境界のアルカナ・コード 〜隣ん家の子が何か主人公っぽいんだけど、もしかして俺は師匠枠なの?〜 作:夜月詠
手札は【竜契師リンド】、【破魔の矢】、【竜契術"竜血"】、【魔導大典:裁きの章】、【護竜アクア】、【聖竜レイ】の計6枚。
マナは2。よって、今プレイできるのは【竜血】か【護竜アクア】、もしくは【代償詠唱】によって発動コストを
ここは護りを固めるべきか──【護竜アクア】の
よって、墓地効果で処理されるだろう。……或いは、【アクア】を放置して盤面を固めるか、だ。
僕の
よって狙うべきは速攻か、或いはワンショットキル。しかし、僕のデッキは中速域。速攻はかなり厳しい。
だが、後者であれば話は別。1ターンでゲームを決めるコンボが2つ搭載されている。
よって、今プレイするべきは──
「コスト2、手札から【護竜アクア】を捨てて【竜契術"竜血"】を発動!!」
ドロソを切って、コンボカードを揃えに行く。
詩式コトハ:CHANT 6→4 → MANA 0/2
先程のソレと同じ、熱中症の酩酊にも似た脱力感。フラリと身体が揺れて、崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、墓地へ行く【アクア】の身体から溢れた鮮血を両手で受ける。
それは、竜を贄とした可能性の拝領。暁の空にも似た鮮やかな鮮血が、光となって消え去ると、掌の中には2枚のカードが姿を現していた。
詩式コトハ:ENFORCEMENT 4→6 → MANA 0/2
新たに加わったカードは【駆竜の旅路】と【冥竜アビス】。
召喚酔いを無視する効果である【神速】を付与する術式と、墓地のドラゴンを蘇生する7コストユニット【冥竜アビス】。目的としていたのは前者。ワンショットの為のコンボカードが、先ずは一つ。
「ふん、手札補充……或いは、コンボカードを揃えに行ったか?
オレたちのデッキタイプは、"青の王"が口にしているからな。中速域のドラゴン軸ビートダウンは、ロックバーンに対して不利……ならば、コンボカードを揃えワンショットキルを狙う……見え透いているぞ」
──読まれている。僕のデッキは、ビートダウンにコンボを搭載したドラゴン軸ビートダウン。そんなデッキがどうやって勝利を目指すのか、と云う点から思惑を見抜かれている。
「それはどうかな? 苦し紛れに、手札を増やしただけかもね?」
間違いない。彼は、僕などより余程優れた
「オレのターン。スタート、ドロー……ふ、運命はオレに微笑んでいるらしい。メインフェイズ、コスト3を支払い、このカードを召喚する!」
庭師:SUMMON 9→8 → MANA 0/3
フィールドに投げ込まれたそのカードに記されているのは、暗い城の中で眼前に剣を構えた影のカタチ。
その幻想が、フィールドにて成立して行く。
「来たれ、再び望まれし円卓の幻想よ! 第一の座より、我らにその光を齎し給え! 召喚ッ、【
◆
種族:人 属性:闇
COST:3 ATK:0 DEF:1
①このカードは攻撃宣言できず、自分の場にこのカードしか存在しない場合、相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。
②このカードが場にある限り、場でユニット・スペリオルユニットの効果は発動できない。
それは、騎士だ。黒い闇と影と、灰と余燼が寄り集まって産まれたかの様な、ボロボロで、触れたら壊れてしまいそうな質感の、騎士のカタチ。【残骸】と似て、けれど雰囲気の異なる【
「──ッ、効果発動を無効にするロックカード! 不味いぞ、マスター!」
【竜王ファフニール】を用いたワンショットであれば、あのカードが場にあっても実行できる。だが、【ファフニール】を出す為に墓地にドラゴンを貯める暇は無い。
場を封鎖されて、バーンダメージで削り殺されるのが先だ。
「このカードをお前は攻撃対象に指定できない。処理したければ、術式を唱える事だ」
明らかに誘われている。
僕が処理の為に術式を唱えたら、何らかの
「それは罠なのか、親切な助言なのか。分かんないなぁ。シャラは、どう思う?」
「どちらでも良い。必要なのは、あのカードを踏み越えて勝利する事だ」
罠を恐れず踏み抜くか、はたまた放置してしまうか。
どちらにせよ、アドバンテージは向こうにある。対応を強制された時点で、形勢は彼に傾いていると言えるが……これは、まだまだ序盤に過ぎない。
ゲーム後半になる程に……コストの高い強力なカードをプレイできる様になると、カード1枚の価値は上昇する。
強いカードを強く使う方が強い。『強い』という単語が連打される上に馬鹿みたいな表現だが、事実だ。
ならば、ダメージを小さく抑えられる今、罠を踏み抜くべきだろう。
「僕のターン。……メインフェイズ、【破魔の矢】を詠唱する。対象は、【再創世の円卓】!」
詩式コトハ:CHANT 7→6 → MANA 2/3
◆破魔の矢
COST:1 種別:詠唱・反応術式
場のユニット1枚を選んで発動する。3のダメージを与える。
投げ込んだカードから、眩く光輝く矢が現れて彼の場に在る【再創世の円卓】を撃ち抜いて、消滅させる。
胸らしき部位を撃ち抜かれた影騎士は、苦悶一つ漏らさずに消滅し、後には何も残らなかった。
「はは、本当にアドバイスだったのかな?」
「は、【破魔の矢】如きにカードを切るのが惜しかったのかもな」
やはり破壊される事が目的だったのか? 或いは、本当に【破魔の矢】を打ち消すのが惜しかったのか。
……コンボカードを揃えてワンショットを狙っている事がバレている以上、打ち消しは手札に抱えておきたい筈だ。
ならば、【破魔の矢】に対応するのが惜しかったと考えるべきだが……もしかして、手札に蘇生カードを握っているから破壊されても良かった、のか?
「──手札から、【駆竜ウィンド】を召喚し、ターンエンド」
先程ドローした【ウィンド】を召喚して
……慣れてきたのか、脱力感は感じなくなってきた。調子は何時も通りだが、掌で踊らされているかの様な不快感を感じる。
詩式コトハ:ENFORCEMENT 6→5 → MANA 3/4
「メインフェイズ──手札より、【偽称:再誕の奇跡】を発動する。蘇れ、【再創世の円卓】よ!」
庭師:CHANT 9→8 → MANA 0/4
◆偽称:再誕の奇跡
COST:4 種別:詠唱術式
自分の墓地に存在する1度通常召喚された事のある"種別:ユニット"を1枚、自分の場に特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたユニットが場を離れた時、自分は5のダメージを受ける。
蘇生カード──! 後者、破壊されても良かったんだ!
【再創世の円卓】と【偽称:再誕の奇跡】で対応を強要し、手数を削ってバーンダメージで削り殺す……彼のデッキは、そう云うデッキなんだ!
投入枚数はおそらく4枚ずつ。そして、これは勘だが大型の切り札級のユニットも投入されている筈だ。
バーンダメージのダメ押し……或いは、バーンを加速させる大型ユニット。【円卓】と【奇跡】の対応も含めて、僕のデッキに搭載された術式では対応しきれるかどうか怪しい所だ。
ならば、一刻も早く、コンボを成立させなければ──!
実験のレポートは、コツコツ真面目に書くべきだった。
ありがとう、モンスター。ありがとうカフェイン。滅べ手書きレポート。