緑谷久?いや、俺○○じゃないか!?緑谷久(転生者)短編集   作:緑谷久を魔改造して皆を怖がらせましょう!

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檀黎斗じゃないか!?②

第二章:緑谷出久・ゲームスタート

ゲーマドライバーという至高のシステムをこの世界で構築するにあたり、久の前に立ちはだかったのはたった一つの、しかし根本的な問題だった。

――ドライバーの使用適合条件である。

本来、ゲーマドライバーを扱うには「適合手術を受ける」「原初のバクスターウイルスに感染する」「人間の遺伝子を持つバグスターである」という三つの条件のいずれかを満たす必要がある。三番目の「自身がバグスターとなる」選択肢は論外として即座に棄却した久だったが、幼い出久に危険な適合手術を受けさせるのも、リスクの残るバクスターウイルスにそのまま晒すのも、父親として、そして完璧を求めるクリエイターとして承服しかねた。

コンソールの青い光を浴びながら、久は爪を噛み、数時間にわたって思考の海へと潜行した。

「……フッ、適合しないなら、適合するように身体の構造そのものを『書き換え』ればいいだけの話……!」

久の脳裏に、かつて別世界の映画で見た一幕――蜘蛛に噛まれ、DNAそのものが変質した青年の姿が閃いた。

バクスターウイルスを根本から改変する。病原体としての毒性を完全に無力化し、感染者のDNA構造を直接再構築する『適合遺伝子キャリア』へとアップデートするのだ。これならば、手術のメスを入れることなく、ただウイルスを体内に定着させるだけでゲーマドライバーの完全な適合者となれる。

地下室に引きこもって丸二日。睡眠すら忘れて狂ったようにキーボードを叩き続けた久は、ついに試験管の中に輝く美しい紫色の液体を掲げ、けたたましい高笑いを上げた。

「ハハハハハ! 完成した……完成したぞ! 改良型バクスターウイルス!! これぞまさに神の領域! 既存の生物学すら私の創造力の前には赤子同然だ!」

久は躊躇なく、そのウイルスを自らの腕に投与した。直後、猛烈な全身の倦怠感が波のように押し寄せ、膝をつきかけたが、ほんの数十秒でその不快感は嘘のように消え去った。全身の細胞が、未知の力と完璧になじんだ感覚。

「フハハ……完璧だ! 身体の細胞が歓喜している!」

久は卓上に置いたベルト――ゲーマドライバーを腰に装着した。カチャリと重厚な金属音が響き、腰にしっかりと固定される。そして、手中に握りしめたプロトタイプのガシャットのボタンを押し込んだ。

『マイティアクションX!』

「変身!」

ガシャットをドライバーのスロットに突き刺すと、久の周囲にデジタル表記の空間が展開され、色鮮やかなエフェクトが旋風となって吹き荒れた。

『ガシャット! レベルアップ! Mighty Jump! Mighty Kick! Mighty Mighty Action X!』

光が収まった時、そこに立っていたのは、頭身の低いコミカルで力強いSD体型の仮面ライダー――仮面ライダーゲンム レベル1の姿だった。

「フ……フハハハ! 素晴らしい! システムの起動、身体機能の拡張、レベル1のスペック……全て計算通り! 実験は完全なる成功だ!!」

久は変身を解除すると、興奮冷めやらぬままインターホン越しに上の階へ呼びかけた。

「出久! 今すぐ地下へ来い! 奇跡の瞬間だ!」

「お、お父さん……? ここ、なに……?」

薄暗くもハイテクな機材が並ぶ地下ラボに降りてきた幼い出久は、目を丸くして周囲を見回していた。久は不敵な笑みを浮かべ、手に持ち替えた大型注射器型のデバイス――『ガシャコンバグヴァイザー』を構えた。

「出久、動くのではないぞ。これはお前が『神の領域』へと足を踏み入れるための、聖なる儀式だ」

「えっ、あ、お父……っ!?」

ガシャコンバグヴァイザーの先端が出久の腕に触れ、緑色の光の粒子がスーッと体内に注入された。

「うぐ……っ!?」

幼い体には少々刺激が強かったのか、出久は視界を揺らし、膝を折ってふらついた。出久の母・引子が見れば悲鳴を上げるような光景だったが、久は確信に満ちた目で息子を見つめていた。

数秒の後。荒い息を吐いていた出久が、ゆっくりと顔を上げた。その瞳には、先ほどまでの弱々しさは消え、全身に力が満ち溢れるような力強さが宿っていた。

「……あれ? なんか……身体が、すごく軽い……?」

「フハハハ! 成功だ! お前の細胞は今、世界で最も気高き『仮面ライダー』の力を受け入れる準備が整った!」

久は興奮で肩を揺らしながら、出久の前に膝をつき、渡したのは鮮やかなピンク色の『マイティアクションXガシャット』と、小さめのサイズに調整した『ゲーマドライバー』だった。

「さあ出久! それを腰に巻き、ガシャットのボタンを押すのだ! お前自身の手で、運命のゲームをスタートさせろ!」

「僕が……変身……?」

出久は受け取ったゲーマドライバーを腰に当てた。カチャリと自動でバンドが巻き付き、小さな体にジャストフィットする。生唾を飲み込みながら、出久は震える指でピンクのガシャットのスイッチを押した。

『マイティアクションX!』

眩いポップな電子音が地下室に響き渡る。出久の目が輝いた。

「さあ、叫べ! 『変身』と!」

久に促され、出久はガシャットを強く握りしめ、幼いながらも力強い声を張り上げた!

「……変身っ!!」

ガシャットがゲーマドライバーのスロットへセットされる!

『ガシャット! レベルアップ! Mighty Jump! Mighty Kick! Mighty Mighty Action X!』

光の粒子が弾け、出久の全身を色鮮やかな装甲が包み込んだ。

そこに現れたのは、ピンクとネオングリーンの鮮烈なカラーリングを纏った――仮面ライダーエグゼイド レベル1。

「う……うわあああぁぁぁっっ!? すごい! すごいよお父さん! 僕、丸くなってる!? 体が勝手に動く……ううん、力が湧いてくるんだ!!」

出久は自分の小さな丸い手を何度も握り締め、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。レベル1特有の圧倒的なジャンプ力で、頭が地下室の天井に届きそうになり、着地するたびにデジタルな効果音がピコピコと鳴り響く。

久は変身を解除した出久の肩を掴み、天を仰いで腹の底から笑い声を爆発させた。

「ハハハハハハハハハ! 見ただろう出久! これが私の『神の才能』だ! 個性などという不確定な奇跡など、このテクノロジーの前にはただのゴミ屑に過ぎん! お前は今日、世界で唯一の『仮面ライダーエグゼイド』として生まれ変わったのだ!!」

「うん! うんっ! 僕、ヒーローになれる! 仮面ライダーになれるんだね、お父さん!!」

出久は興奮で顔を真っ赤にし、ガシャットを宝物のように抱きしめて跳ね回った。久もまた、自らの最高傑作の完成と息子の笑顔に狂喜乱舞し、地下室は二人の歓声と高笑いで満たされていた。

――ガチャン。

重厚な地下室のドアが、静かに、しかし絶望的な重みを持って開いた。

階段の頂点に立っていたのは、腕を組み、額に何本もの青筋を浮かべた妻・引子の姿だった。その背後には、まるで悪鬼のような暗いオーラが揺らめいている。

「……久さん? 出久?……今、何時だと思っているの?」

氷点下を突き抜けるような静かな声が地下室に落ちた。

「ひ……引子……? いや、これはだな、出久の新たなる運命の祝砲であって――」

「 夜中の二時に何でそんな大声で騒いでいるの!! 大体、出久にそんな危なさそうなもの持たせて何をやっているのよーーーっ!!」

「ヒィッ!?」

「ご、ごめんなさいお母さん!!」

さっきまで「神」として高笑いを上げていた男は、般若の如き顔で怒り狂う妻の前に即座に正座させられ、ゲーマドライバーを抱えた出久とともに、小一時間にも及ぶお説教を受ける羽目になるのだった。

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