奪う事に慣れると何かを育てる事が億劫になる。
楽を覚えれば、労を厭う様に
衆目を集める事に歓びを覚えたならば、また衆目を集めようと
それはあたかも止められぬ蜜の味。
そして、それは時に破滅へ向かう切符となる。
賊に対する者とは善良な者が多い。
⋯まさか、賊という
さながら元泥棒が防犯アドバイザーをやっているかの様なもの。
「だから、一方的でなければ逃げをうつ。
そして機会を改め、戦力を集め徹底的に痛めつける。」
余程追い込まれなければそうするのが賊のやり方。
まぁ偶に戦闘のどさくさに紛れる者もいるらしいが
こんな山深い所ではそんな事望むべくもないだろう。
はっきり言って一人二人片付ければ相手は引き下がろう。
⋯多少でも考える頭があるのならば
何なら気にしない程度の外傷を付けて、獣に
それでは襲われた側である村の者達の感情が収まらない、か。
----
村長に助力を申し出たゲレタ。
村長から許しを貰い、早々に二人殺した。
勿論、見せしめであり
特に戦意の高そうな二人を殺した事で相手の戦意を挫く目的もある。
士気というものは決して軽視できるものでは無い。
特に訓練を重ね、意識を高めた軍集団ではなく賊の様な集団の場合は。
頭、つまり統率者を殺し指揮系統を崩壊させる。
所謂『斬首戦術』とも呼ばれるやり方は組織として形作られた集団にこそ、その真価を発揮しよう。
言い方はアレだが、有象無象の集団にそれをした場合、逆に状況が読めなくなる事もあり得るのだ。
⋯だから
今は逃がしてやるさ
集団にも潰し方というものがあるのだから。
----
村人達は歓喜に沸いた。
何せ山賊相手となれば犠牲を覚悟していたのに、昨日村に来た男があっさり撃退したのだから。
「助かったぜ!」
「ありがとうよ。」
「すっげぇ!どうやったんだ、今の。」
そんな彼等にゲレタは
「手伝いますので、この際山賊をどうにかしましょうか?」
そう笑いかけた。
寝ていたリンダを起こし、マリアとクライネとカタリナには負傷者の手当てや女衆の手伝いを任せた。
リンダは念の為の戦力であり
「任せて。」
強く頷いたのだった。
----
「しかし兄ちゃん、どうやって追いかけるんだ?」
男の言葉にゲレタは
「逃げる連中の数人には少し血が出る程度の傷を負わせています。
逃げたある程度の方向は分かりますし」
「なる程な。
よし、血の跡を探すぞ!」
そして村の男衆とゲレタは山賊集団の後を追いかけた。
勿論、そんな不確定なものだけでなく
魔力によるセンサーで相手の位置はある程度掴んでいたが、敢えてゲレタはそれを言わない。
村の男衆が多少なりとも
「あの洞窟らしいな。」
「では火を起こして貰えますか?」
根城と思われる洞窟を発見するとゲレタはそう頼み込む。
「?そりゃ構わねぇけど、何すんだ。」
そう言いながらも手早く火を起こす。
「では此処に風を起こして」
ゲレタは魔力で風を起こし、煙を洞窟へと導く
「さぁ弓を構えて。
相手は突然の事で混乱しています。しかも必死で帰ってきて疲労も抜けていない。
此処で終わらせましょう。」
ゲレタの言葉に男達は力強く頷いた。
突然の異変に山賊達は浮き足立ち、まさかの
「そうだよな。お前等にも面子がある。
村人に負ける様では山賊集団として終わりだよな。
⋯でもまぁ終わっとけ。」
ゲレタは村人達を守れる場所に位置し、村人達が弓を射って山賊を倒す光景を見守った。
戦闘とは到底言えぬ一方的なソレが終わり、山賊の根城から少なくない武器と少ないながらの食料を手に入れた男衆は意気揚々と村への帰路に着いた。
誰もが明るい表情であり
血に酔った者はいない。
皆口々にゲレタを褒め、ゲレタも村人達の奮闘とこれまでの苦労を労った。
そして村長はゲレタに今日も泊まって行く事を提案。
ゲレタは苦笑しつつもそれを受け入れる。
その日の夕食は少しばかり豪勢なものとなり、皆笑い合いながら食した。
「儂はあの者達を叶うならば村に迎え入れたいと思うておう。
皆はどうだ?」
夜中、村長は主だった者を自宅に招き意見を問うた。
「村の安全からすれば悪くないと思うぜ。
あのゲレタってアンちゃんは少なくとも村に協力的ではあったしな。」
「アタシも賛成さ。
あのマリアって娘は二人の嬢ちゃんと一緒に出来る事を手伝おうとしてた。
悪い子らではないだろうさ。」
好意的な意見もあれば
「しかしな。
それが俺等を騙そうとしてる事はないか?」
否定的なものもある。
とは言え肯定的な者は実利での意見だが
否定的な者の根拠はそうではない。
感情だ。
今まで助けなかったのに
村の者ではない。
そんな負の感情が根底にある。
「だがアンちゃんは武器を売ってくれて、賊も倒した。
これでまだ疑うのか?」
「別の賊かも知れないだろうが。」
とは言え、反対の意見を述べた者は山賊の討伐に参加していない。
なんだかんだ言い訳して村から出る事を良しとしない人物だった。
勿論、そんな人物に好意的な筈もなく
「そうは言うがね、アンタ何もしなかったじゃないか?」
「女を見張ってたんだよ。」
----
やれやれじゃの。
村長は険悪な雰囲気になりそうな場の空気に内心溜息をついた。
しかし、少なからずこういう者もいるのもまた事実。
だからこそ、この場を設けた訳だ。
此方から住む事を提案しておいて、後から文句を言うでは問題となるからだ。
「じゃあ何か?
アンちゃん達が手を出さず、村の者が犠牲になっても良かったってか?」
「それは違う。
だが、村の一員として迎えるのはまだ早くないかと言っているんだ。」
「早くないかって。あの人等は村長が引き留めなきゃ今頃村を出ていっただろうに。
早いも何もある訳でもないじゃないか。」
纏まらぬか。
ならば仕方あるまい。
「皆の気持ちは分かった。
じゃが村の事を一番に考えるなら、ゲレタさん達を受け入れるべきじゃ。」
「村長!
山賊はもう居ないんだろ?だったら!」
「そうやって昔この辺りにあった村は無うなっておる。
山賊は流れて来る時もあるんじゃ。」
村長は朝ゲレタに提案する事を告げた。
旧作の各ルートについて
作品として独立させて各自投稿する予定です。
需要があるみたいなので
ただし細部の変更はします。
あしからずご了承下さい。
リンクの貼り方がいまいち分からないので投稿したらこちらで知らせるか活動報告で知らせるつもりです
当座青ルート(エリスルート)を
次に新ルートとなる黒ルートを予定しております。
まぁ退院して時間が出来たらの話となりますが
赤ルート(別名チキルート)については世界線を越えた介入(作者の夢に出る)があり得るので暫く放置します。
チキなら許してくれるやろ。