とある幻想の異世界物語   作:キノ0421

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どうも1週間半ぶりです!
最近遅くて申し訳ないです…。
進級して落ち着くまでこのペースだと思います(白目

次はゴールデンウィークくらい…
そして今回から独自設定ネタを入れてますので…。何が質問や意見とかあったらいってください


10話

レティシアをほぼ全裸にしてしまった上条。

あの後、黒ウサギは誰にも言わなかったが、上条をみる視線だけは冷たく変わった。

祝勝パーティが始まるとレティシアの服装が先程と異なり疑問に思った問題児達。すると十六夜だけは何が起こったか気付いたのか腹を抱えて笑っていた

上条とレティシアは気まずくなりそうになったが、十六夜に気付かれたことを察したのか、下手すると耀にもバレてしまうと思い、2人で協力して、その場をしのぐ事にした。因みに飛鳥はというと、メイド姿のレティシアを見てはしゃいでいた

 

上条が破壊してしまった服は、黒ウサギに強制的に協力してもらい、礼装としての効力はないが、服としては問題なく着れるように修繕した

 

パーティが終わり、上条はオティヌスから激しく説教されていた

上条を床で正座させ、オティヌスはベットの上に立っていた。しかしオティヌスの表情はとても穏やかなものではなかった

 

「いいか、その右手は箱庭だと危険なのを忘れるなよ。」

 

上条の右手は貴重な装飾品や装備品などを問答無用で壊してしまう。今回のように、何かしらの恩恵が付与された服でもビリビリに引き裂いてしまう

その事を何回も言われ聞き飽きたのか上条は両手をあげ

 

「わかったよ…オティちゃん。」

 

変な略称で呼ばれたオティヌスはその事を含め、反省する気が無いの上条を見て激昂する

 

「だから人間!その呼び方は止めろと何回もいっているだろ⁉︎それに怒られている立場って忘れたのか⁉︎」

 

オティヌスは拳を握りながら怒るが、上条からみたらその姿も可愛いく見えた。そして上条は正座をやめあぐらをかく

 

「えー、でもしっくり来るんだもん。」

 

「もんとか言うな!気色悪いぞ⁉︎」

 

語尾にもんを付けた上条に軽く鳥肌が立つオティヌスだが、自分と他の者の扱いに差があると気付く

 

「私の扱い本当に酷くないか?」

 

「え?」

 

「え?じゃない!寝る場所だって、同じでいつ潰されるかわかったもんじゃない‼︎」

 

説教してたが唐突に愚痴を言いはじめる。現在オティヌスのプライベートゾーンは学園都市に居た頃と違いお菓子の箱の家すらないため皆無なのである。寝るときも上条の枕の横で寝てるが、寝返りをうつだけで潰される可能性すらある

 

「えー。じゃあどうすればいいんだよ。」

 

「…ドールハウスだ。」

 

「はい?」

 

「ドールハウスがいい!あれなら私だけのプライベート空間もできるし、何より私に似合っている!」

 

学園都市のTVで見た、あのドールハウス。全てが職人の手で作られた為にとても高額で上条は手が出せずにいた

 

「いや、無理だろ。」

 

「何が無理だと言うんだ?」

 

「"ノーネーム"の財政的にオティヌスのドールハウスを買う余裕はねぇ!」

 

しかし"ノーネーム"の経済状況も芳しくはない。それはかつての上条家のように厳しかった、オティヌスの為だけにドールハウスは買えるはずもなかった

 

「ふっ、それはどうかな。ここは箱庭だぞ?それこそ、たかがドールハウスが報酬になっているギフトゲームだってあるに決まってるだろ?」

 

「いや、そうかもだけど。…わかったよ。」

 

「言ったな?言質はとったぞ。」

 

もしギフトゲームでドールハウスが報酬に出てたのならば、上条が必ず挑戦するという約束をした

 

「へいへい。もう夜も遅いし寝るぞ。」

 

「わかっている。ふふっ、楽しみにしておくからな。」

 

オティヌスは何か企んでいるかのように笑い上条の枕の横に寝たのであった

 

 

 

 

いつものように鳥がさえずるなかで、廊下からドタバタとした音がする。そして上条の部屋の扉が乱雑に開けられ十六夜が入ってくる。何事かと思い起き上がるが十六夜は背後に回り、腰回りに手を回して

 

「おーい、上条!さっさと起きやがれ‼︎」

 

ブリッジをするかのように後方に反り返りながら投げ飛ばした

 

「ふごっ⁉︎」

 

「今から出掛けるぞ。さっさと支度済ませろ。」

 

投げ飛ばしてすぐに部屋を出ようとする十六夜だが、上条も立ち上がり肩に手を置き十六夜を呼び止める

 

「いきなりジャーマンスープッレクスを極めておいてなんだよ!」

 

「あっ、それと黒ウサギとレティシアにバレないうちに行くぞ。」

 

十六夜は軽く上条の手を払い部屋を出る

 

「何なんだよ一体…。」

 

「もう少し静かにしててくれないか…。私はまだ眠い。」

 

「とりあえず置いていくからな?」

 

そして上条もオティヌスを放置し部屋を出るのであった

 

黒ウサギとレティシアは荒れ果てた見渡す限り荒廃としている大地にたたんずんでいた。しかし、そこはかつての"ノーネーム"が農園区として数々の食物などを育てた姿はもはや跡形もなかった

2人はそんな大地を見て悲しげに黄昏れていたが本拠に続く道の向こうから何かが走ってくる

 

「く、黒ウサギのお姉ちゃーーーーん‼︎た、大変ーーーー!」

 

叫び声に振り向く2人。割烹着姿の年長組の1人、狐耳と2尾を待つ、狐娘のリリが泣きそうな顔で走ってきた

 

「リリ、どうかしたのですか⁉︎」

 

「実は飛鳥様が十六夜様と耀様と上条お兄ちゃんを連れて…あ、こ、これ、手紙!」

 

パタパタと落ち着きのない動きでリリは黒ウサギに手紙を渡す

レティシアはリリが上条をお兄ちゃん呼びしてることに疑問を抱いていた

 

「上条お兄ちゃん…?」

 

『黒ウサギへ。

北側の四〇〇〇〇〇〇外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。貴方も後から必ず来ること。あとレティシアともね。オティヌスはまだ寝てるだろうから起こして連れて来なさいよ。

私達に祭のことを意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合

4人ともコミュニティを脱退します。死ぬ気で探してね。応援してるわ。

P/Sジン君は道案内に連れて行きます。』

 

「………。」

 

「………?」

 

たっぷりと黙り込む

黒ウサギは手紙を持つ手を震わせ悲鳴のような声を上げた

 

「な…何を言っちゃってんですかあの問題児様方あああああ‼︎‼︎」

 

黒ウサギの絶叫は一帯に響き渡る

急いで本拠に戻り、談話室に入ると、そこにはオティヌスがいた

 

「今叫び声が聞こえたが何かあったのか?」

 

黒ウサギは肩で息をしながらすぐに別の部屋に向かう

その姿をみたオティヌスは奇怪なものを見るような目をしていた、レティシアは何が起きたか事情を説明する

 

「オティヌスか。実はだな」

 

 

 

 

「んで、今から何処に行くんだよ。」

 

現在上条、十六夜、飛鳥、耀、ジンの5人は居住区を主発し、よく訪れる噴水広場にあるカフェにまで来ていた

カフェで陣取っていた上条だが、動こうとしない十六夜に質問をする

 

「北。」

 

「頼むからもっと具体的に頼む。」

 

しかし帰ってきたのは北の一言だった。そんな十六夜に頭を下げながら頼み込む上条

 

「北側で様々なギフトゲームが開催されたり、色んな種族が作った美術工芸品の展覧会、さらに北側の"階層支配者"が主催する大祭が予定されているんだよ。」

 

「えっ、美術工芸品…?」

 

美術工芸品という単語に上条はあることを思い出す

ドールハウスも美術工芸品の一部なんではないかと。もしやオティヌスは知っていたのかと気になってしまう

 

「…それがどうかした?」

 

「い、いや何でもない。それで、北側までどのくらいかかるんだ?」

 

「それは我等のリーダーが知ってるんじゃないか?」

 

上条が十六夜に問うが、十六夜はジンに問い直した

にやけながら見下ろす十六夜。ジンは大きくため息をつき、天を仰ぐ。その目を何処か遠くを見ていた

 

「時間というより距離で言えば98000Kmはかかりますよ。」

 

「「「「うわぁ。」」」」

 

4人同時に、様々な声音で。

嬉々とした、唖然とした、平淡とした、呆然な声をあげた

 

黒ウサギは子供達を使い、コミュニティの中を捜索に当たらせた。レティシアはオティヌスを肩に乗せながら周辺を飛び回り探し回った。捜索が終わり一度集合する黒ウサギ達は各々の報告に入る

 

「食堂にはいなかったよ!」

 

「部屋は全部見てきた!」

 

「屋敷の周辺にもいなかったぞ。」

 

オティヌスは何かを思い出したのか会話に割って入る

 

「そういえば人間なら外に出かけるとか言っていたぞ。」

 

「何故それを早く言わない!」

 

外に出ているとなれば今までの捜索の時間が無駄となってしまった。その事に軽く怒るレティシアだが、オティヌスも言い訳をするかのように叫ぶ

 

「仕方ないだろ⁉︎私も眠かったし、あまり覚えていなかったんだよ。」

 

レティシアは言い争っても仕方ないと踏ん切りをつけ、指示を出す

 

「外か…。黒ウサギは外門へ急げ!もしかしたらあの事がバレたのかもしれん。私は"サウザンドアイズ"の支店へ行く。」

 

「わかりました!あの問題児様方…!許さないのですよーッ!」

 

髪を淡い緋色に染め、屋敷の外に出て爆走するのであった

 

 

 

「いくらなんでも遠すぎるでしょう⁉︎」

 

あまりにも現実味のない数字に抗議する飛鳥

 

ジンは負けじと叫び返す

 

「えぇ、遠いですよ‼︎だから止めようって言ったじゃないですか‼︎‼︎」

 

飛鳥は少し落ち着き、足を組み直し再提案する

 

「そう。なら外門と外門を繋いでもらうことは出来ないの?」

 

しかしジンはこの提案にも顔を難しくした

 

「それはもしかして"境界門"<アストラルゲート>の事ですか?なら断固却下です!あれの起動させるには金貨1枚はかかるんですよ⁉︎この場にいる人数だけでも5枚はかかるんですよ!」

 

ジンに反対されら苦々しいかおで黙り込む飛鳥達

その様子を見て上条はあることに気づく

 

「もしかして、計画も立てずに出掛けようとしたのか?」

 

「まぁ、ニュアンスは少し違うがそんな感じだ。」

 

無計画で出掛けた事に唖然とする上条。しかし十六夜達が行きたがってるのを見てある提案をする

 

「全く…そんなに行きたいなら、招待状を寄越した奴の所にでも押しかけたらいいんじゃねぇか?」

 

「「「それだ!」」」

 

「え?」

 

3人は勢い良く立ち上がり上条の事を指差す

 

「黒ウサギ達にあんな手紙を残して引けるものですか!行くわよ、さっさと行くわよ!」

 

「おう!こうなったら駄目で元々!"サウザンドアイズ"に乗り込むぞゴラァ!」

 

「行くぞコラ。」

 

ヤハハとハイテンションに笑いながら十六夜はジンを掴み走り、飛鳥もそれに続く。耀はそれに続き、その場のノリで声を出す

 

その場に取り残された上条はお代だけを置き、十六夜達を追いかける

 

「えっ、お前ら黒ウサギにどんな手紙を残したんだよ⁉︎そんな話きいてねーぞ‼︎」

 

ジンはダボダボのローブに首を絞められながらか細い声を出す

 

「不幸で…す。」

 

5人は噴水広場を抜け"サウザンドアイズ"の支店の前で止まる。店前を掃除していた割烹着を着た女性店員に一礼され

 

「お帰り下さい。」

 

「いきなりそれは酷くないか?」

 

門前払いを受けていた

どうやら"ノーネーム"の面子はこの店員に嫌われているそうだ

 

「そう。じゃあ御邪魔します。」

 

飛鳥達はそれを無視し店に入ろうとする。しかし店員は大の字となって立ち塞がり、竹ぼうきを十六夜に向けて叫ぶ

 

「うちのお店は、"ノーネーム"御断りです!オーナーが居る時にで」

 

 

「やっふぉおおおおあおお!ようやく来おったか小僧どもおおおお!」

 

どこからか叫び声が聞こえ、白夜叉が扉を開け突進してきた。ズドンと鈍い音と共に上条とぶつかる

 

「だから何で俺に突進する必要が…。」

 

そういい力尽きる上条。白夜叉は立ち上がる、すると耀が何事も無かったかのように近づき招待状を白夜叉に見せる

 

「招待、ありがと。だけどどうやって北側に行くのかわからなくて。」

 

「よいよい。全部わかっておる。まずは店の中に入れ。…秘密裏に話しておきたい事もあるしな。」

 

目を細める白夜叉。上条を除く問題児達は悪戯っぽく笑い店に入る

 

 

残された上条はというと、流石に可哀想と思われたのか女性店員に担がれた後に起こされた

 

白夜叉はその幼い顔には似合わない厳しい表情を浮かべ、煙管で紅塗りの灰吹きを叩いてとう

 

「本題の前にまず、1つ問いたい。"フォレス・ガロ"のいっけんいこう、おんしらが魔王に関するトラブルを引き受けるとの噂があるそうだが…真か?」

 

「あぁ、その話なら本当よ。」

 

飛鳥が正座したまま首肯する。白夜叉が小さく頷くと、視線をジンに移す

 

「ジンよ。それはコミュニティのトップとしての方針か?」

 

「はい。名と旗印を奪われたコミュニティの存在を手早く広めるには、これが一番いい方法がと思いました。」

 

ジンの返答に、白夜叉の視線はより鋭くなる

 

「リスクは承知の上なのだな?」

 

「覚悟の上です。」

 

「無関係な魔王と敵対するかもしれん。それでもか?」

 

「それこそ望むところだ。倒した魔王を隷属させ、より強大な魔王に挑む打倒魔王を掲げたコミュニティ。どうだカッコいいだろ?」

 

そこ問いに、そばで控えていた十六夜が不敵な笑みで答える

 

「…ふむ。」

 

茶化して笑う十六夜だが、その目は笑っていない

白夜叉は2人の言い分を噛み砕くように瞳を閉じ、しばし瞑想した後、呆れた笑みを浮かぶ

 

「そこまで考えてのことならばよい。これ以上の世話は老婆心というものだろう。 」

 

「ま、そういうことだ。それで本題はなんだよ。」

 

「うむ。実はその"打倒魔王"を掲げたコミュニティり東のフロアマスターから正式に頼みたい事がある。此度の共同祭典に、ついてだ。よろしいか、ジン殿?」

 

いつものように接する言葉ではなく。一つの組織の長同士として言い改める白夜叉。そのことにジンは嬉しいのか顔を明るくし答える

 

「は、はい!謹んで承ります!」

 

「さて、では何処から話そうかの。」

 

中庭に目を向けた後、ふと何かを思い出したかのように話し始める

 

「あぁ、そうだ。北のフロアマスターの一角が世代交代をしたのを知っておるかの?」

 

「そうなのか?」

 

「うむ。急病で引退だとか。まぁ亜龍にしては高齢だからのぉ。寄る年波には勝てなかったと見える。此度の祭は新たなフロアマスターである、火龍の誕生祭でな。」

 

「「龍?」」

 

「龍か…。」

 

キラリと光る期待の眼差しを十六夜と耀がみせる。

いつの間にか部屋に入ってきていた上条は右腕を見て何かを考えていた。白夜叉は十六夜と耀の眼差しに苦笑いしつつ説明を続ける

 

「五桁・五四五四五外門な本拠を構える、"サラマンドラ"のコミュニティ。それが北のマスターの一角だ。その、新たな党首は末娘である、ジンと同い年のサンドラが火龍を襲名した。」

 

サンドラと名前に反応したジンは首を傾げ、二度ほど瞬く。次の瞬間、ジンは驚嘆の声を上げ身を乗り出した

 

「叉、サンドラが⁉︎え、ちょ、ちょっと待ってください!彼女はまだ11歳ですよ⁉︎」

 

「あら、ジン君だって11歳で私達のリーダーじゃない。」

 

「それはそうですけど。いえ、だけど」

 

「なんだ?まさか御チビの恋人か?」

 

「み、違っ、違います!失礼なことを言うのは止めてください‼︎」

 

茶化す十六夜と飛鳥を怒鳴り返すジン

上条はジンと歳が変わらない少女が白夜叉と同じ立場なことに驚いていた

耀は関心がないのか続きを促す

 

「フロアマスターの党首が、そんな年端もいかない少女なのか。」

 

「それで、私達に何をして欲しいの?」

 

「そう急かすな。実は今回の誕生祭だが、北の次代マスターであるサンドラのお披露目も兼ねておる。しかしその若さ故、東のマスターである私に共同の主催者を依頼来てきたのだ。」

 

「それはわかった。んで、俺達に頼みたい事ってのはなんだ?」

 

「あぁ、それはだな。」

 

「ちょっと待って。その話、まだ長くなる?」

 

話をしようとする白夜叉を、耀がハッと気がついたような仕草で止める

 

「ん?んん、そうだな。まだ色々と手続き等と説明をしないといけんからの。小一時間はかかるかの。」

 

「それはまずいかも。…黒ウサギ達に追いつかれる。」

 

他の問題児とジンもそのことに気が付く。1時間も悠長にしていたら黒ウサギ達に見つかってしまう

ジンは咄嗟に立ち上がり

 

「し、白夜叉様!どうかこのまま」

 

「ジン君!黙りなさい!」

 

ガチンと勢い良く下顎を閉じる。飛鳥のギフトが働いたのだろう。

いきなりギフトを使った飛鳥に驚く上条。十六夜はその隙に白夜叉に催促する

 

「お、おい。飛鳥⁉︎」

 

「白夜叉!今すぐ北側へ向かってくれ!」

 

「む、むぅ。別に構わんが、何か急用か?というか、内容を聞かず受諾してよいのか?」

 

「構わねぇから早く!上条にも事情は追々話すし何より、その方が面白い!俺が保証する!」

 

「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!娯楽こそ我々神仏の生きる糧なのだからな。ジンには悪いが、面白いならば仕方ないのぅ?」

 

白夜叉の悪戯っぽい横顔に、声にならない叫びをあげるジン。上条は何がどうなっているのかわからず置いてけぼりになっていた。そして白夜叉は両手を前に出しパンパンと手を叩く

 

「 ふむ。これでよし。望み通り、北側に着いたぞ。」

 

たったそれだけで北側に着いた

 

「「「「…は?」」」」

 

その場にいた全員が素っ頓狂な声をあげる。無理もない、980000kmという馬鹿げた距離を一瞬で移動したと言うのだから

しかしそんな事を気には止めない問題児の3人は店の外へ走り出していた。しかし上条はその場に留まっていた

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は瞬間移動とか出来ないはずだ!」

 

上条当麻の右手に宿る幻想殺しは上条が対象になるのなら全てを打ち消してしまう。つまり瞬間移動や治癒など全ての効力は上条には効果はない

なのに白夜叉はそれを無視し移動させたのだ

 

「なに簡単なことよ。おんしではなく、箱庭を動かしているからの。」

 

つまりかつてオティヌスがやったように、上条当麻ではなく箱庭を動かしたのだ。しかも寸分の狂いもなく。その事実に上条は驚愕した

 

「…やっぱ凄いんだな。白夜叉は。」

 

「当たり前だ。伊達に最強の階層支配者と名乗っておるからの。」

 

いつまでもこない上条に痺れを切らした十六夜を掴み外に出る

 

「オイ!上条も早く来いよ!」

 

「わかったから引っ張るなよ!」

 

外に出るとそこには北側の街が一帯が見えていた

遠目からでもわかる程に色彩鮮やかなカットガラスで飾られた歩廊や、ゴシック調の尖塔群のアーチと、2つの外門が一体となった凱旋門。朱色の暖かな光で照らす巨大なペンダントライト。あまりの光景に上条達は目を奪われていた

 

「へぇ…!980000Kmも離れているだけあって、東とは随分と文化様式が違うんだな。歩くキャンドルスタンドなんて見れるとは思わなかったぜ。」

 

「俺達の住む地域とここまで違うんだな。」

 

「おんしらの住む外門が特別寂れておるだけであって、他の外門に行けば東側も良いところは沢山あるわい。」

 

北側ばかり褒められて悔しいのか、東側にもこれに負けないくらい素晴らしい所はあると無い胸を自慢げに張る

ワクワクが止まらないのか、飛鳥は美しい街並みを指して訴える

 

「今すぐ降りましょう!あのガラスの歩廊に行ってみたいわ!いいでしょう白夜叉?」

 

「あぁ、構わんよ。続きは夜にしよう。暇があればこのギフトゲームにも参加していけ。」

 

着物の袖から取り出したゲームのチラシ。4人が覗き込もうとする

 

「見ィつけた…のですよおおおおおおおおおお!」

 

絶叫と爆音と共に現れたのは

我らが同士・黒ウサギだった

 

「ふ、ふひ、フフフフフ…!ようォォォやく見つけたのですよ、問題児様方‼︎」

 

淡い緋色の髪を戦慄かせ、怒りのオーラを振りまく黒ウサギ

怒り狂う黒ウサギは仁王と言われても違和感は無かった

鬼ごっこをしていた十六夜、飛鳥、耀の中で真っ先に動けたのは十六夜だけだった

 

「逃げるぞッ!」

 

「逃がすかッ!」

 

「え、ちょっと、」

 

「何が起こってるんだよ…。」

 

「私が知るわけなかろう。」

 

十六夜は隣にいた飛鳥を抱きかかえ、飛び降りる。上条と白夜叉は状況を把握しきれずに、ただ突っ立ていた。耀は旋風を巻き上げて空にいげようとするが、遅かった。黒ウサギはジャンプし耀のブーツを握りしめる

 

「わ、わわ。」

 

「耀さん、捕まえたのです‼︎もう逃がしません‼︎‼︎」

 

何処か壊れているのか不気味に笑う黒ウサギ。耀を抱き寄せ、耳元に囁く

 

「後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。フフフフフ、後覚悟シテクダサイネ 」

 

「りょ、了解ッ‼︎」

 

反論をしようにも、恐怖がそれを許さなかった。着地した黒ウサギは白夜叉と上条目掛けて耀を投げつける

 

「きゃ!」

 

「「グボハァ⁉︎」」

 

「お、おいコラ黒ウサギ!最近のおんしは些か礼儀を欠いておらんか⁉︎コレでも私は東側のフロアマス」

 

「耀さんをお願い致します!黒ウサギは他の問題児様を捕まえに参りますので!」

 

「ぬっ…そ、そうか。よく分からんが頑張れ黒ウサギ。」

 

聞く耳を持たずに叫ぶ黒ウサギ。白夜叉は見たことのない様子の黒ウサギに勢いで頷いてしまう

 

「はい!」

 

そしていまだに倒れている上条と耀。何故こうなったのかを知っているであろう耀に問い詰ようとする

 

「…で、説明してくれるんだよな。春日部?」

 

「…その前に手を退けて欲しい。」

 

上条は耀のお尻を鷲掴みにしていたのだった。寸分の狂いもなく掴み取っていた

 

「えっ…。あっ、すみませんでしたぁ‼︎」

 

その後、土下座をした上条は1度白夜叉の部屋に戻り、耀から事情を聞くと、上条は一度溜息をした後右手で軽く耀の頭を叩く

 

「痛い…。」

 

叩かれた耀は頭に手を置く

 

「自業自得だ。流石にやりすぎだろ。」

 

「ふふ、おんしららしい悪戯だ。小僧の言う通り、ちょいと悪質だとは思わなんだのか?」

 

「それは…うん。少しだけ私も思った。だ、だけど、黒ウサギだって悪い。お金が無いことを説明してくれれば、私達だってこんな強硬手段に出たりしないもの。」

 

「俺に何も言わなかったのは反対されると思ったからか?」

 

「…うん。上条だし。でも1人だけ仲間外れは嫌だから。」

 

上条の事だから邪魔するのはわかっていた十六夜はどうするべきかと迷っていたが、内緒にして連れて行こうと十六夜に話を持ちかけたのは耀だった

 

「そっか。でも今回ばかりは反省しないとな。これから先も、こんなんだと信頼も何もないぞ?」

 

「うっ…。でも私達に何も言わなかったのも信頼の無い証拠。黒ウサギも少しは焦ればいい。」

 

珍しく拗ねたように言う耀。2人の会話を傍目で見ていた白夜叉は笑っていた。上条が信頼という言葉を言う時、なぜか納得をせざるを得ない説得力を耀は不思議に思った

 

「そういえば、大きなギフトゲームがあるって言っていたけど、ホント?」

 

「本当だとも。特におんしに出場して欲しいゲームがある。」

「私?」

 

お菓子を頬張り、リスのように頬を膨らませていた耀は、小首を傾げる

白夜叉は先程のチラシを上条と耀に見せた

 

『ギフトゲーム名"造物主達の決闘"

・参加資格、及び概要

・参加者は創作系のギフトを所持。

・サポートとして、1名までの同伴を許可。

・決闘内容はその都度変化。

・ギフト保持者は創作系のギフト以外の使用を一部禁ず。

・授与される恩恵に関して

・"階層支配者"の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。

"サウザンドアイズ"印

"サラマンドラ"印』

 

「…?創作系のギフト?」

 

「うむ。人造、神造、霊造、星造を問わず、製作者が存在するギフトのことだ。"生命の目録"は技術・美術共に優れておる。その木彫りに宿る"恩恵"ならば、力試しのカードも勝ち抜けられると思うのだが。」

 

「そうかな?」

 

「うむ。サポーター役としてはジンでも良かったのだが、そうだな…おんし出てみないか?」

 

上条は突然の指名に驚く、創作系のギフトなど上条は持っているはずもないのに誘われたことに。耀は隣でゲームに出るか悩んでいた

 

「え、俺?」

 

「他に誰もおらんだろ。」

 

「いやいや!上条さん創作系のギフトなんて持ってねぇよ⁉︎」

 

「別にギフトを持っていなくとも、参加するなら私のギフトを貸してやらんでもない。それに、おんしの右手の事なら問題なく使えるからの。身体の一部がギフトなら参加資格には問題ないぞ。」

 

そういい着物の袖からは耀のギフトと同じようなペンダントが出された

 

「そ、そういう事なら参加するよ。」

 

あながち普通のギフトゲームに興味があった上条はチャンスと思い参加を決心する

隣で悩んでいた耀は、思い立ったかのように質問をする

 

「ね、白夜叉。」

 

「なにかな?」

 

「その優勝したら貰える恩恵で…黒ウサギと仲直りできるかな?」

 

幼くも端正な顔を小首に掲げる耀。それをみた白夜叉は、温かく優しい笑みで頷いた。それは上条も同じだった

 

「出来るとも。おんしにそのつもりがあるのならの。」

 

「そっか。それなら、出場してみる。上条も頼りにしてるから。」

 

小さく頷く。サポーターが上条なら不安は無いと、笑う。白夜叉は優しく笑う耀を見てニヤリと口元に笑みを浮かべる

 

「おう。春日部の為にも優勝しないとな。」

 

上条も黒ウサギと耀が仲直りするためにと気合いを入れる。そして2人は軽く拳を合わせる

 

「…ありがとう。」

 

「ふふ、若いのぅ。」

 

少し頬を赤くしながらお礼をする耀。白夜叉はそんな2人を見てニヤニヤしていた

 




というとこで上条が移動できるのは白夜叉経由のみとなっております。

不憫だ…扱いにくい…

いつか外門の設定も変えるかも…
え?オティちゃんが空気だって?
ソンナコトハナイヨ
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