契約者ノ魔女裁判   作:眠り狐のK

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まのさば完走記念
読んでる間二次創作書いてみたいと思ってたんですよね


一話 プロローグ

「はぁ……はぁ……」

 

 

 走る

 

 

 少女はひたすら走る

 

 

 後ろから迫りくる黒い影から逃げる為に

 

 

 少女は体力には自信があった

 

 

 誰にも負けない体力を持っていた

 

 

 だからこそここまで逃げることが出来ているのかもしれない

 

 

 逃げ場所なんてわからない

 

 

 ただ、ひたすらに逃げるしかない

 

 

 止まれば後ろから迫りくる影に殺されてしまうだろう

 

 

 少女の両親と同じように

 

 

 何処に向かうかなんて少女にはもう判断できない

 

 

 ただただ、体力の続く限り走り続けるしか道はない

 

 

 気がつけば静かな波の音が聞こえてくる

 

 

 いつの間にか少女は海辺へと来ていたようだ

 

 

 静かな中に波の音と砂浜を走る二つの足音だけが響いていた

 

 

「……あっ!」

 

 

 少女は砂に足を取られ転んでしまった

 

 

 少女の長い銀色の髪が砂と一緒に巻き上がる

 

 

 いくら人より体力があると言っても無限にある訳では無い

 

 

 いくら人より体力があると言っても規格外な程の運動能力を持っている訳でもない

 

 

 何もなく走り続けているだけではこうなるのは不幸でも何でもない、何れ来る運命だっただろう

 

 

 倒れた少女の元へと黒い影が近づいていく

 

 

「……あ…………」

 

 

 ふと、少女の目に何かが写った―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「ん……うぅ……ん? ここは……?」

 

 銀髪の少女――夜神レイが目を覚ますと、そこはまるで牢獄のような空間だった。

 目覚める前に何をしていたかまだはっきりと思い出せないが、少なくともこんな場所ではなかったと思う。

 であれば、眠っている間に何者かにここに連れてこられたのだろう。

 

「とは言ってもなんでこんなところに……」

 

 牢獄の中、ということは自分は何か罪を犯したのだろうか。

 そう思いレイは記憶の中を探っていくも、はっきりとしない記憶の中では心当たりなんて出てこなかった。

 どうして記憶がはっきりしていないのだろう?

 それも一つの疑問だった。

 特にそういう病気を抱えているわけでもないし、昨日何をしていたかくらいは覚えてても良いとは思うが……。

 しかし、現状見覚えのないこんな牢獄にいるのだから、不可思議なことは一つや二つじゃない。

 ここでじっと考え込んでも答えは出てこないとレイは判断した。

 

「とにかく、動いてから考えてみよう」

 

 そう言ってレイはベッドから立ち上がった。

 辺りを見てみると、通路側は鉄格子で塞がれており、それ以外は石の壁となっている。

 一つの壁にはテレビモニターが付けられており、周囲の薄暗さや悪い空気からこれからデスゲームでも始まるのか、なんて想像をさせられる。

 ふと、周囲を見渡していると二段ベッドの上で丁度起き上がってきたのだろう少女と目が合う。

 

「あ、起きたんですね。体調とか、大丈夫でしょうか……?」

「うん、私は大丈夫。君は?」

「えっと、私は氷上、メルルって、いいます……っ」

「私は夢咲レイ、よろしくね」

「は、はい、よろしくお願いしますっ……」 

 

 少女の名前は氷上メルルというらしい。

 その服装は真っ白な修道服のようなもので、何処からどう見てもシスターと呼べるような容姿だ。

 そんな彼女と自己紹介をしていると、鉄格子の外から声が聞こえてきた。

 

「何を考えてますの!? わたくしをこんなところに閉じ込めるなんて!」

「少女監禁とか犯罪だよこれ! 誰だか知らないけど、人生終わるよ!?」

「ざけんな、ぶっ殺すぞおらぁ! 出せ!!」

 

 次々と起きてきたであろう少女達の騒がしい声が聞こえてくる。

 どうやら、ここに捕まっているのはレイとメルルだけではないらしい。

 少し時間が経つと、壁に付けられたモニターが急に映る。

 そこには、フクロウのような鳥が映り込んでいた。

 その鳥は自らを『ゴクチョー』と名乗り、この状況の説明をする為にラウンジに集まって欲しいと言った。

 フクロウが喋っていることにも驚きだが、今は素直に従うしかなさそうだ。

 ゴクチョーによれば看守と呼ばれる人物が案内してくれるらしいが、それらしき人物を見た瞬間、レイは息を呑んだ。

 その看守と呼ばれていた人物……いや、人とすら呼べないような異形の姿。

 2、3メートルはある身長にボロボロの黒衣を纏い、所々から刃のようなものが飛び出していた。

 おぼろげな記憶の中、レイはその姿に酷似したものを知っているような気がした。

 

「い、行きましょう……? レイさん……」

「あ、うん、いこっか」

 

 メルルの呼び掛けに考えるのをやめ、看守についていくことにした。

 ラウンジに着くと、そこには自分を除き13人の少女がいた。

 部屋の隅で静かにしゃがみ込んでる少女や、鼻歌を歌いながら自由に家具を動かしている少女。

 見るからに個性豊かなメンバーが集まっているようだった。

 

「みんな、初対面だと思うしよかったら自己紹介をしていかないか? 先に名乗らせて貰うよ、私は蓮見レイア」

 

 蓮見レイア、どこかで聞き覚えのある名前だ。

 知り合いでもないのに聞き覚えのあるということはテレビにでも出ていたのだろうか。

 それから、次々と自己紹介が進む。

 少し違和感のあるお嬢様口調の遠野ハンナ、自称名探偵の橘シェリー、ボクっ子の桜羽エマ、先程自己紹介した氷上メルル、猫耳のヘッドホンをつけた沢渡ココ、少し露出の多いギャルみたいな見た目の佐伯ミリア、妖艶な雰囲気で掴み所のなさそうな宝生マーゴ、いかにも不良と言う感じの紫藤アリサ、人形のように可愛らしくスケッチブックで会話をする夏目アンアン、暗い瞳で落ち着いた雰囲気の黒部ナノカ、いかにも委員長という感じの二階堂ヒロ、カラフルな見た目でスプレーを持っている城ケ崎ノア。

 以上の13名。

 自己紹介の中でメルルが魔法でエマの怪我を治していたり、ココの発言でレイアが舞台やテレビに出る芸能人だということがわかったり、雰囲気だけでもそれぞれどういう人物がわかった気がした。

 先程『魔法』という単語を出したが、この世界には魔法というものが存在する。

 あまり詳しいことを知っている訳では無いが、一部の人間は魔法が使える。

 その魔法は何らかの条件で強化されることもあるし、その先には―――そこまで思い出したがこの先が思い出せない。

 喉のところまで来てはいるのだが、そこが出てこない。

 思い出したい気持ちもあるが、思い出したくない気持ちもある。

 どうしてそう感じるのかはわからないが、思い出したくないと感じてるなら思い出さなくていいものだろう。

 そんな考え事をしていると視線の先にフクロウが降り立った。

 その後ろには先ほどの看守も立っている。

 

「あっ……人がいっぱい……。えっと、改めまして……この屋敷で管理を任されているかわいいフクロウ、ゴクチョーと申します……」

 

 自分でかわいいって言うんだ……と心の中で呟きながらレイは続く話を耳に入れていく。

 どうやら、ここに集められた人物は『魔女』になる因子を持っているらしい。

 魔女はこの国にとって災厄をもたらす存在であり、ココに集まった少女達はその因子が大きく検出された為に集められたとのことだ。

 つまり、国にとっての危険分子をここに集めたということだ。

 

(魔法なんて私は使えないのだけど……)

 

 そう心の中で呟くが、自分が気づいていないだけなのかもしれない。

 少し特殊な体質は持ってるし、もしかしたらそれが関係しているのかもしれない。

 

「皆さんにはこの春から囚人として生活してもらいます。救済もなくもないのですが……『大魔女』さえ見つかれば……」

 

『大魔女』、その言葉が何故か頭から離れなかった。

 特にそれに恨みやら何かしらの感情を持っていることはないはずだ。

 だが、何か大きな意味を持っているのだと自らの心が囁きかけてくる。

 それが何を意味するのかはわからない。

 でももしかしたら何かの手掛かりになるかもしれない。

 この違和感は覚えておこう。

 

「あ、ちなみに看守はかつてここに収容された者が魔女になった姿です。『なれはて』と呼ばれています」

 

 その言葉を聞いた瞬間レイの胸がちくりと痛んだ気がした。

 『なれはて』、自分はこの言葉を知っている。

 この言葉で胸を痛める程の何かを持っている。

 どうしてかこれ以上のことを思い出したくないと思っている自分がいる。

 でも、同時に思い出さなきゃいけないと思っている自分もいる。

 思い出さなければ、きっと自分はこのおぼろげな記憶の中で彷徨い続けてしまうという気持ち。

 思い出さないままであれば、このまま『何も知らないただの少女』でいられるという気持ち。

 この2つがレイの中に存在していた。

 なぜなら、魔法も、魔女も、なれはても、おぼろげながらレイは知っていたから。

 この場所を知らなくても、この場所で聞いた言葉を知っている。

 つまり、きっと本当の夜神レイという人間は『普通ではない』。

 いや、ここにいる全員が『魔女』となる可能性を持って集められているのであれば全員が普通ではないのではあろう。

 ただ、レイは迷っているのだ。

 この謎に連れてこられた場所で知ってる単語の数々、断片的な記憶を求めに行くべきなのかを。

 

「間違いです。私は悪ではない」

 

 一人の少女の動きを見てレイは思考の渦から解放される。

 

「この国に災厄をもたらす危険分子はこの子のほうだ」

 

 そして凛とした態度で前に出た少女、二階堂ヒロはエマに指を指す。

 指されたエマ本人は悲しそうな表情を浮かべるも、心配そうにしているメルルを見て作った笑顔を返して見せた。

 

「はぁ……あの、頼みます。悪者を受け入れてください。私は残業したくないですしみんな平和に楽しくがいいので……」

「間違っている、私は悪じゃない。この世界を正すことができるのは私だけだ。私はこの世の悪を排す。まずは――」

 

 ヒロは少しずつ進み、暖炉の脇に置かれていた火かき棒に手を取る。

 その瞳はエマを真っ直ぐに写し、エマは怯えた様子で後ずさる。

 それも当然のことだろう。

 凶器を手に取り、その瞳は自らにとって危険分子と認識している少女へと見据えている。

 誰がどう見ても、次に何が起こるか容易に想像できる。

 だが、それはみんなの予想しているようにはならなかった。

 

「まずは、貴様だ、化け物!」

 

 ヒロは手に取った火かき棒を看守へと振り下ろす。

 

「悪は死ね!死ね死ね死ね!」

 

 ヒロはそのまま何度も、何度もその手に持った火かき棒を振り下ろしていく。

 看守の血や肉が飛び散り、辺りを、ヒロの身体を紅く染めていく。

 看守の身体は次第にボロボロな肉塊へと近づいていく。

 その光景に動ける者なんていない。

 だが、レイは知っている。

 なれはてとなった者はこの程度で死なないことを。

 看守の鎌がその命を刈り取ろうとヒロへと向けられる。

 

 

 

 

 

 それに対しレイは―――




A.「目を瞑った」
https://syosetu.org/novel/425841/2.html

B.「見届けた」☠
https://syosetu.org/novel/425841/3.html


原作同様に選択肢式で進めていきます。
ゲームブック形式というやつです。
今回はチュートリアル的な部分もあるので原作見たくどっちがバッドエンドかわかるようにしてますが、次回以降はありません。
感想評価頂けるとモチベに繋がります。
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