色々なIF集   作:超人類DX

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続き。
もはややけくそよ


消えた伝説の始まり

 

 

 

 こんな破綻してしまっている性格だ。

 常に誰かに恨まれているであろう自覚は嫌でもあるし、後ろから滅多刺しにされても理解できなくもない。

 

 とはいえ、まさか『今ここでやってくれるのかよ』と流石に言いたくなるタイミングでやられるとは思わなかった。

 

 取り敢えず南雲君がヤバそうだったので、犬以下の畜生を殺してやった訳だけど、その後また沸いてきやがった骸畜生を踏み潰してやろうとした矢先、俺――いや、あれはどちらかと言えば南雲君に向かってどこぞのバカ野郎が魔法をぶっぱなしやがった。

 

 お陰で俺はともかくとして、南雲君まで橋から更に下の下へと真っ逆さまになっちまった。

 

 俺は別に良い。

 ここで俺が落ちてしまえば、此処等で彼等に『奴は橋から落ちて行方不明かくたばった』という認識でも持って貰える。

 

 あのうざい小娘――つまり八重樫も、なんか異様に構ってくるチビ教師も、俺という害悪が消えた方が余程マシな人生とやらを送れる訳だしな。

 

 

 しかし南雲君は違う。

 彼は正直言ってまだ自分で自分の身を守れるだけの力は持っちゃいない。

 あのメルドとかいうオッサンの話を聞く限り、今俺等が罠とやらで転移されたフロアで、あの強さの畜生共が居たんだ。

 更に下へと落ちてしまえば、南雲君ではひとたまりもない。

 

 

 しかしこういう時の運は持ってないのが俺という存在な訳で。

 どこぞのバカのせいで南雲君と落ちた俺は、よりにもよって南雲君とはぐれた――というよりはお互い離れた場所に転落しちまった。

 

 今やドライグが居ない俺には、失礼ながら弱い気配の南雲君をピンポイントで探すだけの器用さがない。

 幸い、この落ちたフロアの畜生共は今のドライグの力を借りれない俺でもぶちのめせるが、一匹殺す度にその血の匂いを嗅ぎ付けた他の畜生が襲い掛かってきやがるせいで、南雲君を探すのに手間取り過ぎた。

 

 

 確かに彼はただの他人かもしれない。

 というか、いっそほっといてもと思ったのは正直ある。

 

 だが、あのアホな八重樫やら一々構ってくるチビ教師と同じく、彼は俺の宙ぶらりんな生き方を前にしても、俺を『人間』として話をしてくれた。

 

 その恩がある以上、俺は返さなければならないし、何より個人的な話になるが、俺は彼に死んでほしくはないんだ。

 

 だから俺は何時以来かも忘れたが、本気で焦りながら南雲君を探した。

 邪魔な畜生共。さっきの獣とは違って遊び無しの全力で殺しながら、俺はひたすら音と気配を全力で探りながら彼を探し―――そして見つけた。

 

 

「せ、先……輩……?」

 

「…………………………」

 

 

 片腕と片目を畜生共に奪われてもまだ生きていてくれた南雲君を……。

 

 

「殺す………」

 

『!?』

 

 

 生きていたので安心はした。

 だがその次に俺の心を支配したのは、今の南雲君の姿を作り上げたクソッタレ共に対する全力の殺意と、遅すぎた事への後悔だ。

 

 

「畜生共風情ごときが人間様の言葉が通じるだなんて思わないが、テメー等は全員殺してやる―――――――塵(ミナゴロシ)だクソッタレがァァァァァッ!!!!!」

 

 

 久々にきた『プッツン』だった。

 昔、ゼノヴィアのアホがテメーの信仰していた連中に『異端者』として取っ捕まっちまった際に感じた、連中に対するそれに近く、俺は久々に見境を無くした状態で南雲君には強気だったくせに、俺を見た瞬間逃げ出した畜生共を追いかけて皆殺しにしてやった。

 

 

 これが俺――というより、俺に関わったばかりに降りかかった南雲君の不運であり、同時に始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 クラスの誰かが僕と先輩に向かって、どさくさ紛れに魔法を撃ってきた。

 そのせいで橋が崩れ、僕と先輩は更に下の――最早地獄にも近いフロアまで落ちてしまった。

 

 不運なことに、僕と先輩は落ちた先が微妙に離れてしまった為、弱い僕は更に下の強力な魔物の餌に成り下がりかけた――というより腕と片目を餌に食われた。

 

 だけど先輩は、もしかしたらベヒモスとかいう魔物よりも危険な魔物を前にしても尚蹴散らして、僕を助けてくれた。

 僕の姿を見て、何時もはクールであまり表情を変えないあの先輩が、何度も謝ってきた。

 

 謝る必要なんてないのに。

 今の僕の姿は、僕が弱いからだってだけで先輩は関係ないのに……。

 

 でも同時に、この地獄みたいな場所に一緒に落ちたからこそ理解も出来た。

 先輩は他の人達が言うほど冷酷でもないんだなって。

 

 この異世界に召喚されて嫌なことばかりだったけど、ある意味この瞬間僕は思ったんだ。

 

 異世界に来て良かったかもしれない……ってね。

 

 だってそれまでは話しかけることすら出来なかったあの先輩と話が出来る。

 僕の趣味についても寧ろ先輩は興味深そうに色々と聞いてくれる。

 

 

 なんでもっと早くに先輩と話が出来なかったのだろうと思うくらいに。

 そして僕は決めた。

 どんな手を使ってでも、強くなって先輩の役に立ちたいって。

 

 だから今ここで失った目と腕は、その誓いの証だ。

 弱かった頃の自分との決別なんだ。

 

 

 

「キミのその傷をなんとかしないとな……。

取り敢えずここら辺の畜生共を皆殺しにして落ち着ける場所を『作る』ぞ」

 

「は、ははは……ホント先輩って強いなぁ。

それに比べて僕ってホント邪魔というか足しか引っ張ってないや……」

 

「言うな。

正直、キミには借りがあるからな……。

ここからは死んでも死なせねぇ」

 

「……。なんとなく八重樫さんが懐く理由がわかった気がしましたよ」

 

 

 

 そういう意味じゃないという前置きを強調しつつ思うよ。

 ああ、ホント好きになりそうだよこの人の事……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーは正直云って普通じゃない。

 それは頭が良いとか、スゴくお金持ちだとか、そういったものじゃなくて、あまりにもイッセーは『場馴れ』し過ぎている。

 

 この異世界での生活もそう。

 魔物という、私達にとっては未知の筈の存在との戦いにおいてもイッセーは顔色ひとつ変えずに、淡々と殺す。

 

 まるでそういうことに『慣れきっている』かのように。

 

 だから普通の人達からしたらイッセーは『ちぐはぐ』に見える。

 見えるからこそイッセーの事が理解できなくなり、怖くなる。

 

 

 光輝にしても、龍太郎にしても、他の人達にしても、この異世界の人達にしても、誰もがイッセーという存在に対して『異物感』を感じ、それが恐怖に繋がる。

 私だって最初はそうだった。

 

 人を人と思わない冷たい目。

 同年代とは思えない荒んだ雰囲気。

 

 正直言えば昨日今日会った存在ならば敬遠してしまっていたかもしれない。

 

 だけど私はそんなイッセーという『ちぐはぐ』な存在に惹かれた。

 そして同時に、どうしようもなく『知り尽くしたい』とも思った。

 

 最初はただ、何もかもが自分とは違う存在に対する好奇心だった。

 だけど小学校の高学年辺りから少しずつ変わり、中学生になって親友の香織がたまたま見たまだ別の中学だった南雲君を見て恋をし、その手伝いをしていた辺りから私は悟った。

 

 

 ああ、ずっと追い続けたのはイッセーに対するただの好奇心なんかじゃあなく、『恋心』だったのだって。

 その自覚をした時から私はイッセーを本気で追いかけ始めた。

 

 香織の手伝いをしつつ、逆に香織に手伝って貰ったりもしながら少しずつ『ちぐはぐなイッセー』を知っていった。

 

 だから私は、誰かが撃った魔法で南雲君と共に落ちていくイッセーを見た時、ほぼ本能的に身体が動いてしまった。

 

 落ちていくイッセーの背中に届く筈もない手を伸ばしながら、私はその後を追いかけるようにして自分から崩れていく橋を飛び降りた。

 

 それは香織も同じだったらしく、落ちていく南雲君を見た瞬間反射的に自分から飛び降りていた。

 

 ふふ、本当に私達は気の合う友達よね香織? 好きな人の為なら後先考えなくなる所なんて特に。

 

 このフロアの魔物であれだけの強さなのに更に落ちたら間違いなく命の保証なんて無いというのに……。

 

 でも不思議と私は――そしてきっと香織も不安はなかった。

 

 

 それはきっと……死ぬなら好きな人の傍で死んでいきたいという覚悟があったから。

 それになにより、私達が好きになった人達は絶対に死なないという信頼があったから。

 

 

 そして何より……………。

 

 

 

 

「色々言いたいことはあるが、正直助かったぞ白崎さん。

南雲君の怪我を治せるテクは持っちゃいなかったからな……頼めるか?」

 

「ま、任せてください。

絶対に南雲君を助けます……!」

 

「ねぇイッセー、私は? 私もイッセーを追って落ちたけど、嬉しい?」

 

「いや別に。

やっとうるせーのに死んだと思わせられそうでラッキーだと思ったのがオジャンになってウゼーとしか……」

 

「……………………」

 

「せ、先輩……余計なお世話なのは重々承知なんですけど……」

 

「……。わかったよ。

へーへー、まあ話し相手は多い方が良いわなそりゃあ。

だから泣くなってんだよ一々」

 

「べ、別に泣いてないわよ……ぐすん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベヒモスを退けた直後に再び出没したトラウム・ソルジャーとの戦闘のどさくさに紛れて撃たれた魔法のせいで更に下層地点へと落下してしまったハジメは、そこに住まう魔物達に腕と目を奪われたが、同じく落下し、襲い掛かってくる魔物を素手でバラバラに破壊するイッセーによってなんとか一命は取り留め、合流を果たすことは出来た。

 

 すぐにハジメの手当てをする為に、落ち着ける場所を探す事になったのだが……。

 

 

「止血はできたよ。

でも……ごめんなさい、どうしてもその無くなった腕と片目は――」

 

「うん、大丈夫だよ白崎さん。

この腕と目は僕の弱さが招いただけの事だし、これは戒めにすることにするよ。

もう二度と奪われないために……」

 

 

 追う形で上から飛び降りてきた雫と香織の二人も加え、4人で行動をすることになった。

 まず最初に行うべきはハジメの傷の手当てであり、既に精神的に『戻りつつ』あるイッセーが襲い掛かる魔物をぶちのめしまくりながら、洞窟のようなフロアの壁に穴を空け、ハジメの錬成師のスキルを使って簡易的な隠し部屋を作成し、そこを拠点とすることにした。

 

 

「熊の出来損ないみたいな畜生を狩ってきたんだが、一応こいつの肉は食えなくもないぞ」

 

「今の私達では間違いなく勝てない魔物を涼しい顔で狩るなんて流石イッセーね。

ふむ……調理すればなんとか食べられるかしら?」

 

「それなら私が調理してみるよ!」

 

 

 

 イッセーはともかく、ハジメ、香織、雫の今の戦闘レベルではこのフロアの魔物を倒す事はほぼ不可能な為、唯一一方的に狩れるイッセーが食糧調達担当であり、狩ってきた魔物の調理は香織と雫が担当。

 そしてハジメは現在、イッセーから貰う魔石や素材を加工錬成して失った腕を補う為の義手を作成していた。

 

 

「後少しで形には出来るんですけど、やっぱり僕自身の魔力の総量がポンコツなせいで失敗してしまいます……」

 

「だが、少しずつ魔力自体は増えてるんだろ?」

 

「はい。

何故かここに落ちてから少しずつなんですけど……」

「それなら地道にやるべきだな。

時間なら無駄にあるしよ?」

 

 

 元々のステータスがこの世界の一般人レベルが故に、今の所難航しているのだが、会話の通りこの場所で生活をしてからのハジメは何故か少しずつながらステータスが上昇しているらしい。

 具体的にはオール300という、既に天之河光輝の初期ステータスを超えている程度に。

 

 

「ご飯が出来たわよ」

 

「飯だとよ。

取り敢えず食うぞ。最近ずっと錬成ばっかやってるんだろ?」

 

「あはは、いつまでも皆におんぶに抱っこも嫌だなと思うとつい……」

 

 それは本来のハジメが『到達』するまでの過程に近い行為をしたからに他ならないのだが、生憎本人達はそれに気付いていない。

 

 というよりは、『異物』であるイッセーの存在が、ハジメや雫や香織の『進むべき道』を決定付けてしまったというべきなのか。

 

 

「はい、ハジメくん! あーん」

 

「え、ええと……あ、ありがとう香織さん……」

 

 

 解りやすすぎる『理不尽に抗える力の結晶』であるイッセーのようになりたい。

 それがハジメ達の持った『明確な意思』であり、この世界とは別種ともいえる領域に到達すことが目標だからなのか、彼等のステータスプレートに表記される数値は緩やかに上昇しているものの、内部的なそれは全く違っていた。

 

 

「むむむ、外に出れば危険が沢山というスリリングな状況が続いているせいで急激に香織と南雲君――いいえ、ハジメ君の仲が接近しているわ」

 

「かもな」

 

「かもな……じゃないわよ。

ここは私達も負けていられなくなってきたわよ?」

 

「負けも糞も、最初から競ってすらねぇわ」

 

 

 少しずつハジメの錬成スキルが上昇し、イッセーが狩ってきた魔物の肉身を喰らうことで、新たなスキルを開花させていくハジメの凝り性な性格によって、当初はただの防空壕のような空間から、簡易浴槽すら完備された『隠し部屋』へと進化している拠点にて共同生活を開始してから一体どれだけの時が流れたのかは4人ともよく解っていない。

 

 何故なら、男二人はともかく女子二人は今の生活が楽しくて仕方ないのだから。

 

 

 

「ええっ!? イッセー先輩ってステータスプレートを登録していなかったんですか!?」

 

「ええ、『神の恩恵』って所が死ぬほど気にくわないって言って誤魔化してたわ」

 

「じゃあ天職が何なのかもわからないんですか……。

それであんなに強いって、一体どれだけ鍛えてたんですか先輩……」

 

「まぁその……色々あって鍛えなきゃヤバいって時期があったんだよ」

 

「仮に登録していたら、多分光輝なんて霞む程度の数値なのは間違いないわね」

 

 

 変な石から抽出した、妙に傷の治りが早くなる効能の水を飲みながら食後の一服を終えると、最初に約束した通り、イッセーによる『生き残る術』のトレーニングが始まる。

 

 

「何度も言うが、俺の言う『異常(スキル)』とこの世界とやらの『スキル』は勝手が全く違う。

だから引き続きお前達はこの世界のスキルも平行して鍛えろ」

 

 

 封じていた『精神』を再び解放した事で、昔の様に隠すことも制御するつもりも無いイッセーによる『異物』の量産。

 神に届きうる牙にもなりえる『自分自身』の力。

 

 

「今のお前らならこの部屋の外に出て畜生に襲われてもなんとか出来る筈だ」

 

「そうだとしても、まだまだイッセーの立つ場所は遠いわ」

 

「そうだね八重樫さん。

僕達の目標はここの魔物に勝つんじゃあなくて先輩の居る場所だからね」

 

「ふふ、必ず皆でたどり着こうねっ!」

 

「………」

 

 

 落ちてからどれだけの時間が経ったかなど既にハジメ達には関係なかった。

 何故なら目指す場所は、何とも言えない顔をしながら自分達を見ている彼の立つ途方もなく遠い場所なのだから。

 

 

「なら今日はここまでにして全員最低でも6時間は寝ろ。

その後外の魔物を単独で狩って貰う」

 

「任せなさい。

どれくらい経ったかなんて最早わからないけど、イッセーに鍛えて貰った成果を見せてあげるわ」

 

 

 なんだかんだ人好きでお喋りで、律儀でお人好しな先輩の場所に……。

 

 

「ね、ねぇハジメくん? 今日はなんだか肌寒いなぁって思うの。

だからその、一緒にくっついて眠りたいなぁ?」

 

「く、くっつくって……や、その……確実に寝不足確定になる気しかしないのだけど……。

それにその……こんな状況で最低極まりない事を言っている自覚はある上で言うけど、色々と理性と自制がまずいことになるといいますか……。

ま、前の時も良い匂いがし過ぎておかしくなりかけたし……」

 

「…………。良いよ、理性も自制も壊しても? 私、ハジメくんなら――うぅん、ハジメくんが良いな?」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

「か、環境って大事なのねと、あの二人を見ているとよくわかるわ」

 

「それは俺も思う」

 

「やっぱり何時死ぬかもわからない状況がそうさせているのかしら……?

じゃ、じゃあつまりイッセーも実はこの危機的状況に雄的な本能が剥き出しになってたり……?」

 

「バーカ、俺はこんな程度で危機的だなんて思わな――」

 

「し、仕方ないわ。ええ、仕方ないのよ。

イッセーの雄的な本能を抑え込む為には誰かが犠牲にならなければならない。

香織はハジメくんが居るし、消去的に私しか受け止められない………」

 

「だからちげーってんだろこのバカ――」

 

「あ、あらやだわ。

そんな危険を想像していたらお腹の辺りがスゴく熱くなってきたわ……。こ、これは困ったわー 困っちゃうわー?

 

「もう寝るぞ俺は」

 

 

 

 ただの少年・少女から駆け上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行方不明だった生徒が生きていた。

 その内の一人は絶対に死なないと信じていた生徒だった。

 

 

 勿論安心したし、当然嬉しく思った――――あくまで教師としては。

 

 だけど――

 

 

「あの、きょ、教師とか全く関係なく、ただただ個人的に気になるから聞きたいのだけど……」

 

「なんすか?」

 

「ひ、比率からして随分と女性とばかり旅をしているんだなって……」

 

「は? ……ああ、皆ハジメに懐いててな」

 

「へ? じゃ、じゃあイッセー君には……?」

 

「ガキん頃からモテないことに定評があってな。

てか、行き先々で人妻か三十路以上の独身女性をナンパしようとしても邪魔されましてね」

 

 

 一時的な別れを経た劇的な再会が彼女の心を更に加速させてしまっているのか、どうしても行方不明扱いだった頃の女性遍歴が気になってしまう。

 というか、常にイッセーにひっついては自分にドヤァとした顔をする雫に対して実にムカムカする。

 

 なんか後ろで任務に同行していた神殿騎士が煩いが、畑山愛子の意識には欠片にも昇らない。

 

 

「じゃ、じゃあ再会というこで屈んでくれる?」

 

「? はぁ……これで良い―――――っ!?」

 

「あ゛ーーーーっ!!!!!!???」

 

 

 

 だから彼女は教師ではなく、ただの畑山愛子として生きていると確信はあった……生徒以上の感情を持ってしまうイッセーに対して加速してしまう。

 

 

「あ、あくまで生きててよかったと思ったからですからね!? ―――――――はい、嘘です。

あははは、元の世界だと普通に犯罪だけど、ここは異世界って事で……ね?」

 

「い、異世界だからってダメですからっ!? というか人の旦那にちょっかいかけないで貰えますかね!?」

 

「何時からテメーの旦那になったんだ俺は? 勝手に決めんなバカ」

 

「………と、言っていますけど?」

 

「てか、アンタも急になんだよ? 何のつもり――」

 

「別に深い意味はないですよ? こうして再会できた事で確信しただけだから……」

 

「は? 何を?」

「……………イッセー君が好きだってことに」

「……………………………………………はい?」

 

「はぁぁあぁぁっ!!!?」

 

「あ、愛子ぉ!? こ、こんなよくわからん奴が良いのか!?!?」

 

 

 何故か同年代に感じない不思議な青年に対する想いを……。

 

 

 

「ほほぅ、妾の義息子はハジメと同じく所謂ぷれいぼーいという奴じゃのう……?」

 

「わぁ、先生が本気になっちゃった。

これは雫ちゃんも大変だ」

 

「……。香織、ちょっと楽しそうじゃない?」

 

「えー? そんな事ないよ~? ハジメくんこそちょっと笑ってるけどー?」

 

「いやぁ……イッセー先輩がまるでラノベの主人公だなぁって思ってないよー?」

 

(お前も大概だと思うがなハジメの小僧……。

ユエとシアが凄い顔しながらお前を見てるぞ……)

 

 

 そんなプチ修羅場を面白そうに眺める『イイ性格になった』後輩や友人達。

 

 

「円満な夫婦生活の秘訣なら妾に聞くが良い。

のうドライグ? 妾達は毎晩仲良く裸で絡み合って――ふぎゃ!?」

 

「お前が頼みもせんのに勝手に入ってくるだけだろうが。

捏造するんじゃあない」

 

「じゃ、じゃが父様と母様は常に爽やかな笑顔で親指を立てて『絶対逃がすな!』と言っておったぞ! つまりそれは夫婦じゃろう!?」

 

「つまりになるかアホ娘め」

 

 

 なんか立場が似てる再会した相棒。

 

 

 

「つまり、キミ達にとって僕とイッセー先輩は香織と雫を拐った輩扱いな訳だ……?」

 

「また随分と捏造してくれたわね……」

 

「私と雫ちゃんは『誰かに落とされた』二人を追うために自分から降りたんだけどなぁ?」

 

「まあ、俺の場合はそう思われても納得できる部分も――」

 

「「「黙ってて!!」」」

 

「………おう」

 

 そうして少しずつ強くなる繋がりは――

 

 

「良いよ、僕と先輩を倒して二人を取り戻すというキミ達の主張に付き合ってあげる。

けど一言だけ言わせてくれ―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――今の僕は、ちょっと強いぜ?」

 

 

 

 

 神ですら切り離せなくなるほどに繋がり続けていく。

 

 

 

「俺達が負ける訳がねぇ!!

だって俺達は、二人でひとつの赤龍帝だろ?」

 

「ふっ、相変わらず熱くなるとクサイ台詞を言ってくれる……!」

 

 

 そして過去のイッセーと歴代の赤龍帝の誰も到達しなかった新たなる領域―――『二人でひとつ赤龍帝』。

 

 

 

「ゼノヴィアさん、貴女の技を借りるわ―――行くわよイッセー!」

 

「ああ、全力でぶちかませ雫……!!」

 

 

 

 

 

 

 

「蒼龍破!!」

 

 

「龍拳ーーーッッ!!!!」

 

 

 

 終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでぼくの方がお前達よりももっと前に『知った』のに。

なんでぼくから取ったんだよ? なんでぼくはそっちに行けないのに、お前達は行けるんだよ?」

 

 

 

とにかく終了




補足

生肉パクパクじゃないので、基礎ステータスの成長が緩やか――の代わりに別の戦闘術を覚える一行
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