間、ミラは壁に背中を預けてずるずると床に座り込んだ。
「はぁ……疲れた……」
一方、解放されたクレマンティーヌは、ミラの疲労困憊な様子などお構いなしに、腹を抱えて大爆笑を始めた。
「ぎゃはははは! なにそれ、最高! まさかあんたが本当に神様だったなんてね! それにしてもアイツらの顔、見た!? 普段、澄ましこくって偉そうにしてる連中が、みんなして鼻水垂らしてひれ伏しちゃって! あー、傑作! 今世紀で一番笑ったわ!」
彼女は涙を浮かべながら床を転げ回っている。敬虔な修道女の姿はどこにもなく、そこには本来の、サディスティックで小悪魔的な本性が剥き出しになっていた。その楽しそうな様子を見て、ミラの疲労感が少しだけ和らぐ。
ミラは、床に座り込んだまま顔を上げ、クレマンティーヌに向けて不敵な笑みを浮かべた。それは、何かとんでもない悪戯や、面倒ごとを企んでいる時の、彼女特有の表情。
幼い頃から、この笑みの後にろくなことがなかったことを、クレマンティーヌの身体は覚えていた。
彼女の笑いがピタリと止まる。その目は、獲物を前にした猫のように、警戒心も露わにミラを睨みつけた。
「…なによ、その顔。まさかまた、何か変なこと考えてるんじゃないでしょうね…?」
声には楽しげな響きが残っているが、その内面はヒヤヒヤものだった。この少女の「変なこと」は、自分の常識を遥かに超えたスケールで展開されることが多いのだ。
ミラは、その反応を楽しむかのように、ゆっくりと口を開いた。
「…いや、大したことではないのじゃ。実はお主に、ひとつ頼みがあってのぅ…」
彼女はゆっくりと立ち上がり、クレマンティーヌに一歩ずつ近づく。そして、逃げ場を塞ぐように彼女の肩に両手を置くと、逃がさないとでも言うように、その顔を覗き込んだ。
「――クレマンティーヌ。お主、聖女になるのじゃ」
一瞬の沈黙。クレマンティーヌは、自分が何を言われたのか理解できなかった。
聖女? この私が?
「は…?はぁ!? あんた、頭おかしくなったんじゃないの!? あたしが聖女!? 寝言は寝て言いなさいよ!」
クレマンティーヌが素っ頓狂な声を上げて反論するよりも早く、ミラは人差し指を彼女の唇に当ててその言葉を封じた。
「ちなみに、拒否権はないのじゃ」
その青い瞳は、有無を言わせぬ強い意志を宿していた。それは、神の命令でも、熾天使の威光でもない。長年の付き合いで築かれた、腐れ縁の友人としての、絶対的な『決定事項』の通達だった。
クレマンティーヌは、これから自分に降りかかるであろう、とんでもなく面倒で、しかし最高に面白そうな未来を予感し、顔を引きつらせるしかなかった。
「聖女になれ」という、あまりにも突飛な命令。クレマンティーヌは一瞬、思考が停止した。だが、すぐに我に返ると、全身で拒絶の意思を示した。
こんな馬鹿げた話に付き合っていられるか。彼女の思考は、即座に『逃走』の一択に染まる。
「冗談じゃないわよ!」
クレマンティーヌは悪態をつくと同時に、驚異的な瞬発力で身を翻した。会話など不要。この面倒くさい熾天使から一刻も早く離れる。その一心で、部屋の窓枠に足をかけ、躊躇なく外へと飛び出した。ここは修道院の数階に相当する高さだが、元漆黒聖典である彼女の身体能力をもってすれば、無傷で着地することなど造作もない。
――はずだった。
窓から飛び出し、夜の冷たい空気を肌に感じた瞬間、クレマンティーヌの首根っこに衝撃が走った。ぐえっ、と蛙が潰れたような声が漏れる。まるで猫の子のように、修道服の襟首を後ろから鷲掴みにされていた。
身体が宙に浮いたまま、なすすべなく部屋の中へと引きずり戻される。
「逃がさんと言うたじゃろうが」
背後から聞こえるのは、呆れたような、しかし有無を言わせぬミラの声。そして、クレマンティーヌが最も苦手とする、あの予感が頭をよぎった。
「いっ――!」
ゴツン、と鈍い音が響く。
ミラの振り下ろした拳骨が、クレマンティーヌの頭頂部にクリーンヒットした。それはただのゲンコツではない。
彼女の防御スキルや耐性を無視して、脳の芯まで直接響く、理不尽なまでの『痛み』を伴う一撃だった。
「いったぁぁぁぁぁい!!! なにするのよ、このゴリラ女!」
クレマンティーヌは頭を抱えてその場にうずくまる。涙目になりながら、本気で悪態をついた。神だか熾天使だか知らないが、この物理的な痛みだけは、どうにも我慢ならない。
ミラは、うずくまる彼女を見下ろし、やれやれと首を振った。
「お主のぉ…ワシの話を少しは聞く気になったかの? それとも、もう一発お見舞いされたいか?」
ミラはポキポキと指関節を鳴らしながら、悪戯っぽく笑う。その笑顔は、クレマンティーヌにとって悪魔の微笑みにしか見えなかった。
「〜〜〜っ! わかったわよ! 聞けばいいんでしょ、聞けば! だからもう殴らないでちょうだい!」
彼女は完全に屈服した。これ以上、この理不尽な痛みと付き合うのはごめんだ。渋々といった体で立ち上がり、ベッドの端に乱暴に腰掛けると、ふてくされた顔でミラを睨みつけた。
「で? なんなのよ、聖女って。あたしにそんなガラじゃないことくらい、あんたが一番よく分かってるでしょ? からかってるなら、本気で怒るわよ」
その言葉に、ミラは真面目な表情に戻った。今度は、からかいではない。これは、この世界を救うための、重要な計画の一部なのだから。
「からかってはおらぬ。本気じゃ。お主には、ワシの代弁者として、このスレイン法国を内側から導いてもらう。
お主が『神に選ばれた聖女』となることで、あの頭の固い神官長どもも、お主の言葉を無下にはできんようになるからのぅ」
クレマンティーヌに「聖女計画」の概要――スレイン法国におけるミラの代弁者となり、彼らを正しい方向へ導くための象徴となれ、という一方的な宣告を叩きつけたミラ。
クレマンティーヌは、不満と面倒臭さを顔全面に浮かべながらも、先ほどのゲンコツの痛みがまだ頭に響いており、これ以上の反抗が無駄であることを悟っていた。
「…だいたい分かったわよ。要するに、あんたの操り人形になって、あのジジイ共の前で聖女様ごっこをしろってことでしょ? 面倒くさいこと、この上ないわね…」
ぶつくさ文句を垂れるクレマンティーヌに、ミラは満足げに頷いた。これで、計画の重要な駒が一つ手に入った。
長居は無用。神官長たちが、消えた「神」を探して騒ぎ出す前に、ここを去らねばならない。
「物分りが早くて助かるわい。では、ワシはこれで失礼するのじゃ」
ミラはそう言って、転移魔法の発動準備に入った。だが、去り際にふと何かを思い出し、悪戯っぽく振り返る。その顔には、先ほどクレマンティーヌを震え上がらせた、あの不敵な笑みが再び浮かんでいた。
「あ、そうじゃ。言い忘れておった」
クレマンティーヌの背筋に、嫌な予感が走る。
「お主が『聖女』になること、先ほどの神官長たちには、ワシから神託として伝えておくからの。というわけで、今日から早速『再教育』じゃよ。
そのチンピラみたいな口調も、行儀の悪い立ち居振る舞いも、全てやり直しじゃ。聖女にふさわしい、淑女としてのマナーを、みっちり叩き込んでもらうからのぅ」
それは、満面の、それはそれはとても良い笑顔であった。
「はぁああああ!? 冗談じゃないわよ! なんであたしが今さらそんな堅苦しいことを…!」
彼女の悲鳴が部屋に響き渡る。だが、その声が届く前に、ミラの姿は光の粒子となってかき消えていた。
後には、絶望に打ちひしがれる元漆黒聖典と、これから始まるであろう地獄の淑女教育を暗示する、ミラの楽しげな笑い声の残響だけが残されていた。
スレイン法国から帰還したミラ。骸骨姿に戻った悟が、赤く光る瞳孔を向け口を開く。
「おかえりなさい、どこに行ってたんですか?」
「ちょいと野暮用じゃよ。実はの…」
ミラはスレイン法国であったことを悟達に伝える、そしてニヤリと何かを企んでいる顔になった。
「まぁ、本来の目的はワシが常に表にいるのは疲れるから、クレマンティーヌに押し付けるためなんじゃがのぉ…」
その不敵な笑顔と熾天使から出てくるとは思えない彼女らしい言葉を聞いて、目を合わせた悟とキーノは苦笑いを浮かべた。
それより、今後のことじゃ。法国はひとまずワシとクレマンティーヌに任せるとして…お主はどうするつもりなんじゃ? いつまでもここにおるわけにはいかんじゃろう?」
ミラの問いに、悟はうーん、と唸った。金を稼ぎ、いるかもしれない旧友を探す。だが、そのための具体的な方法が見つからないでいた。
「そうなんですよね…この世界の情報を集めたいのはありますけど、鎧をずっと着たとしても、もし兜を外す時があれば、この見た目じゃ、街で大騒ぎになっちゃいますし…」
そこで、悟はぽつりと、心の底からの願望を呟いた。
「…いっそ、人間みたいに冒険者でもやって、自由に世界を見て回れたら、どんなにいいか…」
その言葉を、ミラは待っていた。
「それじゃよ!」
彼女は待ってましたと言わんばかりに、身を乗り出した。そして、おもむろに空間を指でなぞると、虚空から一つの小さな箱を取り出す。
それは、彼女の装備しているワールドアイテムに収納されていたものだ。パチン、と軽い音を立てて箱を開けると、中には銀色のシンプルな指輪が収められていた。
「これは
ミラは指輪を手に取り、悟の目の前に掲げてみせる。
「これを装着すれば、お主のようなアンデッドが持つ種族的な特性――その精神の平穏を強制する感情抑制や、不眠不休といったパッシブスキルを、一時的に封印するのじゃ。その代わり、あたかも生きておる人間のように振る舞うことが可能になるのじゃ。」
悟の、何もないはずの眼窩が、驚きに見開かれた。感情抑制の解除? 人間のように? それが意味するところを、彼は一瞬で理解した。
「食事も睡眠も、普通の人間と同じように摂れるようになる。怪我をすれば痛みを感じ、血も流れるじゃろう。つまり、この指輪を装備すれば、お主は『人間』の冒険者として、この世界を自由に歩き回れるようになるということじゃ。更には
キーノは手を掲げ、その指輪を見せる。
「はい、この指輪のお陰で私も普通の人間の女の子として生活出来ますし、ミラ様の回復魔法で治癒も可能です。」
「そ、そんな都合のいいアイテムが…!?」
「まあ、長年探し回ったからのぉ。これを装着すれば、お主の精神抑制や不眠などのパッシブも消えるのじゃ。普通に食べたりすることも出来る。
じゃがのぉ…お主はこの世界の住人では無いからの、仕様が違う可能性があるのじゃ…多分…」
ミラの最後の、少し自信なさげな一言に、悟は思わず素のツッコミを入れてしまった。
「多分かよ!?」
そのやり取りに、キーノがくすくすと楽しそうに笑う。静かな森の中には、未来への希望に満ちた、明るい雰囲気が漂っていた。
クレマンティーヌは外伝作品?で聖女になった事があると聞きましたが、今作ではそうなって頂きます。
後クレマンティーヌの髪の長さはロングです。
主人公のクラス構成はどれだとおもいますか?
-
純粋な物理職!
-
マジックキャスター
-
修道服ということでヒーラー
-
まさかの召喚術?
-
それ以外!