最初はやる気と希望に満ち溢れていた。
死んでしまった私。あの世で青い髪の女神様から加護を授けられ、勇者として魔王を倒す。ありふれた
最初に心を折られたのは仲間との永遠の離別だった。
アクセルの町で出会った仲間達。幾多の冒険を重ねて自信を持ち始めた頃に遭遇した初心者殺し。今の私達なら勝てると根拠の無い理由に押され、挑んだ結果、私たちのパーティは壊滅した。
共に苦楽を乗り越えた仲間達が目の前で蹂躙されてその亡骸を弄ばれて。
その中で1番若かった私が仲間たちの決死の献身で逃がされて、みっともなく私1人が生き残ってしまった。
女神様から力を貰ったとしても、私自身は特別な存在に成れていないと突きつけられた様な気がした。
次に闘志をへし折られたのは、魔王軍との遭遇だった。
仲間を失った恐怖から、ただ1人で我武者羅に魔物を殺し続けて、名のある冒険者として扱われ始めた頃、私は魔王軍の幹部として名を馳せ始めた悪魔と遭遇した。
“全てを見通す”の名の通り、私の攻撃は全ていなされ、そして見逃された。
屈辱だった。恥辱を感じた。けれど、同時に私の矮小さを痛感した。
そして最後に絶望したのは、アレに出逢った時だった。
“偉大なる純潔の真祖”と名乗る男の吸血鬼によって、私の体は蹂躙された。性的なものではなく、物理的に。
女神の加護を持つ私は彼にとって興味深い
しかし、あの出来事によって私は人間では無くなった。私は怪物となった。
もうその時には、勇者として世界を救いたいなんて、英雄願望なんて既にすり潰されて燃え尽きて。
只々復讐心と鬱憤晴らしとして吸血鬼を殺してその力を奪って、私は後天的な吸血鬼の真祖としてやるべきことも見つからず彷徨った。
彷徨って彷徨って、懐かしいあの顔に遭遇した。
「おや、まさかあの時の小娘がこの様な様になるとはな」
「愉快愉快」と仮面をつけた長身の男……バニルは体を曲げて私を嗤う。その事に腹を立てるべきなのだろうが、私はどうでも良かった。
理想も、夢想も、希望さえも砕かれ、人間ですら無くなって、今の私はかつての願いの抜け殻だ。例え力があるとしても、前の様な“魔王を倒して勇者となる”なんて意欲は1ピコも湧かなかった。
だからだろうか。嗤われても反能のしない私の思考を見通したのか、バニルは私に手を差し出した。
「共に魔王に使えないか?」
と。