□■〈アムニール郊外〉
数多の数の柵や看板に覆われた荒地。
その中に悠然と佇む巨大な廃墟。
何某かの無念で包まれた怨念渦巻く建物は、言わば亡霊屋敷だった。
あなた達は紆余曲折の末、亡霊屋敷を攻略することにした。
とりあえず作戦ターイム!
ただ気が逸って突撃しても得られるものは少ない。
あなたはエリア達を呼び集め作戦会議を始める。
議題は目下の目標。
最終目的は屋敷の制圧だがこの屋敷は巨大で強敵の気配がビンビンする。一筋縄では行かないだろう。
と、話の流れを理解したのかエリアが話す。
「それで? 何を目的にするんだ?」
まぁ普通に情報収集である。
そもそもあなたとエリアは相手に応じて戦い方を変えられるのが強みな為、相手のことを知らなければ話にならない。
どんなモンスターがいるのか、どのぐらいモンスターがいるのか、強さはどれぐらいか、地形は問題ないか、ボスモンスターとかいないのか。
それを知るのが目下の目標だったりする。
ということで威力偵察に出掛けよう!
あなたは突撃しないって話は何処に行ったんだという抗議の視線を無視して幽霊屋敷の中へ向かった。
◇
結論から言うと、あなた達はボロ負けした。
清々しいぐらいに負けた。
まさか純竜級アンデッドがうじゃうじゃといるとはこのあなたの目をもってしても見抜けなかった。
【ドラゴン・スピリット】に焼かれ、【ハイ・フレイム・スピリット】に焼かれ、【フレッシュゴーレム】に潰され、【フレッシュファブリケーター】の素材にされ、【ハイ・ゾンビ・ナイト】に切り刻まれる。
何度か死にかけながらの偵察。
実際にあなた達の回復アイテムは尽きたし、エリアの【アヌビス】も何回か
その過程で【アヌビス】の面白い挙動を発見したが。
そうしてボロボロになったあなた達は屋敷から逃げ出したのであった。
はい集合〜〜!
あなたは回復後、他二人を呼び出した。
取り敢えず偵察は終わった、だがここからどうすればいいかが分からない。
その後、議論は白熱した。
地道に浄化していくという案や仲間を引き入れたほうがいいんじゃないかという案、そしてもう全部焼き払った方がいいんじゃないかと言う案まで出た。
(焼き払ったらあなた達のクランハウスが丸ごと消えてなくなるので却下された)
喧々諤々の議論の末、とある一言で決着が着いた。
「取り敢えず戦力を強化したらいいんじゃないか?」
はいハヲンそれ採用ー。
あなたは【教授】などのスキルを極めたり素材を投入することで強化出来るし、エリアは【剥製職人】【納棺師】を極めて《遺骸駆動効率化》や《エンバーミング》のレベルを上げて強化できる。
というかエリア、
「まぁ一応考えてるけど出来たらやる」
よし。
取り敢えず戦力を強化してこの屋敷のアンデッドを浄化することにした。
あなたはこれ会議要らなかったんじゃないかと密かに思った。
◇
突然だが、あなたのエンブリオは進化した。
幽霊屋敷制覇の為素材集めをしていた頃に進化した。
つくづくあなたは土壇場で新しい力に目覚めないタイプの主人公のようだ。
これであなたも〈上級エンブリオ〉持ちの仲間入りだ。
進化して変化したことはあなた自身が攻撃行動を取れなくなったことと、
それに伴いTYPEもアームズ・レギオンに変わっている。
二体しか居ないのにレギオンとはこれ如何に。
因みに数が二倍になるからには素材も二倍要求される為あなたの集める素材がもっと増えたりする。
あなたのエンブリオはいつもお財布に優しくない。
そう思いながらあなたは追加分の素材集めに駆り出すのだった。
あなたは【ディバイン・ライト】を《生物濃縮》に掛けた。
十分な素材が集まったので対アンデッド用のガードナーを生成することにした。
それも今回は二つも! である。
まず生成するのは魔法攻撃用のガードナー。
かき集めた魔法を使うモンスターの素材を大人の全投入、それに加えてアイテムの売却金で買い占めた聖属性が付与されたアイテムを追加投入。
聖属性魔法特化型を指定して、《異形生誕》!
ポクポク……チーン!
あなたは培養槽を開けて完成品を確かめる。
うんうん、うん???
あなたは目を疑った。
そこに居たのは
ふっくらとした猫耳、いや虎耳——恐らく【ハイ・ミラージュタイガー】が素体になったのだろう——が頭頂部にちょこんと乗っている。
本来の耳がないタイプのケモ耳だった。
スラリとした身体に貫頭衣を着た姿には一切の毛皮が見えない。
嘘じゃーん、とあなたは思った。
あなたのエンブリオは人型の獣を作る能力だったはずだ、決してケモ耳美少女を作る能力では無かったはずだ。
これはまさか……サイレント修正!??
おのれ運営、あなたは
そうしてあなたは醜い現実逃避を繰り返した末、諦めた。
なんかどうでもよくなったのだ。
そもそも
あなたは自由にコスプレを着せられる変幻自在の被写体を手に入れたのだ。
多分性能も良くなってるだろう! うん!
あなたは無理矢理納得して2体目を作り始めた。
あなたのパーティには
さて、ここであなたのパーティに足りない役割はなんだと思いますか?
そう、火力だね。
2体目のガードナーに求めるのは攻撃能力。
回復なんてあなた達がアイテムを使えばいい。(脳筋)
その分の素材を集中させて究極の一を作ればいいと思うかもしれないがそれは違う。
手数を二倍にすれば火力も二倍になるのだ。(脳筋)
二つに分けておいた素材を全投入しアイテムも全投入。
あなたは《異形生誕》を使用した。
ドライアド的な美少女が出てきた!
あなたはなにかを諦めた。
なんかもう無駄だと考えたのだ。
取り敢えずケモ耳っ子には【シロ】、ドライアドっ子には【ミドリ】と名付けた。
全てを見なかったことにしてあなたは性能チェックをした。
【シロ】は単体攻撃聖属性魔法の《ホワイトランス》を持っていて、《制作物狂化》によるデメリットは天属性魔法が弱点になることだった。
【ミドリ】は範囲聖属性魔法の《エリアピュリフィケーション》を持ち、デメリットは分からなかった。
あなたは性能に満足した。
これは50年に1度の出来栄えだ。
それに美少女になったことでのメリットがもうひとつあり、装備枠が全てあるのだ。
今までは多くて5枠程度だったのでこれも強化点と言える。
まぁその分出費も増えるのだが。
あなたのエンブリオはどこまでもお財布に優しくない。
◇
アムニール内の宿屋。
あなたはハヲンに会いに行った。
元々ハヲンにはガードナー用の防具を作ってもらう予定だったのだが、なんか思ったより装備スロットが増えていたので伝えに来たのだ。
賢いあなたは元々ハヲンが密室で強化される生産職なので屋敷を攻略して安くクランハウスを手に入れようと考えたのに、宿屋で生産活動をするなんて本末転倒だと思ったが、そういえば自分が発端の一因だった気がしたので言えなかったりする。
因みに【シロ】と【ミドリ】は紋章にしまってある。
連れ歩いていたら野生の変態から熱い視線を受けたので、同類だと勘違いされないようにだったりする。
あなたはあれらの御同輩などではない。
あなたはドアをノックした。
出てこないので追加でドアをノックした。
あなたはドアをノックした。
あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。あなたはドアをノックした。
あなたはドアを
「五月蝿いわ!」
ノックする前にハヲンが出てきた。
N〇Kの集金です。
「ネタが古いな」
あなたにとっては最新のネタだったりする。
あなたは密かにショックを受けた。
それはさておき、ハヲンにお願いがあって来たのだ。
カクカクシカシカとあなたはガードナーが美少女化したことを上手く隠して装備枠が広がったことなどを伝えた。
「分かった。それと素材が足りなそうだから取ってきて欲しいんだが」
あなたは了承した。これぐらい当然である。
「あと、そのガードナーを見せて欲しい」
え…?何故?
「?サイズ合わせとかの為に見せて欲しいんだが」
真っ当な理由であなたは立つ瀬がない。
仕方ないのであなたは渋々【シロ】と【ミドリ】を紋章から出した。
「……………????????」
ハヲンがなんか凄い顔晒していた。
「お前…まさか…」
あなたは叫んだ。
エンブリオからのパーソナルの詮索はマナー違反じゃんね!
・あなた
いずれバレることはわかっていたがもうちょっと時間が欲しかった。
・ハヲン
恐らくこの誤解は解けない。
・エリア
(爆笑)