偽かぐや姫、現実にて何を成す 作:超駄作作者!
「いつまでもこのままって訳にもいかないでしょ〜?」
アニメだとツクヨミがあったおかげで何とかできたけど、現実にはあんな超技術あるわけないし。
戸籍もなければ、過去の履歴すらない俺の働き口…どこ?
「そうなんだよな」
「なにか考えでもあるの?」
うわっ、すごい渋面…なんも考えてなかったの丸わかりじゃん。
「流石にそこまで無責任じゃねぇよ」
そういう割にはずっと渋面してません?
…本当に大丈夫か?
「心配しなくとも当分金には余裕はもてる。…無駄使いしなけりゃな」
はいそこぉ!ボソッと、「まぁ我が家のかぐや姫さまなら大丈夫か」って呟いてたの聞こえてるからな!
でも俺のこと信用してくれたのは素直に嬉しい。ありがとう。
「そういえば、今日は講義とかってないの?」
「今日はないな。バイトは16時前くらいに出たら余裕で間に合うし」
「バイトはあるんだ」
「21時までだな。その間、家の中居てくれるんなら自由にしてくれていいぞ」
「えっ、いいの?」
金銭面の信用はゲットできてるみたいで嬉しいけど…流石にそこまで勝手にさせるのは、勇気があるどころか蛮勇ありすぎると言うべきでは?って俺は思うんだが。
…本当にええんか?こんな得体のしれない宇宙人*1に留守番任せて。
「放り出す方がリスクあるだろ常識的に考えて」
困った、否定できない。
「現代日本で生活してた記憶があるんなら、暇の潰し方も心得てるだろ」
「そりゃーかぐやにかかれば1日2日くらい余裕で過ごせますとも!」
なななんとパソコンの使用許可までもらえましたからね!…4日5日6日って増えてかなきゃよゆーよゆー。
そこの棚にアニメも置いてあるからって言ってたし。
「ゲームとかも好きにしていいから、大人しく家居てくれよ。頼むぞ」
「らじゃー!」
「ブ・ってつけたら野原し〇のすけだったな」
おいこら。
わかってる?一応今は俺も女だかんな?
火種になりそうなことは極力避けましょう。事なかれ主義の常識ですよ。
「うけたま かしこま つかまつり〜」
「うわっ、可愛くない」
「言うな…」
やっぱり会話の力ってすげぇんだな。
柳田さんとくだらないことわーきゃー言ってたらもう16時前だよ。はっや。
「パスワードそこに貼っつけたから、パソコン使う時はそれな」
「 本当ありがとね〜」
「一応なんか買って帰ってくるつもりだが、なんかリクエストとかってある?マ〇クオンリーで頼む」
「いいの!?」
「マ〇クオンリーで申し訳ないが」
ブンブン顔を左右に振りまくる。
むしろマ〇クオンリーなのが申し訳ないくらいなんですが!?
だって、最近――マ〇クに限らないけど――全部高いんだもの。既にクソ高ベビー用品やら服やら何やらまで買ってもらってるのに…そっからさらにマ〇クだなんて…
そんなん罪悪感が上限超えて天元行って突破してまうて。
「ごちゃごちゃ言ってると月見〇ーガー買うぞー?」
「ってそれまだ売ってないじゃん!」*2
「バレたか」
「バレバレだよ!」
「ハハッ。そんだけ元気なら大丈夫か。留守番、任せたぞ」
「あちょっ」
結局リクエスト聞かずに出て行ったし。
もしかしなくともハナから買うつもりないパターンかこれ?…、騙されちった☆
「かぐやの純心が弄ばれたぁー。ウェーン」
なんておどけてみたものの、当然返事なんてある筈ない。
「……」
家主の外出により、俺という居候一人が残されたるのみとなった部屋。
もうある程度まで離れてしまったのか、柳田さんの気配は元より、外から響く音すらも耳に入らなくなっていた。
…パソコンでも、見るか。
途端に溢れ出した寂しさを振り切るように、ノートパソコンを引っ張り出し、コードをしっかり繋いでから電源ボタンを押し込んだ。
あとはパスワードカタカタっと入力して、G〇ogleChromeのアイコンをダブルクリック。
見慣れたホーム画面が画面いっぱいに表示されたところで、ふと固まる。
さて、なに見ようか。…ぶっちゃけなんも考えてなかった。
検索履歴には、これまで柳田さんが調べて来たであろう履歴が残されてるけど、流石にいきなりそこ見るのは人の心案件というか。
「うぅーん」
腕を組めどもアイデアは出てこない。
超かぐや姫!でも見るか?でもあれネ〇フリでしか独占配信されてないって言ってたし…あっ、ネ〇フリ入ってる。
いっかいChr〇meのタブ小さくして、今度はネ〇フリを開いてみる。
ホーム画面に表示されるいくつかのまとめファイルが表示されたり、最近視聴したコンテンツやらがパパっと出てきておぉーという感嘆の声が漏れる。
柳田さんこういうの見てるんだ。
表示されたアニメの中には、俺もよく見ていた作品がいくつか見受けられて、ホッとしたように胸が暖かくなる。
突然こんな訳の分からない状況に放り込まれて、過去の自分を証明するものが何もないのだと気付かされて、やけっぱちにならなかったと言えば嘘になる。
まるで、世界から一人切り離されて、置いてけぼりのはぐれっ子にされてしまったような…そんな気持ちになっていたから。
……やっぱ今のナシ!ナーシ!我ながらクサすぎて死ぬほど恥ずいッ!
えっちょ誰も聞いてないよな?だって今誰もいないもんな!?…よし。
「いったん超かぐや姫のことは忘れよう。うん、そうしよう」
とりあえず適当にアニメ選んでっと。ほい、再生開始。
ノートパソコンサイズとはいえ、スマホと比べれば段違いの画面サイズ。
スピーカーの性能もこっちの方が勝ってるし、アニメ見るならパソコンかタブレットよな。
とりあえず1期12話分見終えて、ちらりと時計に目をやった。
1話につき約24分くらい。冒頭やら途中やらで時々再生される広告も含めてだいたいこんくらい。
プレミアムプランだったら完全広告無制限みたいなこと書いてあったけど…まぁ別にいらんし。安いプランでも十分に楽しめるんだから、多くは求めなくてもいいよねっていう。
1クール分見て、ほぼほぼ4時間50分くらい潰せたことになるから、あともうちょっとってとこかね。
外はすっかり真っ暗。
柳田さん、普段は網戸に扇風機という布陣で夏の暑さに挑んでるって言ってからなぁ。苦学生らしさ存分に滲み出ておりました。
節約できるところはゴリゴリ節約しますって顔してたのに、今となっちゃあ、ガンガンにクーラー効かせてまで涼しくしてくれて……めちゃめちゃ気を遣わせてしまってるのがヒシヒシた伝わる。
「…このままアニメ見て待つだけって、なんか申し訳なくない?」
でも俺にできそうなことってなんかあるか?
風呂はもう沸かしてあるし、1週間分のメニュー云々って考えたら、勝手に食材触るのはむしろアウトよりのアウトだし。
掃除でもする?でももう夜だから掃除機なんて使えないし、そもそもどこにあるかもわからんときた。
うぅーん。短時間でもできそうで、道具も近くにあって、尚且つやってくれたら嬉しい掃除場所って…あっ。
「よし!トイレ掃除しちゃお!」
そうと決まれば行動開始!
トイレ入って、道具探して秒で発見。
しゃきーんと装備した道具を手に、便座をオープンザゲイツ!
「言うほど汚れてない感じ?」
そりゃあ完全真っ白のピッカピカとまではいかない。
でも、まぁ?黒ズミとかはどこにもなさげで、カビの臭いもしない。結構しっかり掃除されてる感じ。
裏に埃溜まってるとこくらいしか見当たらんし、できてもそんくらいかな?
隅に一緒に置かれてた、ふわふわのホコリ取りでそそくさと埃を綺麗に拭き取る。道具の名前はと聞かれても、知らんもんはわからんとしか答えられん。
埃を取り終えて、改めてトイレを見回して見た。
んー…なんか壁が汚れてるように感じる。ここもやっておくか。
トイレ用お掃除シートで、上から下へとゴシゴシと擦っていく。
男って生き物は基本立ってするスタイルがベース。おかげさまで尿はねがすごいというのはよく聞く話。
便器の高さあたりは特に入念にやっといても損は無さそう。
ふんぬっふんすっ!とめちゃくちゃゴシゴシしまくって、ある程度汚れが落ちたなと思ったら、洗面所行って雑巾濡らして固く絞ってキュキュっと水拭き。
最後に乾拭きで仕上げたら完成。
「やる前よりは明らか綺麗だよね。うん」
元々パッと見がそんなだとイマイチ実感できんのである。
「トイレ掃除してくれたのか。ありがとう」
「うぇッ!?」
急にヌッと現れる柳田さん。
い、いつの間に帰ってこられてたんですかぁ!?
めっちゃビビったんですけどぉ!?
なんと!!勝手にトイレ掃除をしていたのである!!
こいつはとんでもねぇワルだ!