吾輩は本である。 ~狐耳少女と行く、コミュニケーション縛りの冒険譚~ 作:鏡路の一般兵(喰い断Ⅸ)
それから数日、タマモはジュエルボックスノーザンヒルの店内でゆっくりとした日々を過ごしている。
タマモは吾輩が様々な店や食べ物に興味を示していたこともあり、もうちょっと街を散策したかったらしいのだが、彼女の顔と名前は先日の臨時演奏会で多くの人々の記憶に残った状態である。
安易に外を出歩けば大変なことになるということで、ラルドから店の外に出るのは控えるように言われていた。
「いやー。本当に腕がいい。王都に出てくる気はないのかい?」
「ないかなー。あーしは別に音楽家ってわけでもないし、立派な劇場でやりたいとは思わないよ」
「勿体ないな。嬢ちゃんみたいな弾き手が他所にいたと知ったら、お偉いさんは歯軋りして悔しがるというのに」
「そう?それを聞いたらちょっと興味が沸いてきたけど……まあ、コレのせいで面倒なことになりそうだからね。やっぱりいいや」
実際、大店の主であるラルドの友人……現在タマモとおしゃべりをしている商人をして、もっと大きな町でしっかりとした曲を奏でるつもりはないのか。
王都に行くつもりはないのかという、アイドルのスカウトにも似た何かを行ってくいるのだから、ラルドの店の外に出るのは控えてしばらくは大人しくしておくべきという意見は正しいとしか言いようがない。
現在はラルドが目を光らせていることもあってか節度を守った誘いになっている。
それ故にタマモも自分の狐耳を触りながら緩いノリで誘いを断ることが出来ているが、そうでなければどうなっていたのかは少し恐ろしいものがある。
――亜人。
それは人間とは異なる特徴、動物の耳や尻尾を持つ人間の壁を越えた超人だ。
その発生率は吾輩の知る限り、ブレトンとノーザンヒルの規模から推定してどんなに高くとも1000人から10000人に1人を割ることはないだろう。
それだけ希少な存在が、現代社会で暮らし、この世界の人々よりも遥かに目が遥かに肥えているであろう吾輩をして、「上手い」と感じるだけの絵や音楽と言った芸事スキルを持っているのだ。
日本のような現代的な社会体制ではなく、王侯貴族が存在する中世的な社会体制において、それがどのような問題を引き起こすかというのは、率直に言って考える必要もないだろう。
タマモが面倒なことになるから嫌だと断るのも当然であるし、それを聞いた商人が納得の顔で諦めるのもこの考えが間違っていないことを示していた。
「でも、嬢ちゃんはノーザンヒルの人間じゃないんだろう? いつまで此処にいるつもりなんだ?」
「この子についての調べ物が終わるまではいるつもりだけど、まだちょっと良く分かんない。何かお偉い先生がいるらしいじゃん?」
「あー。その黒いのか。特に悪い魔物じゃなさそうだけど、放っとくのは危ないもんなあ。そりゃあアルケミー先生に相談の一つや二つは当然のようにあるか」
ズズッとお茶を飲み、ちょいちょいと吾輩を指先で突きながらタマモが答えた。
どうも原因ですと、シャキーンとポーズをとった吾輩を見て、恰幅の良い商人が納得したように頷く。
「そうそう。そのアルケミー先生、なんか元冒険者で、王都の学園で教鞭を振るってたって人に聞けば、何かわかるかなって」
「おー。なるほどな。確かに、アルケミー先生なら、その黒いのを知っていてもおかしくない」
「でもさー。なんかタイミングが悪くて丁度街から出てるって言われちゃって……」
「それで足止めされていると。まあ、元々冒険者の先生だからな。屋敷に籠ってアポさえ取れればいつでも会えるタイプじゃないもんなぁ」
「帰還の予定日自体は今日らしいんだけどね。早ければ明日か明後日にもここを発っているだろうけど、実際どうなるかと言えば……」
1日や2日は予定より遅れるものでしょと、タマモは小声で続け、それに商人は苦笑いとも何とも言えない表情を返した。
体調不良や天候不順など事情は様々だろうが、彼は商人であるが故に旅の行程が遅れがちなことには覚えがあったのだろう。自分が文句を言われているわけではないと分かっていても、少しだけ責められている気になったのかもしれない。
「じっとしているのも暇だから、予定通りに戻ってきてくれるといいんだけどね」
タマモは恐らく、そんな風に商人が思っていることは分かっていながらも、少しだけふてくされた様子で窓の外を眺めていた。
★
それから更に1週間が過ぎたある日の早朝、吾輩とタマモは未だにノーザンヒルにいた。
「……コレ、どうなの?」
「参ったわね……。本当なら探索班を送るべきなんだけど……」
どこかピリピリとした、ギルドで働いている職員全員が緊張した雰囲気の中。
目の前では兎耳のギルド長ことダイヤが渋い顔をしている。
理由は単純、件のお偉い先生が期間の予定日を大きく過ぎても戻ってきていないからだ。
勿論、タマモが最初からあまり期待していなかったように、日本のような交通網が整備されていないこの世界で確実に旅程を順守するということは不可能に近い。
1週間後に戻る予定で街を出て、天候不順で川を越えられないとなれば、それだけで2日3日遅れるのは当然の話。
場合によっては橋が流されたりして、そもそも辿り着くことすらできないと言った事態も起こりえるのは容易に想像できた。
しかし、このノーザンヒル近郊ではここしばらく雨など振っておらず、天候が原因で遅延しているという事は考えにくい。
と、なれば、必然的にこの世界では病や事故、魔物を原因とした遭難の可能性を疑う必要が出てくる。特にそのアルケミー先生とやらは話を聞く限りはブロンズ級の冒険者だ。
吾輩にはブロンズ級というのがどの程度凄いのかは分からないが、人々の話を聞く限りでは間違いなく旅慣れていて、王都の学院に招聘されるほどの実力者である。
これほどの人物の帰還が遅れているのであれば、先日遭遇した怪物の件も考えると、不測の事態、最悪の事態を警戒しなければならないのは間違いない。
「あー、この間の魔物の件もあったからね。 あーしがいこっか?」
「タマモちゃんか……。動ける人はもう全員怪物の調査に出してるからソレが一番早いんだけどー……タマモちゃんかぁー……」
そんな状態であるが故に、タマモは自分が探索・救援に向かおうかと声をかけた。
彼女からしてみれば、吾輩のことを調べるためにはお偉い先生の協力が必要不可欠ということもあっての善意。
そして、現実的に高位冒険者が遭難するような事態なら、対応できるのは亜人である自分だという判断もあったのだろう。
しかし、冒険者ギルドの長たるダイヤからしてみれば、先日の一件で他所の特級戦力であるタマモを自分の所のお偉いさんのため、偶発的とはいえ怪物と単騎で戦わせるという無茶を通した後。
その清算もしていない状態ではいそうですかとその善意を受け取ることは、ノーザンヒルという街の面子や政治力学の問題から難しいようだった。
吾輩としてはそんなことを考えている場合か。
遭難者がいるなら何を先にしても人命優先だろうと思う部分もあるが、ここらへんはあくまで生きている世界からくる価値観の違いだから仕方がないことでもある。
しかし、そんな風に迷っている間にも事態は悪化している可能性が高い。
本質的にはノーザンヒルや冒険者ギルドに配慮する必要のないタマモが即決できないギルドにイラついたのか、微妙に不機嫌になってきた頃、この状況を変える救いの手が現れた。
「先生の救援については、私が向かいます」
「ルシアンさま!?」
「んー?」
身に纏う空気があまりにも軟派過ぎるノーザンヒル男爵家の三男、ルシアンの登場である。
「現在、他に動ける人はいないのでしょう? ならば動ける人間が行くしかありません」
「まー……それは……そうなんですが……」
「ノーザンヒル男爵家としてもアルケミー先生を失うわけにはいかない。今ならば万が一があっても蘇生が間に合うかと」
「んー……」
「アルケミー先生はブロンズ級の冒険者であると同時に、ノーザンヒル男爵家が招いた客人でもあります。私が動くのは当然のことです」
言外に「反論は受け付けませんよ?」という雰囲気を滲ませながら、ルシアンは語った。
その様子にダイヤは渋面を深めると、何かを諦めたかのように何も言葉を発さずに受け付けの奥へと引っ込んでいく。
これはどう考えても礼儀にかける行いであり、その行動だけを見るとふてくされたダメな大人の様ではあるが……。
彼女のこれまでの様子を考えれば、どちらかといえば黙認、あるいは、ギルドとしてはルシアンの行動を了承していないという意思表示。
冒険者ギルドとして許可したわけではないと、他の職員に見せつけるための行動だともいえた。
「こっちは本当に面倒くさいなー」
「仕方がないさ。ギルド長とはそういう役職だ」
「一応、確認なんだけど、コレってあーしが行っても良いってことだよね?あってる?」
「ああ。あっている。ノーザンヒル男爵家として、タマモを臨時徴用させて貰う」
アルケミー氏に用があるのはタマモも同じであり、むしろ自分から関わっている立場だが名目上は臨時徴用。
男爵家が他所の亜人を強制的に関わらせたという、責任の所在を冒険者ギルドからノーザンヒル家に移すという一種の儀式にタマモはげんなりとした顔を見せる。
めんどくさい。こんな形式的なことやらなくていいじゃんという思いがありありと浮かぶその表情に、ルシアンは苦笑い。
「ちなみに、臨時徴用なら報酬にも期待していいのかな?」
「ウッド級の冒険者を雇うのではなく、ブレトンの特記戦力を私が雇う形になるからな。私にできる範囲で努力させて貰う」
「おっけい。あんまり期待しないでおくよ」
「ふふ、助かる」
だが、これでタマモが動く名目が立ったことに間違いはない。
二人はニヤりと笑い、冒険者ギルドを後にするのであった。
★
ノーザンヒルの北門近くに作られた小さな広場。
街に出る、あるいは入る前に装備や身嗜みを整えるために作られたであろう場所に二人はいた。
これからどれだけ移動するのかは救助対象の現在位置によって変わる。
衣服や靴、バッグの位置や締め具合を調整し、長距離を移動したとしても不測の事態が起きないように準備を整える。
もっとも、主に準備を整えているのはルシアンの方で、タマモはせいぜいが普段使いしているポシェットの位置調整。
吾輩(本体)が変に傾いて走る時の邪魔にならない様にする程度のものだったが。
「で、アルケミー先生とやらはどこに?」
「単純な距離だけならばここから馬で半日程度の場所にある遺跡のはずだ。徒歩でも一日あれば十分に付く」
「ん? 意外と近いね?」
馬で半日、徒歩でも1日……ただ歩くだけなのか、走るのかにもよって事情が変わるが、吾輩の知識的にはざっくりと30kmぐらいだろうか。
何かの機会、漫画だったか、小説だったかで読んだ馬が1日で移動できる距離はどれ位かという程度の知識だが、タマモのいうとおり思っていたよりもかなり近い。
1週間以上もかけてどこかの調査に赴くのであれば、馬で3日も4日もかかる道のりをファンタジー世界特有の身体能力で踏破、100kmや200km先で遭難していますと言われてもまったくおかしくはないのだから。
「まあ、確かに距離だけならばそう大したものではない。ただ……」
「ただ……?」
「我々の手が行き届いていない地域なのでな。距離自体はそこまでだが、実際には平穏無事で半日も馬で駆けられる場所ではない」
「なるほど。動きやすい場所は全部魔物の縄張りなわけね」
「ああ。アルケミー先生は1日の移動は3時間程度に抑え、後は拠点を設営しながら片道に三日をかけて進むと言っていた」
「手堅い。流石ブロンズ級冒険者」
そういった意味で、一切無茶をせず、安全策を取っているのは本当に流石の高位冒険者である。吾輩のような一般人は人間時代、ちょっと散歩に出るとこれぐらいは大丈夫だろうと気軽に遠出。
足裏に豆を作ったり、靴擦れを起こしてヒンヒン泣きながらバスやタクシーで帰宅していたことを考えれば、この計画性は本当に素晴らしいとしか言いようがない。
いや、熟練の冒険者が一般的な現代人よりも旅慣れておらず、計画性がないわけがないのだが、逆に言えば、今の事態はそれだけ計画的に行動をしていた冒険者が街に戻ってきていないが故に起こっている事なのだ。
そのことに二人は既に気が付いていたのだろう。
タマモがアルケミー氏を褒めた所で会話が止まり、二人の間には不自然な沈黙が訪れた。
「まあ、それだけちゃんとしてるなら問題無いっしょ。ちゃんと足跡は残してるんでしょ?」
「ああ。先生も不測の事態に備え、使った拠点には自分たちがいつ使ったかの記録を必ず残しているはずだ。」
「それなら問題無し、馬で半日の距離を全部探せと言われたら無理だけど、ちゃんとしてくれるなら探すのもそう苦労はしないっしょ」
だが、それで黙っていては何も進まない。
意を決したようにタマモが話を再開してルシアンが答える。
不測の事態が起こったとしても対応できるようにするため、次善の策が講じてあることを確認する。
そして、準備が終わり、さあ行くぞとなったタイミングで、改めてタマモはルシアンに問いを発した。
「で、ルシアンに質問なんだけど。あんたはどれくらい動けるの?」
山奥や森の中に限った話ではないが、人間が2人以上の集団で行動する場合、その移動速度というものは必ず身体能力の低い方に依存する。
タマモは本来ノーザンヒルよりも遥かに奥深く、山林に包まれ、強大な魔物が住まう土地に住んでいる亜人である。
ブレトンからノーザンヒルまでの道なき道。
それを彼女は駆け足で、マラソンの世界記録以上のスピードを出して走り抜ける事が出来てしまうのだ。タマモがその気になれば「馬で半日」程度の距離、1時間も掛からずに駆け抜けてしまえるだろう。
故に、タマモにとって重要なのはルシアンの実力。
彼が山道をどれだけの速度で駆け抜けることができるのかだが……。
「魔物との戦闘を考えず、ただ進むだけならば4時間は掛からないと思う」
「よし。じゃあ、魔物との戦闘はあーしに任せて。一気に駆け抜けるよ」
驕るでもなく、恥じるでもなく、タマモの問いに対するルシアンの回答はやはりというべきか、ただのお貴族様では到底ありえないものだった。
★
それからの2人は早かった。
ルシアンは先日のように背には弓、腰には剣を下げたオーソドックスな冒険者スタイルで、タマモは先日の反省を生かしてか剣の2本持ち。
腰に1本、背に1本を下げて剣が折れても即座に取り換えられるスタイルでノーザンヒルを出立する。
タッタッタと、文字通りの小走りで何事もないかのような自然体に走るタマモに対し、それにやや遅れて追従するルシアンのそれは吾輩にはやや奇妙に映るもの。
所謂ナンバ走りや飛脚走法……というものだろうか?
専門的なものはちょっと良く分からないが、長距離を移動するために収めたであろう技術であることだけは分かるそれで道なき山の中を駆け抜ける。
「そこっ!」
そんな2人の足音に釣られるように時折魔物が姿を見せるが、それはタマモが投げつける石を受けて逃げ散っていく。
ビッグボアやサイクロプスのような大型の魔物が現れればそう上手くはいかないのだろうが、偶発的に出会うゴブリンや狼のような魔物程度であればそれで十分と言わんばかりの状態だ。
(やっぱりお貴族様の道楽ってレベルじゃないぞ……)
道なき山の中を駆けられることもそうだが、戦闘には至っていないとはいえ、魔物が現れる中で怯えたり、足を止める様子が無いルシアンに吾輩は改めて驚愕する。
これだけ動けるだけの訓練を積んでいながら、先日の怪物騒動、その初動におけるゴブリンとの遭遇で逃げの一手を選べたことに対してもだ。
仮に吾輩がルシアンの立場であればきっと、「ゴブリン程度ならば問題ない!」などと言ってその場で戦う事を選んでいたはずだ。
あの時点では触腕の怪物が群れを統率していることなど知らなかったし、薄い本でよくある展開の如く舐めてかかり、不測の事態にどうしようもなくなっていたことだろう。
助けがない状態でタマモの剣が折られ、貴族であるルシアンの安否に意識を割かれていたらと思うと、吾輩の裏表紙が震える思いである。
「タマモ!そろそろ第一拠点の予定地だ!先頭を変わる!!」
「おっけい!細かい場所は分かんないから任せるよ!」
そしてそんな修羅場慣れした2人の動きに吾輩はついていくことができず、タマモのポシェットの中で源影ともどもジっとしておくことしかできない。
余計な行動をして2人の足を引っ張るわけにはいかないと考える以前に、元日本人の判断力ではこういう場面でどういった行動を取るべきなのかすらも分からないのが恨めしい。
「先生たちは……少なくとも行きは問題無かったらしい。戻ってきてはいないな」
「まあ、ここまで戻ってこれてるなら強引に帰還もできただろうしね。行きで不測の事態が起こってなくて良かったよ」
そんな風に吾輩が自分の不明を恥じていると、2人は不自然に立てられた何本かの杭……恐らくは切り倒した木を骨組として、上から大きな布を被せてテント替わりにしていたのであろう場所。
意識して見なければ気が付けないが、よくよく確認して見ると不自然に灰や何かが炭化した焦げカスが埋められ、人の手が加わっている空き地で立ち止まった。
「あれ?その先生ってソロで調査に向かってたんじゃないの?」
げしげしと、靴先で灰を掘り返しながら、タマモが困ったように呟く。
「む? 普段はアイアン級の冒険者2人を連れていたはずだが……」
「マジか。しまったな。1人で動いているもんだと思い込んでた」
「1人じゃないと何か問題があるのか?」
「バラバラに逃げてた時がね。」
「……そういうことか。すまない。失念していた。」
バラバラに逃げていた時。
なるほど。
仮にお偉い先生が襲われた場所を特定することができたとしても、複数人がバラバラに逃げていた場合はその分だけ痕跡が分散する。
コレは悪い言い方をすれば、「何らかの痕跡を見つけたとしても、それを追った後に3分の2で外れる」ということになる。
この条件でタマモとルシアンの2人で救出に向かうというのは時間的なロスが大きく、また手分けして探すと二次遭難の可能性が高まってしまう。
安全マージンを取るのであれば大人数の山狩りが条件になるが、先日現れた怪物に人員を取られた状況でそれを行うのは至難の業、ギルド長であるダイヤが2人を探索に出す判断を容易に行えなかったわけである。
「まーソレはあーしの確認ミスだからいいとして、コレは野営としてはどうなの?」
「私の知る限りだと普通の野営と言った所だが……タマモとしては?」
「あーしは基本的に個人行動なこともあって、もっと速度を出せるからね。魔物がいる山中で火を使うなんて目立つことなんてするな。休みたいなら樹上で木の実でも齧ってろって思うかな?」
「参考にならんな」
「亜人だからね。参考にして貰っちゃ困る」
そんな風にして夜を越せるなら誰も苦労はしないと呆れるルシアンに対し、くっくっくとタマモは笑みを浮かべた。