―――間桐家に戻って3人にアーチャー、セイバー陣営との共闘、休戦が成立したと報告した。
ダンテ「だがアーチャーは胡散臭ぇ、あいつに不意打ち食らわないように充分警戒してくれ。」
「「「わかりました。」」」
ダンテ「ちょっとした疑問なんだが、本来聖杯戦争でクラス被りは起こらないらしい。だがあの坊主がマスターになったのは始めから決まってたみたいだな。となると、後から俺がセイバーになっちまったわけだがこの場合どうなるんだ?」
「さあ…言峰に聞いてみる他ないですね。」
ダンテ「またあのクサレ神父に会わなきゃならないのか…。気が乗らないがそうするしかないか。」
夜が明けてバゼットと共にキャバリエーレで教会に突っ込んだ。
ダンテ「おいクサレ神父! いるか‼」
「またお前か…扉くらいしっかり開けてから来い。何の用だ?」
ダンテ「正式にセイバーが召喚されたが本来ならクラス被りは起こらないんじゃなかったのか? だったら俺はどうなる?」
「……そうだな、新たなクラスを設けるとしようか。Slayer(殺人者)というのはどうだ?」
ダンテ「俺を殺人鬼扱いするな。」
「ではPunisher(処刑人)ではどうだ?」
ダンテ「似たようなもんじゃねえか。面倒臭ぇからSlayer(退治者)でいい。サーヴァントスレイヤーならイカしてるかもな。」
「貴方にお似合いだと思います、ダンテ。」
ダンテ「じゃあなクサレ神父! 悪趣味金ピカ野郎によろしくな‼」
「……。」
それから冬木市内を駆け巡った。いくつか魔力が集中しているらしき場所に当たりを付けた。日が沈み少年の家に訪問する。
「あんたは…何の用だ?」
「セイバーはいるか? 今から他のサーヴァントの拠点を襲撃する。」
「話は聞きました。同行します。」
霊体化したセイバーが現れた。キャバリエーレの後ろに乗せてブッ飛ばした。入口から入り長い階段を登る。魔力反応、咄嗟に解除して魔剣ダンテを構える。
「いい勘をしている。そして…見たこともない禍々しい西洋剣。今宵は楽しめそうだ。私は
───アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」
ダンテ「そう来るなら俺も名乗らせてもらう。セイバー改めスレイヤーのサーヴァント、ダンテ。早速だが死んでもらうぜ。」
素早く踏み込み魔剣ダンテを振り下ろす。半身の体勢で躱される。すかさず両手での斬り払いが迫る。ブリッジ寸前まで体を反らして避け、そのままバク転する。
ダンテ「行けセイバー、この野郎の相手は俺がする。」
「わかりました、お気を付けて!」
魔剣ダンテでの斬り払い、薙ぎ払い、袈裟斬り、斬り上げ、斬り下ろし、突き、基本的な動きは全て無駄のない動きで避けられた。ある時は身を逸らし、ある時は摺り足で、ムカつくが剣の扱いでは俺より上手かもしれない。ここはひとつ悪魔なりの戦い方を試すことにした。スティンガーを放つ。また半身になって躱される。斬り払いが俺を襲う。ジャンプして避ける。
「自ら宙に飛ぶとは迂闊なり! 取った!」
「そうかい‼」
「なっ⁉」
エアハイク…空中に魔法陣を創り出し踏み台にして2段ジャンプする魔術。アサシンの剣を避けながら急降下して兜割りを叩きこむ。どうにか剣で受けられたが僅かに罅が入る。
「凄まじき豪腕にして豪剣…剣が折られれば勝機はあるまい。ゆくぞ…秘剣―――『燕返し』‼」
魔剣ダンテで受け止めようとしたが嫌な予感がした。咄嗟にロイヤルブロックで防いだ。ほぼ同時の3連撃。ほぼ同時だったので1回のロイヤルブロックで済んだ。
「馬鹿な…⁉ 無手で防いだのか…⁉」
ダンテ「ま、世界は広い。こういう技もあるってことだ。」
エアトリックで背後に回る。
ダンテ「Are you ready?」
アサシンが振り向く前に体当たりで体勢を崩す。素早い剣舞と高速の刺突を剣で防ぐが罅が広がる。トドメの袈裟斬り、逆手に持っての斬り上げ、斬り払いで剣が折れる。振りかぶって魔力の籠った魔剣ダンテを振る。腹に深く食い込み吹っ飛ばし門に叩きつける。
「見事…だ…。世界は…広…い。そなたと…仕合えて…悔いは…ない…。ダンテ…。」
笑顔を浮かべながら塵になって消えた。かつてのおっさんを思い出した。悔いなく死ねるならその方がいい。感傷に浸っている暇はない。セイバーはどうしているだろうか。急いで門をくぐった。
目を疑った。セイバーがスーツ姿の若造に一方的にボコられている。魔力はほとんど感じない。ということはこいつがマスターなのだろうか。バルログを装着しながらエアトリックで接近し彼女を抱えて離脱する。
ダンテ「おいおいおいおい本当にどうしちまったんだセイバー? 10年前のお前はもっと強かったはずだろう?」
「仕方…ありません…⁉ 魔力が…足りませんから…⁉」
ダンテ「よくわからねえがしょうがねえ、選手交代だ。来な、若造。」
男のパンチに合わせて俺も右ジャブを放ち拳をぶつける。異常に硬い。魔力で強化されているらしい。蹴りも全て右ジャブで捌いた。バルログから炎が噴き出す。身を屈めながらパンチの直撃を避け懐に踏み込む。
ダンテ「Catch this…Rising dragon!」(喰らえ…昇龍拳!)
ボディブローからのジャンピングアッパー&飛び膝蹴り…リアルインパクトをブチ込んだ。胴体も顎も異常に硬かった。 だが骨が砕けた感触は伝わった。
ダンテ「ンウェー‼」
宙に浮いた若造に追撃のトルネード…俗に言う竜巻旋風脚をお見舞いした。バルログでやるのは初めてだが上手くいった。これで若造の上半身の骨は粉々に砕いたはずだ。炎がスーツを燃やし若造が炎に包まれる。ピクリとも動かない。
「宗一郎様⁉」
女性の悲痛な叫びが屋根上から聞こえた。
「よくも…⁉ よくも…⁉ よくもよくもよくもよくもおおおおぉぉぉぉ⁉」
キャスターらしき女が光弾を放つ。エアトリックで間合いを詰める。
ダンテ「ノロいぜキャスター。」
魔剣ダンテを腹に突き刺す。女がガクリと顔を項垂れて塵になって消える。女を殺すのは後味が悪いがこれも殺し合いの常だと思って割り切った。セイバーを背負って真魔人化してマスターである少年の家を訪ねる。
「うわっ⁉ 誰だよあんた⁉」
ダンテ「ああ、悪い。急いでたもんでな。人間の姿に戻るの忘れてた。赤いお嬢ちゃんいるか?」
「何よ騒々しい…。ってセイバーどうしたの⁉」
ダンテ「俺が駆け付けた時はキャスターのマスターに一方的にボコられてたぞ。何らかの武術の達人みたいだったがそれにしたっておかしい。どう考えても前回の聖杯戦争より弱くなってる。」
「それはしょうがないわよ。マスターの衛宮くんが魔術師未満だもの。」
「俺のせいなのか⁉」
「他に理由がある?」
ダンテ「サーヴァントの強さもマスター次第ってか?」
「その通り! せっかくセイバー召喚したのに本領発揮できないのはその影響ね。」
ダンテ「……まあいい。とりあえず俺の血を飲ませる。」
「そんなことして大丈夫なのか? 言いにくいけど…悪魔の血だろ?」
ダンテ「クサレ神父に不意打ち食らって死にかけた俺のマスターも、前回の間桐家のマスターも桜も俺の血を飲んで元気になった。心配ない。」
廊下に仰向けに寝かせてから魔剣ダンテで手首を切り血を口に流し込む。どうにか飲みこんでくれたようでホッとした。
ダンテ「あ、そういや聖杯戦争でクラス被りは御法度みたいなんで俺のクラスはスレイヤーになった、よろしくな。」
「『殺人者』?」
ダンテ「『退治者』って意味で呼んでくれ。ドラゴンスレイヤーとかデーモンスレイヤーとかっていうだろ? 後、キャスターもマスターもアサシンもブッ殺してきた。方法はわからねえがキャスターがアサシンを召喚したようだったぞ。」
「えっ⁉ 嘘⁉ そんなこと出来るなんて…余程のサーヴァントだったのね…⁉」
ダンテ「柳洞寺って所で門番やってたからたぶん間違いない。」
「俺の同級生が住んでる所なんだけど、誰も被害者出てない…よな?」
ダンテ「キャスターがマスターを『宗一郎様』って呼んでたが知ってるか?」
「「えっ⁉」」
ふたりの驚いた様子を見て若造の外見的特徴を伝えた。
「葛木先生だよ…⁉ ヤバいんじゃない…⁉ 警察が動くかも…⁉」
ダンテ「前回もキャスターが川のド真ん中で巨大な化物になって大勢の目撃者が出たがそのまま聖杯戦争は続行したぞ。クサレ神父が隠蔽工作してくれるんじゃねえか? 知らねえけど。まあとにかくだ、セイバーはどうしたらいい? 彼女には悪いがこのままじゃ足手纏いだぞ。坊主、俺の血、飲んでみるか? それから俺が悪魔の姿になってひたすら魔力を送るってところだな。」
「血を飲ませてほしい…⁉ それから俺にありったけの魔力を送ってくれ…⁉」
ダンテ「苦情は受け付けねえぞ。」
例の如く手首を切って血を飲ませる。庭まで連れていって真魔人化し頭に触れる。ジ オンブラを放つ瞬間の魔力の凝縮を意識して触れた。真魔人化は解ける。通常の魔人化に変える。銃火器に魔力を込める要領で腕から手を伝わり少年に魔力を送り続けた。魔人化も解ける。人間の姿になっても魔力を送り続けた。バゼットの疲労も考えて途中で止めた。
ダンテ「俺に出来るのはこれくらいだ。後はお嬢ちゃんが坊主の世話してやりな。俺は10年前の強ぇセイバーが見てえんだ。俺をガッカリさせるなよ。」
ふたりの目を睨む。怯えた表情、だが何かを諦めてはいない意思が見える。その意思に期待した。燻った怒りにも似た感情を押し殺して間桐邸へ戻った。3人にキャスター陣営壊滅とセイバーの現状を報告をした。
「Slayer(退治者)というクラスに変更したそうですね。まさにダンテにふさわしいクラス名だと思います。しかし…困りましたね…。代わりに私が同行したいところですがここが手薄になれば元も子もないですね…。」
「私が同行しましょうか?」
ダンテ「……悪いが、クサレ神父に不意打ち食らって死にかけるようじゃ不安しかない。自分の身を守ることに専念してくれ。それに…いや…何でもない…。」
「何ですか? 言いたいことがあるならハッキリ言ってください。」
ダンテ「……『お前みたいないい女が死ぬのは見たくない』って言ったら笑うか?」
「……『いい女』って…私ですか?」
ダンテ「ああ。」
「わ、笑うわけないです…⁉ ダンテのようないい男にそう言っていただいて嬉しいです…⁉」
ダンテ「そりゃどうも。」
「ダンテには愛する女性はいなかったのですか?」
ダンテ「元の世界じゃ悪魔は神出鬼没で自分で身を守れて悪魔狩りが出来る程の強さがなけりゃ生きていけない、そういう女ほど血の気が多い。だからビジネスパートナーはいたな。恋愛事はサッパリだ。こっちの世界で何でも屋を開いたのはいいが、見てくれのいい女程掃き溜めのゴミと同等の屑ばかりだった。だから俺には恋愛は無理だと諦めてるところだ。」
「でもそれじゃ伝説の魔剣士の血筋が途絶えてしまいますよ⁉ 勿体ないです⁉」
ダンテ「元の世界には『悪魔として生きる』なんてほざいてたクソ兄貴がどういうわけか人間の女性と肉体関係を結んだがそのおかげで甥っ子が生まれた。今じゃ悪魔の血も覚醒して立派なデビルハンターになった。こっちの世界じゃ…前回の聖杯戦争以降、仕事と、稀に魔術協会と聖堂協会の刺客を死体に変える日があるといったところだ。とても他の女と恋愛する暇なんてないな。」
「他に従業員とか秘書などはいないんですか?」
ダンテ「いない。マフィアからの報復で事務所が爆破されたり銃弾塗れにされるからそれで死なれたら俺は一生後悔すると思う。だから俺ひとりで充分だ。」
「……寂しくないんですか…?」
ダンテ「今はこうして美女たちに囲まれてるから結構楽しいぜ。」
「でも…アメリカに帰ったらまた独りぼっちですよ…。」
「そうです⁉ ダンテさえ良ければ…⁉ 私を貴方の事務所で働かせてください⁉」
ダンテ「そう言われてもな…主に雑用がメインになるが掃除とか洗濯とか料理とかちゃんと出来るのか?」
「えっ⁉ っと…それは…恥ずかしながら心得がありません…⁉」
ダンテ「それでも働きたいって言うならそうだな…桜、家事はどうだ?」
「自信あります⁉」
自信満々な表情でそう答えた。可愛らしいと思った。
ダンテ「それなら桜から家事全般教わってくれ、出来るかバゼット?」
「やります⁉ 成し遂げてみせます⁉」
ダンテ「聖杯戦争が終わったら伝手を頼って義腕を作ってもらう。それまで我慢してくれ。」
「はい⁉ かしこまりました⁉」
ダンテ「まずはこのくだらない争いを終わらせないとな。そういえば、今日の俺は魔力を使い果たしたがバゼットは体調に異常はなかったか?」
「いえ、特に全く。ダンテの血を飲んだ影響かもしれません。元気そのものです。」
ダンテ「それは良かった…。悪魔の姿で居続けるのはとにかく魔力の消費が激しい。異常が起きたらいつでも念話で連絡してくれ。令呪使って強制的に魔人化を止めてもいい。」
「かしこまりました。」
ダンテ「俺からは以上だ。解散するか。」
「「「はい。」」」
「あの…ダンテ…先程、バゼットに血を飲ませたと聞きましたが…私にも飲ませていただけませんか?」
ダンテ「何だライダー、血が好みなのか?」
「血も好みですが…体液なら何でもいいです。桜を悲しませたくないので我慢していましたが…ダンテ、私を抱いてください。」
ダンテ「抱くって…アレか?」
「そうです、アレです。私の部屋にご案内します。遠慮なく可愛がってください。」
ライダーに手を引かれるまま部屋に入りまぐわった。凄かった。ライダーも失神した。