【更新停止中】ソードアートオンライン 記憶の欠片 作:ショウユー
さてさて、原作とは違うシリカちゃんの登場になってしまいました。
こんなのも、ありかな?
年の最後の日。
47層での調べ物が終わって、私達が第50層へ戻った時ボスが倒され、51層の転移門がアクティベートされたと皆が騒いでいた。
私は皆が無事か気になったが、連絡を待つしかない。宿へ戻って今日調べたことをアルゴちゃんに報告することにした。
「わざわざ宿に来てもらって、ありがとうね♪」
「エッちゃんとオイラの仲じゃないカ。それに、此処へ来れば美味いものが食べられるしナ。ニシシッ」
「鼠のあだ名に合わない、チシャ猫笑いよね~」
「気にすんナ」
「はい、今日はレアチーズケーキと紅茶ね」
「ホント、喫茶でも開けば儲かるだろうニ」
「いやよ。お店の経営なんて私には出来ないわ~。雇われでも面倒だから嫌!こういうのは趣味でやるのが一番よ」
「勿体ナイ。で、今日はビーストテイマー必見の情報ダロ?」
「えぇ、検証は出来なかったけど入念に聞き込みをした結果、やはりデートにしか使えそうになかった思い出の丘で使い魔を失ったビーストテイマーが丘の上の東屋にある台に近づくと蘇生アイテムが手に入るって事だったわ」
「ホォ。検証できないのがイタイナ」
「仕方がないわ。折角育てた使い魔をワザと殺したり失いたくは無いもの。蘇生アイテムの名前は《プネウマの花》。蘇生させた使い魔は、かなり衰弱した状態で復活すると言っていたわ」
「レアアイテムだ。犯罪者に利用されなきゃ良いけどナ」
「そもそもビーストテイマーの数が少ないからね。そうそう大きな犯罪にはならないと思いたいけど・・・まぁ、美味い話には裏があるって事を皆に注意するぐらいしか出来ないわね」
「ヨシ!その情報広めるゾ」
「えぇ。その辺の情報売買はアルゴちゃんに任せるわ。最初に詳しい情報を求めてきた人について行って、検証してもらうって感じかしら」
「そうダナ」
アルゴちゃんはケーキを平らげた後、ボス戦の詳しい情報を聞きに行くと言ってボス討伐参加者の所へ行ってしまった。
「ツバサは私が敵に殺されそうになっても、助けようとしては駄目よ。これは命令。そして、その状況になりそうになっても助けを呼びに行っては駄目。いいわね?」
「・・・・・・はい」
キリ君からメッセージが入り、読んだ後すぐに返信した。
『ボス戦、何とか終わりました。流石に疲れたよ。何人か犠牲者が出てしまったが、黒猫団・風林火山・血盟騎士団・エギル達はみんな無事だよ』
『お疲れ様。無事で良かったわ。今日は、無理しないで宿でゆっくり休むのよ。キリ君は宿は何処にとっているの?教えてくれたら、ツバサに《おせち》を届けさせるわよ?』
『お!ほんとっ?腹減ってたんだ!!今日まで48層で宿をとってる』
『じゃあ、ツバサに届けさせるわ。位置はツバサが探すから大丈夫よ♪《おせち》だから少し時間がかかると思うから、軽く何か食べていて頂戴ね』
『分かった。じゃあ、ヨロシクな!』
私のご飯を食べたくなるほど疲れたのだと思うと、少し心が痛む。たぶんこの後、黒猫団と風林火山の皆から連絡がくるだろう。ボス戦前の約束があるから、おせち料理をたくさん作らないといけない。
皆と無事に年を越せる喜びを感じながら、おせち料理を作り始めた。
おせちを作っている間、黒猫団と風林火山からメッセージが入ったので皆で年越しをしましょうと返信しておいた。リズちゃんとアスナちゃんとエギルさんにもメッセージを送った。
3時間後、やっと人数分のおせちが出来上がり年越しそばも用意が出来たので皆に連絡を入れる。キリ君のおせちだけ別の容器に入れ、風呂敷に包んだ。
「ツバサ、この風呂敷包みをキリ君に届けて頂戴。それ程の重量はないから、運べると思うわ」
「持ってみますね。・・・・・何とか持って飛べそうです」
そう言ってツバサはおせちの入った風呂敷包みを足でつかみ、羽ばたかせてみせる。
「うん、大丈夫ね。では、転移門広場へ行って48層へ移動してから包みを渡すわ。その後はよろしくね♪届け終わったらリズちゃんの所へ先に行っててちょうだい」
「はい、わかりました」
ストレージにおせちを入れて、転移門広場まで移動する。転移門で48層へ降り立ち、ツバサに包みを渡して私は再び自分の宿へ戻った。
宿へ戻ると1番のりした黒猫団のメンバーがいた。
「エミリーさん、人数をかなり呼んでいるんですよね?ここでは場所が狭いですよね。どうしますか?」
「さっき、リズちゃんが提案してくれてね。リズちゃんの所で食べようかって言っていたのよ」
「それは良いですね!では、私達はリズさんのホームへ向かいます」
「わかったわ。準備が出来次第、私も向かうから」
「了解です」
そう言って黒猫団の皆は48層へ向かった。アスナちゃんへリズちゃんの家に行くようにメッセージを打ち、まだ来ていない風林火山とエギルさんを待って彼らが此方へ来たらリズちゃんのホームへ一緒に向かうつもりだ。
クライン君とエギルさんはリズちゃんのホームを知らないからだ。
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私達がリズちゃんのホームへ着くと、先ほどお使いを頼んだはずのツバサと一緒にアスナちゃんとキリ君がやってきた。
「エミリーさんのメッセージをいただいてから、キリト君を誘いに行ったんです。そうしたらツバサちゃんがいてキリト君に一緒に来るように説得していたんで、強引に連れてきちゃいました♪」
「アスナにはかなわなかったよ・・・」
「あら、じゃあキリ君に渡した《おせち》、私に戻してくれる?何となーく、それが必要になると思うから・・・」
「えぇ!後で1人で食べようかと思ったのに・・・」
「いいから、私を助けると思って♪」
「わかったよ・・・はい」
「ありがと♪」
「エミリーさん、もしかして・・・」
「えぇ。女の勘ってやつよ」
「何の話だよ・・・」
「こっちの話よ。さあ、キリ君はリズちゃんとは初めましてよね?」
「あぁ」
「はーぃ。私がアスナの親友で、エミリーさんとも友達のリズベットです。よろしく!」
「キリトだ。よろしく・・・」
「アスナー!此奴が話してた、《黒の剣士》?」
「そうよ~。それがどうしたの?」
「なんかイメージが違った・・・」
「悪かったな・・・」
「はいはい、その辺にしましょうね~♪リズちゃん、場所を提供してくれてありがとうね♪」
「お安いご用ですよ~。スポンサー様のためですから♪さっ、みんな中で待ってますよ」
「うふふ。では、お邪魔します♪」
中に入ると、全員一斉にこちらに注目が集まってしまった。みんなキリ君を見ていた。
「アスナが強引に引っ張ってきたんだって!」
「おぉ!さすがアスナさん」
そんな感じで、ワイワイと各々の会話が始まった。私はリズちゃんが用意してくれていた大きなテーブルに料理をストレージから出して並べる。
おせちは年明けに出すものだし、他にも料理を用意しておいたのだ。並べられた料理をみて、みんな喜んでくれた。
「年越しカウントダウンの前に年越しそばを用意してるから、それを食べたらおせちを出すよ~♪」
そう言うと歓声が上がった。
「それでは、ボス討伐へ行かれていた皆さん。お疲れ様でした。無事に帰ってきてくれて嬉しいです♪大した物ではありませんが、楽しんでください♪」
私の挨拶で、年越しパーティーが始まった。
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1時間位過ぎた頃だろうか、アスナちゃんがメッセージを受け取り私にこっそり話しかけてきた。
「エミリーさん、やはり勘が当たりましたよ。今、外に居るそうです」
「はぁ・・・やっぱり。面倒かけてゴメンね」
「いぇいぇ。ずっと待つって言ってますよ」
「・・・わかった。ちょっと行ってくるね」
「はい」
私はこっそり抜け出した。
「エミリー、会えて嬉しいよ。私も誘ってくれても良いではないか」
「・・・ヒースクリフさん、私が貴方を誘うのはおかしくないですか?無理言わないで下さい」
「相変わらず連れないな、君は」
「・・・」
「君が作った料理を食べられる彼等が羨ましい。何せ拘り派の君だ。現実の料理と遜色ないのだろう。思い出すよ」
「・・・年越しですし、特別です。受け取ったら帰ってくださいよ」
私はさっきキリ君に返してもらったおせちをストレージから取りだし、ヒースクリフに渡した。
「一緒に年越しをしたかったが・・・まぁ君のおせちが食べられるのだ。我慢して帰るよ。」
そう言ってヒースクリフはおせちを受け取り、ストレージに収めて肩を落として帰って行った。
私はみんなの所へ戻りパーティーを楽しんだ。
解放されたアインクラッド全域で年越しの盛大な花火が打ち上げられた。
年越しそばを食べていた私達は花火など上がると思っていなかったので、音を聞いて外に全員で出て花火を見上げていた。
「いやぁ、年越し花火とはまったく・・・」
「何とも言えないですねぇ。デスゲーム開始日を思い出しちまう」
「そうねぇ・・・でも、無事に年を越せたことにホッとしてしまうけど」
「もう、1年以上ここにいるんですよね」
「普通のゲームだったら粋な計らいって思いますけどね」
花火を観て、みんな好き勝手に話している。私もみんなと同じ意見である。まったくあの人は何を考えているのやら・・・
「まぁ、何はともあれ『明けましておめでとう』かしらね♪」
「「「「「「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」」」」」
私達は、リズちゃんのホームへ戻りまたワイワイと騒ぎ出した。
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新年を迎え早くも4ヶ月が過ぎ桜が散った頃、リズちゃんが無事に『リズベット武具店』の開店にこぎつけた。改装費を頑張って稼ぎ、玄関を入ってすぐにあったリビングが店舗になり奥の部屋が鍛冶場になっていた。
生活スペースは1人なのでかなり奥へ追いやられ、こじんまりとまとめてあった。私とアスナちゃんは開店祝いに駆けつけ、2人で作ったケーキを渡した。私達の後から続々と沢山の人がお祝いを持って訪れていた。
「これから、アスナに借りた物を返す為にバンバン働くわよ~」
「リズは凄いわよね!」
「私もこの年で店を持とうなんて、よく思ったもんよ。現実世界だったら私の体、ムキムキになってるわ!」
「ゲームで良かったよね~」
「そこはホントにそう思うわよ」
わはは、と豪快に笑っているリズちゃん。確かにと私達も頷く。
「エミリーさんには、本当に感謝ですよ!」
「なに言ってるのよ♪」
「エミリーさんがいなかったら、もっと借金するか働かないといけなかったんですから」
「まぁ、何にしろ役に立てて良かったわ♪」
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「姉さん、いるか?」
「あら、キリ君。突然珍しいわね。どうしたの?」
「ちょっと手伝ってもらいたいことがあってさ」
「何かしら?」
「最近、58層に行った?」
「いいえ~、まだ57層でとってる宿の契約が切れてないから行っていないけど」
「そうか。姉さんは1週間契約にしてるんだっけ?俺、最前線の58層で、ある依頼を受けてさ」
「キリ君が珍しいわね。それで、その依頼の内容で私の手伝いがいるってことかしら?」
「あぁ。『タイタンズハンド』ってギルド、聞いたことある?」
「えぇ、アルゴちゃんから聞いてるわ。オレンジギルドよね」
オレンジギルドとは犯罪者ギルドの事で、メンバー全員で詐欺や強盗をしたりしているギルドの総称。犯罪を犯したプレーヤーはカーソルがオレンジに表示されるのだ。
因みに殺人を犯したプレーヤーもオレンジ色だが、レッドプレーヤーと言われている。
「そのタイタンズハンドの奴らにシルバーフラグスってギルドが壊滅させられたんだ。そのシルバーフラグスのリーダーだけが脱出できたそうで、他のメンバーはみんな殺されてしまったそうなんだ。
で、そのリーダーがゲート広場で泣きながら仇討ちをしてくれる人を探していたんだ」
「で、キリ君が引き受けたのね」
「あぁ。タイタンズハンドの奴らをどうしてほしいか聞いたら、全員牢へ入れてほしいと懇願された」
「悔しいでしょうに・・・そのリーダーさんは凄いわね」
「そうだな。殺してほしいとは言わなかった」
「わかったわ。私は何をすればいい?」
「タイタンズハンドを調べてほしいんだ。どんな奴らで、メンバー構成、あと何処で活動しているのかかな」
「ん、了解。4日間ちょうだい。その位で調べがつくと思うわ。ツバサ!出番よ!!」
「はい、マスター」
「俺は、ちょっと別に調べたいことがあるから」
私は早速アルゴちゃんに連絡しタイタンズハンドがメインで活動している層を聞きいた。
その後すぐにその層へ移動し、ツバサを偵察に向かわせる。私は聞き込み調査だ。それなりに顔が知れてしまっている私は、ツバサを連れているとすぐにばれてしまう。フードを被りまずは店を経営しているプレーヤーに接触した。
「あぁ、聞いたことあるぞ。リーダーはロザリアって女性だよ。見た目はお姉さんより年上に見えるな。色々な連中とPT組んで狩りに行ってるって話だな」
「ありがとう♪これ、情報料よ。おまけでこれ、クッキーなんだけど良かったら食べてね♪」
「おっ!ありがとよ!」
他にも何人かに聞き込み、同じような回答をもらった。暫くするとツバサが上空で旋回しているのが見えたため、人の少なそうな路地裏へ移動する。
「どう?それらしき人たちはいた?」
「上空からの確認ですが、1人の女性プレーヤーが男性プレーヤーに話しかけてPTを組まれ狩りに出かけた様子です。それを少し離れたところから見ていた男性プレーヤーが1人いました。
その男性プレーヤーをつけてみたのですが、カーソルがオレンジの男性プレーヤー6人と何やら話してました」
「どうやら、ビンゴっぽいわね。私が聞いたのはリーダーのロザリアって女性プレーヤーが色々なプレーヤーとPTを組んで狩りに行くそうよ」
「では私は上空からまた偵察へむかいます」
「お願いね。接触はしなくていいからね」
「はい。マスターはこの後どうなさるんですか?」
「うーん、これ以上聞き込みを続けると危険っぽいからなぁ。私もツバサが目視できる距離を保ってついていくわ」
「了解しました。ターゲットが宿へ戻る様子を見せましたら、私もマスターのもとへ戻ります」
「うん。よろしくね♪」
ツバサはまた飛んで行った。
日が暮れたころ、ツバサが戻って来るのが見えた。今日の調査は終了。このあとキリ君に連絡をとり報告する。久しぶりに私の作ったご飯が食べたいとのことで、私の宿で食事をした。
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調査2日目、タイタンズハンドの犯罪手口を調べる。今日はツバサのみだ。私がいると見つかる可能性が高くなるから、来ないでくれとツバサに言われてしまった。おかしいなぁ・・・私がマスターなはずで、命令するのも私の筈なんだが・・・
こんなこと誰にも話せず愚痴がこぼせない・・・しっかり者の使い魔かぁ。まあ、いっか♪
私は暇になったので、経験値はあまり入らないがプレイヤーが来ない狩り場で弓の熟練度上げをしていた。普段の狩り場では槍として、でしか戦闘をしていない。弓として表にまだ出していないのだ。だから熟練度がちっとも上がらない。
リズちゃん特製のこの弓《蒼穹剣》を装備し弓状へ変形させ、専用弓矢を取り出す。システムのアシストはないので、現実世界と同じようにしか打てない。最初のころは外すことも多かったが、今は勘を取り戻したので98%は的(敵)には当たる。
専用弓矢は木工職人(ウッドクラフトプレーヤー)とリズちゃんの合同製作された物で、矢じりがソード扱いなので剣技が出せるのだ。この矢、矢自体も耐久値が高いのだがとても便利で高い耐久値の糸がつけてあり敵に放った後、その糸を引っ張れば手元に戻って来る。
いつもは索敵しなくてもツバサが敵位置を教えてくれるが、今はいないので耳を澄ます。キリ君にはいつも勘だと言っていたが、要は聞き耳なのだ。別に聞き耳スキルを取っているわけではないが皆が言っているようなシステム外スキルで耳を澄まして音を拾う作業だ。
私は通常の聴覚が優れている方なので、それで敵を察知しているに過ぎない。4時の方角に敵が現れたのでそちらを向いて剣技を立ち上げ矢を放つ。矢が届く距離と経験値が届く距離は微妙に違うのでそこは調節しなければならない。
今回はギリギリ経験値が入る距離だったようだ。層が低いから1撃で敵を葬れたようだ。経験値獲得ウィンドウが表示された。
地味な熟練度上げをウンザリするほど繰り返し、そろそろ糸の限界が近づいてきたので狩りはやめメイン通りに出たところでツバサの鳴き声が聞こえた。どうやら偵察が終了したようだ。
「ただいま戻りました、マスター」
「はい、お帰りなさい。どうだった?」
「手口は大体わかりました。彼ら、今日は大きな成果はなかったらしく殺しはしないで口を上手く使ってPTメンバーからアイテムを余分に奪ってました」
「そう、いつも殺しをするわけではないのね。きっとレアアイテムとかが絡むと殺しまでする感じかしら?」
「「そうですね(そうだろうな)」」
「ん?あら、キリ君。そっちの調べ物は終わったの?」
「あぁ。いや、それにしてもツバサは優秀だな」
「私が上空から監視作業を続けていましたら、キリト様が彼らの後をつけていました」
「ほら、俺にも気が付いてたんだろ。俺は、暫くツバサに気が付かなかったってのに」
「うふふ。私のツバサですもの。私より高性能よ♪」
「姉さん、それってどうなのよ・・・」
「気にしたら負けよ♪」
「奴ら、美味い獲物がいないと大きな動きはしないらしい。その時は証拠隠滅とばかりにPKするようだ」
「赦せないわね。とっちめたいけど・・・何かいい方法はないかしら」
「うーん、難しいな・・・」
「マスター、キリト様。このような場所で会話をなさっていますと、彼らに気づかれる可能性もございます。街に戻りましょう」
「はーい」
「そうだな」
私達は街へ戻り、キリ君と打合せをして今日の作業を終えた。
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3日目、今日は宿の契約が丁度切れるので荷物を纏めて宿を出た。調査は昨日であらかた済んだので、今日は昨日狩りをして耐久値が下がった矢の修理をしてもらうためリズちゃんの所へ向かった。
「リズちゃーん、おっはよー♪」
「あ、おはよ・・・ふぁ~ございます。今日は早いですねぇ・・・」
「眠そうねぇ。また仕事で徹夜?」
「徹夜はしてませんよ。今作っている武器を仕上げるのに時間がかかっちゃいまして・・・寝るのが遅くなっただけですよ」
「無理しないでね。なんて言いながら、朝早く来ちゃってごめんね~」
「いいんですよ~。丁度開店時間でしたから」
「じゃあ早速お仕事お願いします♪蒼穹剣の熟練度上げが出来てね。矢の方の耐久値がだいぶ落ちちゃったのよ」
「はーぃ、蒼穹剣も見ておきますから渡して下さい」
私は剣と矢を渡し、ついでに糸の交換もお願いする。
リズちゃんは奥の工房へ修理に行ったので、代わりに店番をすることにした。装備を外し、アシュレイに作って貰ったメイド服に着替えてカウンターに置いてある椅子に腰かける。
暫くして、お客様が来た。
「いらっしゃいませー♪何をお求めですか?」
「あ、おはようございます。もしかして・・・ビーストテイマーのエミリーさん?」
「えぇ、そうですよん♪あら、貴女も?」
「はい、私のはフェザーリドラです。この子はピナ。私はシリカっていいます。ここの評判を聞きまして、武器を新しくしようと思ってきました」
「あ、この子はツバサって名前よ」
「シリカ様とピナさんですね。よろしくお願いします」
「うぇあ!新聞に書いてあったの本当だったんですね。いいなぁ、私もピナとお話ししたいです」
「うふふ。ちょっと待っててね~私はただの店番だから、店長を呼んでくるわ♪」
私はドアを開け、リズちゃんを呼んだ。
「てんちょー、新規のお客様ですよ~。武器をお求めでーす♪」
「はーい、ってエミリーさん何やってるんですか!」
「?暇だったから、店番♪」
「・・・エミリーさんそのカッコ似合いますね」
「うふふ、リズちゃんの衣装と一緒でアシュレイが作ってくれたのよ~って、お客さんお客さん」
「あっ、そうでしたね」
リズちゃんはキリの良いところで手を止めて店に出てきた。
「いらっしゃいませ。武器をお求めですね」
シリカちゃんは短剣使いで、武器がそろそろレベルに合わなくなっていたので使用していた短剣より良いものを探しているようだった。
私はリズちゃんが接客中、奥のテーブルにお茶を用意しておいた。
5分くらいたって、どうやら新しい武器が見つかったようでシリカちゃんが支払していた。
「お買い上げありがとうございます」
「ねぇシリカちゃん、この後急ぎでなければちょっとだけお茶していかない?リズちゃん、良いわよね?」
「私の分もあるなら、良いですよ」
「そこは、エミリーさんにお任せあれ♪」
「えっ、良いんですか?お邪魔ではないんですか?」
「リズちゃん、夕べ頑張ったみたいだからご褒美にね♪」
「あはは。エミリーさんが作ってくれるお菓子や料理は絶品ですからね~♪いいんじゃない?」
「では、お言葉に甘えて」
「はいはい、どうぞ此方へ~♪」
シリカちゃんはちょっと遠慮がちに入ってきた。私は、ストレージからお菓子?を出して並べる。
「お嬢様がた今日は、スコーンにスリーズジャムとイビスキュスティーです♪朝食になるメニューになっております」
「あは♪エミリーさんその衣装でノリノリですね~」
「雰囲気を出してみました☆てへっ♪」
「「いただきまーす」」
「はい、召し上がれ♪」
3人でお茶をしながらお喋りに花が咲いた。ピナとツバサもお話ししていた。それを見ていたシリカちゃんが、ツバサに通訳してほしいって言っていた。
それを聞いたツバサが私の方をチラッと見たので、何となくお茶を濁しておいた。シリカちゃんはちょっと残念そうな顔をしていたが、お茶が終わるころツバサ達が私達の傍に来てシリカちゃんに話しかけた。
「ピッ!ピピッピピピッー!!」
ピナがシリカちゃんに擦り寄り、何か一生懸命伝えようとしている。それをツバサが通訳した。
「シリカ様、ピナさんは『大好き!だからナッツちょうだーい!!』と申してますよ」
「あはは。私達が食べているの見てピナも食べたくなったのね。いいわよ、はい、ピナ」
シリカちゃんはストレージからナッツを出してピナにあげていた。
「ピピピ。ピピ、ピピーッ!」
「ありがと。マスター、大好き!だそうです」
「うわーん!ピナー!!私も大好きだよ!!!」
シリカちゃんはピナを抱きしめてウルウルしていた。
「ほっんとツバサはすごなぁ」
「あは♪今度、この店のことツバサに宣伝させようか?」
「・・・えっ?!」
「まあ、お望みならいつでもツバサに命令出せるから言ってね♪」
「大丈夫だと思いますよ。ここ、結構下の層でも話を聞きますから」
そんな話をしながら、お客さんが来るまでお茶を楽しんでいた。
シリカちゃんを登場させようと頑張ったら1万文字近くになってしまいました。
次回、やっと『黒の剣士』のお話ですが、エミリーさん視点なのであの話自体はさらっと思い出し語りになります。まぁ、後日談に近いでしょうか。
また、少しお時間いただくと思います。
時間が出来たら《蒼穹剣》を描いてみようかと・・・描けるかわかりませんが・・・汗