【更新停止中】ソードアートオンライン 記憶の欠片 作:ショウユー
私は多少躊躇いもあったものの、この世界に来てしまった。
そう、VRMMORPGソードアートオンラインの世界に。
従弟がこの世界に魅了され、叔母様は私に頼んできたのだ。
「あの子の様子を少しで良いから見てきて欲しいの。」
そう言い、息子を心配していた。
そんな姿を見せられて断れなかった。
あの人が夢見ていて、造り上げた世界。
遂に完成したんだね。
私の事などきっと忘れているだろう。
はじまりの街で従弟を探す。
そう言えばあの子のアバターとキャラネームを確認し忘れた。
「あちゃー、やっちゃった。取り敢えず遊んじゃおう!」
そうそう、私はゲーマーだった。
だっ たのである。過去形だ。
学生時代には色々なMMORPGで遊んだ。
その後はゲームのグラフィックデザイナーをしていた。
それが2年前迄の私の仕事だった。
「はぁ。2年も経つとついていけなくなるものね。はっ!忘れるとこだった!かー君探さなきゃ。」
取り敢えず武器屋へ向かう。
「いらっしゃいませ。何をお求めですか?」
NPCに声をかけられ、
「うーん…。」
返事にならない返事をしてしまう。
昔から弓での攻撃がほとんどだったので、この世界での戦闘はかなり厳しそうだ。
「ごめんなさい。また来ます。」
そう言って店を離れた。
これは誰かにアドバイスを貰わないと、ヤバそうだ。
広場に戻り、アドバイスをくれそうな人を探していると迷いなく走り出した青年を見つけた。
「あの、すみません!」
私はその青年に走り寄り声を掛けた。
「?…何ですか?」
「突然ごめんなさい。もしかして、βテスターの方ですか?」
「はい。そうですけど」
「良かった!私、MMOは経験してるんですけど、剣を使った戦闘をしたこと無くて。色々教えていただきたくて。。。」
「あぁ。構いませんよ」
そう言って、女子高生なら惚れてしまいそうな笑顔を向けて青年は講義を引き受けてくれた。
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青年から講義を受け基本的な戦闘方法も教わり、はじまりの街の近くの圏外で青イノシシを倒していた。
倒し終わった所で肝心なことを忘れていたことに気が付いた。
「あっ、自己紹介するの忘れてた!ごめんなさい!…エミリーです」
「あはは。俺も忘れてましたね。… ショウです」
お互いに苦笑しながら握手をした。
「せっかく出会えたんですし、フレンド登録しませんか?」
ショウさんはそう言ってフレンド申請してきた。
「ありがと~」
私も嬉しくなり笑顔でOKをポチッと押した。
「ホント色々ありがと~。今日は助かっちゃった」
「エミリーさんはセンスが良いので、俺も教えるの楽でしたよ」
「あはは。勘が戻って良かった。もう何年もゲームしてなかったからねー」
「そんな、何年もって(笑)」
「ウフフ。中身は結構歳かもよ?まぁこんな会話、男性は困っちゃうわよね。フフフ」
ショウさんは苦笑していた。
「女性に年齢を聞くほど俺は子供じゃないですよ。」
私達は歩きながら、景色を見ていた。夕陽が綺麗に風景を彩っていた。
「ホント、ここがバーチャルだってのが嘘みたいだね」
「そうですね~」
辺りを見渡すと、近くに男性二人の声が聞こえた。
会話はさっき私達が話していたのと同じ様な内容だったが、そのあとの会話に驚いた。
「ショウさん、聞こえました?」
「あぁ…マジかよ…」
急いでウィンドウを操作し確認する。
「あらら、本当に無い…」
「無いですねぇ…ログアウトボタン」
「まぁ、そのうち運営が対処するで しょ」
そんな会話をしながら思ってしまった。
アキさん、しっかり作ってよね…
暫くすると、鐘の音が響いてきた。
そして、私たちは青白い光に包まれていた。
いきなりで驚き、目を瞑ってしまってた。
変な浮遊感がなくなり、ゆっくりと目を開けてみると、目の前の景色 が変わっていた。
「どうやら、はじまりの街に強制転移されたみたいですね」
「運営からの説明でもはじまるのかしら…」
辺りを見ると次々にプレイヤーが現れた。
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『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。私の名は《茅場晶彦》。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』
アキさんによる、正式なチュートリアルだった。
ログアウトが無いのは仕様でゲーム内でHP全損すると現実世界でも死亡。 ナーヴギアによって脳ミソをチンッしてしまうそうだ。
手鏡なるもので、皆の姿は現実の姿へと変わっていた。
少し離れた所に、一緒に転移させられていた二人組の男性。そちらをみて思わず叫んでしまった。
「えっ!かー君!!!」
「えぇぇ!!もしかして、ゆー姉さん!?!?」
「やっと見つけたぁ。よかったぁ。見つかって」
「なっ、なんでこんな所にいるんだよ!!!」
「なんでって、叔母様に頼まれたからよ!まぁ、見つかってよかったわ」
隣ではショウさんと、かー君の連れの方が挨拶をしていた。
「はじめまして、ショウと申します。 よろしく」
「あっ、どうも。俺ぁクラインっていいます、よろしく」
「あら、じゃあ私も!」
「!!!」
クラインさんは私の方をみて、硬直していた。
「あのぉ…?」
「はっ、はじめまして!クククッ、クラインと言います!独身24歳です!!」
「フフ。はじめまして、エミリーです。クラインさんって楽しい方ですね」
笑顔で挨拶を済ます。
するとクラインさんはかー君を引っ 張って、コソコソと何かを話している。
「おぃ、キリト!エミリーさんとどういう関係だぁ??」
「…えぇっと…従姉…」
「ほほぉ。」
「姉さん、結構歳くってんぞ?」
「かー君♪」
私は笑顔でかー君をみる。 (余計な事言ってるんじゃぁないでしょうね?)
「…なんでもにゃいよ?アハハハ…」
「そう。ならいいけど?」
三人はひきつった笑顔をしていた。 まったく失礼しちゃうわ。 ショウさんまで…でも、彼は私と変わらなさそうな歳っぽいけど。
「あ、あのさ。姉さんここでは俺はキリトね。」
「了解。私はエミリーよ。」
「うん。わかった。でさ、三人ともちょっとこっちに来て!」
そういってキリトは街の建物の路地へ私達を誘導した。
「俺は次の村へすぐに向かおうと思う。」
「おっ、俺もその事をエミリーさんに言おうと思ってた。」
「ショウさんもβテスターですか?」
「あぁそうだ。」
「?どぉゆー事だ?キリトにショウさん?」
「MMO経験者なら解ると思うけど、ここがデスゲームになったってことは、この辺のMobは直ぐに狩り尽くされてレベル上げも厳しくなる。」
「そっか、リソースの奪い合いになっちゃうのね。」
「そう。で、俺達は次の村まで安全に向かう道を知っている。一緒に来ないか?」
「…」
「どうした?クライン。」
「俺は一緒には行けねぇ。気持ちはすっげぇ有り難いんだけどよぉ。キリトには話したが、一緒に此処へ来た仲間がいるんだ。そいつらを置いては行けねぇ。」
「そうか。わかった。」
「クラインさんって漢ね!」
「いやぁ、当然っすよ。キリトに教わったノウハウで、仲間と一緒に絶対追い付くから。構わず三人で向かってくれ!」
「…」
「ショウさん?」
「エミリーさん俺、クライン君の所へ行っても良いかな?いいかい?クライン君」
「えっ?ってマジすか?ショウさん。悪くないっすか?」
「なんだか君達を置いていきたくないんだ。」
「いぃんすか?エミリーさん…」
「ショウさんがそう決めたんでしたら。」
「すまない。」
「クラインさん達をお願いしますね。」
「…じゃあエミリー姉さんは俺と次の村へ向かうってことで良い?」
「えぇ。」
「ショウさん、クラインをお願いします。」
「あぁ。任された。」
「キリトにエミリーさん。死なないでくれよ!」
「大丈夫。キリ君がいるもの」
「じゃあ、また!!」
「おぉ!…キリトよぉ!俺ぁお前のその顔、結構いいと思うぜ!」
「…クラインもその野武士面の方が10倍似合ってると思うぞ!!」
そんな会話をしながら私達は別れた。
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