偽かぐや姫、現実にて何を成す 作:超駄作作者!
そういえばまだしてなかったな。そんな一言と共に、改まってされた自己紹介。
「
「えっと、かぐやは…」
一人称と口調については、家主の意向と布教によりこうなった。
かぐや…内心だと俺でいいか。俺的には色々思うところはあったものの、現状柳田さんしか頼れる人がいない以上、その庇護を失う訳にはいかない。
こっちの事情にも理解を示してくれて、この家で暮らすことを許してくれただけでも五体投地で咽び泣くレベルなのだ。
東京・一人暮らし・バイト生活の苦学生3コンボに加えて、同居人の増加による金銭的な負担の重さは想像を絶する。
ここまで育てた以上、最後まで面倒見きる覚悟くらいあるぞっていうセリフはイケメンがすぎるんだよ…TSっ娘な俺に効いちゃうだろ。
その上、柳田さんには…その、赤ちゃん時代の世話を押し付けてしまった負い目も…あるからなぁ。
「…かぐやって、本当に3日だけ赤ちゃんだったの?アニメの描写とかじゃなくて、リアルで?」
「マジで3日だけだったな。そろそろデカくなるな、って身構えてたおかげで何とかなったが」
顔を手で抑えた。多分めっちゃ赤くなってると思う。
だって盛大に
「正直に言えば、何度警察に通報しようかと思ったことか。まぁ信じて貰えるわけなくて草って諦めたけど。頭の病院紹介されたらバ先の評価にも繋がりそうだし。…あと単純に責任感」
好きなキャラに会えるかも!とかのミーハー的な考えかと思えば、結構現実的な思考だった。
でも、そうだよな。勤め先の評価ってダイレクトに給料にかかってくるもんな…そりゃ無理だわ。
「楽しい?働くのって」
「やめてぇー!とは常々思ってる。でも働かにゃお金は貯まらんし、出ていく一方なのです。
「それは…そう」
稼ぐのは苦労するのに、使うと一瞬。まさしく天下の回りもの。
ATMからお金を引き出す度に、減っていく残高表示にため息ばかりだったのは悲しい思い出ですね。
ってか俺の口座どうなってんだろ…
「暗証番号はわかってても、肝心のカードか通帳がなきゃ無理だろ。ってかそもそもATMにもカメラとかもついてんだし、出した瞬間警察秒読みじゃないか?」
「いやぁぁぁぁ!?」
せっかく貯めたのにぃ…!
「しかし、大阪か。行けなくはないが…」
通帳アプリを開いて、残高を確認する柳田さん。
結構溜まってる方ではあるし、新幹線のチケットくらいは余裕で取れるだろう。だろうけど…流石に申し訳なさが勝ってしまう。
金使わせるだけ使わせて、「はいもう用済みだからサヨナラね!」は、お前の血は何色だ案件だし。
あとそもそも、家族が今の俺を受け入れてくれるかもわからんわけだし…
不安な気持ちが表情に出てしまったのか、俺の顔を見つめていた柳田さんが気まずそうにそっぽを向いた。
「無理言ってる自覚はあるし、別にこれくらいならいいんだが。また稼げばいいだけだし(震え声)」
ちょっと泣きそうな顔で言われましても…
「ただしばらくは待って欲しい。ちょっと色々出費が厳しくてな。…あと普通に大学もあるから」
「いや大学優先しろや」
何金銭面の方が重要みたいに言ってんねん。いやめちゃくちゃ重要ではあるんだけど!
「…そんなの、かぐやのこと放り出せばいいだけじゃないの?」
されたら詰むけどね!主に俺が。
「今更退けねぇよ。こちとらベビー用品まで買ってんだぞ。普通にカメラ写ってるわ」
ほれ、と見せられるレシート。
うわっ…ちょ、ベビー用品ってこんなするの?知りたくなかった…
その上今着てるこの服とかも買ってくれてるんでしょ?やばすぎる。
「えっと、マ〇クって実はそこそこ時給よかったりするの?」
ここって東京みたいだし、大手チェーンのマク〇ナルドとなると、もしかして…?
「店によって違うみたいだけどな。俺が働いてるとこは1400ギリ届かないくらい」
「1400ギリ届かないくらい…」
いつから働いてるのかわかんないけど、それだけであんなに貯められるものなのか?一人暮らしもしてて?
俺なんて社員待遇でもなかなか貯まんなかったのに。
「親から仕送りもらってるからな。おかげでめっちゃ助かってる。あと自炊したら食費も抑えられるし」
「そういうもんなんだ」
「一人暮らしって、親の有難みを死ぬほど感じる生活だからな」
せめて送ってもらった分だけでも、いつか返そうと思って貯めてんだよ。もちろん、別の口座にも。
柳田さんはそう言ってた。
大学生だなんて、それこそ遊びたい盛りだろうに。親のことを考えて貯金しようなんてすごいな。
「遊んだり、外で飯食ったらすぐ金なくなるからな。株にはそこまで手ぇ出してないし」
室内に飾られたグッズ類とかを見るに、確かに相応には遊んでるみたい。
それでも
柳田さんもいろPは超人とかなんとか言ってたけど、マジでそうとしか言えない生活送ってたわ。
粉と水のパンケーキとか絶対食いたくねぇよぉ…だから柳田さん、頑張って再現しようとしなくていいから。金が無駄すぎるから。
「…そう言ってくれると助かる。正直、パニクってて頭イカれてたわ」
で し ょ う ね
シラフであれ作ろうとしてたんなら、ちょっとどころかかなり引いてたぞ、俺は。
「でも、俺あのクソまじぃっていうの好きなんだよ」
「やっていいことにも限度あるでしょってかぐや思うの」
自分がされて嫌なことを、他人にはしちゃいけないって、お母さんに教わらなかったの?この人のお母さんなら絶対教わってると思うんだけど。
「非常に申し訳ない。お詫びにホットケーキ焼くわ」
「パンケーキじゃないんだ」
「ホトケの方が好きなんだよ。甘いし」
そういえば、パンケーキってどっちかと言うと、おかずとか食事的な扱いが近いんだっけか。
甘さも控えめにして、生地自体も薄めに焼くことが多いから、ベーコンとか卵のメイン、あとは緑としてサラダを添えれば、それだけで立派な朝食になる…ってGoogle先生が教えてくれました。
「たしかに。かぐやも甘い方が好きかも」
「だろ?」
よっこらっせっと立ち上がり、冷蔵庫から取り出した材料がパパっとボウルにぶち込まれ、カチャカチャとかき混ぜられていく。
めっちゃ手際いい。さては普段から料理してる民?
「普段は自炊してるって言わなかったっけか?」
「…そういえば、言ってたね」
俺はあまり料理できない方だったからな…作れても大味の男飯が限度でした。
「手伝おっか?ホットケーキくらいならかぐやでも作れるよ」
「……」*1
「善〇を見る炭〇郎の目されましても」
柳田さん作、牛乳と卵とホトケミックスのホットケーキは美味しかったです。
はちみつの容器がちょっとデカいのだったのと、バターかと思ったら、実はバター風味のマーガリンでした、ってところが苦学生っぽさを感じるおやつタイムでございました。
粉と水のパンケーキ「ゑ。出番あれだけ???」
楽しみにしてくださってた方々には大変申し訳ねぇですが…あれだけでございますm(*_ _)m