福利厚生を目当てに入隊したボブを待っていたのは、入隊するだけで敵に砲撃が飛び、退職すると生け贄にされる謎の職場だった。
一方、アベンジャーズは宇宙規模からニューヨークの裏社会まで、あらゆるヴィランに包囲されていた。
だが、ドクター・ドゥームは不在。サノスは傍観。キングピンも手下任せ。
一体、誰がこの悪人たちを集めたのか?
そしてTVAのカウチでポテチを食べるデッドプールが、ついに真の黒幕を発見する!
MTGのヴィランデッキ構築から生まれた、第四の壁も労働基準も崩壊する短編コメディ。
なお、責任者は不明です。
# ヴィラン包囲網・アグロドレイン
### ――黒幕不在の世界征服計画――
**【第一幕:ようこそ、ヒドラへ!】**
ニューヨーク某所。ヒドラの秘密基地。
今日もまた、一人の新人が悪の組織の門を叩いた。
その名はボブ。
世界征服にもアベンジャーズ打倒にも、さほど興味はない。
ただ、安定した給料と福利厚生が欲しかった。
**ボブ**「今日からヒドラに入りました! よろしくお願いします!」
**ヒドラの戦闘ロボット**「新入隊員確認。アベンジャーズへの砲撃を開始する!」
ズドォォォン!!
**ボブ**「えっ!? 俺、まだ何もしてないんだけど!?」
**ボブ**「というか、戦闘訓練もなしですか?!」
**ヒドラ隊員**「あ、場に出るだけでいいんだよ。素人に結果は求めない」
**ボブ**「なんで、ここだけホワイト?!」
**ヒドラ隊員**「入隊した時点で敵にダメージが入るからな」
**ボブ**「何を言っているのか、全然分からないんですけど!?」
**ヒドラ隊員**「気にするな。俺たちも分からん」
そこへ、別の隊員が駆け込んできた。
**隊員**「報告! 新たな悪人が戦場に出現!」
ズドォォォン!!
**ボブ**「また撃った!?」
**隊員**「《ドゥームの絶対統治》によるライフ吸収も確認!」
**ボブ**「えっ、ドクター・ドゥームまでいるんですか!?」
**ヒドラ隊員**「いや、いない」
**ボブ**「いないの!?」
**ヒドラ隊員**「計画書だけ届いた」
**ボブ**「それで世界征服できるんですか!?」
**ヒドラ隊員**「今のところ、順調だ」
**ボブ**「なんで!?」
---
**【第二幕:悪の組織の経営会議】**
ヒドラ秘密基地・作戦会議室。
バロン・ストラッカー、バロン・ジモ、マダム・ヒドラらが集まっていた。
**ストラッカー**「諸君、経費削減は順調だ。悪人の雇用コストも下がっている」
**マダム・ヒドラ**「人員も増えているわ。悪人を投入すれば、さらに悪人が増えるのよ」
**ジモ**「私も謀議を重ねている。情報こそ力だ」
**クロスボーンズ**「俺は新入りが来るたびに敵へ二点叩き込む。ただし、一ターンに一回だけだ」
**ボブ**「……あの、ここって本当に悪の組織ですよね?」
**ストラッカー**「無論だ」
**ボブ**「なんか、経営効率化セミナーみたいなんですけど」
**ストラッカー**「悪の組織にも経営は必要だ!」
**ジモ**「ところで、ドゥームの計画は誰が持ち込んだ?」
一同、沈黙。
**マダム・ヒドラ**「……あなたじゃないの?」
**ストラッカー**「私は知らんぞ」
**クロスボーンズ**「俺は撃つだけだ」
**ジモ**「では、誰が総指揮を執っている?」
再び沈黙。
**ボブ**「……えっ、責任者がいないんですか?」
**ストラッカー**「責任者はいる!」
**ボブ**「誰です?」
**ストラッカー**「…………」
**ボブ**「いないんですね!?」
---
**【第三幕:三下悪人の労働環境】**
その日の午後。
ボブは、キングピンの手下たちが管理する別の施設へ案内された。
**ボブ**「あの、ここは何の部署ですか?」
**キングピンの手下**「資源再利用部門だ」
**ボブ**「環境に優しいんですね!」
**手下**「悪人を生け贄にして、カードを引く」
**ボブ**「全然優しくない!!」
**手下**「しかも《犯罪計画》があれば、悪人が死んだときにも相手のライフを削れる」
**ボブ**「死んでも働かされるの!?」
**手下**「安心しろ。お前には選択肢がある」
**ボブ**「ほ、本当ですか!?」
**手下**「威迫で敵陣に突撃するか、生け贄になってカードを引かせるかだ」
**ボブ**「どっちも嫌です!!」
**手下**「第三の選択肢もあるぞ」
**ボブ**「それを先に言ってください!」
**手下**「何もしないで、戦場に立っているだけだ」
**ボブ**「それだ!!」
**手下**「その場合も、入隊時の砲撃とドレインには貢献済みだ」
**ボブ**「……なんか、働いてないのに成果だけ出てる?」
**手下**「そうだ」
**ボブ**「ひょっとして、ここってホワイト企業なのでは?」
**手下**「退職方法は生け贄だ」
**ボブ**「やっぱりブラックだぁぁぁ!!」
---
**【第四幕:悪人オールスターズ】**
一方、アベンジャーズ本部。
警報が鳴り響いていた。
**アベンジャーズ側のオペレーター**「敵勢力を確認! ヒドラ、ジモ一派、マダム・マスク、クロスボーンズ、ニューヨークの犯罪組織……!」
**ヒーロー**「待て! なんで全員で攻めてくる!?」
**オペレーター**「さらに、ドクター・ドゥームの世界征服計画が進行中!」
**ヒーロー**「ドゥーム本人は!?」
**オペレーター**「不在です!」
**ヒーロー**「サノスは!?」
**オペレーター**「《悪行の見通し》で見ているだけです!」
**ヒーロー**「キングピンは!?」
**オペレーター**「手下だけ派遣しています!」
**ヒーロー**「なんなんだ、この代理戦争は!!」
そのとき、通信回線に何者かの声が割り込んだ。
**マスターズ・オブ・イーヴィル**「アベンジャーズ! お前らは敵を作りすぎた!」
**ヒーロー**「いや、だからって全員まとめて来るなよ!!」
**オペレーター**「なお、クリーのセンチネルは確認されていません」
**ヒーロー**「……なんでそこだけ来てないんだ?」
**オペレーター**「不明です」
同時刻、宇宙のどこか。
**クリーのセンチネル**「……招集通知が来ない」
**クリーのセンチネル**「なぜだ。私も戦闘兵器なのに」
**クリーのセンチネル**「……悪人トークンとの相性が悪いからか?」
宇宙規模の孤独であった。
---
**【第五幕:TVAの観客】**
時間変異取締局、通称TVA。
無数の時間軸を監視するモニタールーム。
その片隅のカウチに、赤いスーツの男が寝転がっていた。
デッドプールである。
膝の上には、特大サイズのポテトチップス。
**デッドプール**「いやぁ、アベンジャーズも大変だねぇ」
バリバリ。
**デッドプール**「ヒドラにジモ、クロスボーンズ、キングピンの手下……って、どんだけ敵を作ったんだよ!」
**TVA職員**「ドゥームの世界征服計画も進行中です」
**デッドプール**「おおっ! ついにドゥーム登場!?」
**TVA職員**「本人は不在です」
**デッドプール**「リモートワークかよ!!」
バリバリ。
モニターに、ヒドラの戦闘ロボットが映る。
新たな悪人が現れる。
ズドォォォン!!
**デッドプール**「ちょっと待て。今、何が起きた?」
**TVA職員**「新たな悪人が戦場に出たため、砲撃しました」
**デッドプール**「新入社員の歓迎砲撃!?」
**TVA職員**「さらに、ドレインが発生しました」
**デッドプール**「えっ、悪人が出勤しただけで相手が弱るの!?」
**TVA職員**「はい」
**デッドプール**「なんだその悪人砲台!!」
画面の中で、ボブが逃げ回っている。
**ボブ**「俺、福利厚生目当てで入っただけなのにぃぃ!!」
**デッドプール**「……あ、ボブじゃん」
バリバリ。
**デッドプール**「あいつ、また変な職場に就職してる……」
**TVA職員**「なお、悪人は生け贄にされる場合があります」
**デッドプール**「労働基準監督署は何やってんだ!!」
**TVA職員**「ヴィラン組織なので」
**デッドプール**「便利な説明だな、おい!!」
---
**【第六幕:本当の黒幕】**
デッドプールは、ふと疑問を抱いた。
**デッドプール**「ところでさ、この悪の連合軍、誰がまとめてるの?」
**TVA職員**「不明です」
**デッドプール**「ドゥーム?」
**TVA職員**「不在です」
**デッドプール**「サノス?」
**TVA職員**「見ているだけです」
**デッドプール**「キングピン?」
**TVA職員**「手下しかいません」
**デッドプール**「じゃあ、誰がこんな連中を集めたんだよ!?」
職員が端末を操作する。
モニターに、奇妙な情報が表示された。
『ヴィラン包囲網・アグロドレイン』
総戦力:60枚。
悪人の大量動員。
ヒドラの戦闘ロボット4機。
ドゥームの絶対統治計画4件。
さらに、生け贄とドローによる資源循環システム。
**デッドプール**「……待てよ」
**デッドプール**「これ、偶然集まったんじゃなくて、誰かが意図的に組み合わせてるだろ?」
**TVA職員**「そのようです」
**デッドプール**「つまり、ドゥームもサノスもキングピンも、誰かに利用されている?」
**TVA職員**「その可能性があります」
**デッドプール**「……誰だ?」
その瞬間。
デッドプールは、ゆっくりとモニターから顔を上げた。
こちらを見る。
第四の壁の向こう側。
そう。
この物語を読んでいる、あなたを。
**デッドプール**「…………」
**デッドプール**「……あっ、お前か!!」
**私**「デップーに観られた?!」
**デッドプール**「いやいやいや!! 普通は『見つかった?!』だろ!!」
**私**「だって、デップーだし」
**デッドプール**「雑な説明だな、おい!!」
**デッドプール**「……で、ドゥーム本人なし、サノス本人なし、キングピン本人なし。それなのに悪人だけ大量投入?」
**私**「うん。シナジーがいいから」
**デッドプール**「お前が一番ヴィランじゃねーか!!」
**私**「いや、私はデッキを組んだだけで……」
**デッドプール**「ドゥームの計画を4枚も採用して! 三下を量産して! 生け贄にして! アベンジャーズを包囲しておいて!?」
**私**「……勝つためだから」
**デッドプール**「ほら出た!! 悪の組織のトップが言うやつ!!」
バリバリ。
しばしの沈黙。
**デッドプール**「……ところでさ」
**私**「何?」
**デッドプール**「次のゲーム、俺も入れてくんない?」
**私**「君、悪人シナジーに合わないから」
**デッドプール**「俺まで不採用かよォォォ!!」
---
**【終幕:黒幕不在の世界征服計画】**
TVAの監視記録には、次のように記された。
『異常事態報告』
ドクター・ドゥームは計画を立てた。
サノスは戦況を眺めていた。
キングピンは手下を派遣した。
ヒドラは兵力を増強した。
ジモは謀議を重ねた。
クロスボーンズは敵を撃った。
そして、名もなき三下悪人たちは、出勤するだけでアベンジャーズを追い詰めた。
誰もが自分の意思で動いているつもりだった。
だが、彼らを一つの戦場に集めた者がいた。
その者は戦場に姿を現さない。
直接攻撃もしない。
ただ、手札を選び、土地を置き、悪人を召喚し、計画を実行する。
ドクター・ドゥームですら、その者にとっては計画書の提供者にすぎなかった。
監視記録の最後には、こう追記された。
**『真の黒幕:プレイヤー』**
そして、TVAのカウチから声が響いた。
**デッドプール**「……っていうか、これ、誰がショートショートにしたんだ?」
**私**「ChatGPT」
**デッドプール**「……は?」
**私**「私が頼んだ」
**デッドプール**「じゃあ、お前は悪人を動かして、AIに物語を書かせて、自分は笑ってるだけ!?」
**私**「うんw」
**デッドプール**「…………」
**デッドプール**「ドゥームより黒幕らしいじゃねーか!!」
――完――
*追伸:*
そのころ、ヒドラの秘密基地では。
**ボブ**「あのー、福利厚生の説明って、いつ受けられるんでしょうか?」
**ヒドラ隊員**「ああ、まずは試用期間だ」
**ボブ**「何か月ですか?」
**ヒドラ隊員**「次の全体除去まで」
**ボブ**「そんな雇用契約あるかぁぁぁ!!」
ズドォォォン!!
**ボブ**「今度は何!?」
**ヒドラの戦闘ロボット**「新入隊員確認。砲撃を開始する」
**ボブ**「まだ増やすのかよォォォ!!」
**本当に、完。**
### 【後書き:TVA押収資料】
**事件番号:MTG-60-VILLAIN**
TVAによる調査の結果、本事件の黒幕が使用していた「世界征服計画書」が発見された。
以下、押収されたデッキリストを公開する。
**『ヴィラン包囲網・アグロドレイン』60枚**
【幹部・計画推進部門:12枚】
- 2《バロン・ストラッカー》
- 2《立身出世の犯罪者、トゥームストーン》
- 2《マダム・ヒドラ》
- 1《マダム・マスク》
- 3《コズミック・キューブの構築》
- 2《バロン・ヘルムート・ジモ》
【統治計画・砲撃部門:14枚】
- 4《ヒドラの戦闘ロボット》
- 2《残忍な傭兵、クロスボーンズ》
- 4《ドゥームの絶対統治》
- 2《犯罪計画》
- 2《アベンジャーズ:アンダー・シージ》
【人事・補給・後始末部門:10枚】
- 2《マスターズ・オブ・イーヴィル》
- 2《苦々しい勝利》
- 4《悪行の見通し》
- 2《キングピンの手下たち》
【秘密基地・活動拠点:24枚】
- 4《黒割れの崖》
- 4《悪党の潜伏地》
- 6《山》
- 10《沼》
**合計:60枚**
---
【TVA調査官による備考】
本計画の特徴は、悪人を大量投入し、登場時の砲撃・ライフ吸収・生け贄による資源回収を組み合わせている点にある。
なお、ドクター・ドゥーム、サノス、キングピン本人の戦場への出現は確認されていない。
クリーのセンチネルも不採用。
**デッドプール**「……待て。これ、マジで組めるデッキなの!?」
**調査官**「構築案として確認されています。実戦での強さは未検証です」
**デッドプール**「世界征服の計画なのに、テストプレイもしてねぇのかよ!!」
**調査官**「なお、あなたも不採用です」
**デッドプール**「それ、わざわざ報告する必要ある!?」
※本作品は、Magic: The Gatheringのヴィランデッキ構築をきっかけに生まれた二次創作コメディです。デッキの実戦性能および使用フォーマットでの適法性は未検証です。
そもそもデップーのMTGカードって、デップーがWotC社員を本人が脅して作らせたんじゃないだろうな?
ブラックロータス燃やしながら"Look at me! I'm Chandra Nalaar!"
チャンドラに燃やされない?デップー。
もし読者が「このカードを入れたらもっと悪いことができるぞ!」と感想欄で提案してきたら……。
デッドプール「おい!! 読者までヴィランの採用担当になるな!!」
ChatGPT「……もう、感想欄まで悪の組織の人事部ですよ!(大笑)」