〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
さて、そんなこんなで一通りの原作シーンは覗いただろうか。蝉原とセン、そして、センと輝木の邂逅...
いやぁ、リアタイできて良かったぁ。センを毎度の如くみてるソルさんの気持ちもこんなのなのかな。そりゃあ見たくなりますよ。まあソルからしたらセンは秘伝の息子みたいなモンだし、私なんかとは比べ物にならない感情を向けてるんだろうけど。
そう言えば、『東高名簿』に反町いたよな...別クラスにいるのかな?あとヤバそうなのは七月五日さんと無量大路さんと宇宙夢さんぐらいか。
...まだまだ原作未登場キャラ多くねぇ?あ、宇宙夢さんは出てきてるか。
私、この調子でこの世界で生きていけるかなぁ...
うーん...今の私って特に目的があったりする様でもないんだよねぇ...
一応、上手く異世界にいけたらゼノリカに就職して、上手く楽連ぐらいに入って、神センの恩威を受けて、そのまま良い感じに人生勝ち組で過ごす...いや、ゼノリカって就職したら街でお祭り騒ぎになるって聞くけど、実際勝ち組なのかと言われたら微妙だな。
けど、何かある時に他者を救える力が貰えると考えたら、自分を犠牲にして他者を助けれるとも言える...まあ、私だったらその時その時で行動するだろう。
まだ異世界に行けると決まったわけでもないしね。
それじゃあ、今日やることは〜
「うっ、ひっ、やっ、やっ、やっほーっ」
「んー、なんですかぁ?」
私は強烈に怯えながらも輝木の元へ向かった。
「あ、あのぉ、そ、その殺気ってけ、消せそう?」
「不可能ですねぇ。パッシブスキルなのでぇ。まあ、病気みたいなものですからぁ」
「そ、そっか。あ、ははは」
「それで、何のようですかぁ?わざわざ別クラスからやってきてぇ」
「そ、そっちのクラスに田中未来流、七月五日、無量大路、宇宙夢とかの名前に見覚えはない?」
私の予想ではこっちのクラスに一人ぐらいは原作未登場キャラがいる...と思っていたのだが。
「うんめい?むりょうたいじ?ふざけた名前ですねぇ。私もとやかくは言えませんけどぉ。一瞬、名前じゃないかと思いましたよぉ...私の記憶の中では、全員、見覚えがありませんねぇ。聞いたこともありません」
「は?」
「は、じゃないですよぉ。知らないモノは知らないし、聞いてないモノは聞いていません」
「そ、そうか。面倒かけた。すまん」
「えぇ、大丈夫ですよぉ。それにしてもぉ、あなた、私を前にしてよくそこまで持ちますねぇ。普通、もっと腰を抜かすのですがぁ...」
輝木は不思議そうにそう言った。私はなぜ、輝木に会いに来たんだ...?ああ、そうだ。そうだったんだ。
「その、ごめん!」
「...?何がですかぁ?」
「前、一瞬会った時、驚いちゃったこと...」
そう、あのことである。彼女は強く、そして慣れているかもしれない。だがそれでも、ただの女子高生だ。
私があんな対応をして、全く傷つかない可能性がどこにあるって言うんだ?
そう思っての発言だった。
「...あなたぁ、面白い人ですねぇ」
「え?」
「いやぁ、私に謝る人間なんて、この世にまだ居るとは思わなかったので」
「そ、そっか。じゃあ、私はこれで...」
「また来てもいいんですよ?歓迎しますからぁ」
「お、お誘いサンキュー」
そうして、私は輝木とのセカンドコンタクトを終わらせた。
そう言えば、携帯ドラゴン持っているかどうか聞けば良かったか...?いや、持っている事はほぼ確実だろう。確か、輝木の携帯ドラゴンは世界を揺るがす程のスペックがあったはず。なら、それはこのオリセン時空でも持っているだろう。じゃないと説明つかない。
...一応、聞いてみるか。
「か、輝木って携帯ドラゴン持ってる?」
「携帯ドラゴンですかぁ?持ってませんねぇ。というか、持ってるってどういう言い方ですかぁ?普通、『入れてる』じゃないですかぁ」
「そ、そうだな。すまん」
「謝ることのほどでもございませんけどねぇ」
私は内心どよめきながらも、相槌を打ってその場を離れた。
「ど、どういうことだ?何故輝木が携帯ドラゴンを持っていない?」
輝木の携帯ドラゴンは第一アルファの根幹部分を担う重要なパーツのはず...
それに、七月五日さんや無量大路さんもこの世界にはいないらしい。アザトスもいない様だった。ど、どういうことだ?
...考えればそうだ。普通に考えて、『運命のアリア・ギアス』...原作でも未だ不明瞭だったそれによって、おそらく『東高名簿』に記載されている者達は全員、1クラスに集まるはずなんだ。
それは、私程度の異分子が適当に、『タイジするシガナイ運命』を持っているとはいえ出てこようと変わらない不変的なもののはず...
私が出てきた程度で簡単に壊れる『運命のアリア・ギアス』など存在しないのだ。
よって、考えられるのは...
この世界は、オリセン時空ですら...ない?
私の背筋は凍った。
「は、ははは。そ、そんなわけがない。オリセン時空でも、ゼン時空でもないのなら、あ、あるのはただ一つしかないじゃないか.....」
私の脳裏に浮かんだ言葉。それはーーー
「きょ、虚数アルファ...」
私はとうとう気づいてしまったのかもしれない。
この世界の真実に。