緑谷(僕、次のテストの出題範囲……いや、未来の事件を知ってるんですが!?)

ある日、緑谷出久の脳内に、まだ起きていない未来の断片が流れ込んできた。

「答えを知っているなら、徹底的に対策して、完璧に予習しなきゃ!……失敗したら怖いしね」

こうして夜な夜な書き上げられた、『敵(ヴィラン)・事件対策マニュアル』。

しかし、それを目にした周囲は静まり返る。

相澤「……緑谷。まだ起きていない襲撃の日時と敵の弱点を、なぜ知っている?」
オールマイト「緑谷少年……未来を見通し、たった一人で世界を救おうとしていたのか!?」
爆豪「おいデク。テメェ、その頭脳で今まで何を隠してやがった……?」
緑谷「違います!! ただ、知っている情報に合わせて予習しただけなんです!!」

未来知識 × オタク特有の過剰な事前準備。

ただし、自分に未来が視えることを明かそうとすると激しい頭痛に襲われ、無理に言葉を絞り出せば吐血するほどの苦痛を伴う。

それでも、知った危険を誰にも伝えないことが最善とは限らない。情報源を伏せて警告するのか、対策を促すのか。あるいは苦痛を押して秘密を明かすのか。仲間との関わりの中で迷いながら、何を、誰に、どう伝えるかまで考え抜く。

流れ込む未来は、敵の襲撃や大事件ばかりではない。次のテストも日常の出来事も、知ってしまえば予習の対象だ。

情報はいつも断片的。考察とシミュレーションを重ね、道具や技、仲間の個性を組み合わせて最善の一手を探す。ときには事件そのものを未然に防ごうとすることも。

しかし、運命はそう簡単に、緑谷の思い描く最善のルートを辿らせてはくれない。

全員、助けたい。みんなに笑っていてほしい。僕だって、一緒に笑いたい。
だから、できる準備はしておきたい。

妄想を実演で確かめ、練習を重ね、必要な素材を揃える。今日も緑谷の準備は終わらない。

本人は未来に備えているだけ。だが、その周到な準備と予想外の戦術は、周囲には恐るべき知略や壮大な計画に映ってしまう。

疑惑、警戒、賞賛、感動、困惑。見る者によって、緑谷の行動は違う意味に受け取られていく。

恐ろしい預言者、得体の知れない怪物、規格外の超人――周囲の評価は今日も暴走する。

そう、すべては未来への予習なのだから。

(比較的無双するかも?な)すれ違い勘違いコメディ、開幕。