とぼとぼと、閑静な住宅街を歩いている者がいた。
その者の名前は、田中
彼には一つ、趣味があった。それは、完全なる未来予知ソフトを作る事。通常の規格のパソコンでも作動するような最小限のスペックで、『ラプラスの悪魔』を作ろうとしているのだ。
「うーん、今のままやと、正答率8割程度か...まだまだやな」
彼は、塾、『月明かり』の帰り道でひとりごちる。
「このままやったところで、ただの占い程度にしかならん」
トウシは自身のやっている事の凶悪さを十二分に理解している。だからこそ、彼は宣言する。
「これは、ワシにしか出来ない不可能や」
そう、言った瞬間だった。目の前がピカッと光りに包まれた。トウシは反射的に目を瞑る。
そして、目を開けた先には...
(馬車...?それにケモノの耳を生やした獣人もおる...)
明らかに先ほどいた住宅街とは異なる場所にいた。
彼はその場で整然と腕を組み、雲一つない青空を見つめる。そうして、彼の明晰な頭脳は回転する。
(幻覚...ありえへんな。ワシがそんなチャチなモンに引っ掛かる可能性はない。それに、このレンガ作りの家屋達、馬車、獣人...即ちこれは...)
トウシはため息をついた。
「異世界転移ちゅうことやろうな...なんで、ワシの周り、こんな変なことばっか起きんねん...」
彼は異常自体につい髪をかく。そうして、始まった。彼の異世界生活が。
______
トウシが冷静に状況を観察している時、近くから大声が聞こえた。トウシはそれがなんなのかはわからなかったが、非常事態だろうということで、そこに向けて走り出した。
そうして、垣間見える。
「お前さんは...誰や?」
「ん?俺の名前は菜月スバル...もしかして、お前も同卿の人間か?」
スバルと名乗った人間は、トウシの服装を見てそう質問する。そう、トウシの服装は現在、学校指定の制服である。それは、この世界の人間からしたら違和感の塊でしかないだろう。
「日本って知ってる?」
スバルは続け様にそう言うと、トウシは騙す通りもないかと答える。
「ああ、勿論知っとるで。ワシの生まれ故郷やからな」
そう答えると、スバルはよっしゃあと腕を振り上げる。
「よっし!俺以外にも異世界転移者発見!これはあれだな?海外で同じ日本人と会うと妙な親密感がでるあれだな?」
「そんなに、これとかアレとかこれとか指名代名詞ばっか使うなや。まあ、とりあえず、安心してもろて良かったわ」
そう言いながら、スバルは路地裏に入ろうとする。
だが、そこに待ったをかけるのがトウシだ。
「お前、もしかしてこの先に行こうとしとる?」
「ん?ああそうだが。なんか問題でもあるのか?」
「問題大アリや。こんな治安が悪そうな場所の路地裏なんてまともなとこちゃうやろ。常識的に考えて」
「じゃあ証拠を出してみろよ」
スバルはあえて挑発的に言ってみた。ただのノリで言っただけの発言に過ぎなかったのだが...
「まず、街の治安というのは二つに分けられる。街の環境状況と、犯罪率や。お前も幾度も目にしたと思うが、この街のポイ捨て率は尋常じゃない。叫喚も幾つか聞いとるはずや。犯罪率もそれに比例して高いと言えるやろう。そうなれば、薄暗いこの道で、危険な目に会う確率は高いと言える」
全部状況証拠にもならん、推理やけどな。そう最後に付け足し、トウシは話を終えた。
その姿に、スバルは少し慄く。
「トウシ、お前の年齢っていくつぐらい?」
スバルは何故か、どこか緊張しながらもそう言うと、驚きの返答が返ってきた。
「ワシの年齢か?14歳や」
「...もしかしてお前、俺より賢くねえ?」
「...さあ?まあ路地裏にいくのは危ないっちゅうこった。それでもいくんか?」
そう問われたスバルは...
「初志貫徹を貫くのがこのナツキスバル様だぜ!それに、あれはただの推理だろ?当たっている可能性なんてらきっと少ないぜ」
「そうか...なら勝手にせえ」
そう言いながらも、トウシもついていくようだった。
その姿をみて、案外ツンデレな所があるのではないかとスバルは思った。
路地裏に入っていた二人。だが、そこで待ち受けていたのは案の定、三人の物取りであった。
「やべえ、強制イベント発生だ」
スバルは動揺するが、持ち前のから元気と異世界に来たという異常自体で得た脳内物質を使い、なんとか体勢を保つ。
「異世界召喚だぜ?無双パターンからすれば、ひょっとしたら俺はこの世界じゃメチャクチャ強いかもわかんねぇ。なんか重力が元の世界の十分の一とか……そう考えたら体が軽い気がしてきた! いけるかもわかんねぇ!」
そう言いながら、スバルはチンピラ3人組へと猛ダッシュし、全力でぶん殴る。
それを、トウシは冷静な目でそれを見つめる。
(筋力はなかなかにあるようやな。だが体幹は並、おそらく武術は習っておらず、地道な筋トレをしてきたタイプ...今のチンピラの吹っ飛び方からさて、殴りははおおよそ130kg程度でとる。そこから計算するに、握力は70程度と捉えれるな)
トウシは頭の中で相手の体重、スバルの打撃、それらを全て計算する。そうして気づく、
(今この状況が続けばスバルは勝つやろうけど、相手がヒカリモン、ナイフでも出してきたら大して武術もやっとらんスバルじゃ太刀打ちできへん...)
ナイフに対抗できるのは圧倒的な武術なのだ。それが、スバルには足りていない。
トウシはチンピラの男のポケットに注目する。その形状はナイフの影を作っており、その中には案の定、ナイフが仕込まれているのだろう。
トウシがそこまで考えた時にも、スバルとチンピラ3人の戦いは続いていた。
(さて、ワシはどうしようか...)
トウシは後ろから戦いを見守りつつも、行動を悩んでいた。
その時だった。
金髪のセミロングの少女が、その場を突っ切っていったのだ。そうして、「逞しく生きろよ!」と無責任すぎる一言を浴びせてどこかへ去っていった。
それに一瞬動揺したトウシであったが、すぐに行動を行った。
(はぁ...まあ、こうするか)
トウシはため息をついてから声をあげる。
「おい、お前ら、ワシと勝負しろ」
丸まったスバルを相手にしていたチンピラがこちらを向く。
「あぁ?なんだお前、まさかそのひょろひょろの体で俺たちに勝てると思っているのか?このクソガキが」
「知らんよ。まあやってみればわかるんとちゃう?」
トウシは構える。だが、その構えは素人から見ても、ガラ空きだとわかるほど不慣れなように見える。
しかも、男の指摘通り、トウシの身体はひょろひょろだ。中肉中背、しかも現在14歳のまだ成人にすらなっていない少年。
大柄な男が、容赦なくトウシの顔面に向けて殴りを決める。
トウシは普通に吹っ飛んだ。
「トウシ!」
ボコボコにされ、伏せていたスバルが声をあげる。
だが...
「あー、なるほど。こう言うことね」
トウシは意味深な発言をする。そうして、顔面を殴られ、鼻から血が出ていたため、その血を拭き取ってから、再び両者は相対する。
「なんかよくわかんねえが、結局はさっきと同じだよなぁ!」
大柄な男が、またもやトウシの顔面に拳を入れる時だった。
「つまり、こうすればええんやろ?」
トウシはスラリとその拳を受け流すと、大柄な男の顔面にカウンターを入れた。その行動に、チンピラは驚く。
「なん...だと!?」
だが、トウシは、自身の状態を確認することに没頭しているようだ。そうして、反省する。
「あー、完全に完コピし過ぎたな。もっとこう、自分の体に適応させて...」
トウシがぶつぶつ呟いている間にも、もう一度大柄な男が殴りを繰り出してくる。それをトウシは、
「別の技だしてくれ、それはもう見飽きた」
そうして、先ほどよりも完璧なカウンターを繰り出し、それは先とは違い、男の顔面にクリーンヒットした。
「ぐええええぁ!」
「さて次はお前や、ナイフ忍ばせてるんやろ?とっととだせえ」
「っ!なんなんだよオメエは!いいだろう、滅多刺しにしてやるよ!」
そう、ナイフ男がトウシに襲いかかる時だった。
「そこまでよ」
戦場に、凛とした声が響いた。それは、この場にいる絶対強者の声。その発生源は、銀髪の少女だった。
トウシとスバルは、両者ともその方を向いた。
「これで三体三だね。平等って言えるんじゃないかな?」
更によくわからないのが、少女の隣に突如として現れた猫のような生物だった。
だが、彼女らはどうやら重鎮なようで...
「おいおい、あいつ精霊使いだ...しかも銀髪のハーフエルフだ!」
「に、逃げろっ!!」
「お、置いていくんじゃない!!」
そういって、チンピラ三人衆は逃げて行った。
(精霊使い、ハーフエルフ...様々なファンタジー用語がようでとるなぁ...)
トウシはそんな事を思いながらも、スバルが大丈夫か気に留める。
「スバル、大丈夫か?」
「ん、ああ、ちょっと頭がガンガンして体がビシビシ言っているが平気っちゃ平気...あー、まて、ヤバいかも」
そういい、スバルは倒れた。それに対し、ハーフエルフと呼ばれた少女は焦ったようにスバルを看護する。
まあ、その席は猫の妖精に取られたようだが。
その間、トウシは銀髪の少女と言葉を交わす。
「ワシの名前は田中トウシ、年齢は14歳や」
「私の名前は...サテラ。そういえば、あなた達は金髪の少女を見なかった?」
少女、サテラは目を伏せながら質問した。
だが、銀髪の少女、サテラの不自然な挙動をトウシは見逃さなかった。
(自身の名前を言うだけなのに、不自然な間が空いとる。話の流れもおかしな点がある。相手を信用させて情報を元から聞く気なら最初から堂々と名前を名乗り上げたほうが合理的や...つまり、この女は嘘を吐いとる。特に...名前、やろうか。そこにこの女の嘘が紛れ込んどる)
トウシはそこまで一瞬でそこまで分析すると、サテラからの質問に答える。
「ああ、ワシ達は確かにその少女をみたが、無関係や。人違いで悪かったな」
そう言うと、サテラは焦ったような顔つきになる。
「そんな...あれはとても重要なモノなのに...」
「そうだね。あれがなかったら、きっと失格になるんじゃないかな」
「そうだよね...パック...」
ついでに知れた。この猫妖精の名前はパックというらしい。
そんなこんなで慌ただしい状況の中、一人声を上げる者がいた。
「なら、俺に任せてみないか?サテラ」
「あれ?もう起きたの?」
パックに膝枕されていたスバルが起きたのだ。そして、スバルは言う。
「なにか大切なもんなくしてんだろ?なら手伝ってやるよ!この天下一の無一文がな!」
「...」
スバルがそう言うと、サテラは遠慮がちに断っていたが、最終的には承諾した。
トウシはと言うと...
「サテラ、お前のその精霊ってのは魔法なのか?」
魔法に興味津々であった。
「ええ、私は精霊術師。魔法も使えるわよ」
サテラは手のひらの上に氷を作ってみせた。
それに対し、スバルは驚愕を、トウシはつい心の中でガッツポーズをとった。これなら、なんとか帰れるかも知れない。
トウシは、紋章探しというのを手伝うことにした。どうやら、このサテラという人物は最初に見た通り重鎮らしい。よって、このつでを強くすれば、魔法を扱える可能性が高くなると言うことだ。
そうして、トウシは紋章探しをスタートした。
________
夕暮れ前、彼らはスラム街の盗品倉についた。辺りを見て周り、情報徴収しながらたどり着いた場所がここだったのだ。なんと、情報収集にはトウシが活躍してくれた。「大事なもんなんやろ?ならさっさと済ませたほうがいい」と言いながら、寄り道ガン無視でここにきたのだ。
スバルが中には入っていく。その次に、サテラ、トウシの順だ。パックは定時で帰った。使えないやつだと思う。
そんな風に思っていた直後だった。悲鳴が聞こえた。
スバルは足底からペチャリと不愉快な音を聞いた。それを手で拭ってみると、そこには大量の血が付着していた。
「ぐぅおおおおおお!!!」
「お前!何してくれてんだぁ!ウチの親父に!」
男の断末魔な様なモノと、可憐な少女の声が聞こえる。きっと、先に聞こえたのが腕を切り落とされた張本人だ。そして後に聞こえたのが金髪の少女の声だろう。
「ーーーああ、見つかってしまったのね。それじゃ仕方ない。ええ、仕方ないのよ」
その、女の冷淡な声が聞こえた瞬間だった。後ろのトウシがスバルにぶつかり、両者転がる。
その結果、女の手に持っている刃はトウシの体を掠っただけに収まった。
「っっ!!ありがとう、トウシ!」
「んなこと言っとる場合か!くるで!」
トウシがそう叫んだとき、女の狂気じみた笑い声と共に独特な形状をしているナイフ、ククリナイフがスバルとトウシを襲う...が、
「させない!」
サテラの魔法が女の攻撃を封じ込める。
その間、トウシはサテラの攻撃を、武術を演算していく。
(あそこまでの威力の刃を振り回せるっちゅことは、身体のどこかにカラクリがあると言うこと...大腿骨から脛骨にかけての関節の使い方、そして鍛え上げられた筋力...あの刃を振るう速さの秘訣には橈骨、尺骨、手関節が用いられると考えられる...)
トウシは頭の回転を徐々に早めていく。
(魔法なんてある世界なんや、肉体系を強化する魔法があってもなんらおかしくない。それに、今のワシの状況は絶体絶命...自身の可能性に賭けるのが1番ええ方法になる...)
トウシは戦闘の様子を伺うと、そこでは、女がサテラの攻撃を避け続けていた。そして、サテラはどんどん追い詰められていっている。このままではジリ貧だろう。
つまり、ここでどうにかしなければ、殺されると言うことだ。トウシは冷や汗を背中に感じながらも、シコウする。そうして、『己の全てを解析する』というとんでもない行動にでる。
『己の全てを解析する』その言葉の指す意味とは...
文字通り、全てを解析するのだ。なんの機材もなしに、なんの道具もなしに。己の頭脳のみを用いて。
(ヒトゲノムは30億の塩基対。その中で、たんぱく質になるエキソン領域は、たった2パーセント。それ以外の領域は、遺伝子間領域と反復配列。ヒトゲノムの10%を占めるAlu配列は、かなり特異的な反復配列で、Alu配列がプロモーター領域に挿入されると、付近の遺伝子がバグって、病気になることから、おそらく、ただのジャンクDNAではないが、明確なシステムは、今のところ不明...)
一言でまとめよう。『人は、まだ人のことをよく知らない』。よって、そこを解析することによって、論理的なシステムを構築し、なんらかの己の才能を開花させようとしているのだ。
そうしていると...あった。
(ワシの中に...小さな力を感じる...これは緊張によって心臓から血が大きく流れ出て脳が麻薬に支配され、万能感に酔っているわけでもない...これは、ワシの中にある明確な、第三の力や...)
そうして、覚醒する。
トウシは自身の中にある力をマナと名付けた。そして、これを使う為には...
トウシは全力で頭を動かす。自身の中の力を認知出来れば、あとは容易く行えるはず...
そして、それは当たった。
「よっしゃぁ!!!」
トウシは、自身の中に潜んでいたマナを体内に循環させることに成功した。そうして気づく、圧倒的な身体の自由。
丁度そのとき、金髪の少女が男の腕を切り落とされた事を病んでか、女に突撃していった。
そうして、その直線的行動に、ただ、首にククリナイフを当てるだけだった女には...
トウシの拳がクリーンヒットした。
「おらぁ!付け焼き刃のクソパンチや!」
トウシはそう言いながらも、第三の力...流法と名付けられているそれを初見とは思えないほど巧みに操りながら、勝負を仕掛ける。
「...あら貴方、さっきまではあんなにひょろひょろだったのに...いつの間にか標的として丁度いい仕上がりになっているわ」
「...言うやないか殺人鬼。だが、ワシはまだまだここから飛ぶ鳥やで?」
女は舌なめずりをしながらも、そう言うと、トウシは構える。それは、朝に男と戦った時よりも武に適した構えだった。
音はしなかった。それが合図だった。
女はククリナイフをトウシの首に当てがった。だが、トウシも負けじとカウンターによる顔面の殴りを決行する。それは、男から貰った技術だった。
だが、所詮はチンピラの武。この殺人鬼には通用しない。ならばと、トウシは更に加速する。
トウシは女の一挙手一投足に目を向ける。
(この女の肉体の使い方をとことん見たる...今動いたのは肩甲挙筋、腸腰筋、そしてナイフを振り下ろす時の上腕筋。関節部位はーーー)
そうして、トウシは筋肉の動きというマクロな視点から情報を集めて、巨大なロケットを作るかの様にその格闘技術を真似ていく。
なんとかボコボコにされつつも、致命傷を回避していたトウシ。だが、ここから形勢逆転の目が出てくる。
「っ!」
「今の拳は入りかけたなぁ!」
「なんて、成長速度っ!!!」
その様はまるで、1を与えれば100を得て、100を得たら10000を得るような光景を見ている気分だった。
女がその成長に慄いている時、
「おらぁ!」
「ぐっ!」
とうとう、トウシの拳が女に入り始める。そして、そこからは一方的にボコボコにし始めた。トウシは言う。
「お前の攻撃、技術はもう全部見切ったで」
「そんな...あり得ない!さっきまで素人同然だった貴方が、どうして!!」
女の動揺は強いものだった。だって、あり得ないのだから。先ほどまで80キロのボールすら打てなかったプレイヤーが、プロ選手の映像を見た途端、150キロを打てる様になったようなもの。意味がわからない。
「や、やべえなあいつ...あんな強かったのか...」
スバルはロム爺と呼ばれていた男と巨大な棍棒を外に持っていき、手当をした後、トウシの活躍を見ていた。
ククリナイフという凶器を扱う女に対し、トウシは素手で戦っている。
スバルは知っている。自身が路地裏で殴られていた時、トウシも殴られていたことに。
「手加減してたのか...?いや、そうする必要はなかったはず...」
つまり、トウシはこの超短期間でここまで強くなったということである。
「主人公はあいつだった...?いや、人生の主人公はいつだって自分だろっ!」
スバルがそんな事を言っている最中だった。
ロム爺の近くに金髪の少女が寄ってきた。
「ロム爺、大丈夫か!?」
「フェ、フェルト...わしは大丈夫じゃ。お前は剣聖を呼びにい...け...あいつは、恐らく腸切り...」
そう言うと、出血多量のせいか、ロム爺は気絶した。フェルトと呼ばれた金髪の少女は、ロム爺の言葉にそって剣聖という存在を探しにいく様だった。
「サテラ、お前はどうする?」
「私は...トウシの援護をするわ」
サテラも見たのだろう。トウシの圧倒的な実力を。だが、それでも心配しているようだ。
「トウシ...頼むぜ、お前が頼りなんだからな...」
________
トウシと女の戦いは佳境を迎えていた。
だが、途中からは一方的な戦いだったと言えるだろう。何故なら、トウシが女の技を、全て見切ってしまったのだ。そうして、見切った技術を更に昇華させることもまた、トウシは得意としていた。
「お前の運動連鎖はまだ甘いところが多いなぁ」
トウシはただ、事実を言っただけだった。
だってそうだろう。武を学び始めてまだ2分も経っていないというのに、トウシはすでに女を超える力を有しているのだ。
これで、なにか謙遜できるほうがおかしいのである。
「私は...私はぁ!!」
だが、女の方こそ、負けたくないという気持ちではトウシに勝っていると言えるかも知れない。女の心の中には、さまざまな感情が渦巻いていた。
この当然のように自身を超えてくる者を殺したい。
そして、こんな男の腸を裂いた時、どんな色をしているのか見てみたい。
そうして、エルザの顔にもう一度、トウシの全力のアッパーが入った瞬間だった。
「そこまでだ」
清々しい声がした。それは、まるで正しさの塊の様なそんな声。
その声の持ち主に対し、女はククリナイフを投げ出す。だがそれはーーー
「矢避けの加護――!」
「生まれながらに与えられたものでね……不公平とは思わないでほしい」
そうして、またもや戦闘が始まった。今度は、トウシがこちらに集まってきた。
「あの、おっかなそうな兄さんって誰?」
そうトウシが聞くと、スバルも同調して聞こうとする。それに対して、エミリアは驚いた様な声をあげる。
「二人とも知らないの!?剣聖よ?このルグニカ王国が誇る最強の騎士、ラインハルト・ヴァン・アストレア」
「剣聖か...それはとんでもない肩書きやな...」
トウシが戦闘を見ながら返事を返す。スバルはトウシの目を見ると、そこには真剣然としたトウシの目が合った。どうやら、あの化け物バトルからも何かを得ようとしているらしい。
そうしているうちに、剣聖が剣を懐からとりだした。
そうして放たれる極光のビーム。それは盗品倉を一撃で陥没させた。
スバルは安堵した。その瞬間だった。
ひしゃげたククリナイフを持つ女が姿を現したのだ。そして、サテラを攻撃しようとしてーーー
スバルはその棍棒でサテラを守った。
「腸切りってことはぁ!狙いは腹だよなぁ!!!」
スバルは上手くいったあまり、興奮気味に叫ぶ。
だが、
「あ、れ?」
スバルは自身の腹を探った。そこにはべったりとつく血が付着していた。
場は騒然となった。だが、サテラがスバルに助けてもらった恩か回復魔法を施した事により、スバルは一命を取り留めたのであった。
朝起きた時、そこには二人のメイドが立っていたとさ。それに、トウシはめんどくさそうに反応する。
「なんやお前ら...」
「あら、目覚めましたわ、姉様」
「そうね、目覚めたわね、レム」
トウシの目の前にいたのは、双子だろう女子だった。髪は対照的な色をしており、姉様と呼ばれたほうがピンク色でレムと呼ばれたほうが青色であった。
「屋敷に招待されたのは知ってるんやが、とりあえず朝食食べれそ?」
「はいお客様。屋敷のランチが既に準備出来ております」
「そうなんや。なら頂こうとしますか」
そうして、トウシは屋敷の朝食を食べに行こうとした。
「お前、なにしとるん?」
「ぐぇぇ...死んだンゴ」
スバルが廊下で倒れていた。全身真っ青になって。
「お客様。どうやらスバル様は禁書庫のベアトリス様のお怒りを買った様ですわ」
「禁書庫のベアトリス...ね。そいつはどこにおるん?」
「それはわかりません。ですが、部屋の扉を開けるとごく稀に禁書庫に通じる道が出来ます」
「なるほど。とりあえず、こいつベッドに運んで朝食食べようや」
「「はい、わかりました」」
「お、俺をおいて...いく...な...」
そんなスバルの声を無視して、トウシは朝食を食べに行った。あれ?こいつ第一印象でツンデレかと思いきや意外と情に絆されにくいタイプか?とスバルは思った。
________
トウシが朝食に向かうと、そこでは長身の道化師。この屋敷の家主であるロズワール・L・メイザースに遭遇した。
「やあーぁ、君が噂の子かい」
「...なんか胡散臭いのが出てきたんやが」
「そんなこーぉと言わないでよ。君だってカララギ弁で喋っているじゃないか」
(...なるほど、関西弁、カララギ弁、確かに少し音が似ているな...そう、おかしいと思っていた。何故異世界なのに日本語が通じるのかが。この世界には日本に限定した数多くの由来品があると考えるのが妥当だろう。もしかしたら桜とかもあるかもしれない)
「ワシはこの口調やないと落ち着かんからな。失礼やなければこのままいかせてもらうで」
「もちろんだいじょーぶだーぁとも」
「そういえば、魔法について聞かせてもらうで。エミリアに聞いたが、お前、魔法が得意なんやってな」
「うーん、そうだーぁとも」
ロズワールはなんてこともない様にそう言う。
「魔法を扱える様になるにはどうしたらええ?」
「熟練の魔法使いに習ったら、才能次第ですぐに扱えるーよ。さて、私も忙しいからこれにて」
そう言うと、ロズワールは足早に去っていった。
スバルよりも一足先に朝食を食べ終わったトウシは、目標を進める。
したいこと、それは『魔法』の研究だ。この世界にはどうやら元の世界にはなかった、魔法というものが存在しているらしい。トウシの目的はそれである。自身が魔法が扱えれば、目標を叶えるのが大分楽になるだろう。という事で...
________
「お前、どうやってここに入った?」
可愛らしい声をらしからぬ鋭い声でそう言うのは大精霊ベアトリスである。
「ちと、裏技を使わせてもらった。別に乱数調整したってことやないで?まあ、ある意味同じこと言えるかもしれへんけど。この世界に完全なランダムは結局存在せえへんからなぁ。いや、魔法があるなら物理では測れないものがでてくるもんなんかな?」
男...トウシがそう言っても、場の空気は変わらない。
「さっさと出ていけ。ニンゲン」
「それがなぁ、ワシも出て行きたいんやが、一つだけ頼みがあるんや」
「頼み...?勝手に入ってきて頼みとは何様のつもりかしら?」
「まあそう言われるとごもっともなんやけどな?とりあえず、ワシの魔法の検査をしてもらいたいと思ってな」
「なに?お前はまだ魔法の検査すら受けたことがないのかしら?」
「それがなぁ、まあ、色々あってな」
「...なぜベティーがしなければならない?」
「ロズワールは忙しいし、パックはエミリアと一緒にスバルを看病中や。暫くは出てこんやろうな。ほな、お前の出番や」
「...いい加減にしろよ、ニンゲン!」
ベアトリスはトウシに触れようとする。が、
「ほい。いやぁ、この流法ちゅうもんは便利やなぁ」
「っ、この!」
「さっさっさ」
そうやって、禁書庫内での追いかけっこをした後、ベアトリスは息をぜーぜーとしながらも、トウシの提案を聞き受けた。
「...今回だけだぞ、ニンゲン」
「ありがとな」
「っち」
ベアトリスは舌打ちをしながらもトウシの適性を測っていく。
「...なんだ、これは」
「ん?なんかイレギュラーでも発生したか?」
「お前は、6属性全てに適性を持っている...あり得ない...」
「ほう、流石ワシやな。魔法センスまで天才だったとは」
「対して驚いてない様に見えるな...なんだ?もっと喜べ、ニンゲン」
「6属性使えますっていっても、他にも多分、魔法に関する才能の要素はあるんとちゃう?」
「...確かに、ゲートはカチンコチンに固まってるかしら。オドの方は...っ!」
「なんや?さっさと説明せえ」
「誰がやってると思ってる?ニンゲン...だが、いいものを見させてもらったかしら。お前のオドは巨大な湖の如く大きいわ」
「ほう、ほな良かったわ。ありがとな」
そう言うトウシに向かって、今度もベアトリスは手を伸ばした。そうしてーーー
ーーー捕まえた。
ベアトリスは拍子抜けした。こんな簡単に掴ませて貰えるとは思っていなかったからだ。
「マナが欲しいんやろ?ほな、さっさとやれ」
「...どうしてさっきはあんなに抵抗したのに、今はこんなあっさりと...」
「お前が検査したからや。当然の話やろ?このぐらい」
義理は通す。それだけの話だとトウシは言う。
「...」
ベアトリスはトウシから、無言でマナを吸い出した。だが、スバルのように限界までは吸わなかった。半分程度までに抑えたのだ。
「お前って意外と優しいんやな」
そのトウシの言葉に、ベアトリスはキレる。
「ベティーが優しい?調子に乗っているうちにさっさと帰るかしら。ニンゲン!」
「えいえいさー」
トウシは禁書庫から出ていった。
(調子に乗ってるうちに帰らせて貰えるなんて、やっぱ優しいよな...)
と思いながら。
________
トウシが中庭にいくと、そこではラジオ体操を終わらせたスバルとエミリアがいた。どうやら朝食は食べた様だった。
「おっ、トウシじゃねえか。お前どこ行ってたんだ?」
「ちょいと禁書庫に用事があってな」
禁書庫。その言葉を聞いたスバルは身震いを起こした。
「お前...あそこにいったのかよ...大丈夫だった?マナ吸い取られなかった?」
「まあ吸い取られたが半分程度。許容範囲内や」
「あのドリルロリ!これは差別、これは差別だぁぁ!」
スバルが叫んでいる間に、トウシはエミリアに近づき、パックを呼び出す。
「ん?僕になにか用?」
「魔法の使い方を教えてもらいたくてな」
トウシがそういうと、パックは合点承知と手をポンとし、トウシの手伝いをする体勢に入った。
「まずはマナを目に集中させるんだ」
「ほう、マナを目に...な」
トウシは己の中に没頭する。以前、あの女から、エルザ・グランヒルテという殺人鬼と戦った時と同じ要領だ。あの時は身体中にマナを巡らせたが、今回は目だけに集中する。
「おーけ。できたで」
「おー!すごいね。才能あるんじゃない?」
トウシが見たのは沢山の光、微精霊がうようよと大気中を舞っている姿だった。
「次はどうしたらええ?」
「次はお楽しみの魔法ターイム!自分の魔法の適性は知ってる?」
「ああ、さっきベアトリスから教えてもらった。全属性に適正があるらしい。が、ゲートが硬いらしい」
「へー!全属性に適性があるんだ!それはかなり珍しいね!でも、ゲートが硬いっていうのも珍しいし、なにより宝の持ち腐れだ」
「まあ、こっちにも色々あるっちゅうことや。それで、どうやったら魔法は使えるようになるんや?」
「それはねぇ...」
パックは説明する。ゲートにマナを通して、自身の思う魔法を選ぶのだと。
「なるほどなぁ...」
トウシはゲートというものを捜査する。やり方は簡単だ。身体中にマナを通し、何かにぶつかったらそれがゲートである。そうやって、ゲートをトウシは見つける。
そうして、ゲートを開けようとするトウシだったが...
(あー、これはあかんな。このまま魔法発動しようとしたら、普通にゲートごとぶっ壊す勢いで魔法を放ってまう)
問題が発生した。だが、トウシは諦めない。
(このゲートは、言ってしまえば融通の効かない扉のようなもの...100か0しかない極端な扉。つまり、極限まで集中すれば、100と0の中間、50を引き当てることも不可能ではない)
だが、言っていて無茶苦茶だと思う。例えを出してみよう。巨人の手で、通常ピンを使い人間の裁縫をやれ...と言われているようなもの。どう考えても器用さが足りない。なのにもかかわらず...
(ふーっ、集中、集中...)
トウシは集中モードに入る。これは、フリーダム・シャットアウトゾーン(軽)である。
その結果...
トウシの指先に、ポッと火がついた。
「おー!!!すごい!あんなゲートの硬さでこんな繊細な操作をするなんて、本当にすごいよ!」
パックは興奮しているようだった。ゲートの硬さを確認したものであるほど、トウシのやっていることにはつい驚いてしまう。
「パック?どうしたの?」
パックの声に釣られてか、エミリアまで寄ってくる。それに付随してスバルもやってきた。
「あ、トウシ!お前、それ、魔法か!?」
スバルがトウシに問いかける。だが、トウシは集中していたため気づかなかった。
「無視かよお前ぇぇ!!!火属性とか主人公か!!!」
スバルがそう言った時だった。
トウシの五指に火に続き、水、土、風、陰がでできて、最後には手のひらに、光の光球が出てきた。陽魔法を使ったのだ。
「あああああっっ!!!こいつは一体なんなんだよぉぉ!!!!異世界行ってもこんな奴と一緒なのかよぉぉ!!!」
スバルはもはや悶絶してると言っても過言ではなかった。
「な、なあ、パック?俺の属性も確認してくれないか?」
スバルがそう言うと、パックは検査する。
「スバルは陰属性だね。珍しい属性だから誇っていいよ」
「...でも、陰属性ってさっきトウシが使ってた奴だよな?」
「うん。あと、スバルのゲートは硬いからまともに魔法は使えないよ」
「...じゃあなんでトウシは魔法使えてんだよ。さっきこっそり聞き耳立ててたけど、トウシのやつもゲートが硬いんじゃなかったのか?」
その言葉に、パックは笑顔で返す。
「トウシには才能があって、スバルには才能がなかったんだよ」
そうパックが言うとスバルは泣き出しそうになった。と言うか泣き出した。
「なんで年下にこの俺が...うああああん」
________
「使用人として、俺を雇わせてくれ!」
全員が集まっている夕食時、スバルが放った言葉である。
それに対して、各々の反応は一部を除いて冷たいものであった。
「お客様、失礼ながら執事として経験はございますか?」
ラムがそう聞くと、スバルは、
「ない!生まれてこの方やったこともない!だけど任せてくれ!根性だけはいっちょ前だぜ!」
と言うことだった。
エミリアの反応は実のところ良かったと言える。
トウシは使用人になると言う選択肢以外の選択でエミリアと共にいると思っていたため、実のところ想定外であった。
つまり、スバルはこの場にいるほぼ全員の度肝を抜けたのである。
「トウシは何かないの?」
エミリアがトウシに聞く。トウシは言う。
「なら、禁書庫の本の中身を見せてもらってええか?」
それに怒りを露わにしたのはベアトリスだった。
「何故ベティーがお前にお母様の残した大事な本を見せなくてはいけない?」
エミリアもなんとか食い下がったものの、半魔と言われ押し黙った。
「ほな、無理やったらこのままここに滞在させてもらおうかな」
「あっ!お前ずるいぞ!俺は使用人になってんだからさ!」
「使用人云々はお前が言い出したことや。別に、お前だってこの選択は取れたはずやで」
「ぐぬぬぬぬ...」
________
(王戦ねぇ...きな臭いことがある前に、さっさと離脱できればええんやが)
夜。トウシは中庭に出ていた。
そこで行うこと、それは...魔法の本格的な実験である。トウシは魔法に可能性を感じている。
トウシはまず、魔法による現象が物理学的にどのような作用を引き起こすのかを検査する。その為に、様々な魔法をまずは研究した。
(『エレクトリック』)
トウシの指先でピリリと電流が走った。否、それは雷である。
(雷なんて所詮は雲の中にある氷が摩擦によって電荷が溜まっていき、電場が閾値を超えたら出る陳腐なもんや。こんなもんを再現するのは現代科学でも出来た話)
(『サン』)
トウシの指先に小さな小さな、それにしても、とてつもない迫力を誇る太陽が出てきた。
(これは少し時間がかかった。太陽を構成する為に必要な重力の変数計算がとにかく膨大だった。火と土の魔法で中心の原子星を作ったが、この役割を持つものがそもそもパチモンすぎてあかんし、内圧も低すぎるから静水圧平衡もまともに働かん。重力収縮も殆ど起こせんからこれ以上の大きさには出来へんが、まあしっかりと核融合は起きとるから、実験にしては上出来や)
(『サン』での実験の為のA波、B波、C波を打ち消す魔法も作った。これは簡単やった。ただ魔法でオゾン層機構をつくればええだけの話)
トウシは他にも実験をする魔法、実験から己を守る魔法、様々な魔法の計1770の魔法を自作し、この実験の為に用意した。
そうして、その用意した魔法たちを使い、物理的に不可解な反応を示した場合、脳内でチェックマークをつけていく。それが、魔法の法則、この世界の第二の物理学である、名付けて魔法法則学に繋がるためだ。
そうやって、トウシは様々な法則を見いだしていく。
(ほーん...物理学では−223.15度を下界の閾値として大体の物質で伝導率が下がるはずなんやが、この世界では全ての物質で伝導率が上がっとる...これはこれは...クーロン力...いや、ローレンツ力からして異なっている可能性があるな...だがその場合、向こうの世界とこっちの世界の成り立ちが狂う...だったら、世界ごと解明してやる)
そうして、トウシはこの世界全てを丸裸にしていく...
________
日が登ってきた頃、トウシは世界のシステムを全てを理解していた。
「...流石に疲れたわ...」
トウシは途中から坐禅を組みながら作業をしていたため、腰にきたと、腰をトントン叩いている。
「まあ、収穫はあったな」
「ほな、挨拶してから帰ろうか」
トウシは様々な人間に声をかける。
「ロズワールやないか」
「おはよーぅう、今日もいい天気だーぁね」
「お前も大変やな。400年もこんな事して」
そのトウシの言葉に、ロズワールはふと動揺した。
「...なんのことかーぁな?」
「エキドナ、叡智の書、ここまで言えばわかるやろ」
「何故君がそのことを知っている?」
「暇だったから世界探った。全システム理解したから、過去と未来はある程度推測できる」
「君は...何を言っているんだ?」
「お前がどういう人生を歩んできたかは一通り分かってるつもりや。これまで客人として引き受けてもらった礼も言うわ。お疲れさん」
「...」
「んじゃ、ワシはこれで」
________
「お客様、おはようございます」
「お前さんもまあなかなかしんどい目に会うし、現状でもまあしんどいやろうけど、やる事やっておけば幸せになれるから頑張れよ」
「は、はい?」
「んじゃあまた」
________
「お客様ですか、おはようございます」
「ラム...お前も頑張れよ。姉貴としての本分、忘れんようにな。忘れてまうモンはしゃあないけどな」
「それは...一体どう言う事でしょうか?」
「まあただの独り言やと思ってもらってもええし、助言やと思ってもらってもええで」
「は、はあ...」
________
「おっす!トウシ」
「スバル...お前は随分と苦労することになるから、ワシが一つおまじないをかけたる」
「はぁ?何言ってんだお前」
「これで、ハッピーエンド確定や。んじゃ、ワシ今日限りで屋敷出るから」
「な、なに!?もっと早めに言っとけよアイツ!」
________
トウシは1771番目の魔法を生み出す。
それは、元の世界へ帰還する魔法。
世界のシステムから逸脱しすぎない範疇でこれを行うのは案外手間だった。
と言うことで、
「まあ色々科学実験出来たし、ええ経験やったかな。殴られたのはちょい嫌やったけど」
そうして、トウシは魔法を起動した。
リゼロ×センエースが見たかったので書いてみました。リゼロなのに、スバルくん0デスという快挙w