勇者として生きてきて、多くの人を救った末にその人達すべてを裏切ることなったとしても。
この選択が人類史を進める選択だったのだ。という妄想。
作者の文才が無い為、非常に読みづらい文章になっています。
それでもOKという心優しい方の暇つぶしになれば幸いです。
目の前には諸悪の根源。人類が困窮に喘いでいる原因をつくった敵がいた。
俺はこの男を倒す為にここまで来て、そして世界の明暗を分ける選択肢を迫られていた。
「もしわしの味方になれば世界の半分を貴様にやろう」
もちろん普通なら"いいえ"と首を横に振り剣を突きつけてカッコいい啖呵を切るところだが、この選択ですべてが変わる。
それは現状の変化だけではなくさらにその未来の話。脳内に語りかけてくる神様たちいわく、今も続く世界を救うか、遥か未来の人類史を救うか選べという究極の二択だった。
この世界には魔術も奇跡も存在する。しかしどうしても捻じ曲げることが出来ないものがある。
それは人類史が円滑に廻る上で必要な人類の成長機会を潰すこと。
いわく人類史にはいくつかのターニングポイントが存在する。
そのターニングポイントを経験することで人類全体がより良い未来に進み、いつの日かあの星空に手を伸ばすことができるようになる。
そして何の因果か、神様たちが言うには現在がそのターニングポイントの一つらしい。
いわく、このまま
そうなると
結果的に世界はいつか行き詰まり敗者の歴史として切り捨てられる。というのが俺たちが今生きる世界らしい。
普段なら妄想話もいい加減にしろよと一蹴する話だが、生まれてきたときから聞こえる俺の中の神様たちがずっと叫び続けている。
このままではいけない/このままでいい。
永く続いてきたこの世界観の、この時代が人類史が続く最後の選択だと。これ以上の延長はもう出来ない。
ここを逃せばこれから先の人類史は永遠に閉ざされる/でもこの世界は永遠に続く。
どちらかの世界を切り捨てて、どちらかの世界を救う。
そうならない為にはどうすればいいのか。
旅の最中もずっと考えていた。
そして結局、答えが出せないままここまで来てしまった。
だからここが最後の選択肢だ。
いつも“はい"か“いいえ"の二つの選択肢を迫ってきた神様たちの声もいつもより真剣に聞こえる。
これが決断の時なんだ。
今までの人生とこれからの人生を左右する分岐点に俺は立っていた。
そして神様たちはいつものように見せてきた。
この選択によって起こる世界の惨劇と輝く未来。
それを見た上でさあ選べと傲慢にも迫ってくる。
"はい"を選んだ世界は幸福に満ち溢れていた。
民は笑い、俺は姫の手をとって世界に旅立ち国を建てた。
そこでは子孫たちが命を紡いで、苦楽があって、間違いなくその子たちの人生あった。
とくに俺の何代か後の三人の勇者は俺以上の苦難を迫られるが、それぞれが自分の答えを出して試練を乗り越える姿は本当に眩しく尊いものだ。
間違いなく彼等は正しい選択をしてその世界は守られた。
苦しいこともあるけど太陽の下で今日のような日常が永く続く幸福な世界だった。
"いいえ"を選んだ世界は苦しみに満ちていた。
民は知恵を失い、抵抗の手段を失いすべてを失った。
世界の中心であったラダトームの象徴である姫は石化され、国は滅びた。
そこでは人々が闇に隠れて魔物たちから身を隠し、貧しい暮らしを強いられる苦しみしかない人生を送っていた。
しかしそんな世界にも救いはあった。
誰もが苦しむ世界で一人立ち上がって世界に知恵を広げて、最後には世界を救った救世主。
そこから世界がまた広がりを見せた。
楽しいことも、苦しいこともあった。
正直今よりかなり複雑になった世界だけどそこには未来があった。
救世主が救った後の世界は幸福だけには溢れていないけど、確かに世界が一歩ずつ進んでいた。
はぁとつい内心で溜息を吐いてしまう。
これはついこの前まで一般人だった自分が選ぶには重すぎるだろう。
確かに俺は勇者だけど勇者ってもっと単純明快に悪者を倒して世界を平和にする存在じゃないのだろうか。
なんで俺の代に限ってこんな酷な選択肢を迫るのだろうかとつい愚痴を吐いてしまう。
でも決めた。ずっと悩んでいた二つの選択肢。
人類史を閉ざしてでもこの世界を続けるか、この世界を切り捨てて人類史を進めるか。
正直たかだか二十しか生きてない小童に世界の選択肢を迫るのはどうかと思うがもう決めた。
これで後の世界に俺がなんて言われても後悔は──ちょっとするかもしれないけど──もう知らない。
俺の良さは一度決めたら進み続ける勇気だと言われたから。
「 俺の選択は 」
次の瞬間、世界は闇に包まれて俺は意識を失った。
最後に聞いた声は目の前の邪悪の嘲笑う声でも、神様たちの嘆きや歓喜でもなく助けを求める誰かの声だった。
☆
陽の光すら通さない暗い闇の底に男はいた。
闇の底にいる男、間桐雁夜にとってこの家は地獄そのものだった。
本来なら唾棄すべき尋常ならざる術を使って延命し続ける間桐の翁。
雁夜にとって魔術師とはそのような邪悪な手段すら目的の為には厭わない存在だと認識していたし、だからこそ魔術の世界に背を向け何もかもから逃げ出したのだ。
本来なら二度とこの家の敷地に足を踏み入れるはずはなかった。
もし、この家にかつての想い人の娘が養子として出されたことを知らなければ。
その事実を知ってから間桐雁夜はもう一度地獄に戻った。
想い人の娘の桜の身代わりとして死んだ方がマシという責苦を受け、かろうじて最低限間桐家の魔術師として聖杯戦争に参加できる資格を得た。
桜を救い出すという覚悟と、想い人を奪った遠坂時臣への仄暗い復讐心を抱えながら英霊召喚に挑んだのだ。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」
魔力がゴッソリと減っていく感覚。
それに伴うように召喚陣の上に現れた圧倒的な存在感。
間違いなく召喚、それも高位の英霊を呼び出せたという感覚があった。
このサーヴァントなら時臣の奴を━━
暗い復讐心に誘導された思考を進めて、隣を疾風が走った。
ドサっと何か重いものが倒れる音がした。
音の方向に目をやると信じられない光景が飛び込んできた。
間桐臓硯が右肩から鳩尾にかけて上下に離れ、倒れ込んでいた。
「なっ!?」
間桐雁夜にとって、間桐臓硯という男は絶対だった。
臓硯は五百年を生き続けた不死であり、他者の人生を平然と食い潰す怪物だった。
だからこそ間桐雁夜は臓硯を倒すのではなく間桐の家から逃げ出すことを選んだのだ。
いつだって怪物を倒すのは才能あふれる英雄で、平凡な人間は怪物を前に逃げ出すことしかできないのだ。
まさに間桐という魔王城に居座る魔王のような怪物。
そんな怪物が隣で両断されていた。
「サーヴァント風情が儂に歯向かうか!」
臓硯の怒声が闇の底に響いた。
いつもの老獪な魔術師としての姿はなく、あるのは目の前の存在への敵意と怒り。
しかし次の瞬間、バーサーカーは軽く試し斬りをするように剣を振るった。
それだけで周囲の壁に亀裂が走り、間桐臓硯の身体がバラバラと解体されるように斬り裂かれていく。
まるでいつも通りの作業を確認するような動作。
そこには怒りも、憎しみも、歓喜もない。
目の前のサーヴァントは間桐臓硯を脅威とすら見做していない。
ただ敵だから倒すと、無機物な瞳が語っていた。
「お前━━」
バーサーカーが初めて口を開いた。
若い青年のようにも、年老いた老人のようにも聞こえる声だった。
「既に身体を捨てているのか」
臓硯の動きが止まる。
それは五百年にわたり現世にしがみついてきた臓硯の秘密。
「なるほど」
その瞳は全てを見透かしていた。
肉体、魔力、魂。
間桐臓硯を構成する要素を見抜き、その弱点すら暴いていた。
「アンデットの類か。魂が腐っているな」
あっさりとバーサーカーは臓硯の真実に辿り着いた。
ならばこれ以上の物理攻撃は無意味と判断したのか剣を仕舞い、入れ替えるように杖を出した。
間桐臓硯の顔が歪む。
何もかも過去に召喚されたバーサーカーの前例に当てはまらない。
「雁夜、貴様一体何を呼んだ!」
その声に混ざっているのは怒りと━━そして恐怖。
その怒りと恐怖は己の体が両断されたからではない。
間桐臓硯にとって体など所詮借り物にすぎず、適当に他所から人を攫えば復元できる程度のものでしかない。
ならばなぜ間桐臓硯がこれほどまでに目の前のサーヴァントに怒りと恐怖を覚えるのか。
それは当の臓硯自身も理解してはいない。
しかし体を替えても変わらない腐りきった筈の魂の根源からこの目の前の巨悪を許容してはいけないと、理屈を超えた本能が臓硯を突き動かしているのだ。
五百年の長い年月で掲げた理想は摩耗したが、その残滓ともいえるものが目の前の存在を否定している。
今更己が善なる存在だと思っている訳ではない。
多くの人を貪り、ただ自分が少しでも長く生きる為の糧とした。
しかし、目の前のサーヴァントだけは許してはならない。
およそ人類という範囲に収まる存在にとって脅威そのもの。
アレはこの世の全てを一度終わらせた存在だと警鐘を鳴らしている。
目の前にいるサーヴァントの正体など分からない。
だがアレはここで見過ごしていいものではない。
今回の聖杯戦争を捨ててでも、目の前の英霊は消さなければならないと間桐臓硯はらしくもなく決死の覚悟で魔術を発動しようとしていた。
だが、そんな間桐臓硯の足掻きを一笑に付すかのようにバーサーカーは呪文を唱えた。
「ニフラム」
光が舞い散る。
あまりに場違いなほど優しい光だった。
闇を照らす夜明けのような光が間桐臓硯を包み込む。
「な━━」
声が消える。
肉体が消える。
魔力が消える。
魂すらも。
五百年以上、間桐家を支配し続けた怪物が、まるで最初から存在しなかったかのように消えさった。
最後に残ったのは死にかけた魔術師とその前に立つバーサーカーだけだった。
一瞬、静寂が場を支配し、バーサーカーがこちらに振り返った。
先程までの臓硯に対する態度が嘘だったように優しい瞳でこちらを見据えてくる
「問おう。貴方が俺のマスターか?」
そんなバーサーカーに対して━━間桐雁夜は召喚による魔力欠乏とこれまでの一連の流れをどうにか処理しようと考え、キャパオーバーして気絶した。
ちなみにゲームのドラクエ1主人公はニフラムを覚えません。
でもこれ以外に臓硯おじいちゃんを退場させる術が思いつかんかった。許してくれ。
まぁ子孫のサマルトリアの王子が使えるから多分使えるでしょ(震え声)
単発ネタなので続きません。
誰でもいいのでドラクエのクロスオーバー作品書いてください(懇願)