それとお気に入りが10件に増えました、本当にありがとうございます
「いやー、本当に驚きましたね。死んだと思ったら宇宙空間を漂流しているとは、やはり人生はわかんないことが多いですね」
見渡す限りの暗い景色に、点滅している星の数々。こんな状況ではなければゆったりと眺めていたんでしょうね。
「まずは、位置確認ですかね。ここは、私が知っている『崩壊3rd』の世界じゃない。ーーー終焉の繭の気配がないからですね」
いくら私の体に残ったなけなしの崩壊エネルギーを使って探しても、終焉の繭の気配が一切感じられない。・・・・・・まあ、私は、律者ではないので探知の誤認はあるかもしれませんが。
「だとしても、おかしいですね。月も太陽も、地球の気配すらない。もしかしてーー私、別の宇宙に飛ばされました?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ややこしい話になるが、私は転移者だ。しかも特大な厄ネタを持って転移してきた。
元いた日本にいた私は、ごく普通の学生だった。授業を受け、帰ったら宿題をし、そして休憩の時に大好きなゲームや映画を見る。そんな当たり前な日常を送っていた。
でも、それは突如して壊れた。何の前触れもなく。私は『崩壊3rd』という世界に転移した。
そう、何の前触れもなくだ。だけど、驚愕よりも嬉しさが勝った。
だって自分が遊んでいたゲームの世界に入れて、キアナと一緒に冒険がしたいと思ったからだ。
、、、、、、ただその時の自分は、なんてアホでどうしよもなく愚かだったんだろう。
嬉しい?人が崩壊獣に無様に無意味に殺されて、天命の主教は、初恋を拗らせすぎた結果、人体実験や虚数の樹を弄り神になるという結果になった。
何より私そのものが危なかった。私が持つ力が崩壊エネルギーだけなら遥かに良かったのだろう。だが、私は虚無崩壊という世界を何万回も作れるエネルギーを偶然持ってしまった。
アニメ好きである私は、詳しかったから良かったかもしれないが常人ならこのエネルギーに耐えられなかったかもしれない。
簡単に言ってしまえば、この崩壊エネルギーは、転スラというライトノベルの主人公が最終的に持つ力だ。だが、この力は、到底主人公が使えるものではなく。その主人公が持っているスキルのシエルという超絶演算処理ハイパー正妻がそれを制御してようやく使える状況だ。
しかし私は、どうだ。スキルも転移特典もありゃしない。ただのオタクだ。よく生き残ったものだ。
誰か私を褒めて欲しい。
「まぁ、何はともあれ生き残りましたからね。本当は、死ぬつもりでしたけど、今は五体満足、、、、、さて。どうしましょうか」
キアナ達がいる世界では死んだことになっている以上、もう戻ることはできない。
「ひとまずは、この宇宙で生き残るために情報収集からですね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから何百年かが経ち途方もない年月が経ったと自分でも思う。
どうやらこの宇宙には、終焉の繭も律者もいなく、超常的存在として星神がいるらしい。
「いやー、『星神』ってどっかで聞いたことがあるな言葉だなと思ったら、ここって『崩壊スターレイル』の世界ですか」
私は、日本にいた時幅広いジャンルのゲームをやった、特にハマったのは、ソーシャルゲームだった。FGOやプロセカ、原神、崩壊3rdなどだ。
だが、『崩壊スターレイル』は友達が面白そうにやっていたので少し調べた程度なのである。
つまりにわかなのである。
「いやー、もうちょっと調べれば良かったな。まぁ、後悔しても仕方ないので、ひとまず旅を続けますか」
木で作られているベンチから立ち上がり、ここがどこなのかを散策する。
「へいへい、今日は、魚がお安いよ。買っていくかい!!」
「何と、この商品は、20%オフでございます!ちなみにこれを買いますともう一つ同じものをおつけいたしますよ!!」
周囲は賑やかな商店街のようだった。だが、売られているのは魚や食事だけではない。宇宙食に宇宙船のパーツ、果ては『スターピースカンパニー』の出張事務所まで並んでいた。
「あのカンパニーって組織、確か存護の星神クリフォトを信仰しているんですよね。………うーん、巨大企業というより新手の新興宗教ですかね?」
とはいえ、宇宙規模の航路と物流が確立されている技術は純粋にすごい。キアナ達にも見せたかったな。
、、、、、って、早く地図とこの星の名前を知らないと。
いつもは、体内の虚無崩壊エネルギーを使って適当な星に空間跳躍を繰り返してきたせいで、自分が今どこにいるのかサッパリ分からない。
よっし、人に聞くか。
目の前で大きなカバンを背負って歩いている、旅人らしき大男に声をかけてみる。
「あのー、すいません。ここの星の名前って何ですか?」
「ここの星の名前?まさか嬢ちゃん、名前も知らないでこの星に来たのかい。そりゃ危ないね、ここんところゴロつきも多いよ」
「大丈夫ですよ。こう見えて私19歳です」
日本にいた頃は女子の平均身長を軽く超えていたのに、こうやって改めて子供扱いされると地味に胸に来るものがあるなー。
「おっそうか、なら大丈夫だな。この星の名前は、惑星アデンだ」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「惑星アデン?どっかで聞いたような名前ですねー。」
「まぁな、ここは、惑星をつなぐ交通の名所だからな。そりゃ聞いたーーーーーー」」
ジーンは、目の前の大男が急に口をつぐんだことを不気味に思い、その視線の先を目で追った。
そこには、異様な男が佇んでいた。活気あふれる商店街とは、真っ向から相半する死の気配。
包帯のような布地で頭部全体を覆い、正中線を割るように白と黒が分かれた肌を持つ男性。背後には5枚の金属質な板が片翼を成すように浮遊し、手にした長剣からは絶えず眩い白光が漏れ出している。
「ま、まずい、まずいまずいまずい!!絶滅大君だ。逃げろ逃げろ!!」
その悲鳴を聞句やいなや、商店街の人々は、荷物などを放り出し、我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「絶滅大君?絶滅大君って最近生まれた壊滅の星神の使令ですか?」
「そうだよ‼︎しかもあれは、絶滅大君風焔だ!!絶滅大君の中で特に危険視されている大君だ。この星が壊される前に逃げるぞ!!」
「星が壊される?」
その理由をジーンは聞こうとしたが、いつの間にか旅人らしき大男は、雑踏の向こうへ姿を消していた。
ほとんどの人が逃げ去り静まり返った商店街で、ジーンは目の前の男を静かに観察する。顔は、見えないがその立ち姿は明らかに武人そのもの。相当な剣の領域に達していると推察できる。
(……今の私で勝てるか怪しいですね。ケビンあたりなら十分に叩き伏せるでしょうが、律者でもないS級戦乙女並みの出力しか出せない今の私には厳しすぎる……!)
ジーンが冷や汗を拭う暇もなく、男の纏う気が幽鬼から苛烈な殺気へと変貌した。
「壊滅の名のもとに散るがいい」
男は視認不可能な速度で跳躍すると、上段に構えた長剣を空中で振り下ろした。
直後、長剣の尖端から眩い白光を放つ球体が発生し、あらゆるものを押し潰す絶大なエネルギーを吐き出し始める。
──ホワイトホール。
全ての物質を排出し、何者も内部へ侵入させない天体。絶滅大君・風焔が創り出した死の球体は、商店街どころかこの星の表面ごと全てを消滅させんとしていた。
(ホワイトホールですか……! 直撃すれば、この街どころか星の核まで穿たれますね)
体内には未だに崩壊エネルギーと虚無崩壊、そして新しく体が吸収しようとしている虚数の蝕みが残っており、万全とは程遠い。だが、ジーンは迷わず脚に力を込めた。
人々の日常を守るために戦う──それこそが『戦乙女』であり、五万年の絶望を繋いできた英雄たちが最期まで掲げていた誇りなのだから。受け継ぐべき物なのだから
「虚無崩壊エネルギー接続──黒鍵生成」
漆黒の黒鍵を生成し、ジーンは大空へ向かって疾走、大跳躍を放つ。
(押し寄せる質量を弾く天体なら──それを上回る『虚無崩壊』の質量で強引に叩き潰す!)
ジーンは黒鍵を投げ捨て、頭上で無限に膨張しようとするホワイトホールへ向け、紫黒のオーラを纏わせた右拳を握りしめた。
「虚無崩壊エネルギー──最大出力ッ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
激突。
全てを拒絶し吐き出すホワイトホールと、世界すら数万回創造・破壊し得る「虚無崩壊」が正面からぶつかり合う。空間そのものが悲鳴を上げ、天と地を激しい衝撃波が揺らした。
──亀裂が入る。
ほんの数瞬の拮抗の後、絶対の天体であったホワイトホールに巨大なヒビが走り、溜め込まれていたエネルギーが空中に霧散していった。
「よし……壊れましたね! ──って、おっと、これはマズいですね! 残り香だけでも高密度すぎる、吸収しないと星の濃度が濃くなる……!」
宙で身を翻したジーンは、拡散する余波を強引に体内へと引き戻す。
(原理は同じ……崩壊も、この宇宙のエネルギーも、元を辿れば存在の概念だ。できないはずがない……!)
溢れ出るエネルギーを強引に呑み込んだジーンは、その推進力を殺さずにさらなる加速をかけ、大空に佇む絶滅大君・風焔の頭上へと肉薄。右足をしならせ、風焔の頬へ音速の蹴りを叩き込んだ。
──ガギィィィンッ!!
だが、末法型崩壊獣すら一撃で粉砕するはずの蹴りは、風焔の掲げた長剣の腹によって難なく受け止められていた。
「弱いな」
冷酷な声が響く。
「瀕死の星にまだ立ち向かう『強き者』がいたか。だが、死線を超えられぬ者に牙は届かん」
風焔は長剣を翻し、ジーンの胴体を一閃のもとに切り裂こうと閃光を放つ。
「舐めないでください……! 私より強い人なんて、それこそ腐るほどいましたよ!」
ジーンは瞬時に再生成した黒鍵で斬撃を力任せに弾き返し、至近距離から風焔の腹部へ一撃を蹴り込む。
衝撃で数メートル押し戻された風焔は空中で体勢を整えると、白光を帯びた眼光でジーンを見据えた。
「無礼を詫びよう。……絶滅大君・風焔が問う。お前の名は?」
ジーンは黒鍵の柄を指の間に挟んで、構える。
「私の名前ですか? ……そうですね。ただの、死に損ないの戦乙女ですよ」
次回は、ジーンの初の戦闘シーン。投稿をお楽しみに。
追記:学業が忙しくなるので投稿は、先になると思います。すいません