牢屋敷に集められたエマ、ヒロ、メルルの三人。
なぜかエマたちと同じく牢屋敷に入れられた五人のキヴォトスの生徒たち。
原作よりも少ない、8人の少女たちによるデスゲームが始まる。

だが、キヴォトス人がいることでデスゲームが台無しになる。
看守による攻撃も、処刑道具も効果が無い。
本来であれば悲劇的な展開になるはずが、完全なコメディ展開に早変わりしてしまう。


注意:本作はまのさば本編のネタバレを含みます。
   まのさばのエンディングを見ていない方は、ブラウザバックすることを強く推奨します。

※本作はpixivにも同じ内容のものを投稿しています。

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第1話

【牢屋敷:地下牢】

「ここは?ボク家にいたはずじゃ?」

 

見慣れない石造りの壁。

錆が浮かぶ鉄格子。

 

エマは目の前の光景に絶句した。

状況を確認しようと上体を起こそうとする。

その時、エマは懐に柔らかい感触を感じた。

 

(これは......なんでこんなところに?)

 

エマの懐には、少し潰れた『ロールケーキ』が入っていた。

元はきれいな形をしていたのだろう。

今は、エマが潰してしまったせいで少しゆがんでしまっている。

 

(まあいいや。いったんこれは置いておこう。)

 

 

そして助けを求めて大声を上げた。

 

「出してよ!だれか!だれかいないの?」

 

「静かにしろ!うるさいのは正しくない。」

 

「ヒロちゃん?ヒロちゃんも誘拐されたの?」

 

 

ヒロが返事をしようとしたとき、鉄格子の外に化け物が現れた。

漆黒の身体に色あせたローブ。

明らかに人間ではない化け物--看守--が牢屋内のエマたちを見つめていた。

 

「ヒロ......ちゃん。なに、なんなのこいつ!」

「慌てるなエマ!お、怯えるのは正しくない。」

 

恐怖で震える二人。

そんな二人の様子を見つつ、牢屋の鍵を開けた。

牢屋から引きずり出される二人。

 

捕まった3人の少女たち--エマ、ヒロ、メルル--は広間へと連れて行かれた。

なぜか一緒に誘拐されてきた、5人のブルアカ生徒たち--ヒナ、ナギサ、ヒナタ、ツルギ、ウイ--も一緒に。

 

 

 

 

 

【牢屋敷:広間】

「~~というわけです。」

「あなたたちは、この牢屋敷で一生過ごしてもらいます。」

「......なんか人数少なくありませんか?それになんか高校生混ざってません?」

「あと、その頭の上の輪っかみたいなのなんです?天使だとでも言うんですか?」

 

 

説明を終えたゴクチョー。

集められた少女たちを見て困惑の声を上げる。

 

「まあいいでしょう。」

「先ほども言いましたが、逆らうとこちらの『看守』が襲ってきます。『看守』は人間風情には倒せませんから、無駄なことは止めてくださいね。」

「魔女と無関係の死人の片付けをするのは私なんですから。私の仕事を増やさないでくれると助かります。ええ。」

 

一同に脅しをかけるゴクチョー。

それを聞き、二人の少女が動き出す。

 

「看守だかなんだか知らないが、悪は私が滅ぼす!」

「悪は死ね死ね!」

 

火かき棒を手にしたヒロが看守に殴りかかる。

 

「奇遇ね。私も同じ気持ちよ。」

「風紀を乱すものは許さない!」

 

ヒナがヒロに同調して、一緒になって殴りに行った。

 

 

看守はそれに素早く反応し、手に持った巨大な鎌を振り上げる。

手始めに、すぐそばにいたヒナにその刃を振り下ろした。

刃がヒナの首を切り裂き、ヒナの頭を切り落とす......はずだった。

ヒナの首を直撃した刃は......彼女の首に触れた瞬間に砕け散った。

 

最強格のキヴォトス人には刃物も効果が無いみたいだ。

 

 

「痛いわね。あなた喧嘩売ってるの?」

「これでも食らいなさい!」

 

鋭い蹴りが看守に命中する。

壁まで吹き飛ばされた看守は、驚愕の叫びを上げる。

 

「△△?●●●●!◇◇◇◇(え、何こいつ?化け物じゃん!手出すのやめよ)」

「□□□□□(置物のふりしてやり過ごそ。ゴクチョーたちはどうなってもいいや。)」

 

そのまま動かなくなる看守。

化け物だと自負していた看守は、ヒナの化け物じみた堅さにびびり散らす。

 

「看守さん!どうしたんですか?早くうご......!?おほほほ、何でも無いですよ。ええ、本当に。」

「べ、別になんともないですよ。看守さんが動かなくなって喜んでいますよ。ええ。これで脅威は減りましたもの、実に喜ばしいですわ、おほほほ。」

 

 

「メルル様?別のプランをか」

 

「ゴクチョーさん。ちょっと黙ってください!」

 

 

「メルルちゃんだっけ?いきなり叫んでどうしたの?」

「それにキャラ一気に変わったね。」

 

「そうだぞ、メルル。うるさいのは正しくない。」

「なにかおかしいな。なぜゴクチョーはメルルに話しかけたんだ?」

 

 

「な、何でも無いですわエマさん。」

「それにヒロさんも。べ、べつにやましいことなんてありませんわ。」

「わ、私は黒幕とかじゃないですから......いえいえ、ほんとに。」

「私を疑わないでくださいまし、皆様。」

 

急に意味不明なことを言い出すメルル。

なぜかお嬢様口調で、苦しすぎる言い訳を放った。

 

「まあいいや。みんなで食堂に行こ。」

 

 

 

 

【牢屋敷:食堂】

「ゴクチョーの話が本当だったら、みんな魔法を持ってるんだよね?」

「ボク、魔法なんて使えないよ。」

 

先ほどの出来事で、生徒たちが人間とは異なることを知ったエマ。

生徒たちのことを知って、対抗手段を得るべく聞き込みを開始した。

 

 

「ええ。私も魔法なんて持っていません。」

「考えられるのは......まだ魔法を使う力が覚醒していないためでしょうか?」

「ただ単に連れてくる人を間違えた可能性もありますが......普通に考えてあり得ませんね。」

「ヒナさんの一撃を食らっても動けるような化け物を用意するくらいです。そんな初歩的なミスを犯すわけありません。」

 

同じテーブルを囲む、ナギサが彼女の考えを述べた。

ナギサの隣に座る、ヒナタの答えはまた別のものだった。

 

「もしかしたらですが、私の怪力は一種の魔法かもしれません。」

「ちょっとこれお借りしますね。」

「ふん!」

 

 

そう言って、机の上に置かれていた金属製のトレーを手に取った。

トレーの長辺の端同士を持ち......二つ折りにする。

 

「あら、かなり柔なトレーですね。」

「おりゃ!」

 

今度は短辺の両側をつかみ......もう一度二つ折りにした。

まるで折り紙のように四つ折りにされた金属製のトレー。

それに驚愕したエマは思わず声を出してしまう。

 

 

「ヒナタちゃん?一体何者なの?」

 

「ただの女子高生ですよ。少し力が強いだけの。」

「もしかしたら私の怪力は魔法のおかげかもしれません。」

 

(......ボクどこで道を間違えちゃったんだろ?)

(でも、ゴクチョーたちをうまく使えばなんとかなるかも。)

(殺人事件が起きてくれれば、彼女たちの数を減らせるはず。)

 

牢屋敷に誘拐されたこと以上に、キヴォトス人と一緒に暮らすことに恐怖を覚えたエマ。

そんな中、エマが待ち望んでいた殺人事件が起きてしまう。

 

 

 

 

【牢屋敷:裁判所】

「最初の犠牲者になったのはナギサさんです。」

「それでは裁判スタートです。」

 

二日目の朝、ナギサが変わり果てた姿で見つかった。

牢屋のベッドの上で真っ赤に染まった彼女。

それだけで、何があったのかを理解することは容易だった。

 

裁判とは名ばかりの騙し合いと罪のなすりつけ合い。

議論の中で、エマが犯人ではないかと疑われていった。

エマは、自分への嫌疑を晴らすために反撃を開始する。

 

 

「ちょっと待って!ボクはやっていないよ!」

「それにボクよりも怪しい子がいるよ。」

 

苦し紛れの言い訳をしている。

一同はそう考えた。

だが、次の一言で全てが覆された。

 

「ボクよりも怪しい人物......それは『ツルギちゃん』だよ。」

 

「おい。エマ。私のどこが怪しいと言うんだ。」

 

ツルギの鋭いにらみに恐怖するエマ。

勇気を振り絞って根拠を説明した。

 

「みんな、よく見て!明らかにおかしいよ。」

「だって、ツルギちゃんいつも怖い目をしているよね。」

「これは何人も殺してきた人の目だよ!ちょっとしたトラブルからナギサちゃんを殺したんだ!」

「これがボクが犯人じゃない根拠だよ。」

 

 

無茶苦茶な推理を展開するエマ。

本来であれば一蹴されるだろう。

だが、本作はコメディ作品だ。

エマの意味不明な推理はあっさり受け入れられてしまう。

 

「確かに、エマの言うことは一理あるわね。」

「『戦略兵器』なんて呼ばれるくらいだから、過去に何人か殺していても不思議じゃないわね。」

 

「おい、ヒナ。お前も何言ってるんだ。」

 

「ツルギさんの暴力性は、シスターフッド内でも有名です。」

「敵対する生徒たちを容赦なくなぎ払っているようですから......その過程で十人くらい殺していても不思議ではありません。」

 

「ヒナタまで何言ってるんだ。」

 

「ティーパーティー内でも似たような話が上がっています。」

「犯人はツルギさんで間違いないですね。」

 

「だから私はやっていない!......ちょっと待て、『ティーパーティー内』だと?」

「おい、ナギサ以外にティーパーティーの生徒はいないはずだ。今の発言したのは誰だ?」

 

 

ツルギの疑問の答えは返って子なかった。

その前にエマが畳みかけたからだ。

 

「決まりだね。これでボクはやってないことが証明できたよ。」

 

(ツルギちゃんが処刑されるのはかわいそうだけど......一人でも減ってくれれば恐怖は減るはず。)

(ひどいこと考えちゃったけど......仕方ないよ、仕方ないんだ。)

(だって、ボク怖くて仕方ないんだもん!)

 

よからぬ考えをするエマ。

そんな彼女の言葉に賛同する一同。

 

 

 

「ツルギさん......信じていたのに。」

 

「残念よツルギ。組織の長同士仲良くできると思っていたのに。」

 

「古書館に全く来ないと思ったら......そんなことをしでかしていたんですね。」

 

ヒナタ、ヒナ、ウイが悲しみの言葉をかけた。

 

 

「ええ、全くツルギさんにはがっかりです。」

「殺人を犯すような人とは思いもしませんでした。」

 

ナギサが他三人に同調する。

 

 

「おい、ちょっと待て!さっきからなんか変なの混じってないか?」

「ナギサ、お前死んでないじゃねえか!」

 

「それでは魔女の処刑を行います。」

 

「おいゴクチョー!事件なんて起きてないだろ。」

 

「見苦しい言い訳ですね。」

「魔女なんですから早く処刑されちゃってください。」

 

 

ツルギの言葉を完全に無視したゴクチョー。

処刑用のガトリングガンを用意して、照準をツルギに合わせる。

 

 

「それでは処刑開始です。」

 

ゴクチョーの言葉とともに、ガトリングガンが火を噴く。

次々とツルギの身体に吸い込まれていく弾丸。

猛烈な射撃を受けたツルギの身体は、ぐちゃぐちゃに......ならなかった。

 

普通の生徒であれば、気絶していたかもしれない。

だが、ツルギには大したダメージが入らなかった。

 

 

「なぜ?なぜ?」

「なぜこれだけ撃ち込まれても生きている?」

 

困惑しつつもゴクチョーは射撃を継続する。

弾切れになるまで撃ち続けたが、ツルギは痛みに顔をしかめるだけだった。

 

(え?え?なんでツルギちゃん無事なの?これじゃあの子たち一人も減らないじゃん!どうしよう。)

(それにナギサさんも生きてるじゃん!どうやったらこの子たち消せるの?)

(もしかして、ボクへの報いなの?死んでほしいと思っちゃったボクへの罰なの?)

 

相変わらずよくない考えを巡らせるエマ。

それを知らないツルギはゴクチョーへと怒りの矛先を向ける。

 

 

「これで終わりか?」

「キエエエエエ!反撃の時間だ。覚悟しろゴクチョー!」

 

激怒したツルギにゴクチョーは窓へ殴り飛ばされる。

勢いのままに窓を突き破って、忌々しいフクロウは大空へと消えていった。

 

 

「ナギサ。お前なんで生きている。」

「血まみれになっていたじゃないか。」

 

「ただ寝ていただけですよ。」

「あの赤いのは赤い色の紅茶です。寝る前にこぼしてしまいまして。」

 

 

 

「おい。エマ!」

「今回だけは見逃してやる。だが、次は無いからな!」

 

「ひい!」

 

(どうしよう。ボクまだ死にたくないよ!)

(もうこの世界滅んじゃってもいいや。)

 

こうして、最初の裁判は無事に?終了した。

 

 

 

???「よくできたじゃんね。エマ」

???「でももっと勇気持つべきじゃんね。」

 

 

 

 

【牢屋敷:裁判所】

その後も順調に物語は進んでいった。

『大魔女』がこの世界に『魔女因子』をばらまいたこと。

その『魔女因子』により、人類が滅亡の危機にあること。

 

それらを知った一同。

『大魔女』を復活させて、この世界から『魔女因子』を取り除くことを決めた。

 

キーとなる図書室の例の本をウイが即座に解読。

本に書かれていた大魔女を復活させる方法を実行すべく、少女と生徒たちは裁判所に集合する。

本来は13人の魔女の力が必要だが、謎の力でなんとかなったようだ。

 

 

「準備は整った、来い!大魔女!」

 

ヒロの叫びが裁判所を震わせた。

叫ぶと同時に、手に持った『ロールケーキ』を裁判所の中心に投げ込む。

 

裁判所の中心に真っ赤な液体が集まり、空中へと液体が集まっていく。

1カ所に集まった液体は、だんだんと人の形を作り上げていく。

完全に人の形ができあがった直後、その中心から白い服を着た少女が現れた。

『ロールケーキ』を依り代にした、大魔女様の登場だ。

 

 

「白い服装!メルルの持っていた写真と同じだ!」

 

「大魔女様......ようやく会えるのですね!」

 

「ユキちゃん。ボクはもう逃げないよ。」

 

 

エマとヒロの親友だった存在。

メルルを育て上げた存在。

それと同時に世界を滅ぼす災厄でもある存在--月代ユキ--

 

三人は期待と不安を胸に裁判所の中心を見つめていた。

 

 

「ようやく会えたな。」

「大魔女......いや、月代ユキ!お前に話し......だれだお前!?」

 

「誰だとは失礼じゃんね。私を呼んどいて何言ってるの。」

「それに私に対して『魔女』なんて言うのは、喧嘩売ってるのと同義じゃんね!」

 

 

『万年筆』の代わりに、『ロールケーキ』を依り代にして出現したのは聖園ミカだった。

予想とは全く違う人物が現れたことに、驚愕する三人の少女たち。

 

 

「あなた誰ですか!私の大魔女様はどこですか?」

 

「ユキちゃんじゃなかったの?魔女因子ばらまいたのは?」

 

「ユキが誰かは知らないけど、魔女因子をばらまいたのは私じゃんね。」

「本当はエマにトリガーを引いてもらうつもりだったけど、直接手を下してあげる。」

 

 

(どうしよう。またやばそうなの増えちゃったよ......ユキちゃんに助けてもらうつもりだったのに。)

(『魔女因子をなんとかする』って口実でユキちゃんを呼び出そうとしたのに、逆効果だよ......)

 

絶望を顔に出さないように努めるエマ。

エマはミカに疑問を投げつけた。

 

「君は一体誰なの?何でボクのこと知ってるの?どうやってボクに魔法を与えたの?」

 

「ご都合主義じゃんね。細かいことは気にしないの。」

「役者も揃ったことだし、人類をほろぼ」

 

「ちょっと待って!誰かは知らないけど、なんでそんなことするの?」

 

(うまく説得すれば、魔女因子ごと元の世界に帰ってくれるかも。)

 

 

「恨みがあるからに決まってるじゃん。」

「私を『魔女』呼ばわりして、いじめてきたトリニティの生徒に復讐するの。」

 

「ミカちゃんだっけ?それは違うよ。」

 

「何が違うって言うの?」

 

「この世界は『キヴォトス』じゃないし、『トリニティ総合学園』もないよ。ミカちゃんは復讐相手を間違えているよ。人類を滅ぼしても何も変わらないよ。」

 

「......ここキヴォトスじゃないの?」

 

「ボクさっきそう言ったよね。」

 

「じゃあなんで生徒たちがいるの?」

 

「ボクだって聞きたいよ!」

「この子たち、見た目はかわいいけど中身は化け物なんだもん!」

「一緒に過ごした間、ボクすごく怖かったんだよ。ミカちゃんだっけ?この子たち引き取って。」

 

「一理あるね。」

「生徒たちは引き取れないけど、魔女因子なら引き取れるじゃんね。」

「これで、もう『魔女』は生まれてこないよ。安心するじゃんね。生徒たちはあなたがなんとかしてね。」

 

「やめて!そこをなんとかして!」

「この子たちと一緒にいたくない。こんな生活が続くなんてボク耐えられないよ!」

 

「まあ、暫くしたら先生がなんとかしてくれるじゃんね。」

「それまでおとなしく待つじゃんね。」

 

 

「もうやだ!先生とか言う人早くなんとかして!」

 

 

こうして、世界にばらまかれた魔女因子はミカが持ち帰り、事態は収束した。

だが、『生徒たち』という災いの種は残ったままだった。

 

 

~~~~

「はあ、はあ。ところでヒロちゃん。依り代間違えてない?」

「どう考えても『ロールケーキ』が依り代になるわけないよね?」

 

「私も何かおかしいと思っていたんだ。やっぱり『万年筆』が正解だったのか。」

「ナギサが『ロールケーキ』が正しいといったから従ってしまったが、逆らうべきだったな。」

「私としたことが、強要されたとはいえ......正しくない選択をしてしまうとは。」

 

「ねえ、今度こそちゃんとユキちゃんを復活させて、あの子たちに対抗しよう。」

「対抗できそうなのはユキちゃんしかいないよ!」

 

「そうだな、エマ。」

「すぐにサバトの儀式の準備をしよう。」

 

ついでにユキも復活させたエマたち。

原作とは異なり、犠牲者ゼロで本編が無事に終わった。

 

 

なお、ユキでは生徒たちへの対抗手段にはならなかった。

生徒たちがあまりにも堅すぎたからだ。

 

 

 

 

【牢屋敷:玄関近くの庭】

「ん、早く帰るべき。先生も待ってるよ。」

「ヘリじゃキヴォトスに戻れないから、私が代わりに来た。」

 

生徒たちを迎えに来たシロコテラー。

先生に頼まれた彼女は、キヴォトスへ戻るためのポータルを用意した。

生徒たちと暮らしていた、三人の少女と一人の魔女はようやく安心することができた。

なにせ、事件収束後も2週間近く生徒たちと一緒に暮らしていたのだ。

 

 

そんな4人の気持ちを知らずに過ごしていた生徒たち。

最初の一人が、キヴォトス行きのポータルへと歩んでいく。

 

最初の一人として、ポータルへと歩いていくナギサ。

最後の裁判後もしれっと牢屋敷にとどまっていたミカは、ナギサの背中を見つめていた。

 

 

「ミカ。行かなくていいのか?」

 

ヒロが話しかける。

 

「そうだよミカちゃん。早く行ってあげなよ。」

 

「ミカさん。ナギサさんに言いたいことがあるんですよね。」

 

エマとメルルもミカの背中を押す。

その言葉にミカは勇気をもらった。

 

(((なんでもいいから早く帰ってくれ。これ以上一緒にいたくないんだ。)))

 

なかなか動き出さないミカ。

そのせいで他の生徒たちも帰って行かない。

『早く帰れ』その一心で、三人はミカの背中を押した。

 

 

「三人とも......ありがとう。私も行くね。」

 

エマたちの本心を知ることなく、ミカはナギサの元へと駆けていった。

すぐそばまでたどり着いたミカは、ナギサに抱きついた。

 

 

「ナギちゃん。帰ったらいっぱい......いっぱいお話ししようね。」

 

「ミカさん。もちろんですよ。」

「いっぱい......いっぱいお説教してあげます!」

 

「え......何言ってるのナギちゃん?」

「原作だとここ感動的な場面だよ?」

 

「原作?何言ってるんですか?」

「訳わからないこと言ってないで、早く帰りますよ!」

「この世界に魔女因子をばらまいたそうじゃないですか。反省してもらいますよ、ミカさん。」

 

「やだー、お説教やだー。」

 

「これでも食らいなさい!」

 

「もが、もごごご」

 

 

反論するミカをロールケーキで黙らせるナギサ。

抵抗むなしく、ミカはポータルに投げ込まれた。

 

「ん、みんなも早く帰るべき。」

 

シロコテラーの言葉で、生徒たちもキヴォトスへと帰って行った。

 

 

(((やっと帰ってくれた......化け物たちとの生活もこれで終わりだ。)))

 

 

 

~~~~

「そういえば、ナギサさん?でしたっけ。今何もないところからロールケーキを生み出しましたよね。」

「あれ魔法じゃないですか?私ですらあんな魔法知りませんよ。」

「それに、彼女たちは明らかに私よりも強そうです。ただ者ではありません。」

「結局、あの方たち何だったんですか?」

 

「「「さあ?ユキちゃんこそ何か知らない?」」」

 

 

「知ってるわけないでしょう!」

 

 

 

 

おしまい

 

 


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