依存性ゆきのん   作:葵転青

7 / 7
三浦優美子・葉山隼人

相模がブッチした文化祭も無事に終わり、総武高校の2年生は次のイベントである修学旅行(京都)に向けて動き出していた。

 

今はホームルームの時間。

 

修学旅行の班決めだ。友人と一緒の班になれるかどうか?片思い中の相手と一緒の班になってワンチャン狙うか?欲望渦巻く時間の始まりである。

 

ちなみに、その班決めの欄に俺の名前はない。

 

俺がぼっちだからハブられてるとかそういう訳ではない。

 

『比企谷くんは雪ノ下さんと一緒に回るだろうし、寝るとこだけ決まったら教えるね』とクラスメイトから言われているのだ。雪ノ下とイチャイチャし過ぎた結果がこれである。少しは自粛しないといけないな。

 

 

 

放課後。奉仕部の時間。

 

文化祭後夜祭でキスをした俺達は、部室でキスをしまくってた。

 

 

 

 

なんてことはなく、少しだけ距離が縮まっただけだ。

 

俺と雪ノ下は健全なお付き合いをしているので、キスをしまくるような不健全な事はしない。そりゃたまにはキスするけどさ。毎日じゃないよ。たまにだよたまに。

 

キスをするにしても、雪ノ下はいきなり唇にキスをするような事はしない。

 

先ずは手を触る。そして、お互いの肌の感触を確かめながら徐々に密着度を上げていく。

 

今日の雪ノ下は少し積極的だ。俺の首元にキスをしたと思ったら、少し舌を這わせてきた。舌で舐められるとゾワゾワしてしまう。

 

雪ノ下の口は俺の首から頬へ。頬から口が離れると、俺の目の前に雪ノ下の顔があった。雪ノ下と目が合う。雪ノ下は俺とキスをする時は必ず目を合わせてからキスをする。

 

そして俺も、雪ノ下とキスする時は雪ノ下の目を見てキスしたい。

 

 

唇が触れ合う。

 

 

今はまだ唇が触れるだけのキスだ。

 

 

だから俺と雪ノ下は、もっと触れ合っていたくなる。

 

 

また目が合った。俺と雪ノ下はまた重なり合った。

 

 

 

唇が離れる。まだ足りない。雪ノ下と目が合う。

 

 

 

雪ノ下も同じ気持ちでいてくれる。

 

 

 

俺達はまた顔を近づけて「ねぇ!!!さっきから私達いるんだけど!!いつまでキスしてるの!!!ヒッキーもゆきのんもキスし過ぎだから!!!」

 

ちっ……邪魔が入ったか。由比ヶ浜達が部室入ってきた事は知っていたが、空気を読んで出ていってくれると思ったのに。

 

「いや、たまたまだよ。たまたまキスしてるとこに由比ヶ浜達が来ただけで、そんなキスし過ぎだなんて、いったい何を根拠に言ってるのやら。」

 

証拠もないのに人を疑うなんて見損なったぞ由比ヶ浜。

 

「先週から毎日部室でずっとキスしてるの知ってるんだからね!!ほんとは修学旅行の相談したかったのに、毎日毎日キスしてるから部室入りづらかったからこれが証拠!」

 

どうやら毎日キスしてしまっていたらしい。俺の記憶力はダチョウ並かもしれん。

 

「まあ細かい事は気にするな。それで、相談ってなに?奉仕部は最近ちょっと忙しいから相談乗れるかわからないけど。」

 

「忙しいんじゃなくてキスしてるだけでしょ!修学旅行の班決めのことだよ!」

 

「めっちゃ忙しいのに……。班決めなんて大体決まったメンバーだから問題ないだろ。班が別でも無視して一緒に行動すればいいんだしさ。」

 

俺と雪ノ下なんてクラスが違うけど一緒に行動するし、行き帰りの新幹線の席も既に交渉済みである。

 

「その決まったメンバーが困ってるんだよ、ヒッキーも最近の隼人君との事は知ってるでしょ?」

 

「葉山?よく知らんが仲良くやってるんじゃないのか?」

 

ホントに知らん。俺あいつとそんな接点ないんだけど。

 

「結衣ありがと、こっから先はあーしが説明するから。ヒキオは今の隼人のこと、どう見える?去年とかと比べてさ。」

 

部室には由比ヶ浜・三浦・海老名が来ている。葉山と一緒にいる女子グループだ。たまに雪ノ下とともに昼飯食ってるから知らない仲というわけでもない。

 

「去年と比べれば接しやすい雰囲気はしてるな。去年は爽やかイケメン俺様オーラしてたが、今は普通に爽やかイケメンって感じか。」

 

悪く言えば落ちぶれた。カリスマ性を失っている。クラスを従える葉山隼人ではなく、クラスを率いる葉山隼人だ。クラスのトップである事は変わらんが、中身は別物だ。

 

「あーしは今の隼人の方が好き。前の隼人も好きだったけど、隙がないというか、あーし達に興味がないって感じだったし。」

 

「告白でもするのか?言っとくが恋のキューピッドなんてした事ないから出来んぞ。葉山とも仲良い訳でもないし。」

 

「いや、逆だし。隼人達のグループがあーしらに告白してくるのを止めて欲しいってこと。」

 

「随分とまあ自信満々だな。勘違いじゃないのか?」

 

「最近露骨過ぎでさ。隼人が変わっちゃったから、歯止めが効かないって感じ。隼人のせいってわけじゃなくて、隼人に守ってもらってた皺寄せが来ちゃったってことかな」

 

つまり、葉山の女子グループは前までは葉山の所有物だった。葉山の所有物だからこそ、誰も手出しはしてこなかった。

 

しかし、葉山がそれを手放した。正確にいえば、所有する事が出来なくなった。

 

目の前にいる女子3人は俺から見てもレベルは高い。修学旅行を機にワンチャン狙う輩がいてもおかしくないってわけか。

 

「なら責任は葉山にあるだろ。守るんだったら最後まで責任持てと伝えておいてやろうか?」

 

「責任ってことならヒキオと雪ノ下さんにもあるんだけど?」

 

「俺達に?なんで??」

 

俺はともかく雪ノ下に責任があるとは思えない。今も俺の膝枕を楽しんでいるだけの可愛い存在に、いったいなんの責任があるというのだろうか。

 

「アンタらが毎日毎日イチャイチャしてるからみんな恋愛脳になってんだし。アンタら人目気にしてないから気付いてないっしょ。」

 

失礼な。人目は気にしてる。気にした上で、無視してイチャイチャしてるだけなのである。うむ。俺達にも責任ありそうだ。

 

「はあ………それで、俺達にどうして欲しいんだ?修学旅行中だと俺達にできる事は限られてるぞ。」

 

俺はまだしも、雪ノ下は修学旅行中に他人の事は眼中に無くなるだろう。俺と雪ノ下だって絶賛恋愛中なのだから、他人の色恋を手伝えるほど余裕があるわけではない。

 

「アンタらのデートの邪魔はしないし。ただ、アンタらの班に入れて欲しいって事。アンタらの近くにいたら誰も近寄って来ないっしょ。」

 

「いや、近寄ってこないかどうかは分からんだろ。そんなん保証できんぞ。」

 

「デート中のアンタらの近くに近寄る奴なんてウチの高校にいる訳ないっしょ。」

 

酷い言われ様だ。三浦が言っているのは、一年生12月の時の校外学習の話だろう。

 

俺と雪ノ下がクラスの区切りを無視して2人でデートしていると、雪ノ下に告白してきた奴がいた。それ自体は別に良い。雪ノ下は可愛いし、告白されるのは仕方ない。

 

俺が文句を言わないと分かると、そいつは俺と雪ノ下のデートに付き纏い始めた。分かりやすくいうと、邪魔をしてきた。

 

とはいえ、邪魔があろうがなかろうが俺と雪ノ下は他人を気にしない。俺達から徹底的に無視されたその男は、俺を悪さ様に罵り、それに飽き足らず、雪ノ下の事を罵倒した。

 

俺の雪ノ下を罵倒したのだ。

 

雪ノ下を罵倒した男は、既に転校してしまったからその後どうなったかは知らない。俺も、あれに関しては少しやり過ぎたと反省している。

 

俺と雪ノ下が2人で好き勝手できているのはバカップルという理由だけではなく、近寄って地雷を踏むくらいなら放置しようという暗黙の了解ができているからだ。

 

雪ノ下を悪く言ったあの男が悪いだけなので、その辺を知ってる由比ヶ浜とかは平気で近寄ってくるし、俺達はそれを拒否することもない。

 

「まあ、それなら任せるよ。俺達は勝手に修学旅行楽しむから、利用したいなら好きに利用してくれ」

 

「ありがと。ただ、変な所に入ろうとしたら止めるかんね?修学旅行中止とかなったら嫌だし」

 

「入らねーよ……俺たちを何だと思ってんだ」

 

失礼な話だ。ラブホなんか入る訳ないだろ。たぶん。絶対。というか入ったところでキスするだけだから入る意味ないし。

 

そんな訳で女子グループは俺達の班に入ることになった。昼飯をたまに一緒に食べてる関係ではあるから、おかしい話でない。

 

 

 

 

数日後、葉山が部室にきた。

奉仕部に来る人が増え始めたので、そろそろ対策を考えないといけないな。

 

葉山は依頼しにきたわけではなかった。

葉山は三浦の意図に気付いたのでクラスの男子をそれとなく誘導しているが、一部は止められないかもしれない。その場合、三浦は勿論のことだが、俺と雪ノ下にも迷惑が掛かるかもしれないので、先にその事を伝えにきたのだ。律儀な男である。

 

葉山は俺への恩を返したい(なんかあったっけ?)らしいので、なにかあれば自分が責任を持って対処するから連絡して欲しいと、連絡先を渡された。

 

そう言えば葉山の連絡先知らなかったな。この連絡先、一年生女子相手なら高く売れそうである。

 

 

 

 

色々な思惑が交差している修学旅行であったが、三浦や葉山の心配をよそにつつがなく終了した。

 

三浦の作戦がハマったのか、葉山の頑張りが功を奏したのかは、神のみぞ知る話だ。

 

 

 

 

ちなみに俺と雪ノ下の関係は修学旅行というバフを貰ったことで、フレンチキスがディープキスに進化した。

 

修学旅行後に部室で楽しんでいたら平塚先生に見つかってしまったが、『私だってまだなのに……』という言葉と共に走り去っていった。南無三。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

やはりボクが八幡をおちょくるのはまちがっていない(作者:モンゴル産シーラカンス)(原作:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)

俺ガイルの世界に転生したTSオリ主が、幼馴染みの比企谷八幡を思春期の少年には余りにも暴力的な肉体と、その距離感の近さから苦悩させ続ける話。


総合評価:2258/評価:8.41/連載:6話/更新日時:2026年08月29日(土) 12:00 小説情報

転生エルフののんびり異世界生活(作者:光合成で生きたい人)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ブラック企業で身を粉にして働き、過労の末に倒れた元・日本人の男。▼彼が転生したのは、寿命の概念すらない神話に語られる種族『エルダーエルフ』だった。▼最強魔法でチート無双!なんてことはなく、存分に念願のスローライフを楽しもうと過ごす彼だったが、ある時昼寝のつもりでうたた寝をすると100年もの時間が経っていた。▼エルフの感覚に侵食されていた彼は、その時にふと気付…


総合評価:1146/評価:8.37/連載:7話/更新日時:2026年06月13日(土) 14:31 小説情報

やはり俺の界境防衛生活は間違っている。(作者:RAKU0221)(原作:ワールドトリガー)

ヒッキーとワートリのクロスオーバー作品です。▼比企谷家以外の俺ガイルキャラは出す予定がありません。▼投稿頻度はバラツキがあるかと思いますがよろしくお願いします。


総合評価:357/評価:7.75/連載:4話/更新日時:2026年09月18日(金) 11:49 小説情報

これもきっと妖怪のせいに違いない(願望)(作者:R1zA)(原作:妖怪ウォッチ)

▼リハビリ作。▼最近事故で死にかけた時に見た走馬灯で妖怪ウォッチがやりたくなったので久々にやった結果、『妖怪ウォッチって改めて見るとめっちゃヤンデレ適性高いな?』と思って書いた怪文書です。▼以下あらすじ▼妖怪ウォッチ世界でケータ君に転生した人が無印から3までを死に物狂いで駆け抜けた結果、繋いだ縁でがんじがらめにされる話。▼※匿名解除しました(2025/1/1…


総合評価:10966/評価:8.93/連載:5話/更新日時:2026年09月19日(土) 04:00 小説情報

ようこそAクラスの教室へ(作者:yadooo)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

最も不良品であるはずの綾小路が、何故だか優秀な生徒達の集まるAクラスに配属されるIFストーリー。▼


総合評価:4664/評価:8.74/連載:50話/更新日時:2026年09月23日(水) 12:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>