モングレル「サリーと夫婦ならまぁ、退屈はしなさそうだな」 作:たくわん坊
「……あの、なんで2人して私の手を繋いでいるんですか?」
「前は良く手を繋いで帰ったろう?」
「私もう子供じゃないんだけど、って言うかなんでモングレルも手を握ってるんですか!」
「いや、名実ともに親子になる訳だし、親子っぽいことしておこうかなと」
「だから私もう子供じゃないんですけどぉ!?」
サリーと婚約して王都のギルドの酒場で祝われながら飯を食いケンさんの取った宿に帰るその途中、俺とサリーはモモの手を繋ぎながら道を歩いていた。
まぁ確かに、モモだって16歳で子供と言うには大きいわな。サリーに言わせたら何歳でも子供なんだろうが。
「そーら」
「わあぁぁぁああ!?いきなり引っ張らないで下さい!」
「ははははは」
モモの手を引っ張って軽く持ち上げてやる。俺も前世や今世でも父さんと母さんにやってもらったがまさか俺がやる側になるとはなぁ……。
そんな風に家族の仲を暖めつつ宿に到着した。
「おやすみ、モモ。それじゃあモングレル。行こうか」
「えっ?」
「おっ?」
宿に着いたと思ったらサリーからいきなり誘いを受けた。
「行こうかって、母さんまだ飲んでくるの?明日も護衛の仕事があるんだよ?」
「大丈夫だよ。仕事には支障は出ないようにするから」
これは、アレだな。そう言う事だろう。いや、どうだろう……サリーの事だからマジでワンチャン2人で飲みに行くだけで終わるかもしれん。
「そうだな……折角婚約したんだし、今夜は俺もサリーと2人きりで飲みたい気分だな」
「まぁ……分からなくないですけど……明日の仕事に影響が出ない程度にしてくださいよ」
「任せろって、俺はレゴール一体力のあるギルドマンなんだぜ?」
「モングレルが体力バカなのは知ってますけど、なんでしょうね、何時ものセリフから感じるこの信頼出来なさは」
そう言ってジト目を向けて来るモモ。おいおい、そんなジト目じゃあまだまだライナの奴には及ばんぞ。
「まぁ流石に俺が受けた依頼だからな。節度は弁えてるさ」
「それならいいんですけど……」
「モモ。モングレルの事、父さんって呼んであげないのかい?」
「……気恥ずかしいですし、モングレルはモングレルですよっ。それじゃあおやすみなさい。ごゆっくり!」
そう言うと照れるようにそそくさと宿に入って行った。多分モモも察してくれてるんだろな。
「ホント、よく出来た娘だよモモは」
「そりゃあ僕達の子供だからね」
それじゃあ、行こっか。そう言うとサリーは俺の手にそっと指を絡めて来る。普段杖を握ってるからか、手のひらにはマメの跡があるが、滑らかでしなやかな手だ。
さっきは手汗をかいていたせいで直ぐに手を離されたが流石にここまでに汗は引っ込んでる。俺もサリーの想いに応えるように手を握り返す。
「ふふ、不思議だなぁ」
「何がだ?」
「前の夫ともこうして手を繋いだ事もあったけど、特別何か感じる事はなかったんだよ。けど、モングレルと繋いでると心が暖かい気がするんだ。恋に落ちる事を『心に火が灯る』と形容する人も多いけど、これがそういう事なのかな?」
どう思う?そう言って俺を見上げながら問いかけて来るサリー。杖に灯る光が顔を照らしているせいか、サリーの顔が少し赤らんでる様に見える。
…………その言い方はズルいわ。俺別に寝取りとか趣味じゃないんだけどなぁ。
「……前の旦那さんの事とか、モモの前では言うなよ?」
「僕をなんだと思っているのか。そのくらいの分別は付くさ。」
「なら、いいんだけどさ。『心に火が灯る』ね、間違っちゃないんじゃないか。」
俺も今、サリーの顔を見てたら心だけじゃなくて別のところも熱くなりそうだ。
「ふふ、そうか。コレが″恋をする″っていう感覚かぁ。うん、悪くないね。知らなかった事を知ると言うのは何時も楽しいものだね」
そう言うサリーの顔は今までで見たことのないくらい朗らかで魅力的に映った。
「ねぇ?モングレル。モングレルは僕のこと、好きかい?」
「……あぁ、好きだぜ」
「どれくらい?」
そう聞いて来るサリーは少しだけ手を強く握って来る。
俺はそっとサリーの顔に手を添え、顔を寄せ口付けをする。鼻が触れ合うほど顔を近づけると糸のように細い目が薄らと開かれていて、そこから覗く瞳は吸い込まれるような美しさだった。
永遠にも思えるような時。しかし、その瞬間は直ぐに終わりを迎えた。
「んっ……ぷはぁ」
「……このくらい」
キスを終えた後のサリーは俺の知らないサリーだった。少し息が上がり頬は気のせいじゃないとわかる程度に紅潮しており、薄らと開かれた目がどこか妖艶さを演出していた。
「ふふふ、そうかぁ。コレが好きって感覚か」
「あぁ。これからもっと教えてやるからな」
「ふふ、楽しみだな」
そうして俺たちは夜の街に溶け込んで行った。ここから先の事は、まぁ夫婦の間だけの秘密だ。
結論だけ言うなら結局、宿に帰ったのは日が昇ってからだ。帰ったら宿の一階で待ってたモモに昨晩はお楽しみでしたね、と今までにないほどのジト目で迎えられた。
強くなったな……モモ、お前がナンバー1だ。
とまぁ、朝帰りになってしまったが体力お化けの俺は一晩中ハッスルしたがまだまだ元気だし、サリーの方も思ったより余裕がありそうだ。俺より歳上のはずなんだが、なんなら昨日より艶々してるような気さえする。
その後は、ケンさんが伯爵様とお貴族様に振る舞うゼリー付きアイスクリームを完成させ、驚愕させられながらも舌鼓を打ち、ケンさんは明日に備えて早くに寝てしまった。
自由時間になったので薬草園を見学しに行った時、何故か女装をしているレオと遭遇しシラを切るためにらしくもないセリフを吐いて撤退する事になった。なんで俺は嫁さんを貰った翌日に男と分かってる相手にこんなセリフを吐かなきゃいけないんだ……。
そうして迎えた伯爵様にお菓子を振る舞う日。俺は意気揚々とケンさんの作った菓子で貴族を驚かせてやろうぜ!と乗り込んだものの、ケンさんとは離されて待合室に案内された。まぁそりゃそうだよね。
ケンさんのお茶会が終わるまで、時間いっぱいまでお茶をたらふく飲見ながら庭園を眺め優雅なお茶会と洒落込んでいたらモモとサリーに文化力でマウントを取られたりと、うちの嫁さんと義娘は相変わらず容赦がない……
しばらく茶を飲んで時間を潰していると、玄関の方からシーナ達の声が聞こえて来る。アルテミスの王都の仕事ってお茶会の事だったんだな。なるほど、理解したわ。
「お邪魔するわ……って、サリーさんじゃない」
「おや。アルテミス諸君。そちらも護衛かな」
「モングレル先輩!? なんでいる、ん……スか?」
「居ちゃ悪いかよ。いや、でも驚いたな。お前らの王都の仕事もこっち絡みだったのか」
部屋に入ってきたのはアルテミスの面々だった。おっ、珍しくおばさん弓使いのジョナさんもいる。と、思っていたら
「……なんだか、モングレル先輩とサリー先輩、距離、近くないスか?」
ジト目がちにライナが問いかけてきたが、まぁ確かに近いわな。今俺達は、ローテーブルの椅子に俺とサリー、サリーの対面にモモが座っている。普段なら俺とモモの位置は逆だろうからな。
「聞いてくださいよ、ライナ。先日母がモングレルに求婚して2人が婚約したんですよ」
「えっ。」
「えっ!?えええええぇぇぇ!?ウッソ!ホントなの?モングレルさん!」
「ほう、サリーからか」
「やあ、ナスターシャ。次産まれる子には全属性の英才教育を施すつもりでね。今から楽しみだよ」
静かだった部屋が一気に俺とサリーの話題に華やいだ。あとサリー、魔法の教育に関しては好きにしてくれていいんだが後に産まれるかもしれない子供にそれは親としてどうなんだ?不安になって来るんだが……
「うわー!モングレルさん、おめでとー!と言うかモングレルさん、結婚なんて考えないなんて言ってなかった!?」
「おう、ありがとなウルリカ。いや、確かに言ってたけどな。状況が変わったと言いますか……なんと言いますか……」
実際前までは相手の人生を背負うことへの責任感だったり、抱えてる秘密の事やサングレールの血が入ってる事もあって乗り気にはならなかったんだがな……サリーの真っ直ぐな想いには勝てなかったよ……
「えっと、おめでとう。モングレルさん」
「その……おめでとうございます……」
「レオも、ゴリリアーナさんもありがとうな」
控えめながらも祝福してくれる2人の温かみが身に染みるぜ……
「そう……サリーさんと……」
そう呟くシーナは鋭くも複雑そうな目線を俺に向けている。そしてその目線は心配そうにライナに向けられた。他のアルテミスの面々もチラリと同じようにライナを見ている。
俺も改めてライナに視線を向ける。ライナは唖然としたままそこに突っ立ってた。
俺も鈍感って訳じゃない。ライナとシーナ達の反応から見ても明らかだろう。俺の自意識過剰というわけでもないんだろう、ライナは俺に好意を抱いてくれている。それが後輩として先輩を慕うものなのか異性としての好意なのか俺には分からない……いや、ただ考えないようにしてただけか……
もし、サリーじゃなくライナが俺に先に告白していたとして俺はどうしただろうな……真っ直ぐな好意を向けられたらなんだかんだ受け入れそうではある。
もしかしたら今、ライナの頭の中では、
そう思うと少しだけ申し訳なくなる。だが、そうはならない。実際に俺が取った手はサリーの手だ。それを変えるつもりもないし後悔もしていない……いや時折サリーの発言に早まったか?と思わなくもないが本気で思ってる訳じゃないし……。
正直、俺はライナの事を姪っ子やそれこそ自分の娘のようにさえ思っている。だからライナには俺みたいな危ない秘密を抱えたおっさんじゃなくて、真っ当な俺よりカッコいい相手を見つけて欲しくはある。
「あっ、」
「あ?」
「ありえないんスぜっ!」
そう叫ぶや否や、ライナはその場で仰向けに倒れてしまったっていや、ちょ
「ラ、ライナ!?」
「あらら」
「ちょっと!?ライナ!?大丈夫!?」
「ラ、ライナさん!しっかりしてください!」
「しっかりしてライナ!」
「おい!ライナ!」
「ライナ!大丈夫!?ライナ!」
「ライナ!?大丈夫か!?ライナ!おい、ライナァアア!!」
ライナは犠牲となったのだ。モングレルとサリーのカップリング……その犠牲にな
と言うわけで以上を持ちましてこの小説は完結です。ここまで拙い文章に付き合って頂きありがとうございます。
お気に入り登録して頂いたアルフィクリスさん、皇聖夜さん、ppkkさん、忠道さん、BREAK頭さん、takeFDさん、クリキントンキングさん、地鶏さん、非公開登録一名。
評価を入れて頂いた田中バラライカさん、ワッキョン(ワァコ)さん。
お気に入り評価感想をして頂いた邪魔堕さん、本当にありがとうございます。
一話だけで終わるつもりだったのを続きを投稿出来たのは読んでいただいた皆様のおかげです。偉大なる原作と原作者様。そして魅力的なキャラクター達に感謝を。もっと増えろバッソマン二次創作。では、私もまた読み専に戻ります。ありがとうございました。
ところで糸目キャラの開眼ってロマンですよね。糸目の女性キャラの目が薄っすらと開いて女の貌になるのって最高にエッチだと思います(唐突な性癖の暴露
失礼しました。