おい、傷んだ赤色!出てこい!.......あっ.... 作:チョコットランド
すでに廃墟となった工場が立ち並ぶ夜、少女は息を荒げながら逃げていた。
呼吸するごとに息が苦しくなり、身体もボロボロになりながら走る
「……はぁ、はぁ……っ」
そこに突然、一匹の平べったい猫が現れた。異様な速度で少女を追っている、
そしてぎろりとこちらを見やった目に──瞳はなかった。
すべてが漆黒に塗りつぶされ、厚みさえも感じさせない、平面の猫。それが少女を追っているものであった。
魔女でもその使い魔でもあらず、攻撃をしても猫を傷つけられず、周りの建物に爪痕を残すばかり、そうして逃げていた少女も疲労が限界に達したのか、速度が落ちて影のような猫にかぎ爪でその肉体を切り裂かれてしまった。
「ぐっ......!」
「ようやく止まったか...」
くすんだ赤色の髪を持つ少女が歩きながら言う。
「まったく、脚が速くなりたいなんてキュゥべえに願ったのかい?面倒なことさせるじゃないよ」
そういいながら、アタッシュケースを地面へ下す。
攻撃と疲労により動けなくなっている少女は、ありえないようなものを見る目で自身の前に立っている者を見る。
「なんで.......なんでよ......なんでこんなことするのよ!」
「なぜ?そんなもの簡単だろう、私をあの名で呼んだからだ」
そういうと、地面に下していたアタッスシュケーが開き、そこから茨のような触手と数千の口を持つ化け物が出てきて、そのまま匣のなかに少女が引きずり込まれる。
悲鳴をあげ、逃げようともがく中、声が聞こえた。
「昔からの決まりでね、私を傷んだ赤色と呼んだものは例外なくぶち殺しているんだ」
そう聞こえると、完全に匣の中に引きずり込まれ、アタッスシュケースが閉じてしまった。
・・・・・・・
私は転生した。
しかも転生先は、まさかの蒼崎橙子。(0歳)
そうだ、「蒼崎橙子」だ。蒼崎橙子というのは型月に登場するキャラクターだ。
そのことから、必然的に型月世界だと思ってたんだけど.........
残念ながら冬木市がないんだよね...。本当にどこだここ...
・・・・・・
(数年後)
この世界がどこだかはっきりわかったわ。
「まどマギ」の世界だここ...
なんでわかったかって?
それは簡単さ、一つ目にここが神浜市であること、この神浜という土地は前世でまだ全くと言っていいほど進めていなかったマギアレコードの主な舞台となる街だ。それだけどこかでちらっと聞いた程度でもしかしたら現実にも神浜市があるかもしれないけど...
そしてもう一つが白い害獣ことキュゥべえが目の前にいるからさ...。
しかも....
....契約...しちゃったんだよね.......。
しょうがないやん!本来なら民衆たちに紛れてつつましく穏やかな生活を送ろうと思っていたんだけど、なぜかグリーフシードが壁に刺さっていて、そのまま魔女の結界に入れられちゃったんだよね...。もう願い事を言わないと絶対に死ぬレベルだったから、しょうがなかったんだよ....。
...くそったれがよ、あの害獣はめやがったな!
だが、まだ希望はある!
私が転生した蒼崎橙子は、先ほども言った通り冠位の魔術師であり、封印指定もされている。その封印指定をうけた要因がなんと!『自分と何一つ変わらない人形』を作り上げたからである。DNA鑑定すら通ってのける。自分以上でも以下でもない、全く同一の性能の器であり、橙子が死亡した際に記憶を引き継ぎ、蒼崎橙子として活動するといった感じだ!これにより蒼崎橙子は事実上不死身であり、完全に殺すことはほぼ不可能になっている。
そして私が魔法少女になるときに願いにより、私は剣、弓矢、銃などあらゆる物を作る事のできる「創造」が固有魔法になった。
・・・・・・
(数カ月後)
...ククッ...ククク....クッハハハ....
ようやく完成したぞ!『自分と何一つ変わらない人形』がな!
これにより私は事実上不死身となった。いやぁ、さすがに一から何もなしでやるのはきつかった。まあ、これで確実に作れるようになったから、あとは量産だね。
「……さて、と」
私は目の前に並ぶ人形たちを眺めながら、満足げに頷いた。
一体、二体、三体……。
「うん。十体とも問題なし。魂のコピー、記憶領域の構築、肉体の再現性、魔力の生成……全部合格。いやぁ、我ながら天才すぎるだろ」
目の前にいるのは、私と寸分違わぬ姿をした十人の蒼崎橙子。
顔も、髪も、身長も、体格も。
記憶、精神から、脳の構造、DNAに至るまで、全てが完全に一致している。
……うん。客観的に見て、かなり気持ち悪い光景だな、これ。
「まあ、いいか」
私は気にしないことにした。
そもそも、自分と同じ顔をした人間が十人並んでいる程度で動揺するような繊細な精神は、数カ月前に消え失せた。
「さて、試運転といこうか」
パン、と手を叩く。
「一号、起動」
『――了解』
一体の人形が目を開いた。
その瞳に宿るのは、私と同じ知性。同じ思考能力。同じの知識。
そして、私と同じ性格。
「おはよう、私」
『おはよう、私』
「……なんか腹立つな」
『同感だ』
「お前もかよ」
自分と会話しているだけなのに、妙な敗北感がある。
私は咳払いを一つして、気を取り直した。
「では、魔法の行使試験を始める。まずはテレパシーから」
『了解』
と思念が、私から私へ送られてきた。
「次、基礎的な強化」
『問題なし』
「次、道具の作成」
『問題なし』
「次――」
『ちょっと待て』
「ん?」
『お前、さっきから自分が作った人形に自分の能力を一から確認させているが、意味はあるのか?』
「……」
『……』
「……いや、ほら。確認は大事だから」
『そうか』
「そうだよ」
『なら、次はお前の精神性に問題がないか確認してやろうか?』
「余計なお世話だよ!!」
……うん。
性能は完璧だな。
性格まで完璧に再現されているのが、唯一にして最大の欠点だが。とりやえず、私が死ぬまで眠らせておこう。私が二人以上いるなんて絶対喧嘩になるしね。
まあ、それはともかく。
これで私の不死身計画は、第一段階を突破した。
本来の蒼崎橙子は、自分と完全に同一の人形を作り上げることで、その肉体が滅びても別の器がその記憶や精神を受け継ぎ、活動を続けることができる。
ただし、今の私には本来の蒼崎橙子ほどの技術も経験もない。
だからこそ、地道に研究を重ね、ようやくここまでたどり着いたのだ。
……まあ、まさか転生先で最初に目指す目標が「自分のクローンを量産して不死身になる」ことだとは思わなかったけど。
人生、何があるかわからないね!
「よし。これで一安心……とはいかないんだよなぁ」
この世界には、救済の魔女、ワルプルギスの夜、キュゥべえなど様々な、問題がある
「……キュゥべえ野郎...」
思い出すだけで腹が立つ。
そもそも、私は魔法少女になりたかったわけではない。
ただ死にたくなかっただけなのだ。
あのとき、魔女の結界に閉じ込められた私は、文字通り死の瀬戸際にいた。
逃げ場はない。
まともな対抗手段もない。
目の前には、化け物。
そして、都合よく現れた白い害獣。
『橙子!速く僕と契約して、魔法少女になって!』
……あの瞬間、私は確かに願った。
結果として、あらゆる物体を作り出すことのできる固有魔法『創造』を手に入れた。
武器、防具、道具、機械、建造物。
理論と構造を理解し、魔力を注ぎ込めば、相当な範囲のものを生み出せる。まぁ、大きなものや構造を理解していないもの、しっかりとどういうものを創造するか頭の中で思い浮かべていないあいまいな状態だったりするととても大きく魔力を消費するという弱点は存在するけどね。
それでも魔法少女としての能力だけを見れば、かなりの当たりだろう。
……問題は。
「なんで魔法少女なんてものにならなきゃならんかったんだよ……」
私は机に突っ伏した。
「いや、わかってるよ? 死ぬよりマシだった。うん、それはそう。実際、あの場で契約しなかったら死んでたし。だから契約したこと自体は後悔してない。してないけどさぁ……!」
顔を上げる。
「よりにもよって、まどマギの世界かよ!!」
魔女。
魔法少女。
ソウルジェム。
そして、願いのぶり返し。
この世界の魔法少女は、戦い続ける限り、いずれ魔女になる運命を背負わされている。
しかも、契約を交わした以上、私も例外ではない。
まぁ、私が魔女化してもすぐに復活するけどさぁ。
しかし、いくら復活するといっても人形の作成には当然魔力がいて、魔法を使うとソウルジェムに穢れがたまる。一応無限ゾンビ戦法もできなくはないけどまどかが苦しみながら魔女化するのを見た限り流石にやりたくない.......そもそもグリーフシードを持っておかないと継続して戦闘が出来なくなってしまう。
この町、神浜は強い魔法少女、強い魔女がたくさんいて縄張り意識が強くて追いかけられると面倒だから、普段は他の町で魔女を倒したり、襲ってきた魔法少女からグリーフシードを強奪しているがあまり集まらない...
なにか効率よくグリーフシードを集める方法はないだろうか.....
「そうだ!いいことを思いついた!」
蒼崎橙子は型月世界では人形師であり、人形を使って攻撃していた。
それを忘れていたなんて私は馬鹿だなぁ~
よっし、自動人形をつくるか!
自動人形(オートマタ)――それは、自分自身の複製とは異なり、独立した簡易的な自律思考を持たせて戦闘や索敵を代行させるための傀儡。
「自分自身は、いざという時のバックアップ。だけど、普段の魔女狩りやグリーフシード集めのために私が直接出張るのは効率が悪すぎるし、めんどくさい
……なら、代わりに働いてくれる兵隊を作ればいいだけの話じゃないか!」
私はさっそく、固有魔法『創造』と人形師としてのノウハウをフル回転させ始めた。
魔女の結界を探索するための索敵能力。
見つけた魔女や使い魔を数と火力で叩き潰すための自律戦闘能力。
そして、倒した魔女からグリーフシードを確実に回収して帰還する運搬能力。
「よし……自動人形の完成だ!」
工房の床に並べられたのは、小型な蜘蛛のような形や、一見人間のような見た目だが、つるりとした質感で四本の腕を持つ自動人形たち。
彼らは人間の魂を持たない。私が魔力を直接消費して魔法を使わなくても、全自動で街を巡回し、結界を見つけて魔女を討伐してきてくれる。もちろん普通の人間には見えないようにしてある。
さらに自動詠唱永久機関を搭載していて、人形で人形自身を呪い、その呪い返しを魔力に変換、自身を呪うことで永久に動き続ける呪いの人形にしている。
ただ、基本的に呪いは人形自身に向けられているけれど、人形の周囲は呪いによって汚染されていて、近寄った相手にも呪いを振り巻いちゃう。
まあ、戦闘型にしか搭載できず数も少ないしない。
そもそもこれは魔女を索敵する時に無駄に穢れをソウルジェムにため込むのを防ぐため、戦闘時は消費量が生成量を上回るけど、私が魔力を供給するから問題なし!。
「よ~し、じゃあ行ってこい!」
そういうと自動人形たちはいっせいに私の家から出て行った。
あれ?
そういえば、いつも私神浜みたいな強いのがたくさんいるところを狙わずに蹂躙できていたからよく気にしてなかったけど、魔法少女たちって普段自分の狩場の中で魔女を狩っていてその狩場の所有権を争って死ぬのが最も死亡率が高い、これがっつりテリトリー犯しちゃってない?!。
大丈夫かな?この家に襲撃に来たりしない?
.....まあ、.....たぶん大丈夫でしょ!
どのみち私は絶対に死なないし