#コンパス 【戦闘摂理解析システム】のホームは真っ白な空間だった。
コとPが合わさったオレンジ色のブロックが、空から降ってきては消えていく。
さまざまな世界と繋がる、そんな電子の空間内。
とある日、わるい魔女の閃きで開かれたお茶会にて、二人の男女が白色の丸いテーブルを囲い座っていた。
テーブルの中央には、色とりどりの洋菓子がコンポート皿に盛られ、女性のデザートプレートにはイチゴのショートケーキ。男性のデザートプレートには色違いのマカロン達。
それぞれが、コンポート皿から取り分けた洋菓子が置かれている。
男性は、黒色のコートを羽織り、その下には、黒いジャケットを着ていた。頭部に紫のラインが縦に走る、黒のフルフェイスアーマー。彼の尻尾がゆらゆらと背後で揺れる。
尻尾がある為か、彼が座る椅子には背もたれが無かった。
男性と対面する女性は、黒い魔女の帽子を被り、胸元に大きな赤いリボンの付いた黒い魔女のドレスを着て、フリルスカートを履いている。肌はクレヨンの黒色、髪はブロンドのウェーブヘア。顔はのっぺら坊のように何もない。
魔女が左手を胸に当てて言う。
「
ボンドルドと呼ばれた男性が、
「私も貴方とは喋りたかったのですよ。ーペルリニエ」
と答えた。
「ふふ、それは良かったです」
ーペルリニエは、右手でカップを持ち上げ、口の位置に付けてカップを倒す。
肌に紅茶が染み込み、液体は溢れる事はなかった。
「…………」
ボンドルドは、彼女の行動を凝視し、一挙手一投足を観察していく。
魔女が恥ずかしそうに聞いた。
「私の顔に、何か付いていますか?」
「いいえ、何も付いていませんよ。少し気になっただけです」
しばらく彼等は色々な話をして、穏やかな時間が経ち、男性が両手を軽く握る。その姿はまるで、おもちゃ屋のショーケースの前で、目を輝せる子供みたいだった。
ボンドルドが言った。
「ーペルリニエ ──貴方の呪い、是非欲しい。私が知るアビスの呪いとは、根本から異なり一線を画すモノなのです。きっと人々の役に立つと思いますよ。それはもう、物語の主人公のように」
「おだててもあげませんよ。ボンドルド様。ですが1つ、魔法を見せましょう」
ーペルリニエは立ち上がる。テーブルから離れ、何処かから羽ペンを取り出し、空中に文字を書いて、くるりと回った。
そこに魔女の姿は無く、ーペルリニエの帽子を被る顔無しの白い鳩が一匹。
「ふふ、どうです。満足して頂けましたか?」
彼女と同じ声で聞いてきた。
呪いの魔法を観測したボンドルドは感極まり、
「素晴らしい。素晴らしい」
と体を震わせる。
「
ーペルリニエが言って、お茶会はお開きとなった。白い鳩が羽を羽ばたかせ、何処かへと飛んでいく。
白い丸テーブルの前に座り、ブレブレの手記を書く探窟家が一人。
「やはり、コンパスは色々な発見が有り、素晴らしいですね」
込み上げる震えは、しばらく止まる事はなかった。