機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM〜とんでもスキルでハッピーウエディング〜 作:騎士誠一郎
原作:ガンダム
タグ:R-15 残酷な描写 クロスオーバー AI本文利用 とんでもスキルで異世界放浪メシ キララク 飯テロ
「フェル! スイ! ドラちゃん! またあのお神酒(駄菓子)の代償なのか――っ!?」
青空から突如として叩きつけられた地面は、見慣れた森の土でも街道の石畳でもなく、異常なほど硬質で灰色に塗装されたアスファルトだった。
煙を上げる着地跡の中心で、ムコーダ(向田剛志)は悲鳴を上げながら尻もちをつく。
「ぬぅ……デミウルゴスめ、またやりおったな。今度はどのような神託(言い訳)を寄せてくるやら」
伝説の魔獣フェルが、不機嫌そうに大きな体を揺らして埃を払う。その背後では、プルプルと揺れる水色のスライム・スイが「あるじー? ここどこー? お腹すいたー!」と脳内に無邪気な声を響かせ、ピクシードラゴンのドラちゃんが空中を飛び回りながら「おいおい、なんか変な鉄の鳥がいっぱい飛んでるぞ!」と周囲を警戒していた。
そこは、C.E.(コズミック・イラ)75年。
コンパスのミレニアムとファウンデーション王国との死闘からわずか二週間後の、新生オーブ連合首長国の軍事ドック裏手であった。
「動くな! 貴様たち、どこから侵入した! テロリストか!?」
ガチャン! ガチャン!と重厚な金属音が響き渡り、自動小銃を構えたオーブ軍の警備兵たちがムコーダたちを一瞬で包囲する。頭上には回転翼を持たない異形の航空機(VTOL)がホバリングし、サーチライトの眩しい光がムコーダを射抜いた。
「ひ、ひえぇぇぇ!? ち、違います! 怪しい者じゃありません! ただの旅の料理人……じゃなくて商人ですっ!」
「黙れ! その巨大な野獣は何だ! 未確認のバイオ兵器か!?」
殺気立つ兵士たち。フェルが「ふん、羽虫どもが。我が一撃で吹き飛ばしてやろうか」と眉間を寄せ、プレッシャー(威圧)を放とうとした瞬間、ムコーダの生存本能が限界突破の暴走を起こした。
(やばいやばいやばい! ここでフェルが暴れたら本気の戦争になる! 何か、何か兵士たちの気を逸らすものを――!!)
ムコーダはパニックになりながら、脳内に展開した固有スキル『ネットスーパー』の画面を光速でタップした。
(何でもいい、喉が渇いてそうな兵士たちに冷たい飲み物を渡して場を和ませるんだ!)
混乱した指先が奇跡的に掴み取ったのは、清涼飲料水コーナーの隅に並んでいた異色の品――**「タマリンドジュース(缶)」**だった。
ポンッ!
空間から突如として現れた段ボール箱。ムコーダはそこからキンキンに冷えたタマリンドジュースの缶を掴み取り、真っ先に兵士たちをかき分けて前に出てきた、凛々しい金髪の女性士官――オーブ代表首長、カガリ・ユラ・アスハへ差し出した。
「た、たたたタマリンドジュースです! 甘酸っぱくてトロピカルで美味しいですよ! どうぞ飲んで落ち着いてくださいッ!」
「なっ……!? 何だこれは、毒味もされていない飲み物など――」
カガリの脇を固めていたキサカが警戒して制しようとしたが、極限の公務疲労と 連日の緊張感で喉がカラカラだったカガリは、直感的にその冷えた缶を受け取ってしまった。プシュッ、と快い音とともにプルタブを開け、一口口に含んだ瞬間――カガリの目が丸くなった。
「っ~~~!? な、なんだこの味は……!? 甘酸っぱいのに、独特のコクと濃厚なフルーティーさがあって……体が、疲れが吹き飛ぶようだぞ!?」
「代表!?」
「みんな! 怪しい者ではない! このジュースを飲んでみろ、飛ぶぞ!」
カガリの鶴の一声により、緊迫していた現場が一変した。
ムコーダが慌てて段ボールから配ったタマリンドジュースは、過酷な復興作業と警戒任務に当たっていたオーブ兵たちの胃袋と心を一瞬で突いた。
「う、うめえええ! なんだこの甘酸っぱさは!」
「冷えてやがる……! ファウンデーションとの戦い以来、こんな美味いものを飲む余裕もなかった……!」
「おい、俺の分もあるか!?」
「待て、それは代表の分だぞ!」
いつしか軍事ドックの裏手は、タマリンドジュースを巡るオーブ軍内部の熾烈な争奪戦(殺伐とした大宴会)へと変貌していたのである。
◇
「――なるほど。事情はさっぱり分からんが、お前たちが異世界からの迷子だということは理解した」
オーブ政府のVIP応接室。豪快にタマリンドジュースの3缶目を飲み干したカガリは、プハッと息を吐いて深くソファーに腰掛けた。
傍らでは、フェルが「おい、ムコーダ。そろそろ肉を食わせろ」と催促し、スイがカガリの膝の上で「このおねえちゃん、甘いにおいするー」とぷにぷに跳ねている。
カガリは重厚な溜息をつき、窓の外――平和を取り戻しつつも、どこか緊張感の漂うオーブの街並みを眺めた。
「実はな、ムコーダ。明後日……ここで歴史的な催しが行われるんだ」
「催し、ですか?」
「私の双子の弟であるキラ・ヤマトと、コンパス総裁であるラクス・クラインの結婚式だ」
カガリの表情が一転して、深い苦悩と優しさに満ちたものになる。
「あいつらは……キラとラクスは、本当に長い間、世界のために戦い続けてきた。前回のファウンデーションとの死闘でも、命を賭して世界を救ってくれたんだ。……だが、世界はまだ安定していない。ザラ派のオールドコーディネーター、旧ロゴスの残党、そしてファウンデーションの生き残りが、この式を狙って報復のテロを仕掛けてくるという情報が絶えない」
カガリは拳を強く握りしめた。
「ピリピリとした警戒態勢の中だが……私は姉として、そしてオーブの代表として、あいつらに最高の門出を迎えてほしい。今まで辛い思いばかりしてきたキラとラクスに、心の底から『美味しい』と思える、最高の披露宴料理を振る舞ってやりたいんだ。だが……我が国の宮廷シェフたちは過労で倒れ、食材の流通も戦火で滞っている……」
カガリは力強い目でムコーダを見つめ、その両手を激しく握りしめた。
「頼む、ムコーダ! お前のその『異世界の食材を取り寄せる力』で、キラたちの結婚式に最高の料理を作ってくれないか!? もちろん、報酬はオーブの持てる限りの技術でも金銀財宝でも何でも支払う!」
「え、えええええっ!? キラとラクスの結婚式!? そんな歴史的ビッグイベントの料理を俺が!?」
素で縮みあがるムコーダ。しかし、横からフェルがドスのある声で割り込んだ。
「む。結婚式=披露宴=肉の宴だな? ムコーダ、引き受けよ。我は美味い肉が食いたいぞ」
「スイもー! 美味しいごはん作るのお手伝いするー!」
「俺も美味い肉なら大歓迎だぜ!」
「お前らなぁぁぁっ!相手はコズミック・イラの英雄だぞ!?」
頭を抱えるムコーダ。しかし、カガリの切実な眼差しと、自らの『ネットスーパー』スキルをチラリと確認した瞬間、ムコーダの思考が停止した。
(待てよ……? ネットスーパーの画面に、何か新しいアイコンが増えてる……?)
画面の隅で、眩しいほどの赤と黄色の光を放つ新しいタブ。そこには、こう書かれていた。
**『食のテーマパーク・ロピア(LOPIA)コーナー、期間限定オープン!』**
「ロ、ロピア……!? あの超絶大盛り肉パックと、デカ盛り惣菜と、圧倒的コスパとクオリティを誇る、あのロピアがネットスーパーに増設されている……!?」
ムコーダの頭の中に、電撃が走った。
ロピアのモンスター級の塊肉、あの特大ピザ、自家製製法のアコースティックな惣菜、そして圧倒的な「メガ盛りの幸福感」――。
戦火に疲弊し、心身ともに削り取られたキラやラクス、そしてコンパスのメンバーたちに必要なのは、気取ったフランス料理などではない。
お腹いっぱい食べて、誰もが笑顔になれる、圧倒的な**「肉とデカ盛りの暴力(幸福)」**だ!
「カガリ様……引き受けます。俺に任せてください」
「本当か、ムコーダ!?」
「ええ。オーブの、いや全コズミック・イラが腰を抜かすような『最高にして最強の肉披露宴』を仕込んでみせますよ!」
ネットスーパーの画面で「みなもと牛・メガ盛りステーキブロック」と「ロピア名物・超特大モンスターピザ」を閲覧しながら、ムコーダは不敵に笑った。
(待ってろよキラ・ヤマト! ラクスの胃袋ごと、ロピアのデカ盛りで幸せにしてやるぜ――!!)
――明後日、伝説の結婚式と、襲来するテロリスト集団、そしてロピアの衝撃がオーブで交錯する!
結婚式を明日に控えたオーブ軍の大型調理施設は、芳醇なソースの香りと焼き立てのチーズの匂いで満たされていた。
「よし、会場設営のスタッフさんたち! 温かい内に持って行ってください! ロピア名物の『モンスターピザ』と『小林さんちの惣菜おにぎり』です!」
ムコーダの声に応じ、徹夜作業で疲弊していたオーブの整備兵や設営スタッフたちがワーッと群がる。
直径50センチを超える巨大なピザには照り焼きチキンと濃厚なチーズがこれでもかと載せられ、メガサイズの惣菜おにぎりは1個で腹が膨れる代物だ。
「な、なんだこのピザのデカさは……!? 生地はモチモチだし、チーズが伸びまくるぞ!」
「この『小林さんちのから揚げおにぎり』、具が大きすぎて米からはみ出してるんだが……美味い、美味すぎる!」
戦火の傷痕が癒えぬオーブで、労働者たちのお腹を満たすロピア惣菜の圧巻のボリュームとクオリティ。作業員たちの歓声が響く中、調理場の裏手にある広大な庭園では、フェルが巨大な体を横たえて欠伸を噛み殺していた。
「ぬう……ムコーダめ、明日の本番のために我の肉を惜しみおる。仕方ない、この平たいパン(ピザ)で我慢してやるか」
その頃、オーブの防衛線を密かに突破し、極秘裏に上陸を果たそうとしていた者たちがいた。パトリック・ザラ派の思想を色濃く残すオールドコーディネーターの潜入部隊である。
「フン、ナチュラルどもめ……コーディネーターの裏切り者たるキラ・ヤマトとラクス・クラインが、ナチュラルの国家オーブで結婚式だと? 容赦はせん。自爆テロにより、式場ごと吹き飛ばしてやる……」
彼らが特殊迷彩を着て庭園の暗がりから忍び込もうとした、その時だった。
「……ぬ?」
フェルが鬱陶しそうに片目を開けた。
ただの虫ケラを見るような眼光。そして、全身から漏れ出たのは、異世界の神獣たる「フェンリル」の圧倒的な**威圧(プレッシャー)**――。
「――ッ!??!?!」
ザラ派の兵士たちは、歩みを止めたのではない。全身の全細胞が「命の終焉」を察知し、金縛りに遭ったのだ。視界が真っ赤に染まり、目の前の巨大な獣の影が、世界を呑み込む奈落の口に見える。脳が直接焼き切れるほどの死の恐怖。
「あ……あ……化け物……! 殺される……! このような化け物に喰い殺されるくらいなら……!!」
極限状態の恐怖で精神が崩壊した隊長は、自暴自棄になって腰の自爆スイッチを押し込んだ。
*チュドォォォン……!*
夜の防壁の向こうで小さく弾けた爆発音。フェルは「ちっ、鬱陶しい奴らだ」と鼻を鳴らし、再び目を閉じた。
一方その頃、オーブ沖に潜伏していたファウンデーション王国の生き残りと旧ロゴスの幹部たちは、別の「災厄」に見舞われていた。彼らが戦術核を積んだ潜水艇の発射ボタンを押そうとした瞬間――
天空の空間が歪み、神々しい……しかし恐ろしくズボラな声が響き渡った。
『あーあ、せっかく美味しいお菓子と肉が食べられるお祝い前夜だってのに、無粋な奴らじゃのう』
『デミウルゴス様〜! あたしのケーキの準備を邪魔する奴らは許さないわよー!』
「な、なんだ!? 脳内に直接声が……ぐああああああっ!?」
神界からの直接的な天罰。デミウルゴス様たちの「お供え物を邪魔された怒り」の神力により、潜水艇ごと概念レベルで砕かれ、冥界へと叩き落とされたのだった。
その一部始終を、オーブの警備責任者として遠護射撃の配置についていたイザーク・ジュールとディアッカ・エルスマン、そしてコンパスの面々はモニター越しに目撃していた。
「……なあイザーク。今の、見たか?」
「見……見た……。レーダーに映った敵潜水艦が一瞬で消滅し、上陸部隊は……あの犬(フェル)に見つめられただけで発狂して自爆したぞ……」
冷や汗をダラダラと流すイザークとディアッカ。
隣にいたシン・アスカとルナマリア・ホーク、メイリン・ホーク、そして闇に潜んでいたはずのアスラン・ザラもまた、開いた口が塞がらない。
「ムコーダさん……ただの料理人じゃないと思ってたけど、背後に『本物の神様』がついているのか……?」
「うん……スイちゃんが『かみさまがねー、おにくたべたいって言ってるー』って言ってたの、冗談じゃなかったんだね……」
アスランは静かに頷き、冷や汗を拭った。
「……信じるしかない。世界には、科学では解明できない『領域』が存在するのだと……。我々はただ、あのムコーダという男を絶対に怒らせてはならない」
そして迎えた当日。
快晴のオーブ主営賓館。庭園に設けられた特設披露宴会場には、世界を救った英雄たちが顔を揃えていた。
マリュー・ラミアス艦長、ムウ・ラ・フラガ、アンドリュー・バルトフェルド艦長にダコスタ、ミリアリア・ハウ。さらには傭兵部隊サーペントテールより、叢雲劾の姿まであった。
「いやあ、まさか俺まで呼ばれるとはな。カガリ代表の太っ腹にも参るぜ」と笑うムウ。
「……食事が美味いと聞いてな」と静かに語る劾。
新郎新婦の席には、白を基調とした絢爛豪華な衣装に身を包んだキラ・ヤマトとラクス・クライン。
二人の表情は、長年の戦いから解放された安らぎと、互いへの深い愛に満ちていた。
カガリがマイクを持ち、高らかに宣言する。
「みんな! 今日は堅苦しい挨拶は抜きだ! キラとラクスの門出を祝し、異世界より訪れし至高の料理人・ムコーダが振る舞う絶品料理を堪能してくれ!」
パチパチパチと拍手が湧き起こる中、コックコートに身を包んだムコーダが、スイとドラちゃんを肩に乗せて進み出た。
「皆様、本日はおめでとうございます! 本日のフルコース、心して召し上がってください!」
**【ムコーダ特製・異世界×ロピア至高のフルコース】**
**1. 前菜:オークジェネラルのウンパイロウ(雲白肉)**
薄切りにしたオークジェネラルのバラ肉を極限まで柔らかくボイルし、きゅうりの薄切りとともに美しく盛り付けた一品。上にはロピア特製のニンニクと生姜が効いたピリ辛アジアンタレがたっぷりとかけられている。
「ん……っ! 肉が……舌の上で溶けるようですわ! 脂の甘みとタレの辛味が絶妙に調和しています!」
ラクスがうっとりと頬を緩めると、キラも驚愕した。
「すごいよこれ……脂身なのに全然重くない。噛むたびに旨味が溢れてくる!」
**2. スープ:ゴロゴロ夏野菜のビルマ汁**
栃木の郷土料理をアレンジした、トマトやナス、ズッキーニがたっぷり入った和風カレー風味のスープ。
「おおっ! カレー風味だが和風出汁が効いていて、夏野菜の旨味が爽やかだ!」
バルトフェルドが唸る。「ダコスタ、このスパイスの調合をメモしろ!」
「艦長、今は食べて楽しむ時ですよ! うわっ、ナスがジュワッとジューシー!」
**3. 魚料理:のどぐろの炭火焼き**
ネットスーパーで取り寄せた高級魚のどぐろを、ドラちゃんの炎(調整済み)で一気に皮目をパリッと香ばしく焼き上げたもの。
「……美味い。皮の香ばしさと、白身とは思えないほどノリに乗った質の良い脂。塩加減も完璧だ」
黙々と箸を進める叢雲劾。ミリアリアも「身がフワフワで、お醤油を少し垂らすと最高……!」と目を輝かせる。
**4. サラダ:半熟ウフマヨネーズとベビーリーフの無限ネギンジャーサラダ**
ロピアの人気調味料「ネギンジャー」をベースにしたドレッシングに、とろ~り半熟卵(ウフマヨ)を崩して絡めるシャキシャキサラダ。
「このネギと生姜のドレッシング、癖になる味! 卵の黄身と絡まると一気にリッチになるわ!」
ルナマリアが声を上げると、マリューも「あら、これなら無限に野菜が食べられそうね」と微笑む。
**5. メイン肉料理(塩):みなもと牛のサーロインステーキ・ほりにしのスパイスで**
ロピアが誇るブランド牛「みなもと牛」の極厚サーロイン。万能調味料「ほりにし」を豪快に振りかけて焼き上げた一品。
「肉だぁぁぁッ!!」シンが豪快に噛みつく。「う、う美味すぎる!! ステーキの肉汁と、このスパイスのニンニクとハーブの香りが脳に直接響く!!」
「これ、ものすごいお肉ね……ジューシーなのに上品な味わい……」メイリンも大絶賛。
**6. メイン肉料理(タレ):ブラッディーホーンブルのタンシチュー**
高ランク魔獣のタンを、赤ワインとデミグラスソースでホロホロになるまで煮込んだ至高のシチュー。
「スプーンで切れるほど柔らかい……!」
アスランが目を見開く。「この濃厚なソース……旨味の深さが異常だ。これが異世界の魔獣の力なのか……?」
**7. 逸品:かごしま黒豚のサムギョプサル**
カリッと焼いたブランド黒豚を、サンチュとゴマの葉、特製サムジャン(味噌)とともに包んで食べる。
「こうして葉っぱに包んで食べるのね! ん〜っ、お肉のカリカリ感と甘い脂、お味噌のコクが最高!」
カガリが豪快に頬張り、口いっぱいに幸せを咲かせる。
**8. 中華風逸品:コカトリスの北京ダック風炭火焼き**
コカトリスの皮をパリパリに焼き上げ、甘辛い甜麺醤とキュウリ、白ネギとともに薄皮生地(パオピン)で巻いた贅沢な一口。
「皮の香ばしさとタレの甘辛さが絶妙です! キラ、はい、あーん」
「えっ、ラクス!? あ、あーん……う、美味い……!」
仲睦まじく食べさせ合う二人に、会場から温かい歓声と冷やかしが飛び交う。
**9. 締め:ブラッディーホーンブルのテールスープ茶漬け**
じっくり煮込んだ牛テールの旨味が凝縮された黄金スープを、香ばしい焼きおにぎりの上からたっぷりとかけた締めの一杯。
「はぁぁぁ……落ち着く……」
ムウ・ラ・フラガが感極まった声を漏らす。「最高の肉料理の連続の後に、この濃厚かつ優しいスープ茶漬け……俺を殺す気か、このシェフは……!」
**10. デザート:ハーフカットメロンクリームソーダ〜器のメロンも頂きます〜**
豪快に半分にカットした生メロンの種をくり抜き、そこに炭酸水とバニラアイス、チェリーを乗せた夢のようなデザート。
「わあぁぁぁ……! メロンが丸ごと器になってる!」
スイが「ぷにーっ! これスイもすきー!」と大はしゃぎし、ドラちゃんも「甘くて冷たくて最高だぜ!」とメロンの果肉を突く。
キラとラクスも、一つのメロンに二本のストローを挿し、微笑み合いながら一口飲んだ。
「美味しいね、ラクス」
「ええ、本当に……こんなに温かくて、美味しいお料理を食べたのは初めてですわ」
**【そして、平和な未来へ】**
宴が最高潮を迎える中、満腹になったフェルが「む、まあまあの味だったぞ、ムコーダ」と満足げに鼻を鳴らし、神界からは『おいしそうじゃったのう……(満足)』とデミウルゴス様たちの気配が消えていった。
カガリがムコーダの元へ歩み寄り、深く頭を下げる。
「ムコーダ、本当にありがとう。お前のおかげで、キラたちの最高の思い出ができた。この恩は一生忘れない」
「いえいえ、皆さんが喜んでくれて何よりです。……あ、そろそろデミウルゴス様たちの手違いの転移魔法が再度発動するみたいで……」
ムコーダの足元が淡い光に包まれ始める。
「あるじー、また別のところいくのー?」
「おう、次はどこでもいいが、また美味い肉を食わせろよ!」
「あはは……じゃあキラさん、ラクスさん! お幸せにー!」
光の中に消えていくムコーダ御一行。
残されたキラとラクスは、空を見上げながら互いの手を強く握りしめた。
「不思議な人たちだったね、キラ」
「うん。でも……あんなに美味しいものを食べたら、絶対にこの平和を守らなきゃなって、改めて思えたよ」
美味しい料理と笑顔に包まれたオーブの空は、どこまでも高く、どこまでも青く澄み渡っていたのだった。