「ああ、やっぱり失敗した。分かってたのに。けど、なんで…ミレイ、また、あえても良かったでしょ、なんで、私が生き残って…」
目が覚めた時、目の前になんかブツブツ喋ってるエルフがいた。
…ふぅん。私は魔導人形で、この人が私を作ったんだ。ふむふむ、魔導人形は魔法によって作られた人工生命で、前もって知識が入れられてる…と。
…それにしても、
「無理なんだ、もう、なんで、なんで…」
「うるさい」
「へぐっ⁉」
蹴った。
☆☆☆
私を作ったエルフの名前は、フィリアルセアミルというらしい。…、
「で、名前長い生物、私は何をすれば?」
「え、ちょ、ちょっと待って、私なんで蹴られて…え?私が主だよね…え?あと名前が長い生物って…私の名前の情報は入れてる…うん。まぁ名前長いって言われてるのから入ってるか。…ん~?じゃあなんで?魔導人形って私に忠誠誓ってくれたり…」
「話が長い」
口をつまむ。
「
「…。この人はまともに喋ることすら出来ないんですか…」
「
…流石に離しますか。
「で?何の用で私を作ったんですか?」
「…ぷはぁ。その前に、なんで私蹴ったり口を塞いだりしたの?」
「うるさいし話が長いからです」
「…。私、一応あなたの主なんだけど…?」
そう言われても正直、作ってもらったことに対しての感謝とかも特にないですし…。
更に威厳も何も無いですし、なんかダメダメな雰囲気ですし。…。
「…本当に私を作ったんですか?」
「情報入れてるよね⁉あーもーこのポンコツ!!お前は今日から失敗作!!そう呼ばせてもらうからね!!」
…。ポンコツはそっちでは?そして流石に失礼では?
☆☆☆
「で、ここは…街ですね」
私…あー、名前名乗りたいですけど失敗作っていうのは癪ですし…まぁ適当に名前を…『トワ』とでも名乗っておきますか。
じゃあリテイクで。私、トワは『
「『
実際入れられた情報では軽い堀と竹の囲いがされた村だったんですけど、ここにあるのは石造りの壁に囲まれた街。『
「取り敢えず、門の所にいくらか人が並んでますし、私も並んでおきますか。」
さっさと現在の常識を蓄えましょう。
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私、フィリアルセアミルは魔導人形を作った。目的は、私のせいで死んでしまった友人のミレイを蘇らせるため。
魔導人形を依代にして死者の魂を込める。そんな魔法に優れたエルフですら出来る者は皆無であろう魔法。私はその魔法の発動には成功し、けど、ミレイの魂はそこに無かった。
…正直、分かっては、いたのだ。死者の魂は長く現世にとどまることはないと。あったとしても、それは怨霊と呼ばれるものであると。
けど、縋りたかった。また、ミレイに会えるのだとしたら。また声を聞きたい、許して貰えずとも、謝りたい、もう一度一緒に旅を…
「うるさい」
「へぐっ⁉」
腹部への痛みに、思考が吹き飛んだ。
☆☆☆
魔導人形、改め『失敗作』は、本当に変わった奴だった。
まず、私が主であるはずなのに、私を敬う気持ちが一切無いのだ。普通、魔導人形に関わらず、主には敬意を払うべきである。
「おはようございます。目は覚めました?(空になったバケツ構えながら)」
「エルフって草食べるんですね。ということで朝食は雑草です。」
「『
「…。真面目に聞きますけど、今までどうやって生きてたんですか?」
以上、失敗作の語録の一部。
「ぬうぁっとくいかない!!」
本当に何なのあいつ⁉なんか今日はいないから愚痴垂れるよ⁉相手居ないけど‼
「まず、私は旅に出たエルフ。だから森には戻れないし、人里に住むこともできない。だから引きこもりニートではない!!引きこもりニート言うな!!第一自給自足でちゃんと生活できてるし…‼」
「家事能力まったく無いのに、なんでそんな寝言ほざいてるんですか?」(幻聴)
「あああ!!うるさい!!まず朝起こしてって言っただけなのにのに水かけてくるのおかしいし、エルフだって雑草はあんま食べないし、なんなら肉は食べるし、てかそういう知識もちゃんと入れたはずなのに…あああああもおおおおお!!」
なんかもう、むしゃくしゃする!!酒の解禁だぁぁぁ!!
☆☆☆
「ねぇ、失敗作。私が、あなたの、主。いい?」
「はい。『
「…約一ヶ月、なんで私を放置してどっか行ったの?」
…そう、この失敗作、約一ヶ月居なくなっていたのだ。心配したこっちの身にも…や、心配はしてない。ただ…そう、家事が怠くて困っていただけ。うん。
「色々と情報集めを。『
「ひどくない⁉」
エルフって知能が高くて長寿で魔法の腕もすごいんだよ?そんな私から貰った情報に対して何を…。間違いなんてあるわけ…
「てか情報が全部古いんですよ。時代遅れの知識ばっかり持ってるせいで結構苦労しましたよ」
…。あー、まぁ、エルフだし。そういうものでしょ。
「あ、ついでに、」
失敗作が急接近してきて、そのままじっと見つめてくる。
「な、なに…てか本当に近…」
ちゅ
…んぁ⁉一瞬意識とんだ⁉
「これで子供はできませんよ、純粋マスター」
「え?ちょ、何をしたの⁉」
「さーて。じゃあ私は家事やってるので」
「え、ちょ、失敗作⁉ねぇ⁉」
裏話のコーナー!!以下反転です
・制作秘話
寿命差のある百合を見る→最後が心中で終わる寿命差百合って良さそうじゃない?→作者のキャラを殺せない致命的な欠点が発揮され、ルーズリーフに下書きを書いた後、発狂→今の形になる
・元の話
主人公が何度も愛するものを失っていき、最後に心中を選ぶ。勿論トワも壊れてる。
・元の話でのトワ
死んだ親友を再現できなかったが故の『失敗作』呼び。魔導人形としての耐用年数を大きく越えながらも主人公と一緒に居続けたが、結局壊れてしまう。
名前は『星花永遠』。星花というのは10年に1度しか咲かない花という設定で、これを楽しく見るトワと寿命が長く何度も見て飽きている二人の対比と、耐用年数を大きく越えていることを暗に示す舞台装置にする予定だった。…そんな話は書けなかった。
・名前の由来
フィリアルセアミルは『フィリア』(意味は愛するとか)に適当に足した。愛するものを失う者の名前が愛を意味しているという結構な皮肉。
ミレイは『301』主人公が魔導人形を番号呼びするという初期案があったため、番号ぽい名前にしたかった。
・ミレイについて
無邪気な性格のエルフ。フィリアルセアミルを庇って死亡した。
…。本当にこれしか設定がない可哀想な人。そして作者の『キャラを殺せない病』が発症してないため、どうやら作者にすらキャラと認識されてない。哀れすぎるぞミレイ。