ジョジョの青春の物語 JOJO'S "BLUE ARCHIVE" ~ 城ヶ島譲治は怯まない ~ 作:クラウディ
我が
『高速執筆』の
という訳で3話です
────ヒュォオオオオオオオオオオオッッ……!!
────見渡す限り続く、名前も知らない広大な砂の海のどこかに、歩みを進める一人の青年の姿があった。
「ゼ、ゼェ……ゲホッゲホッ! ど、どこまで続くってンだよこの砂漠……? 神様も容赦がねェぜ全くよォ……こんな苦行でもしなきゃ来世に行けやしねェッてかァ……? 俺ァお釈迦様みてェな高尚な人間じゃァねぇぜェ……? うぇップ!? クッソォ……! 砂嵐がひでェぜ……!」
ザリッ、ザリッと足を引きずるようにしてフラフラと歩みを進めるのは、特注の学生服を着たガタイのいい青年──「
ここ最近の旅路でなんとなく砂漠での歩き方を覚えていたと思ってはいたが、それは自惚れであったと訂正せざるを得ない。
────なにせこの砂漠には文字通り「
(……あのDIOの野郎に腹をブチ抜かれちまった俺は、イチかバチかでこの『
今までの出来事を振り返りながら、譲治は今の状況を分析する。
(『鏃』を使ったってェこと自体はよかった……だが『トム・ボーイ』が「成長」しようとした瞬間に聞こえた「あの変な声」が響いた瞬間、この砂漠に「
(……いや、「ブッ飛ばされた」ってェのも正しくねェ気がする……ありゃァ、ドラクエの「ルーラ」ってよりかは「ゲームスタート」だ……最初っから「
(日中……というか太陽みてぇなスタンドを出す野郎はいたが、この完全に別の世界に放り出すスタンドなんざ、今まで見たこともねぇ……ポルナレフにもうちっとほかの「スタンド使い」のこと聞いときゃアよかったぜ……)
(ジョースターさんにも「波紋」のことやら「吸血鬼」、「柱の男」なンかについても聞いた……だが、そんな摩訶不思議な奴らであっても魔法みてぇな能力はなかった……)
(「吸血鬼」の再生能力も、言っちまえば本で読んだ「プラナリア」と似たようなもんだ……細胞分裂で傷を治す……そしてそれを人間大の生物でやるために同じデカさの人間から吸血する必要があった……)
(だからDIOの野郎をぶちのめすときの作戦の一つに、俺と承太郎、ポルナレフの3人をバレーボールで言うところの前衛にして、ジョースターさんとイギーに負傷した俺らを引っ込めてもらい、花京院とアヴドゥルに援護してもらいながら、再生速度以上にあの野郎をボッコボコにするってのもあったがな……っと、ちげぇちげぇ。今はこの状況から脱出することを考えるってンだ)
あーでもない、こーでもないと歩みを進めながら分析を続ける譲治。
だが、どこまで行っても今の状況が起こるには『第三者』からの行動がないと起こりえないという結論に落ち着いてしまう。
(……やっぱ、誰かのスタンド攻撃でも受けたか……? ならDIOの信者……いや、「日中の砂漠に放り出す」スタンド能力なんざ、狡すっからいDIOの野郎は裏切られるかもしれねェッてことにビビってその場で殺しちまう……!)
未来の話にはなるのだが、十数年後のイタリアに存在するマフィアの構成員に、「鏡の向こうにある世界を行き来する能力」を持つスタンド使いがいたりする。
しかしその男と、この状況を作り出したであろう存在では前提条件が違う。
その男は組織に有益だから生かされていた。
だがもし、この世界を作り出した存在がDIOの部下であるのならば……
────この世界はまさしくDIOにとっての「天敵」ッッッ!!!
(────それにだ、あの感覚……花京院の作戦通りDIOの野郎が能力を使った瞬間と同じ……つまり『時が止まった瞬間』と同じ感覚だったッ……!!)
(なら猶更だッ……!! あのDIOの野郎のことだッ、自分と同じ能力を持っている奴なンざ、例え利用価値があったところで生かしておきたくはねェ……!!)
────『GYAAAAAAAAAAAAA!?!? き、貴様ァッ!! スタンドのみならずッ!! 貴様自身も我が世界へと土足で踏み込んでくるかァ!!! 城ヶ島譲治ィ!!!』
────『ッッッ!!! う、ぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!』
────『KUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!???』
────ズギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッッッッ!!!!
譲治の脳裏に浮かぶのは、薄気味の悪い笑みを浮かべていたDIOの姿。
花京院をそそのかす悪のカリスマ……ポルナレフの復讐心すら塗りつぶす圧倒的な存在感……そして、己以外の人間など雑草と変わらぬものとして見下す……「吐き気を催す邪悪」そのもの。
「時の止まった世界」でふんぞり返っていた所を『トム・ボーイ』にタコ殴りにされてしまい、怒りをあらわにしていたあの姿を見れば、同じ能力を持つ存在など生かしておきたくはないはずだ。
だからこそ、この状況はDIO、またはDIOの部下の力ではないと判断した。
(……だが、そうなると解せねぇことが何個も出てきやがる……)
(────なぜ、
もし、咄嗟にスタンド能力を使ってしまったのだとしたら、次の標的はその第三者自身になるかもしれない可能性があるのに?
もし、これ程の力を持っていたとしても、あのタイミングで、あの戦いに遭遇しているのなら、何故あの場から逃げずに能力を使ったのか?
もし、死にかけの譲治ではなく、譲治の仲間達、またはDIOにこの状況を引き起こせるスタンド能力を使っていたとしたらどうなっていた?
……何もかもが不可解だ。
(……だけど、今はどうにかこの砂漠から抜け出すことをっ考えなくちゃァな……かれこれ3時間は歩いてるがどこにも辿り着きやしねェ……)
しかし、そういうことを考えていても現状はどうにもならない。
頭でいくら考えを回したところでも、実際に動かなければ現状は変わらないのだから。
(なら、ちっとでも足を進めないとな……! まだ戦いは終わっちゃいねぇ……!! ゼッテェ戻ってやるッ……!!)
「ま、なんかあったらオメェに頼むぜ『トム・ボーイ』?」
『……………………』
「ん? なんかオメェ、いやに静かじゃァねぇか?」
『……………………』
「って、おいおいどこ行くんだって……へ、ヘッ、ブエックションッ!? うぇッ、ペッペッ! 砂が鼻にも口にも入ってきやがるッ……!! ってホントにどこ行くんだよオメェはよォ!!」
何故このような状況に陥ったかは分からない上に、気合を入れようと呼び出した己の『
仲間達の状況は確認できない上に、不可解な状況ばかりが起き続ける。
だがそれでも、この男────「城ヶ島譲治」は歩き続けるのだ。
仲間たちの元へ戻るために────!!
『……………………』
────キラーンッ!!
……いつの間にか懐から抜き取られ、『トム・ボーイ』の手に握られている『
────ブロロロロロロロロロ……!!
広大な砂漠の上を、一台の四輪駆動車が砂塵を巻き上げるほどの速度で駆け抜ける。
本来砂漠を走行する際には、巻き上がる砂塵がパーツの隙間に積もってしまい、何度も何度も砂漠のド真ん中で車両を整備する必要があり、よほどのことがない限りは砂漠での走行は好まれない。
しかし1978年からは、フランス人の冒険家────「ティエリー・サビーヌ」氏の発案により例年1月に開催されている「パリ・ダカールラリー」という、「世界一過酷なモータースポーツ競技」が存在するほど、砂漠などの悪路を走行することができる車両も増えてきた。
そして現在、この砂漠の上を走行している一台の四輪駆動車もそれに含まれているのだろう、砂丘を超え、砂塵を被っていても速度が一切落ちていない。
────そんな車両の中に、二つの人影があった。
「ふんふふふ~ん♪ 流れ星~♪ 掘り起こすの~♪ 楽しみだな~♪」
運転席に座り、ハンドルを握っているのは緑がかった薄い水色のロングヘアーの少女。
しかし少女というには、母性の象徴とされる胸部が非常に大きく、グラマラスな体つきをしていた。
そしてその顔立ちも、彼女自身の柔らかさを内包したように朗らかな印象を受ける。
────彼女の名は……「
────この砂漠が存在する自治区────『アビドス自治区』を取りまとめる組織────『アビドス高等学校』の生徒会長だ。
そんな彼女は何か嬉しいことでもあったのか、鼻歌を歌いながらハンドルを握っている。
「ふんふふふ~ん♪ 隕石を掘り当てて~♪ 換金すれば~♪ 大金持ち~♪ ……あ、そうだ。ユメ先輩、あとどのくらいで目的地なんですか?」
その隣の助手席に座っている少女の名は「
ピンク色のショートカットヘアーに青と黄色のオッドアイが特徴的な彼女は、グラマラスな体つきのユメとは対照的に、小柄な体つきをしている。
そんな彼女もユメと同じように期待に満ち溢れた表情で鼻歌を歌っていた。
しかし、ふとホシノがユメに目的地のことを訪ねたことで鼻歌のデュエットは途切れる。
「ふんふふ~ん♪ あ、目的地だっけ? えっとちょっと待ってね……カバンの中に地図を入れてて……わわわわっ!?」
「ちょちょちょ!? いきなりハンドルから手を離さないでくださいよユメ先輩!? カバンに入れてたって教えてもらえれば私がとりましたよ!?」
「ひ、ひぃん……! ごめんねホシノちゃん……!! え、えっとね……目的地まではあと2分くらい……かな……?」
「……今回は間違えてないですね……珍しい……」
地図を探そうと自身が運転していることを忘れてカバンの中を探し始めるユメと、慌ててハンドルを握って横転しないようにするホシノ。
一瞬の出来事ではあったが、ユメのミスを即座にカバーするホシノの判断力がうかがえた。
「勢いで今回の隕石探しにもついて行くことにしちゃったんですけど……先輩、私がいなかったらどうするつもりだったんですか?」
「え、それは……その……」
「……考えてなかったんですね……ハァ……やっぱり先輩は『そう』なんですね……」
「呆れられた!? ひ、ひぃん……! ホシノちゃんが辛辣だよぉ……!」
そんな彼女達が何をしようとしているのかについて簡単に説明するとするなら……「お宝探し」というものをしようとしている。
────『お宝さがし』。
有名どころで言うなら『インディ・ジョーンズ』の主人公のように、古代の遺跡などで価値のある財宝を探し当てる「トレジャーハンター」のようなことをしているようだ。
しかしなぜ、彼女たちがそんなことをしているのか……
「────まだ返しきれませんね、
「……そうだね……先月からどのくらい減ったっけ……?」
「減ってないですし、なんなら増えてます」
「だよねぇ……とほほ……まだまだ時間がかかりそうだなぁ……」
────彼女達が所属する学校────『アビドス高等学校』には「借金」がある。
「借金」と言っても、彼女達が自ら負ったのではなく、そもそもあった学校の借金が回りまわって彼女達におっかぶせられてしまっただけなのだ。
それを返済するために彼女たちはこうして「お宝探し」を行っているのだが……如何せん、結果は苦労に見合わないものとなっている。
「で、でもでも! 今日だけで流れ星が見つかったらすっごく借金が減りそうだよ!」
「……最悪の想定として、そもそも隕石が見つからなかったときも考えておかないとですね……」
だがそれでもと、ユメは楽観的に、ホシノは少し悲観的にこの後のことを考えるのであった。
そんな二人を乗せて車両が砂漠を進んでいき……
────砂塵の向こうに
「あれは……人……? でもどうしてこんな砂漠のど真ん中に……」
「!! ごめんねホシノちゃん!! ちょっとあの人に近寄るね!!」
「ちょっ!? ユメ先輩!?」
ホシノの驚愕をしり目に、ユメは車両を加速させて人影に近づいていく。
確かにホシノの言う通り、この砂漠のド真ん中で人が、それも周囲に車がない状態で歩いているのはおかしい。
もしかしたら、ノコノコと引き寄せられた者を襲撃するための撒き餌かもしれないのだ。
────だが、ユメの体は自然と動いていたッッ!!
────まるで「運命」に引き寄せられたかのようにッッ!!
近づいていく途中で人影は地面に向かって倒れこんだようで、近づけた時には目的の人影であろう人物はうつ伏せになって倒れてしまっていた。
近づくことができたユメは車両から降り、人影の傍に駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか!? 意識はありますか!? 今喋れますか!?」
「……うっ……がっ……」
「ど、どうしようホシノちゃん!? この人すごく苦しそうだよ!?」
「っ! 先輩! とりあえず仰向けにして車両の陰に引きずってきてください!! 簡易で日陰を作りますので!! それと体を冷却するために服を脱がせてください! その後は砂に直接触れないように脱がせた服を広げてその上で休ませつつ! 水筒の水も飲ませられそうだったら少しずつ飲ませるのを!!」
「わ、分かった!! うんしょ! うんしょっ!!」
「……おかしい、さっきまで二人いたはずなのに一人はどこに……いや、今は……!」
遭遇した人物は息も絶え絶えで、首筋を触ってみれば熱砂と同じくらい熱い。
すぐさま状況を判断したホシノはユメに指示を出す。
砂漠で遭難した場合、体温を上げるのは危険だ。
多少の熱なら、人体の機能である「発汗」のおかげで冷却が間に合うのだが、この遭難者は
これは重度の熱中症の合図だ。
ホシノの指示を聞いたユメは、遭難者を引きずりながら車両の傍に近寄り、ホシノが設置してくれた簡易的な日陰キットの中に逃げ込む。
「え、えっと……服を脱がせてぇ……! 水を飲ませてぇ……!」
「大丈夫ですか! 私達の声が聞こえますか!?」
「うっ……み、みず……」
「先輩! 水を!」
「は、はい! ホシノちゃんッ!!」
「保冷材も、こんな時のために使うようじゃなかったんですけどね……!」
「うっ、ぐぅ……!」
「く、苦しそうだね……だ、大丈夫なんだよね……?」
その後も遭難者の対処を行い続けたユメ達。
────それからおおよそ5分後……
「すぅ……すぅ……」
「ふぅ……呼吸も安定してきましたね……」
「よ、よかったぁ……」
なんとか一命をとりとめた遭難者の前で、二人は安堵のため息をついた。
安定した寝息を立てる遭難者の様子を見ながら、ユメとホシノの二人は口を開く。
「それにしても……珍しいですね、こんなところに遭難者がいるなんて……」
「うん……いたとしても、もうちょっと住宅街よりのはずなのに……」
「それと……この人、
「町の人……とはちょっと違うもんね……? どっちかというと……私達みたい?」
遭難者である青年────仰向けになったことで男性だということが分かった────は、彼女たちがよく出会うアビドスの人々と違い、どこか
これはなんでか分からない。
しかし、直感とでもいうべきものが働いたのだ。
「彼」は「自分達」と似たような存在だと。
「……他校からの遭難者でしょうか?」
「う、うーん……でもこんな制服見たことないよぉ……身分証明書とかあればいいんだけれど……」
「……失礼なことかもしれませんが、財布を見させてもらいましょうか……」
「え!? お、怒られちゃうよ!?」
「ここで勝手に死なれて他校との問題が起こるよりかは100倍以上はマシです。えっと、おそらくこの辺に……あった」
最初は他校からの遭難者だと判断したホシノは、敷物にしていた彼の制服から財布らしきものを引っ張り出した。
────しかし、それが余計に謎を加速させるのであった。
「えっ、硬貨……? 今の時代に物理的な金銭を持ち歩いてる……?」
「め、珍しいね……? これ取り扱ってるのってどこの人なんだろう……?」
中から出てきたのは「10」やら「100」やらの数字が見える硬貨だった。
これにはさすがのホシノも困惑してしまう。
それもそのはず。
硬貨というものは、彼女たちが住んでいる「アビドス」……それすら内包している「学園都市」ではついぞ見なくなったものだからだ。
アビドスでなくとも、学園都市全体で電子通貨による売買が基準となっているため、硬貨なんて今どき使えるところが少ないと思われるほどだ。
「……いったん置いておきましょう。そしてこれが……」
「学生証だね……えっと名前は……」
謎が謎を呼ぶ遭難者の青年……そんな彼にも一先ず学生証があったことに安堵する。
そこにはもちろん、遭難者の青年と同じ顔写真があった。
そこに写されていた名前は……
「「────城ヶ島譲治……?」」
こうして、奇妙な青春の物語が動き始めるのであった。
Tip!
スタンド名:『トム・ボーイ』
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