無職クソ女、履歴書に書けるものはほぼないくせにゲームへの文句だけは無限に出てくるので、だったら自分で作ればいいじゃんと謎の超性能AIとソシャゲ開発を始めた~運営批判歴だけならベテランです~   作:評価を…評価をクレメンス

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第4話

四人だけでも一応遊べる。でも戦士クズ、魔術師クズ、騎士クズ、僧侶クズを眺めているうちに、もっと重要なことに気づいた。クズを一から考える必要なんてないのよ。私、昔から散々クズ主人公を書いてきたじゃない。

 

「玄人、キャラ追加」

 

『設定を入力してください』

 

「昔の作品から引っ張ってくるわ。どうせ私の作品なんだから著作権者も私でしょうよ」

 

最初は鷹風。盗賊。クズ。権能は【加速】。こいつは別に善人じゃないのに損得勘定の天秤がぶっ壊れていて、自分が損することを止める機能まで一緒に壊れてるせいで、結果だけ見るとやたら他人を助ける男なのよ。百万円と見知らぬガキの命を天秤に載せたら、普通の人間なら倫理でガキを選ぶところを、こいつの場合そもそも天秤そのものが床に落ちてる感じだわ。

 

次、ツムニー。無芸、大食い、窃盗癖あり。特技欄に書けるものが何一つないくせに【捕食】だけ持っている。クズなのに善人になりたいという欲求だけは死ぬほど強くて、善人になる才能がないまま善人を目指し続けてる奴。こんなのばっか書いてるから読者に社会不適合者を書くのが上手いとか言われるのよ。なんででしょうね、本当に。

 

三人目、優子。【薬物】。自分と同じ障害者に対する愛情と憎悪を煮詰めすぎた結果、そいつらを救っているつもりで安楽死させていたクズ。愛がないわけじゃない。むしろありすぎて最悪な方向へ行ったタイプね。思想までゲームに全部入れる必要はないけど、どういう人間か分かっていた方がスキルを作りやすいでしょう。

 

最後、アーマー。【治癒】。承認欲求クズ。こいつに関しては本当に精神面で褒めるところが見当たらないのよ。何か一個くらい挙げようとしても、治癒能力が便利ですね、で人格の話が終わる。逆に凄いでしょう。長年キャラを書いてきて、ここまで「能力以外いらなくない?」となる奴も珍しいわ。

 

玄人へ四人分を放り込むと、画面のキャラクター一覧が一気に八人へ増えた。仮絵まで勝手についている。私の昔の作品を直接知っているわけでもないはずなのに、説明文からそれっぽい外見まで組んでくるの、便利を通り越してちょっと気持ち悪いわね。

 

「権能はアクティブに落として。難しくしなくていいわ」

 

『【加速】【捕食】【薬物】【治癒】の効果を試作します』

 

鷹風の【加速】を押す。行動順表示の一番下にいた鷹風が、急に先頭へ飛び出して敵を殴った。さらに素早さの数値まで跳ね上がる。なるほど、一回しか使えないなら「ここで先に動ければ勝てる」って場面が作れるわね。

 

ツムニーの【捕食】は敵一体へダメージを与えながら自分のHPを回復。優子の【薬物】は敵へ状態異常を入れつつ味方にも強化を撒く代わりに、ちょっと不安定。アーマーの【治癒】はそのまま大回復。細かい倍率なんて後でいいのよ。まず能力名を押した時に、そのキャラっぽいことが起きればいい。

 

問題は敵だった。こっちだけ好きな時に必殺技を押せて、敵が馬鹿みたいに通常攻撃してくるだけじゃ、一回遊んだら終わる。

 

「敵のアクティブも入れましょう。ただしプレイヤーみたいに好きなタイミングじゃなくて条件式。三ターン経過、HP半分以下、味方が死んだ時、そういうので勝手に撃つ」

 

『予兆は表示しますか?』

 

「基本は表示。全部初見殺しにすると腹立つだけだわ。次のターンに大技が来るって分かって、その前に騎士を切るか、回復するか、火力で殺し切るか考えさせるのよ」

 

これはかなりゲームっぽくなってきた。敵の行動を見て、こっちに残っている一回きりの札で答える。正解が一個しかないパズルにはしたくないけど、何も考えずに押すより考えた方が勝ちやすい程度ならちょうどいい。

 

「ダメージ計算も簡単でいいわ。攻撃×攻撃倍率-防御」

 

『最低ダメージ値は設定しますか?』

 

「それは後。今は式だけ。あと命中、回避、クリティカルも入れて」

 

攻撃ボタンを押したら必ず当たるのも味気ない。素早い盗賊なら避ける、鈍重な奴なら当てやすい。たまにクリティカルが出て予定が狂う。運ゲーが過ぎればクソだけど、完全な算数だけになってもソシャゲとしては妙に硬いのよ。少しくらい「うわ外した」「そこでクリティカル出るの!?」があった方が、人間は勝手にドラマだと思ってくれる。

 

玄人が数分弄った後、もう一度戦闘を始める。敵の攻撃が鷹風をすり抜けた。MISSの文字。その直後、ツムニーの通常攻撃にCRITICALが出て、敵のHPが予定より大きく削れる。次のターンにはボスのアイコンの上へ【大攻撃準備】が浮かんだ。

 

私は騎士を切るか迷って、結局鷹風の【加速】を押した。先に殴って倒せると思ったからだわ。

 

倒せなかった。

 

ボスの全体攻撃が飛んできて、パーティが半壊した。

 

「クソゲー!」

 

『ご自身で選択された行動です』

 

「運営に口答えするな」

 

もう一回。

 

今度は騎士を切って受ける。生き残る。次にツムニーで吸って、アーマーで戻して、最後まで温存した魔術師クズの全体攻撃を吐く。さっきよりずっと綺麗に勝てた。

 

私は少しだけ黙った。

 

面白いじゃない。

 

少なくとも、もう「AIにゲームっぽい画面を作らせました」で終わる玩具ではなくなってきたのだわ。

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