未来予習から始まる英雄譚――緑谷出久の対策と周囲の勘違い!   作:お茶の間

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地味にいい感じに描けたので見切り発車です!
行かせていただきます。

【初見読者向け・重要なお知らせ↓】

※本作品を読む前に、事前にあらすじを読み、この作品の楽しみ方を知るとその楽しさ面白さがダントツで変化します。是非それを体感するために
この作品の楽しみ方を事前にあらすじで確認してから作品をご拝読くださいませ。

なお、事前にあらすじを読み忘れた方などにも、本作の楽しみ方を知っていただけるよう、今回はあらすじを第1話の前書きにも記載してお届けします。

ある日、緑谷出久の脳内に、まだ起きていない未来の断片が流れ込んできた。

「答えを知っているなら、徹底的に対策して、完璧に予習しなきゃ!……失敗したら怖いしね」

こうして夜な夜な書き上げられた、『敵(ヴィラン)・事件対策マニュアル』。

しかし、それを目にした周囲は静まり返る。

相澤「……緑谷。まだ起きていない襲撃の日時と敵の弱点を、なぜ知っている?」
オールマイト「緑谷少年……未来を見通し、たった一人で世界を救おうとしていたのか!?」
爆豪「おいデク。テメェ、その頭脳で今まで何を隠してやがった……?」
緑谷「違います!! ただ、知っている情報に合わせて予習しただけなんです!!」

未来知識 × オタク特有の過剰な事前準備。

ただし、自分に未来が視えることを明かそうとすると激しい頭痛に襲われ、無理に言葉を絞り出せば吐血するほどの苦痛を伴う。

それでも、知った危険を誰にも伝えないことが最善とは限らない。情報源を伏せて警告するのか、対策を促すのか。あるいは苦痛を押して秘密を明かすのか。仲間との関わりの中で迷いながら、何を、誰に、どう伝えるかまで考え抜く。

流れ込む未来は、敵の襲撃や大事件ばかりではない。次のテストも日常の出来事も、知ってしまえば予習の対象だ。

情報はいつも断片的。考察とシミュレーションを重ね、道具や技、仲間の個性を組み合わせて最善の一手を探す。ときには事件そのものを未然に防ごうとすることも。

しかし、運命はそう簡単に、緑谷の思い描く最善のルートを辿らせてはくれない。

全員、助けたい。みんなに笑っていてほしい。僕だって、一緒に笑いたい。
だから、できる準備はしておきたい。

妄想を実演で確かめ、練習を重ね、必要な素材を揃える。今日も緑谷の準備は終わらない。

本人は未来に備えているだけ。だが、その周到な準備と予想外の戦術は、周囲には恐るべき知略や壮大な計画に映ってしまう。

疑惑、警戒、賞賛、感動、困惑。見る者によって、緑谷の行動は違う意味に受け取られていく。

恐ろしい預言者、得体の知れない怪物、規格外の超人――周囲の評価は今日も暴走する。

そう、すべては未来への予習なのだから。

(比較的無双するかも?な)すれ違い勘違いコメディ、開幕。

こちらにわか知識で作られております。
細かな設定の差異などが出ていましたら、それは作品独自のものとしてご理解いただけますよう、よろしくお願い致します。
また細かな設定違い、呼称ミス、誤字などありましたらどしどしご報告いただければ幸いです。

「ここまで読んだあなたは、もう予習済みです」


第1話:あらかじめ知っていて正解だった…!(作品の楽しみ方は前書きで!)

重要】

 

本作の根幹に関わる内容のため、本文を読み始める前に、1話前書きに記載している「作品の楽しみ方」を確認することを強く推奨します。

 

事前に知っているかどうかで、本作の面白さや物語の受け取り方が180度以上変わります。

 

(誇張ではありません)

 

◇

 

エンデヴァー事務所、深夜……

 

エンデヴァーが資料の束を机に叩きつけた。

 

「……オールマイトめ。あの緑谷とかいう小僧を、いつから仕込んでいた」

「いえ、それが……あの子は、入学したばかりの一年生だったはずで」

「ただの一年生が、ヴィランの動きを先読みするか」

 

そのころ、当の出久は自室で、必死に叫んでいた。

 

「だから予習しただけなんですってばぁぁ!!」

 

――そんな未来も、あるのかもしれない。

 

けれど出久は、まだ自分の予習が何を引き起こすのかを知らない。

 

すべての始まりは、ある日の放課後。

 

なんてことのない日常から始まるのであった……。

 

◇

 

放課後の教室。緑谷出久は眉間にしわを寄せ、深く息を吐きながらノートに文字を書き連ねていた。

 

脳裏には、胸騒ぎを覚える光景が次々と浮かんでは消えていく

 

それはまるで……何かを予知するかのように語りかけ、情報を啓示するものだった。

 

『明日の放課後、高架下のトンネル。ヘドロ状のヴィランに襲われ、絶体絶命の危機に陥る』

「……ふう、またこれか」

 

出久は微塵も慌てず、ノートの余白に状況を書き込んだ。

 

未来の知識が頭に流れ込んでくる現象とは、もう何年も付き合っている。

 

中学時代には、テストの出題範囲や重要単語が唐突に浮かんできたこともあった。

 

だから出久にとって、これは特別な力というより、

 

「事前に出題範囲を知っているから、徹底的に予習する」

 

そういう日常の延長だった。

 

ただし、病院の診断では足の小指の関節が二つある、れっきとした無個性。

 

この知識が何なのか、本人にも全く分からない。

 

しかも、他人に話そうとすると頭を割るような激痛が走るため、相談することすらできない。

 

「……起きてしまうなら、準備して避けるしかないんだ」

 

出久はペンを止め、昨夜から脳内で組み立てていた対策を、最終確認し始めた。

 

◇

 

翌日。放課後の帰り道。

 

出久は未来知識の通り、『高架下のトンネル』へとあえて足を踏み入れていた。

 

逃げ出す選択肢もあったが、予習を済ませた出久の頭の中には、すでに完璧なシミュレーションが構築されている。

 

暗がりから、ぬらりと不気味な粘液が姿を現した。

 

「ぬはは! 良いサイズの入れ身が入ってきたなぁ!」

 

ヘドロヴィランが襲いかかる。

 

出久は右斜め前に一歩踏み出した。

 

ヴィランの粘液が、空を切る。

 

(初動の速度、約四十キロ。狙いは顔面。回避後三秒で追撃が来る…!)

「なっ……!?」

 

ヴィランが驚く。

 

小柄な少年は、攻撃が来る直前からすでに避ける位置へ移動していた。

 

出久はリュックのポケットに手を入れる。

 

防犯スプレー。

 

昨夜のシミュレーションでは、粘液状のヴィランは視覚への刺激に弱いと仮定していた。

 

「すみません…目に入りますっ!」

 

プシュッ。

 

白い霧がヴィランの顔面を直撃する。

 

「ぐあっ!? ま、目が……!」

 

ヴィランがのたうち回る。

 

出久は迷わず、高架下の柱の陰へ移動した。

 

(次は増援到着まで、約二分。ここで足止めするっ……!)

 

彼は足元の空き缶を蹴り、トンネルの奥へ転がした。

 

カラン、カラン。

 

「どこだ……!? どこに行きやがった……!」

 

ヴィランが音に反応して奥へ進む。

 

出久は反対側の出口へ向かいながら、ノートを開くこともなく、頭の中のチェックリストを静かに消化していく。

 

(誘引、成功。視覚妨害、成功……っ!?)

 

しかし、ヴィランはのたうち回りながらも、粘液を無数の触手のように伸ばした。

 

「ぬははっ……! そんなもん、一瞬で慣れるわぁぁ!!」

 

粘液の触手が、柱の陰に隠れた出久へ向かって伸びる。

 

(……スプレーによる視覚妨害、想定より早く無効化)

 

出久は眉を寄せた。

 

(だけど、想定内っ!)

 

粘液は水分を含み、床面を伝って移動する。

 

つまり、乾いた床より、濡れた床のほうが速い。

 

出久は足元を見る。

 

そこには、高架下の整備作業で放置されていた小さな水たまり。

 

「……すみません、少し借ります!」

 

出久はリュックから、折りたたみ傘を取り出した。

 

昨夜のシミュレーションでは、

『粘液状ヴィランがスプレーを無効化した場合、水場を利用して移動速度を上げる可能性が高い』

『対抗手段としては、移動経路を分断するか、足元を滑らせること』

と記録してあった。

 

出久は水たまりの際に傘を差し込み、一気に引いた。

 

バシャッ。

 

水が床に広がる。

 

「なっ……!?」

 

粘液の触手が、濡れた床で勢いを失う。

 

出久はその隙に、反対側の柱へ移動した。

 

(移動経路、分断。次は……)

「ぐぬぬ……! 小僧ぅぅ!! なんでそんなこと分かってやがる……!」

「いや、昨日ネットで調べただけですけど……?」

「調べた!? 調べたでこんなことが分かるかぁぁ!!」

「あとは……」

 

ヴィランが振り返った瞬間、

 

「もう大丈夫だ少年! 私が来た!!」

 

マンホールを突き破り、オールマイトが現れた。

 

出久は小さく頷いた。

 

(増援、予定通り)

 

豪快なワン・フォー・オールの風圧一閃。ヘドロヴィランは一瞬で爆散し、ペットボトルへと回収される。

 

「ハハハ! 怪我はないかね少年! 間一髪だったな!」

 

豪快に笑うオールマイト。だが、その鋭い瞳は、目の前の出久を凝視していた。

 

(……なんだこの少年は? 私が来る直前、ヴィランの攻撃軌道を完全に予測した体勢に入っていた……? それにあの眼光……まるで全ての展開を事前に把握していたかのような……!)

 

オールマイトの背中に、冷や汗が伝う。

 

(まさかこの少年……私が出現することすら計算に入れた上で、あの状況を完全にコントロールしていたとでもいうのか……!?)

 

オールマイトは、震える指で出久を指した。

 

「少年……君、私が来ることを、最初から織り込み済みだったのか……?」

「えっ? いや、そんなことないです! ただ、増援が来るだろうなとは思って……」

「増援が来ると、分かっていたのか……!」

「いえ、あの、普通にヒーローが来るだろうなと……」

「普通に、だと……?」

 

オールマイトの表情が、さらに真剣になった。

 

「ヴィランに襲われ、絶体絶命の状況でありながら、増援の到着まで時間を稼ぎ、自らの退路まで確保していた……! それを『普通』と言うのか……!」

「いや、あの、スプレーと空き缶を使っただけで……」

「スプレーと空き缶……! さらに、粘液の移動特性を見抜き、水場で進路を分断した……! 素手で戦わず、環境と道具を最大限利用する……! 完璧な戦術眼……!」

「ちがっ、予習しただけです……!」

「予習……! この惨劇を、事前に予測し、対策を講じていたというのか……!?」

 

出久は嫌な予感を覚えた。

 

「あの、そうじゃなくて……」

 

しかし、オールマイトはすでに聞いていなかった。

 

「なんという少年……! 君は、ただの学生ではない……!」

 

その後の事情聴取と保護の最中、どうにも隠しきれない修羅場に直面した出久は、冷や汗を流しながらもついに折れた。

 

これ以上ごまかすのは無理だと判断し、オールマイトにすべてを打ち明けることにしたのだ。

 

「あ、あの、オールマイト……! 実は、僕の頭の中に未来の知識が勝手に流れ込んでくるんです! だから……その知識に合わせて必死に予習して対策しただけで……!」

 

出久は顔を蒼白にしながら必死に自白した。

 

「未来の知識……? 少年、それは君の『個性』という理解で良いのかな?」

 

オールマイトの問いかけに、出久はうっ……と胸を押さえて顔を歪めた。

 

「違っ、違うんです! 病院の診断では足の関節が二つある『無個性』なんです! それに、この未来知識のことを誰かに喋ろうとすると……っ、頭が割れそうに痛くなって……! 僕にもどうしてこんな知識が来るのか、理屈なんて全然説明できなくて……っ!」

 

激痛のペナルティに耐えながら、どうにか事実を絞り出す出久。

 

しかし、その必死な自白を聞いたオールマイトは、ハッと目を見開いた。

 

(医学的には『無個性』……! さらに、その力を第三者に明かそうとすれば頭痛という強烈な身体的ペナルティが襲う……! にもかかわらず、この少年には知識が届いている理由の理屈すら分からない……!?)

 

出久が言った「無個性」「激痛の枷」「説明不能」という三つの事実が、オールマイトの脳内で恐ろしい形へと結びついていく。

 

(……いや、違う! 理屈が説明できないのではない! 語ることすら許されないほどの『絶対的な機密』なのだ! 医学的な無個性診断すらも、この凄まじい異能を隠蔽するための偽装……! まさかこの少年は、自身に課せられた過酷な因果律の枷と痛みに耐えながら、世界に訪れる破滅の危機を、長年『予習』という形ですべて一人で防ぎ続けてきたというのか……!?)

 

オールマイトは、ゆっくりと息を吸った。

 

「……無個性の診断」

「はい」

「語れば激痛が走る枷」

「はい」

「そして、本人にも理由が分からぬ力」

「はい……」

 

オールマイトの目が、潤み始めた。

 

「……なんとなく、分かったぞ」

「えっ!? 本当ですか!?」

「君は、自らの力を隠すためなら、無個性と偽ることも厭わぬ男なのだな……!」

「違います!」

「その力を語れば世界が揺らぐほどの機密ゆえ、痛みをもって封じられているのだな……!」

「全然違います!」

「そして、そのあまりに重大な使命を背負いながら、『自分でも分からない』と謙遜してみせる……! 君のその覚悟、私が生涯忘れることはない!」

「ただの無個性の学生なんですってばぁぁ!!」

 

必死に頭を下げて弁解する出久。

 

しかし、その姿すらもオールマイトの目には全く違って映っていた。

 

(自身の底知れぬ功績と苦痛を隠し、あえて『自分でも分からない』と謙遜してみせる……! なんという気宇壮大なる覚悟と、恐ろしいまでの自己犠牲精神……!)

 

オールマイトは震える手で自身の胸を押さえ、出久の肩に重々しく手を置いた。

 

「……素晴らしい。君のその『予習』と覚悟、しかと受け止めた」

「さて。詳しい話は、少し落ち着ける場所で聞かせてもらおうか」

「えっ、えっ!? ちょ、ちょっと待って……!」

 

次の瞬間、出久の視界が一変した。

 

風が吹き抜ける、ビルの屋上。

 

「……えっ」

 

気づけば、出久は平和の象徴と二人きりで、地上から遠く離れた場所に立っていた。

 

その瞬間、出久の頭の奥に、また新しい断片が流れ込んできた。

 

『近いうち。海浜公園。ゴミだらけの浜辺で、平和の象徴が待っている』

 

出久は震える手でノートを開いた。

 

「……次の予習、始めなきゃ!」




ここだけの裏話①…1話の構成でusjまでの流れはおおよそ考えていました。
ですが、逆をいうと先を考えれば考えるほど思いつかなかったです…

本作では、緑谷出久の無双感や、それによって周囲に生まれる勘違いを、あえて誇張して描いています。
それだけ入念に、熱心に予習と対策を重ねているのだと思っておいてください。
……実際、彼ならそれくらいやりますよね?

感想・ご指摘お待ちしています。特に「どこが面白かったか」「誰の誤解が一番刺さったか」を教えてもらえると励みになります。

【予習結果報告】
予習達成率:??%
予習内容:???
想定外の事態:???
対策の有効性:???
次回への課題:???
記録者:緑谷出久

【※今回の1話について】

今回の1話については、突然の削除とならないよう、事前に1日以上にわたって最新話をお知らせとして掲載し、削除した理由や今後の取り組みについて説明していました。

もちろん、すべての読者の方にお知らせが届くとは限らないことは承知しています。ただ、事前に告知と説明を行ったうえでの再投稿であることは、ご理解いただければと思います。

改めて、今回の再投稿に至った経緯を簡単にお伝えします。

きっかけは、第10話のあとがきで公開した完全版あらすじに対して、評価付与が大きく増えたことでした。

その反応を受けて、私は本作にはまだまだ可能性があるのではないか、もっと多くの方にこの作品を知っていただけるのではないかと感じました。

そして、これまで読んでくださった方にも、旧あらすじでは十分に伝えきれていなかった作品の魅力を、完全版あらすじを通して改めて知っていただきたいと考えました。

以前とは違う視点から作品を捉え直すことで、既存の第1話から第9話も、また別の楽しみ方をしていただけるのではないかと思っています。

そうした考えから、あらすじを改めて作り直し、本編だけでなく前書き・後書きも含めて見直し、今回の再投稿に至りました。

以前の投稿を楽しみにしてくださっていた方には、ご不便や戸惑いをおかけしたかもしれません。今回の再掲が、以前からの読者の方にも、新しく本作を知ってくださる方にも、楽しんでいただける機会になれば幸いです。

なお、今回の再掲では、ぜひ新しくなったあらすじにも目を通していただければと思います。

旧あらすじでは伝えきれていなかった本作の要素や魅力を盛り込んでいます。

その内容を踏まえて第1話から読み直していただくことで、以前とはまた違った視点から、物語を楽しんでいただけるはずです。

正直なところここを読むか読まないかで物語の面白さがダントツで変わります。

以前から読んでくださっている方にも、ぜひ新しいあらすじとともに、本作を改めて楽しんでいただければ幸いです。

なお、今回の再掲期間中も、体育祭編の執筆・準備を進めております。
今後も作成していく予定ですので、そちらも楽しみにお待ちいただければ幸いです。

そして最後に、番外編として「予習ノートの案内――神様の部屋にて」も投稿しています。

本編に登場する「予習ノート」や、作品独自の仕掛けについて、出久と神様の掛け合いを通して紹介した補足エピソードです。

物語を楽しみながら設定や楽しみ方を知っていただける内容になっていますので、興味を持たれた方はぜひご覧ください。

もちろん、本編だけでもお楽しみいただけます。下記からもどうぞ。

【補習教材】
予習ノートの仕組みをもっと知りたい方はこちら。

https://syosetu.org/novel/432938/1.html
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